2005年09月30日

2005年の全ての真実に、ありがとう!!

岡田監督は言葉が少ない。気の利いた言い回しもほとんどしない。
だから、大好き。

人は、自分が抱いている本当の感情をありのままで言葉にしようと思うと、言葉が少なくなる。面白いことも言えない。だって、人はそれほど面白いことを思っていない。面白いことは、思うのではなく、作るもんだ。岡田監督は面白いことをほとんど言わない。それは、言葉を作らないからだと思う。

だから、岡田監督が笑っている時は、心から笑顔になれる時。
笑顔を誘発する感情が、心の底から湧き上がって来た時。

そんな監督が、笑っている場面、たくさん見た。
心の底から湧き上がる「歓喜」を、「本当の笑顔」で表現してしまう、
嘘のつけない、47歳の男の姿をいっぱい見た。
多くの政治家がテレビで見せる笑顔とは正反対の笑顔。
打算、計算、社会人として見せる、そんな「おとなの」笑顔ではない。
「嬉しいから」「笑ってしまう」、理屈ぬきの「少年の」笑顔だ。


そんな人だからこそ、一般的な基準では計りえない鋭い感性を持ち合わせていたのだと思う。
誤解を恐れず言えば、その感性って、誰もが子どもの頃には持っていた感性。
でも、大人になるにつれ失い続けてきた感性。
岡田監督って、それを極限まで保ち、逆に育て、壮年期を迎えた人なのではないだろうか。

「47歳になって、理屈ぬきで笑って泣ける男」

そんな男にぼくもなりたい。


物凄い次元で「感じる人」岡田彰布が作りたかったチーム。
それは、選手個々から発せられるストレスが最小限に抑えられる、そんなチームだと思う。

「仕事だからしかたがない」
「役割だからしかたがない」

これをゼロにすることは不可能。
ぼくの職場にだってあるし、おそらくこれを読んでくださっている皆さんの職場、教室、
そこにもこの種のストレスはきっとあることだと思う。集団から発されるストレスの集合体。その場所が抱えるストレス。

ありませんか?

ただ、それを
「あることだから、仕方ない」と割り切ってしまうのと、
「できるだけなくしたい、だってそのほうがいいから」と努力するのでは、
想像を絶する違いが差が出てくる。
端的に数字で現れているのが、阪神と巨人のゲーム差。
25ゲーム。
よく分からない差だけど、「よく分からないほどの差があった」と考えるのが正しいと思う。
チームが抱えたストレスの差が「25ゲーム」だったんだ。

3番を打っていた金本が割り切っていたものを4番に動かし解放し、
2番を打っていた赤星が割り切っていたものを1番に動かし解放した。
1番を打ち、本人も気づいていなかったであろう今岡の得点能力を、5番に動かし引き出した。
金本、今岡に対する、リスペクトを自然に持ち、かつ「繋ぎ役」が好きでそれをすることによって欠点が補われるシーツを3番に配し、
バッティングの負担をできるだけ軽くするため、矢野は7番だった。

最も悩んだであろう6番と8番は、どちらかのストレスが大きくなりすぎないように、最初から最後まで、二人を交互に使った。

ただ、このスタメンで出ていた、8プラス2の10人の選手の中で、
最もストレスを感じやすかったのは、当然桧山だと思う。
そしてその桧山と監督の間で、「割り切り」ではない「納得」の合意があったのではないだろうか、桧山が心から笑っている姿を見てそう思った。

「桧山にはほんまにすまんと思ってる、でも、スペンサーに感じる部分があるんや」
「それは分かりますよ。金本さんも赤星も外せないですからね。そしたらライトしかポジションないですから。分かってますよ」
「すまん。分かってくれて、ありがとう」
「ぼくが監督でも、きっとそうしますよ」

こんなやり取りがあったかどうかは知らない。
でも、この次元の納得がなければ、終盤にきての桧山の活躍はなかったと思う。
心から併用を認めていた、桧山が素晴らしいし、
それに最大級の「すまん」を持って接していた監督も素晴らしい。

出番が少なかった控えの選手に関しても、おそらく同様の配慮があったのだと思う。
野口、秀太、浅井、久慈。
「不慮の事態に備える仕事」
難しい仕事だけに、当然そこにストレスは生じる。
でも、それは、最小限ではなかっただろうか。

楽天に行き、虫の息だった楽天をなんとか支えた沖原の活躍を誰よりも喜んでいるのは岡田監督だと、ぼくは思っている。

岡田さんって、そういう人だ。

さらに付け加えると、雄弁ではない岡田監督は、
それゆえ「当然のこと」が多い人だろうと思う。
「当たり前のこと」は「当たり前だから」話さない。

よくテレビの解説などで「JFKばかりが注目されますが、橋本、江草、桟原の活躍も見逃せない」そんな話を声を大にして発言している場面を耳にする。

おそらく、監督にしてみたらそのようなことは、あまりに当たり前のことなのだと思う。
負け試合に登板する投手が、その仕事を「当たり前に大事な仕事」そう感じることができるくらいに、それを「当たり前にみんなありがとう」そう感じていたのだと思う。


だから岡田監督が言う「みんな」は、注釈ぬきで「チームに携わったみんな」のことだ。それが伝わらないのがイヤで、「裏方さん、スタッフも含め」みたいなことも不器用に喋っていたけど、そんなことは分かっているんだ。

岡田監督は本当に「みんな」を思う人。
「みんな」に「ありがとう」を思い、
「みんな」が気持ちを解放していることを「嬉しい」と感じる人。

だから球児は泣けるんだ。
あんなにも、あんなにも素直に抱きしめあって泣けるんだ。
心を解放しきった矢野さんと、ともにがんばってきた久保田の表情を見て涙が出てくるんだ。

岡田タイガースを見ていると、
「感じることは、ええことなんや」
そう、後押しされている、そんな気持ちになる。

感じるからしんどいこともあるし、感じなくてもいいイヤな思いを持ってしまうことがあるけど、でも、感じるからこそ強い部分があるんだ、って球児の涙がそのことを教えてくれた。ゲームセット直前の泣いてるのか笑ってるのか分からない今岡の表情もそのことを教えてくれた。ウイニングボールを取ってすぐ、赤星と目を合わせたアニキの横顔を大好きだと思った。二岡を三振に打ち取った時の下柳先輩のガッツポーズにまたジブリを感じた。打席にはまだ8番の関本が立っているのに、6番のスペンサーが打撃フォームのチェックをベンチの後ろのほうでやっていて、やっぱり監督はそのスペンサーをもう一打席、打席に送った。そしてやっぱり矢野は、一番笑っていた。

みんな大好きだ。

ほんとうに、ほんとうに、ほんとうに素晴らしいチームだ。

無策を講じる勇気を持った、言い訳をしない、嘘をつかない野球。
そんな野球が、そんなチームが優勝した。

2005年の奇跡、遂に完結。

ぼくはそのチームを司った将、岡田彰布を、「真将」と呼びたい。
全てが真実、真の心を持った、「真将」岡田彰布。

心から、ありがとう。
もう、たくさんの気持ちが溢れ出して、
言葉はこれしか見つかりません。

だから、言わせてください。
2005年の全ての真実に、

心から、ありがとう。


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posted by コーチ at 08:09| Comment(4) | TrackBack(14) | □監督 岡田 彰布 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年09月29日

優勝乾杯!!!!

