コーチ「先生、いきなり歌詞違いますよ」
先生 「ぼくの名前はマー坊!」
コーチ「それは合うてますけど、いきなり天気予報の歌、歌うのおかしいです」
先生 「二人合わせてミャンマーだ!君と僕とでミャンマーだ!」
コーチ「何なんですか、その歌!」
先生 「ミャン坊!マー坊の!天気予報」
コーチ「ミャンマーの天気なんか、日本おったら知る必要ありません」
先生 「ただの替え歌やないか、コーチは細かいことにうるさいなぁ」
コーチ「誰だって、ぼくと同じこと思います」
先生 「じつはな」
コーチ「どないしたんですか?」
先生 「ジャーン!」
コーチ「甲子園のチケットですやん」
先生 「今度の火曜や!」
コーチ「あ、ええねぁ」
先生 「おそらく晴れるって!」
コーチ「それで、天気予報の歌、歌ってたんですか」
先生 「僕の名前はキー坊!」
コーチ「その人は、実在するからダメです」
*********************
先生 「せやけど、コーチな」
コーチ「何です?」
先生 「杉山ってな、かわいいなぁ」
コーチ「かわいいです。なんかフニャッとしててね」
先生 「で、久保田は飛びぬけてかわいいわけや」
コーチ「マスターも言うてました」
先生 「でなまぁ、二人とも松坂世代なわけやん」
コーチ「はい」
先生 「で、オレ思ってんけどな、ほな、その世代の大スター松坂大輔ってな、マウンド上でかわいいやろか?」
コーチ「いや、、、あんまりかわいくないですね」
先生 「せやねん。オレもそう思うねんな。松坂ってやっぱテレビなりの露出が多いから、マウンド上じゃない場面やったらかわいいとこよく見るねんけどな、マウンド上ではすごい威厳があるっていうかな」
コーチ「男を感じますよね」
先生 「まぁ、ええことやねんけど」
コーチ「ソフトバンクの和田なんかもそうですよね」
先生 「顔立ちはすごく男前やねんけど」
コーチ「かわいいか?って言われたら、かわいくはない」
先生 「せや」
コーチ「ところで、先生」
先生 「なんや?」
コーチ「せやから言うて、何が言いたいんですか?なかなか話が見えないんですけど」
先生 「簡単なことや。松坂世代の中で、久保田と杉山がかわいいのツートップやっていう話や」
コーチ「は、はぁ」
先生 「大事な話やで。これけっこうな発見やと思ってるねん」
コーチ「これがですか?」
先生 「久保田とか杉山は、新しいタイプのプロ野球選手ってことや」
コーチ「よう分かりません」
先生 「昔っからな、“公”と“私”を分ける考え方っていうのは、一般常識としてあるやろ?」
コーチ「ま、まぁ、当然のことですよね」
先生 「やねんけど、久保田とか杉山は、マウンドからかわいさが溢れ出てるわけや。これどういうことか、分かるか?」
コーチ「いや、ちょっと・・・」
先生 「彼らはかなり“私”の状態でピッチングしてるってことやと思う」
コーチ「ほうほう」
先生 「例えば、コーチがな」
コーチ「はい」
先生 「仕事終わって風呂入って、野球観ながらビール飲んでるとするやろ」
コーチ「リラックスですなぁ」
先生 「その時コーチは“私”やねん。その状態が、一番自然な無理してないコーチの状態や」
コーチ「なるほど」
先生 「想像してみてほしいねんけどな」
コーチ「はい」
先生 「その状態とむっちゃ近い状態でな」
コーチ「ええ」
先生 「甲子園のマウンドに立てるか?」
コーチ「無理です無理です、逃げ出したくなりますわ」
先生 「せや、五万人の観衆や、関西一円にテレビ中継。何千万人の人が自分を見てるか分からんようなそんな状況」
コーチ「押しつぶされますなぁ」
先生 「だからな、そういう大きな負荷がかかると、普通人って外向きの自分を作ってまうと思うねんな」
コーチ「そうですよね」
先生 「松坂とか、和田とかはそうや。てか、それで普通や思う」
コーチ「野球やないですけど、水泳の北島康介なんか、ほんま泳いでるとき目つきが変わりますもんね」
先生 「北島くんは、ほんま心配になるくらいのレベルで変化するけどな・・・」
コーチ「そうですねぇ・・・」
先生 「彼は子どもの水泳教室とかやってるときの顔、ほんま優しくてかわいらしい顔してんねん」