先生  「オレ、生きてて良かった!!生きてて良かったー!!」
コーチ 「ぼくもです!!ぼくもですー!!」
先生  「あー!!もう、コーチ!!」
コーチ 「はい!!」
先生  「走ってくる!!」
コーチ 「え?」
先生  「オレ、ありがとう!!の気持ちを、全力疾走で表現してくる!!」
コーチ 「はい!!!!」

先生  「やったー!!!!!!優勝やー!!!!!ゴー!!!!ゴー!!!!」

コーチ 「あ、いってしまった、ちょっと待ってください!!ぼくも走ります!!!!」
先生  「ゴー!!ゴー、ゴゴー!!!!」
コーチ 「先生!!!」
先生  「なんや?」
コーチ 「これだけ言わせてください」
先生  「おう」



コーチ 「野球町を毎日見てくださったみさなんとご一緒に!!」

先生  「岡田タイガースの優勝に祝して!!」

コーチ 「乾杯!!!!!!!」



優勝やー!!今夜は一緒に乾杯しましょう!!blogランキングへ



posted by コーチ at 20:50| Comment(12) | TrackBack(20) | ☆ ペナントレース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

決勝戦

初回にあれよあれよと6点。
昨日の試合には“準決勝”を感じた。

現在、5連勝というのもあるだろうけど、
ゲームから発される空気が、とてもトーナメントのようだ。

今年のタイガースは、とにかく堅い試合が多く、
もっと1点を大切に!!
トーナメントのような戦いを!!
とかく、そう揶揄されてきたものだった。

ただ、実際この日を迎えてみれば、
溢れんばかりに出てきている、トーナメント感。

策を講じ、意図的に醸したものではなく、
自然とうまれてきたトーナメント感。

まさに、それが岡田野球。

迷わず5回で井川を変えたのも、球児にこだわらず、橋本をはさんだのも、
関本に送りバントをさせたのも、
全てが自然だった。
準決勝を戦うチームの姿だった。

この試合を戦うために、長い長い長い長い、そんな準備を繰り返してきたんだ。
だから自然と勝てる。
トーナメントで優勝するチームの底力ってきっとこういうものなのだろう。
「自然に勝てる」


さぁ決勝戦。舞台は甲子園。


準決勝の先発は、大会中いまいち調子が上がらなかった背番号1というところか。
でも勝った。
井川に関する評論は、toraoさんとこで見事にしてあったので、そちらを。
全く同意見。ぼくもまだまだ井川をあきらめない。
昨日は、何はともあれ勝ったことを評価したい。
結果的に、決勝戦に繋げたことで十分だ。
だって、それがトーナメント。


そして決勝のマウンドは、背番号10のエース。
苦しいとき、何度も何度もチームを救った、
心優しきひげのエースが、
“決勝戦”という大きな大きな渦の中心にたち、
それを静かに、しかし熱く回転させる。


そして、

悔しさを、勝ちたい気持ちを、最も表面に出す1番センターが、
何を言われようとも、必死に耐え忍び鍛錬を繰り返した2番ショートが、
不慮の怪我を克服し、ギリギリ舞台に間に合った幸運の3番ファーストが、
どんな時でも、個人の持ちうる限りの全ての能力でチームを支えた4番レフトが、
悩みに悩み、悩みに悩んだ末、ようやくその思いを開花させた5番サードが、
二人でそのポジションを、ベンチと交互に守ってきた、二人の6番ライトが、
強くて優しい、あんなにも心から笑える37歳、7番キャッチャーが、
こちらも、二人でなんとか守って、いろんな仕事をこなしてきた、二人の8番セカンドが、

桟原が、
江草が、
橋本が、

球児が、
ジェフが、
久保田が、

秀太が、
久慈が、
浅井が、
豊が、
濱中が、
アツ片岡が、

皆で渦を作り上げ、
決勝戦終了後、

野球と阪神が大好きな、
新将岡田彰布を宙に舞わせる。


さぁ、決勝戦、さぁ決勝戦。

よし、これで準備が出来た:笑



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posted by コーチ at 15:01| Comment(10) | TrackBack(1) | ☆ ペナントレース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年09月28日

感情論の人

ぼくはいつも改革には賛成だった。
野村さんが監督に就任するという時も、同様に星野さんが就任する時も、
とにかく改革には賛成だった。

阪神タイガースというチームは「今のままではダメだ」
ずっとそう思わせる材料を持っていた。

「変わること」にいつも期待していたように思う。


村上ファンドが阪神電鉄株を買収。

このニュースをきき、正直戸惑った。
「なんか、とてもイヤだ」と、そう思った。

変わらないでほしい。
今のままがいい、とそう思った。

そして、ぼくのその気持ちは、
「タイガースが変わった」ことの証明なのだろうとも思った。


毎年、早々と優勝争いから脱落し、Bクラス入りを決め、最下位争いを繰り返していたあの頃ならば、こんな親企業の話にも何かを期待したかもしれない。

しかし、今は違う。

タイガースは本当にいいチームになった。
基本は絶対、今のままでいい。


明日にも優勝が決まるかも知れない時期なのだ。
それゆえ、株を買うには最も都合のいい時期なのだろう。

ただ、

そういうの、ムカつく。
なんか、むっちゃ、ムカつく。


そういうんじゃない野球をしてるチームやねん。


赤星があんなにも必死にファールで粘ったことを、知らない人だから、
それを見てもなんとも思わないような人だから、
きっとこの時期を狙って、株を買ったりできるのだ。


「得だから」


そんな感覚で野球やってへんねん。
そんな感覚で応援してへんねん。


なんか、むっちゃムカついた。


だから井川、今日こそ、今日こそ、
胸のすくよくなピッチングをしてほしい。
この胸のモヤモヤをスカッとさせてくれるような、そんなピッチングを。
ぼくらに見せてくれやしないか。


打って、守って、走って、勝って、そして最後に矢野と笑う。
そこには「損」も「得」もない。
あるのは、「嬉しい」だ。「やったー!!」だ。「わーい!!わーい!!」だ。


イライラした感情のゆり戻しではない喜びを。
イライラした感情なんかぶっとぶような、そんな痛快な勝利を。

無策を講ずる勇気を持った岡田監督。
策を講ずるビジネスマン。

ぼくは当然、岡田さんが好きなんだ。


今日の午後21時頃。
無策で勝った岡田監督が笑うところが見たい。


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posted by コーチ at 07:50| Comment(4) | TrackBack(2) | □監督 岡田 彰布 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年09月27日

おかえりアンディ

シーツが戻ってくる。
とても嬉しい。

一年間、必死に戦った人が、最後の最後の喜びのときをともにできないなんて、
そんな悲しい話はない。
その瞬間をともにできて本当に良かった。
アンディの喜ぶ顔が見れて本当に良かった。

マジックは3。
そして、甲子園。

ここで一つ、考えたいことがある。
ジャイアンツが、高橋尚、工藤先輩あたりで来たときの、

「8番、関本」の重み。

シーツは当然、3番ファースト。
セカンドは関本、当然8番。

3番打者として、片岡とともに、まったく違和感なくその打順に収まっていた関本。
それが、「不調で降格」とかいう理由ではなく、
「ふつうに8番」
この格上げ感は凄い。

プロデューサーのつんくが、よく使っていた手法であるが、

「プッチモニ」であり「タンポポ」であり「ココナッツ娘。と石川梨華」であり、
ほかにもいろいろあったと思うが、
とにかく、モーニング娘。から、いろんなユニットを作っては、独立させ、
個々の名前が大きくなったところで、
モーニング娘。本体の活動を再開する。

ユニット前とユニット後で、同じ「矢口真理」という名前が変わって見えた、あの感じ。
あの人もあの人もあの人も「モーニング娘の一人」として、機能しているというあの感じ。

「3番だった関本」の「8番関本」、
とてもよく似ていると思う。

立浪が不調で7番とか、そういうこととは違うのだ。
「ふつうに」8番、関本。

関本の名前が心なしか大きく見える。

今まで何度も書いてきたが、
得点は常に「打った人」と「打ちやすくした人」で成り立っている。

格が上がった、8番関本。

それだけで投手は大変なのだ。
その存在感だけで、上位が打ちやすくなる。
8番の関本に神経を使った、ジャイアンツ投手陣が、
疲労した状態で、赤星、鳥谷を塁に出し、
ランナーがたまった状態で、アンディの打席がみたいなぁ。

「打ちやすくした関本」
そして、
「打ったシーツ」

打球は左中間!!走者一掃のタイムリーツーベース!!


そんなシーンがみたいじゃないか。

そして至福のときへ、また一歩近づくんだ。


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(お知らせ)
「野球町の人」別館をマスターが始めましたので、よかったらのぞいて見てください!!→ マスターの野球日記
posted by コーチ at 08:51| Comment(2) | TrackBack(2) | □ シーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年09月26日

赤星の13球

気持ちがプレーに直結する。

9回表、1点ビハインドの先頭打者、赤星。
ぼくが知る、赤星の打席の中で、
この打席は、最高の打席だった。
赤星という選手は、本当に素晴らしい野球選手だ。

べイルという投手は、そう簡単に打てる投手ではない。
ドラゴンズの岩瀬、タイガースのウィリアムスと肩を並べる、
左腕の抑えとしては一流の投手。

対する赤星。
何が何でも出塁したい場面、
一塁ベース上に立った赤星は、日本一の一塁ランナーとなる。

そのことにとても意識的な赤星。
カウントが2−2になったあたりだったか、
赤星は積極的にフォアボールを奪いにいったように見えた。
フォアボールを「選ぶ」のではなく、「奪い」にいく。

調子は悪くなかったベイル。力強い高めのストレート。
赤星に投じた初球は147kmを計時した。

左対左の対戦。
ウィリアムスが中日の福留を外角のスライダーで三振にしとめようとするように、
そこを攻められる可能性が非常に高いカウント。
赤星は、アウトローのスライダーをファールできるタイミングで待ち、
かつ、高目のストレートにも対応できる状態で待っていたように見えた。

「ヒットでなくていい。その両方をファールする」

ヒットにしようと思えば、そのどちらかに比重をおいて待たなければ打てないベイルの球。
でもフォアボールを奪いにいった赤星、
赤星はヒットを捨て、その両方に対応する姿勢をとった。
一塁ベースに立つために。

2−2から、5球目。
インコース高目のストレート。ファール。

カープバッテリーもフォアボールはやりたくない。
スライダーに目をつけているならば、高目のストレートが最も三振を取りやすい。

2−2から、6球目。
アウトコース高目、ストレート。ボール。

カウントは2−3になる。
フォアボールまで、あと一球。
しかし、2−3というカウントは、ボールを見逃せばフォアボールなのだが、
ストライクを見逃せば当然三振となる場面。
打者として、見逃しの三振ほど悔しい結果はなく、
どうしても、振りにいってしまうカウント。それがツースリー。
定石で言えば、アウトローのスライダーを振らしにかかる場面だが・・・

2−3からの7球目。
真ん中低目、ストレート。ファール。

裏をかいたストレート。変化球に対応できる状態で待つ場合、
詰まって内野ゴロも多いケース。ファールにした、赤星の勝ち。

そして、
2−3からの8球目。
インコース高目、ストレート。ファール。

どうやら、力でねじ伏せようとしてきたベイル。
それに対し、必死に抵抗する、一塁ランナーになることしか考えていない赤星。
投球はインコースの高目、それをファールした後、
打者として一番イヤなのは、アウトコース変化球にクルッとまわってしまう空振り。
やはりそこに意識をおかざるをえない。
そして、定石どおりなら、インハイストレートの後は、変化球が来る。

2−3からの9球目。
真ん中低目、ストレート、ファール。

カープバッテリーの配球は見事であった。
大胆かつ、慎重。しかも、ベイルも失投をしない。
しかし、それを凌ぐ、赤星の気持ち。
ファールを打つ。

次は本当に何が来るか分からない。
とにかく、変化球を空振りしないように、ストレートに振りまけてフェアゾーンに飛ばないように。

2−3からの10球目。
インハイ、ストレート。ファール。

チカラできたカープバッテリー。それだけベイルの球に自信があるということだろう。
非常にインコース高目を意識させられてしまう。
遠くに曲がる球をファールしようとしている時に、
近くに速い球が飛んでくる。
いつも以上に、その球は、近く、速く感じたことだろう。