コーチ「バランスが崩れんことを願うばかりですな」
先生 「ほんまにせや。でな、トップレベルのスポーツってそういうもんやったって思うねん。極限まで“公”と“私”と分けるその度合いの勝負みたいな」
コーチ「なるほど」
先生 「ところがな」
コーチ「はい」
先生 「久保田と杉山は、かわいいねや」
コーチ「マウンド上で」
先生 「5万人の観衆の前で、“ふつう”におれるんやろなぁ、って思うねん」
コーチ「むっちゃ凄いですよね!」
先生 「ほんまむっちゃ凄い」
コーチ「かわいいもんなぁ・・・」
先生 「だから久保田やったらな、例えば部屋で、こたつに入ってみかん食べてるとするやろ」
コーチ「はい」
先生 「そこでインターホンなるねん」
コーチ「ほう」
先生 「ごめん久保田もうすぐ9回で一点差やねん、今からちょっと来て投げてくれへん?って言われてな」
コーチ「はい」
先生 「たぶん、すぐ投げれる」
コーチ「かわいいまま、投げれるんですね」
先生 「こたつでみかん投法や!」
コーチ「ハハハハ」
先生 「松坂やったら、たぶんこういうわけにはいかんと思う」
コーチ「なんか分かりますわ」
先生 「でな、杉山のことやけどな、まぁ杉山の話をしたかったがためにこんだけ長い前フリになってしもうてんけども」
コーチ「はい」
先生 「入団当初から“ブルペンエース”言われてたやんか?」
コーチ「練習ではむっちゃええ球投げるけど、試合になったらあかんみたいなね」
先生 「オレもそない思ってん。でなその原因がこの“こたつでみかん投法”にあったと思うねや」
コーチ「“私”のままマウンドに立とうとするから、どうしたってしんどい」
先生 「でも、杉山最近、安定してきたやろ?」
コーチ「はい」
先生 「これ、どういうことか分かるか?」
コーチ「なんとなくは・・・」
先生 「“私”の状態がベースアップしたってことやと思うねん。杉山のメンタリティは今までとなんら変わらん」
コーチ「こたつでみかんのままですよね」
先生 「だって、かわいいからな」
コーチ「ということは、こたつでみかんのままでマウンドに立てるようになった」
先生 「オレはそう思う。素の状態のメンタルがごっつい安定したんちゃうかな?」
コーチ「むっちゃ凄いですよね」
先生 「ほんまにむっちゃ凄いし、もしかしたらプロスポーツの概念を覆すような選手かも知れへん」
コーチ「ほんまですねぇ」
先生 「で、こっちの方が人が本来あるべき姿やないんかな?って思うねん」
コーチ「どういうことですか?」
先生 「結果を求めるあまり、その結果を出しやすい状態を自分の中に作っていくのではなくて、ふつうに自分が一生懸命やって、それ相応の結果が出ればええって感じ」
コーチ「なるほどねぇ」
先生 「ようあるやん。実はその日、最愛の母を亡くしてたけど、試合に出てホームラン打ったとか・・・」
コーチ「はい」
先生 「そら、えらいけど、えらいけども、それってほんまは違うんやないかな、って思うんや」
コーチ「確かに・・・」
先生 「だって、お母さん亡くなったら誰だって悲しいやん、悲しすぎて悲しすぎて何にもできひんやん。そんなときにたくさんの人の見てる前で野球なんかやらんくてええって、オレ思うもん」
コーチ「ぼくも、そない思います」
先生 「そんなときは、その人のそばで、思うままに泣いてるんがほんまなんやって思うねん」
コーチ「そうですなぁ」
先生 「だからな、久保田とか杉山とかはな」
コーチ「はい」
先生 「そういうときは休ませてあげてほしいなって思うねん」
コーチ「そうですね」
先生 「人として自然な、でもプロ野球選手をやっていくことを考えると大変な道を選択してると思うんや」
コーチ「こたつでみかん投法」
先生 「頑張れ杉山!頑張れ久保田!」
コーチ「でも無理して頑張りすぎるな!」
先生 「そんな感じやなぁ・・・」
コーチ「はい。ほな改めて」
先生 「おう」
コーチ「プロスポーツ界に静かで優しい革命を起こしつつある」
先生 「タイガースの若手投手に」
コーチ「乾杯!!」
松坂世代の中で2番目にかわいい
一緒に乾杯して下さい!! クリックで乾杯!!→人気blogランキング