そして、
2−3からの11球目。
真ん中低目、スライダー。ファール。

そして来た、スライダー。
インコースをこれでもかと意識させられた後のスライダー。
見事にファールする赤星。

スライダーもファールしたことによって、投げる球がなくなったベイル。
投げても投げても打ちとれない。いったい自分はどれだけ投げればいいのだ。

赤星対ベイルの対決を見ながら、
矢吹丈対ホセ・メンドーサ戦を思い出すぼく。
倒れても倒れても立ち上がる矢吹に、最強のチャンピオン、ホセの内面がグラグラと揺れてきた。

マウンドのベイル。
とにかく、全力で投げ込むしかない。
1点勝ってるのに、
まだ先頭バッターでランナーもいないのに、
非常に追い込まれた状態になったベイル。

2−3から12球目。
インハイ、ストレート。148km。最速。

ファール。

渾身の力を振り絞って投げたストレート、またファールにされてしまう。
窮地に立たされたベイル。
追い込んだのは赤星。

2−3から13球目、
アウトコース、ストレート。148km。同じく最速。


フォアボール。


見事、この大一番を制した赤星。
堂々と、一塁ベース上で、日本一の一塁ランナーとしての輝きを放った。


その後・・・

鳥谷に初球をバントされ、
代打の濱中には一球もストライクが入らず、
金本は、なんとか打ち取るも、

ツーアウト1塁3塁の場面。
バッターは今岡。

その初球に投じられたストレート。
球速は、


138km。


赤星はフォアボールを奪うと同時に、
ベイルの球速を10km奪った。



そしてその直後、
5番打者が試合を決めたんだ。


akahoshi925.jpg
『赤星の13球』
また一つ伝説が生まれた。後世に伝えなきゃ。



もう、赤星最高!!の思いをクリックに◎blogランキングへ
posted by コーチ at 08:19| Comment(9) | TrackBack(5) | □ 赤星 憲広 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年の奇跡、今岡誠

今年も猛暑だった夏場。

一人だけ、夏が来ない彼がいました。大きな大きな憂鬱をたずさえ、
一人だけ、夏が来ない彼がいました。

今岡誠。

スイングも鈍く、
捕らえたはずの打球が全てファールになってしまっていた彼。
もともと苦手な守備もボロボロで、
もともと遅い足は、速くなるはずもなく、
夏の来ない今岡は、
打てない、守れない、走れない。

来る日も来る日もそんな試合を重ねていました。

そんな彼に、一ファンであるぼくたちは、
彼の姿を粘土で作り、
「打てますように」
「守れますように」と、
たくさんお願いしたものでした。
こんな日もありました。
こんな日もありました。
でも、こんな日もありました。


****************************


野村監督時代、
少し強めの言葉で言えば、
「干されていた」彼。

ぼくがその理由を知るよしもないが、
おそらくは、彼の「不安定さ」が理由ではなかったか。
自分で自分を追い込んで、悩んで、
何を考えているか分からないまま、不振に陥る彼。
そこは「長所」であり、「短所」である部分だが、
野村監督は、その「短所」を重要視し、今岡を干したのではなかっただろうか。
飽くまで邪推であるが。。。


干されていた今岡は、当然2軍暮らし。
当時の2軍監督、岡田彰布。
「不安定」ゆえの、チカラを、岡田は見ていたか。


昨日。


安定感ゼロの5番打者。
多くのことを感じやすく、落ち込みやすく、浮かれやすい、
安定感ゼロの感情豊かで、でもそれが表に出てきにくい、
愛すべき選手会長。


長嶋世代のうちの父親は、長嶋茂雄を称し、こう言っていた。
「長嶋は、“打ってほしい”という場面で打たなかったことがない。もちろん、全てのチャンスに打っていたわけではないだろうが、“必ず打つ”そういうイメージの残る選手だっただんだ」


ぼくは、長嶋茂雄の現役時代を知らない。
ずっと、そんな選手を見たいと思って野球を見て来た。


今岡誠と長嶋茂雄、おそらく人としての種類が違う。
というより、長嶋さんと同じ分類などありえないことだろう。
現役時代の長嶋さんを知らないぼくでも、それは分かる。


ただ、新時代の長嶋的なものを、ぼくは今岡に投影したい。
今岡には、そういう凄みを感じる。
不安定ゆえの凄み。
それを最大限に引き出した、
引き出せるまで我慢した岡田監督、最高。


ぼくが随分と年を取って、次世代に、
「今岡っていう選手はどんな選手だったの?」
そう聞かれたら、どう応えようか。

「今岡って選手はね、ダメになったらとことんダメで、もう大丈夫かな?と思ってもやっぱりダメで、でも“あ、打ちそうな顔してる”って時は、必ずホームランを打つ選手だったんだ。分かりやすいようで、分かりにくい。分かりにくいようで、分かりやすい。あぁ、野球は人間がやってるスポーツなんだなぁ、ってそんな当たり前のことに気がつかせてくれる、そんな選手だったんだよ」

「じゃあ、岡田監督は?」

「岡田監督は、そんな今岡の人間味溢れるとこを、一番愛してあげた監督なんだ」

「なんか、“人間味”とか“愛”とかって抽象的なことばっかりだね?そんなチーム、強かったの?」

「あぁ、むちゃくちゃ強かったんだよ」

「“愛”と“勝負”って矛盾する気がするけど・・・」

「でも、その矛盾を一本の線に結びつけて勝ち星を重ねていった、それがあの有名な2005年の奇跡なんだ。そしてその象徴が、5番打者今岡誠なんだよ」

imaoka925.jpg
2005年の奇跡、
その象徴はもちろん、今岡誠。



さぁいよいよ2005年の奇跡、クライマックスへ!!◎クリックでblogランキングへ

posted by コーチ at 06:45| Comment(4) | TrackBack(5) | □ 今岡 誠 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年09月25日

“よくやった”藤本、ナイスホームラン!!

藤本が、ホームランを打ちました。

新井のホームランで1点先制された、直後のイニング。
矢野がホームランを打って、同点に追いついたその次の打者。
非常に重要な場面。
藤本が、ホームランを打ちました。

以前、チームバランスを考える上で“さすが”と“よくやった”の違いが非常に重要だ、みたいなことを書きました。(これ以降、その記事を踏まえて書きますので、ピンとこない方はお手数ですが、こちらの記事を先に読んでいただきたく思います)


矢野と藤本の連続ホームラン。

たとえばこれが、金本と今岡の連続ホームランであった場合、
勝ち越したタイガース、負け越されたカープはどんな空気になるでしょうか?
打たれた場合で言うと、ウッズ、福留に連続ホームラン。
見ているぼくたちはどんな気持ちになるでしょうか?

金本、今岡の組み合わせ、
ウッズ、福留の組み合わせ、
ともに“さすが”と“さすが”。

勝ち越したチームは、「よし」と引き締まった表情になり、
勝ち越されたチームは、こうなにか打ちのめされた感に、あぁぁぁと落ち込んでしまいます。
甲子園でウッズと福留に井川が連続ホームラン打たれた試合ありましたよね。
なんかこう、うぅぅぅと、落ち込みませんでしたか?
ドラゴンズベンチも、こうより「プロ集団」っていう空気が増すみたいな、
そういう凄みを感じるホームラン。

矢野と藤本の連続ホームラン。

なんか、空気が違うんです。
「よし」と引き締まるというよりも、
「やったー!!!!」って、むっちゃ盛り上がるっていうか。
もう「わーい!!わーい!!」って感じ。どんちゃんどんちゃん。
なんか楽しくなってしまう。

その空気の立役者は、もちろん藤本。
“よくやった”藤本。

“さすが”には“さすが”の凄みがあって、当然一流選手はみんな“さすが”で、
その選手がいないと勝てないんですが、
打線の中に一人、二人、“よくやった”の選手が混ざっていると、
ゲームの中で、ああいう100%陽の空気が出ることがあります。

fujimoto924.jpg
100%陽の空気


で、これは、
長いシーズンを乗り切っていく上でとても重要な強みじゃないかな、と思うんです。

得点した後の雰囲気に、いろんなバリエーションがある。
こうなんか、ホッと気持ちがラクになる場面があって、そして勝っていける。

それが「セカンド藤本」。
藤本がスタメンでで続ける大きな意味だと、そう考えます。

アニキの活躍では、出ない空気。
それを藤本は持っている。

確かに、「また内野フライかよ!!」そう思う場面も多々ある彼ですが、
彼が活躍した試合で、彼によってもたらされるものは、本当に大きい。
ライナーを打とうとしているのに、フライを上げる彼の姿。
チームの中にそんな癒しが必要なときもあるでしょう。

矢野・藤本の連続ホームラン。
楽しくて楽しくて仕方がない空気。

他のチームがなかなか持てていない強みをタイガースは持っている、
これも優勝への大きな要因だったかも知れません。
今岡・スペンサーの連続ホームラン。
これでも同様の空気が出ますし。

もはや語り草となった、
9.7のナゴヤドームは、“よくやった”久保田と“ありがとう”中村豊が主役でした。

もちろん、アニキや今岡や赤星や球児やジェフや下柳先輩の大活躍で勝った試合のほうが多いです。でも、たまに藤本やスペンサーがこんな空気で味付けしてくれる。

強いですよね。

タイガース。様々な面で厚みのあるチームになったと思います。
日本シリーズ、4勝のうちの1勝。
藤本とスペンサーの活躍で勝てれば、日本一は目の前です。


“よくやった藤本”決勝タイムリー!!


そんな見出しが躍る試合が、大一番で出ますように。
楽しみにして待ってよう。
ちなみにその試合で同点に追いつくヒットをスペンサーが打ってれば最高です◎


“よくやった”がもたらす空気。
藤本、ナイスバッティング!!


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posted by コーチ at 08:39| Comment(4) | TrackBack(8) | □ 藤本 敦士 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

似たものどうし

先生  「え〜昔から、世間に自分そっくりなやつが7人はいると申しますが。。。」
コーチ 「あ、落語ですか?」
先生  「似てる部分ってのは、顔だけではないんでございますなぁ」
コーチ 「ほぅほぅ」
先生  「性格や、趣味趣向、あと職業によっちゃ投球内容なんかもそっくりなんていうこともございまして」
コーチ 「投球内容?」
先生  「10勝してるが、11敗」
コーチ 「はいはい」
先生  「153個の三振を取って、これはリーグ2位なんでございますが、同時に92個の四死球を与えちまってる。こちらは2位に大きく水を開けた、ぶっちぎりのトップでございます」
コーチ 「カープの大竹のことですね」
先生  「ストレートもスライダーも、うまくいく時は、もう手がつけられないほど素晴らしい球がいくんでございますが、ちょっと歯車を狂わせますとまるで別人のようになってしまうわけでございます」
コーチ 「なるほどなるほど」
先生  「自分で自分の首をしめると申しますかね、しっかり投げなきゃ、しっかり投げなきゃ、そう思えば思うほどに、体のほうが硬く動かなくなってしまうんですなぁ」
コーチ 「おっしゃるとおり」
先生  「で、そんな鯉の投げ手、大竹とそっくりの投手が、虎の投げ手にもいるんでございます」
コーチ 「よ!8勝14敗!!」
先生  「私なんぞは、昨日の試合を見ていましても、どうにも鯉の大竹が虎の福原に見えてしまいまして、なんとも複雑な心境でござったわけなんでございます。あと、亜米利加のほうにYABUなんていう投げ手もおりますなぁ」
コーチ 「確かに似てる」
先生  「素晴らしい才能を持ちながら、しかも努力も重ねているのに、本番でチカラを出し切れない」
コーチ 「ほんまに、その通りです」

先生  「あなたはどうですか?」

コーチ 「え?」
先生  「おとといの福原、昨日の大竹を見たあなたは何を感じましたか?」
コーチ 「えっと・・・」
先生  「一生懸命頑張っているのに、仕事でなかなかうまくいかない。うまくいかなくなると自分で墓穴を掘って、自分からどんどん崩れていってしまう。そんな人はあなたではないですか?」
コーチ 「・・・」
先生  「私がそうなんでございます」
コーチ 「え?」
先生  「せっかく準備していった授業のレジュメ。ほとんど徹夜で作るときもございます。ここであれを言おう、ここで少し間を取ってちょっと息をぬいてから、話をきかせよう」
コーチ 「はい」
先生  「毎日、試行錯誤の連続でございます」
コーチ 「なるほど」
先生  「でも、それが満足に発揮できる授業など10回のうち5回あればいいほうで、いつも生徒に迷惑をかけてしまったと、自戒の念を持ってしまうわけでございます。するとまたその自戒が自戒を呼び、切り替えて次、と思いはするのですが、どうしても失敗してしまった場面が脳裏をよぎってしまいまして」
コーチ 「分かります・・・」
先生  「私は、大竹投手や福原投手が他人のようには思えないのでございます」
コーチ 「そうですね、ぼくも感じるとこあります」
先生  「ですが、大竹投手も福原投手もこれから長きに渡って自身との格闘を見せてくれるのでしょう」
コーチ 「そうですね」
先生  「私は時に、その姿に勇気づけられ、その姿を自分に投影し身を戒め、ともに戦っていきたい、そう思っております」
コーチ 「素晴らしい!!あんたの生徒は幸せもんだよ!!」
先生  「昔の人の中には面白いことを考える人がおりまして。まんじゅうを食べたいがゆえに、わざと“まんじゅうが怖い”そんなことを申して、周囲がまんじゅうで怖がらせようと、まんじゅうを枕元に並べたところ、“まんじゅう怖い、まんじゅう怖い”と言いながら、むしゃむしゃまんじゅうをほうばった、そんな人がおったそうです」
コーチ 「はいはい」
先生  「数年後、ある同僚が、福原にこう尋ねます」
コーチ 「なんでしょう?」
先生  「おい福原、おまえ怖いもんなんだ?え?オレかい?オレは…」
コーチ 「はい」
先生  「自滅が怖い◎」


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posted by コーチ at 06:31| Comment(0) | TrackBack(1) | □ 福原 忍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年09月24日

桧山進次郎、6番を手中に収める

先生  「ヒノキー!!マウンテン!!ヒノキー!!マウンテン!!」
コーチ 「それは、またオリジナルな踊りですねぇ」
先生  「昨日、娘と考えたんや。ヒノキー!!マウンテン!!」
コーチ 「でも、桧山を、ヒノキとマウンテンに分けてるのは分かりにくいですよ。日本語と英語混ざってるから」
先生  「無罪モラトリアムや!!勝訴ストリップや!!桧マウンテンや!!」
コーチ 「椎名林檎!!」
先生  「せや、椎名林檎のエッセンスを織り交ぜて、きのうオレは応援することにしてたんや」
コーチ 「そうすることの意味をあまり感じません」
先生  「藤ブック!!藤リバー!!ナウ岡!!サイド岡!!」
コーチ 「もういいですよ。“ナウ岡”ってなんか間抜けでしょ。ほんで“サイド岡”て」
先生  「アツ・サイド岡」
コーチ 「もはや人名なのかすら分からないです」
先生  「ほんでな、コーチ」
コーチ 「はい」
先生  「昨日は一日中家族でこのことについて考えてたんや」
コーチ 「おそらく、先生の家庭だけで行われていた会話ですね」
先生  「でな、娘が凄いこと言いよんねん」
コーチ 「何ですか?」
先生  「朝青龍って、英語にするとな」
コーチ 「はい」
先生  「モーニング・ブルー・ドラゴンになるやろ?」
コーチ 「はい」
先生  「あんなに強いのに、“モーニング”って何かおもろいって、娘が言いよんねん」
コーチ 「娘さんまだ、ちっさいですよね」
先生  「せやねん。あんなちっさい子が“強いのに”“モーニング”って、ちょっと面白いって、そんなこといいよんねん!!」
コーチ 「確かに凄いですねぇ」
先生  「せやろ。自慢の娘や」
コーチ 「いやでも、どういう育て方したら、そんなセンス身につくんですか?」
先生  「ヒノキー!!マウンテン!!ヒノキー!!マウンテン!!」
コーチ 「あ、そういう踊りを一緒に考えるんですね(笑)」


先生  「それにしても、桧山やったな」
コーチ 「ほんま桧山でしたねぇ」
先生  「ここに来て桧山が、ようやく“6番”をものにした感じがあるな」
コーチ 「確かにそうですね。“今岡の後を打つ”っていうことを体で掴み取ったっていう感じがします」
先生  「あんなに、雰囲気変えてしまうバッターもちろん凄いねんけど、その後を打つバッターはやっぱり難しいよな」
コーチ 「ぼくね、高校時代5番打ってた時期あるんですけどね」
先生  「おお」
コーチ 「4番の子が、物凄いパワーヒッターやって、時々、信じられへんようなホームラン打つんですよ」
先生  「なるほど」
コーチ 「で、こう試合の空気がその信じられへんホームランの余韻の中、打席に立つわけです」
先生  「桧山もそんな打席、多かったよなぁ」
コーチ 「そういう時ってね、その余韻に惑わされたらあかん。自分は自分で変化球待って右中間とか思うんですけど」
先生  「おお」
コーチ 「どうしても、ホームランの残像が目に焼きついてて、ちょっとタイミング狂ってしまったりしたの思い出します。よう言われることですけど“開きが早くなる”とか、そうならんようにと思いすぎるとちょっとタイミング遅れて“ヘッドが下がる”とか、落ち着いてしっかり見ていこうと思っているところに甘いストレートが来て、でも手が出ないとかね」
先生  「コーチ、打てへん時の桧山みたいやな(笑)」
コーチ 「自分の前を打つバッターが、物凄い存在感やったときって、どうしてもその存在感を処理しながら打席を進めなあかんのですよね。やっぱり気になるから」
先生  「でも、いろいろ考えてやっぱり行き着くところは、アレやろ?」
コーチ 「そうです。“自分のバッティングをする”それしかないんですよね」
先生  「打とうと思ったらそうやわな」
コーチ 「でもそれはなかなか難しいことやと思うんで、スペンサーみたいに、見逃し三振覚悟で四球を取りにいったりするのも一つの方法論やとは思いますけど」
先生  「桧山はそのタイプやないからな」
コーチ 「はい。だから最近の一貫して早いカウントから打ちに行く桧山は、ほんまにいい感じやと思います」
先生  「今岡と自分の間の“間”みたいなもんを、自分のもんにしたって感じやな」
コーチ 「そうですね、今岡の存在感を処理しきってから、打席に立ててる感じがします」
先生  「で、そういうスタンスで打席に立ってる結果、3回の打席みたいなな」
コーチ 「11球投げさせて出塁」
先生  「ほんで、結果的に藤本のタイムリーが生まれて、“見事な繋ぎ役”を果たしたことになった」
コーチ 「桧山の“繋ぎ”は狙わなくていいんですよね。で、ヒットを打ちにいった結果、そういうものが生まれるっていうのも、体で掴み取った感じがします」
先生  「同様に、アツもそうやな」
コーチ 「はい。桧山が“今岡の後”というのを掴んだように、アツは“金本の前”というものをようやく掴めた感じです」
先生  「アツも結果的に繋げたらいい、っていういい意味の割り切りっていうかそういうのが出てきたもんな」
コーチ 「やっぱり自分の力が出し切れるようにするんが一番いいですもんね」
先生  「だから、昨日なんかは、アツと桧山と藤本の3人が大活躍した試合やわな」
コーチ 「はい」
先生  「そういう試合の“型”っていうもんが、ここに来てようやく見えてきた」
コーチ 「タイガース、まだまだ強くなってます」
先生  「で、アレよな。相手チームの先発が右投手のときのオーダー」
コーチ 「はい」
先生  「その場合は、アツや桧山があのスタンスで打っていくと、けっこうあっさり負けてしまうこともあるかも知れへん」
コーチ 「そうですね、そのリスクはありますよね」
先生  「でも、うまくいくと昨日みたいな、すごく厚みのある攻撃ができる」
コーチ 「はい」
先生  「うまくいくほう考えて、どんどん打っていったらええよな」
コーチ 「はい。ぼくもそない思います」
先生  「で、関本、スペンサーがスタメンの日は」
コーチ 「まったく違うチームカラーになる」
先生  「今岡がホームラン打った後、スペンサーが8球投げさせて三振して」
コーチ 「矢野も8球投げさせてセカンドゴロで」
先生  「打ちやすくなったところで藤本がセンター前にポトンと落として」
コーチ 「9番のところで代打アツ」
先生  「日本シリーズは、この2パターンで2勝ずつして日本一なれたら夢のようやな」
コーチ 「ほんまですねぇ・・・」
先生  「とにもかくにも、昨日は」
コーチ 「はい」
先生  「ヒノキー!!」
コーチ 「マウンテン!!」
先生  「ヒノキー!!」
コーチ 「マウンテン!!」
先生  「桧山が“6番”を手中に収めたことに」
コーチ 「乾杯!!!!」


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posted by コーチ at 07:46| Comment(8) | TrackBack(4) | □ 桧山進次郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年09月23日

最強打線の雛形と関本

仮に、アメリカ人の野球好きに、
「ゲンザイノ、ニホンノ、baseballニオケル、best playerハ、ダレデスカ?」

そう質問されれば、
「二人、挙げさせてほしい」
と、ことわった上で、

タイガースの金本とドラゴンズの井端を挙げると思う。

「リユウヲ、オシエテクダサイ」
と言われれば、それは分かりやすく、


走、攻、守、の三拍子。
さらに、「攻」における、「チャンスを作る役」「チャンスを広げる役」「チャンスをものにする役」その全ての打撃が物凄く高い水準でできるという三拍子。
加えて、強いハート、リーダーシップ。
そういう理由で、金本、井端である。

金本、井端ともに、非のうちどころのない最高の選手だ。


突然だが、「一人打順」を組んだときには「チーム金本」と「チーム井端」が双璧であろうと思う。

想像してください。
チーム金本vsチーム井端

先行:チーム金本
1番 金本
2番 金本
3番 金本
4番 金本
5番 金本
6番 金本
7番 金本
8番 金本
9番 金本

1番金本は、出塁すれば盗塁もあり、
2番金本はとにかく、球をよく見極める
そして、3番金本が、主軸の4番金本に繋ぎ。
4番、5番、6番までの金本の破壊力たるや恐ろしい。
そして、7番金本は単打での出塁が多く、
8番金本は、ツーアウトランナーなしの場面でよくホームランを打つ。
9番金本が、ファールをたくさんうち、
また1番の金本へ回っていく。。。

強すぎる。
とにかく、恐ろしい。


後攻、チーム井端

1番 井端
2番 井端
3番 井端
4番 井端
5番 井端
6番 井端
7番 井端
8番 井端
9番 井端


1番井端が追い込まれた後、相手投手の決め球をライト前に運び、
2番井端はカウントを2−3にしてからヒットエンドランの場面で四球をとる。
3番井端もまたファールで粘り、
4番から6番の井端は、全て初球をヒットする。
7番井端は、8球粘り、
8番井端は、9球粘る。
そして9番井端が10球粘って、
1番に回っていく。

なんて、しんどい。
ともかく、恐ろしい。

「チーム金本」「チーム井端」甲乙つけがたい、物凄い打線である。
全て「打ちやすくしては」「打つ」の繰り返し。
よほどの投手でない限り、大量失点は避けられないだろうなぁ。

で、そこから見えてくる。
「強いチームを作るには?」という、大命題に対する明確な回答。

「金本と井端がたくさんいるチームを作る」

てことで、金本と井端を混ぜて打順を作ってみる。
捕手がいないので、とりあえず日本人最高の捕手、城島を加えて3人で。

1番 セカンド  井端
2番 ショート  井端
3番 センター  金本
4番 レフト   金本
5番 ライト   金本
6番 サード   井端
7番 キャッチャー城島
8番 ファースト 金本
9番 ピッチャー ○○

8番ファーストは、相手投手の右左で、金本と井端の併用でもいい(笑)
 
ほんと、これこそ、どこからでもチャンスが作れるし、どこでも返せる打線。
1番井端と2番井端と6番井端に感じる、違ったいやらしさ。
3番金本と4番金本、5番金本に感じる、それぞれの勝負強さ。
ちょっと信じられないくらい強い打線である。


強い打線を作ろうと思えば、この理想にできるだけ近づけようとするのが、
最も端的な正解だと、ぼくは思う。


で、

非常に前振りが長くなってしまったのだけど(笑)
この金本、井端、に満たないまでも、双方の長所を持った選手がタイガースの準レギュラーにいると思っていて、そのことが書きたかったのだ。


関本健太郎。


1番から9番まで、金本か井端ならば、それはそれは恐ろしい打線であることに違いはないのだけど、

「1番から9番まで、関本」

これも、なかなかにイヤな打線である。
タイガースの中で比較すれば、「チーム金本」についでの総合力ではないだろうか。

「チーム今岡」と「チーム関本」
圧勝するのは今岡だろうが、年間通してしぶとく勝っていくのは関本だろうと思う。

「チーム赤星」
誰が塁に出ても、物凄いプレッシャーをかけられるという凄い武器があるが、やはり4番赤星、5番赤星のイメージが沸きにくい。総合力で関本にやや分があるかな。


関本健太郎。


先日のドラゴンズ最終戦。代打でタイムリーを打った場面を見て思った。
「関本は、金本と井端を併せ持った凄い選手になれるかもしれない」

8番スタメンで出ているときと、3番スタメンで出ているとき、
そしてチャンスの場面で代打で登場するとき。

持ち場持ち場で、見事に自分をその役目に当てはめ、仕事を成し遂げようとしている。

あの場面でタイムリーを打ったことよりも、
打席に入る、振る舞い、雰囲気。それが「代打の切り札的感じ」だったことに衝撃を受けた。

関本健太郎が、ビックリブレイクを果たす日が楽しみだ。

そしてその日は近い。
とりあえず、大事なことなので、先に言っておこう。

「関本、メジャーに行かないでくれ!!」笑

関本の大ブレイク、願わくば日本シリーズで!!の気持ちをクリックに◎blogランキングへ
posted by コーチ at 07:24| Comment(7) | TrackBack(1) | □ 関本 健太郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年09月22日

「勝てたらいいなぁ、と思ってました」

「勝てたらいいなぁ、と思ってました」
そう言った下柳先輩のお立ち台。

大好きな下柳先輩を、より大好きになった、ヒーローインタビュー。

彼は、本当に心のキレイな人なのだと思う。
心がジブリだ。

下柳先輩はなんだかジブリの映画が似合う。
主人公の女の子が毎日通っている、骨董品屋の主人役みたいな感じ。
ヒゲで左利きの、優しい主人。骨董品屋の隅で、いつもルーペを覗いているみたいな。
そして、大きな犬を飼っている(笑)


「恥ずかしい」という美徳。
そういうものが、まだしっかり残っていて嬉しい。

「熱い男」が横行する世間。
その思いが強く溢れた結果、「熱い」のならば何も問題ないが、
「熱い男」を演じるために、適当な「それっぽい思い」を選んで並べている。
「熱い」ありきの「熱い男」。
順番が逆な「ニセ熱い」。

下柳先輩は、そんな「ニセ熱い」とは真逆に位置する、「心ジブリ左腕」。

でも、そんなジブリな自分の内面を、そのまま表現するのは、恥ずかしい。
だけども、恥ずかしいからといって、その思いに色をつけて、
表現しやすいような形に変えるのは、もっと恥ずかしい。
そんなことをしている自分が恥ずかしい。

「きっとこんな風に言えば甲子園は盛り上がるのだろう」
下柳先輩は、間違いなく、模範解答を知っている。
でも、その模範解答を言葉にして、声援を受ける自分が恥ずかしい。

だから、ヒーローインタビューは苦手。

ただ、その場所に立ってしまったからには、
自分の抱えている「思い」を、忠実に伝えたい。
できるだけ恥ずかしくない形で、忠実に。

「勝てたらいいなぁ、と思ってました」


6回表、ワンアウト1塁3塁。
マウンドに、下柳先輩。
打席にウッズ。
スコアは3−0。3点差。
一発出れば、同点の場面。

岡田監督は、球児の投入も考えたのだそうだ。
しかし、久保コーチが制止。
「ウッズは左投手のほうが、打球が上がらない」
監督も納得。
そして、マウンドの下柳先輩に、一任。

一任された下柳先輩。
矢野のサインは、「膝元に思いっきりこい」

うなずく、先輩。

絶対、抑える。絶対、抑える。膝元に向かって、とにかく全力で。
矢野のサインを信じて、自分の球を信じて。
絶対、打ち取る。絶対、今日勝つ。
勝ちたい、勝ちたい、勝ちたい。
優勝したい。優勝したいやろ。
だから、矢野のミットに向かって、思いっきり投げるだけや。
“前後裁断”
ピンチになってることはもうしゃーない。
打席がウッズなんもしゃーない。
今、自分ができることは、膝元に向かって全力で投げ込むことだけ。
勝ちたい、勝ちたい、勝ちたい。
ウォォォォー!!!!!

投げ込まれたボール。膝元へ。
しかしウッズのスイングが、そのボールを打ち砕く。
強烈なライナーが、下柳先輩の左側を突き抜けていく。

セカンド正面。
ダブルプレー。

ウォォォォー!!!!!


そんな気持ちで投げていたはずの、最多勝投手。
最後に彼はこう言ったんだ。


「勝てたらいいなぁ、と思ってました」


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posted by コーチ at 06:43| Comment(8) | TrackBack(11) | □ 下柳 剛 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年09月21日

井川慶、今、野球人生の岐路に立たされる

先生  「苦しい〜、胸が苦しい〜」
コーチ 「苦しいのは分かりますけど、苦しみながら、“29”って書くのやめてください」
先生  「にじゅう、きゅうぅぅぅ」
コーチ 「まぁ、分からんでもないですけど」
先生  「にじゅう、きゅうぅぅぅ」
コーチ 「気持ちは分かりますけど先生、指でぼくの体に“29”書くのやめてください」
先生  「にじゅうぅぅ」
コーチ 「先生!!」
先生  「キュー!!」
コーチ 「う」
先生  「ここ乳首やろ?」
コーチ 「先生、ほんま勘弁してください。世間に誤解されます」


先生  「せやけどな、コーチ」
コーチ 「はい」
先生  「オレ、もう気持ちのやり場に困ってしまって、しんどい」
コーチ 「確かにね、気持ちは分かります」
先生  「オレ試合見ながらな」
コーチ 「はい」
先生  「いっそのこと、“井川遥が投げてるって思おう”って、そんなことも考えたんや」
コーチ 「そんなこと考えたんですか!?」
先生  「せやねん。だって井川遥が投げて、ドラゴンズ打線を4点に抑えてたら、もの凄いやろ?」
コーチ 「そら、確かにもの凄いですけど、投げてるのは井川遥じゃないですから」
先生  「どっちも唇、分厚いで」
コーチ 「分厚さの種類が違います」

先生  「なんかなぁ、日本シリーズの伊良部を思い出してんなぁ・・・」
コーチ 「あのときの伊良部。。似てますね」
先生  「ダイエーのスコアラーに完全に丸裸にされてもうてたやん」
コーチ 「分かってな、そこまで振られへんやろ、ってそんなスイングでしたもんね」
先生  「井川はクセを見抜かれてる、ってちょっと前そんな報道あったやろ?」
コーチ 「ありましたね」
先生  「あれ、どうにも修正できひんかってんな、たぶん」
コーチ 「分かってな、あそこまで完璧なホームラン打てないですよね」
先生  「森野のホームランも、福留のホームランも、あまりにも完璧すぎた」
コーチ 「前回の甲子園で福留に打たれたホームランもそうでしたね」
先生  「対策は打ったんやろうけど」
コーチ 「まだ、ドラゴンズが一枚、大きな情報を握っている感じがします」
先生  「それを踏まえての、矢野のリードは良かったけどな」
コーチ 「球種が分かってても、打てない球を投げて来い。打てないコースに投げて来い」
先生  「井川のポテンシャルを信用しての、メジャーリーグ配球」
コーチ 「でも、打たれてしまいました」
先生  「それも、あまりにも完璧にや」
コーチ 「伊良部は、日本シリーズ以降、まったくどうしようもない状態に陥って、引退に追い込まれてしまいました」
先生  「一つ大きく歯車が狂うと、どうしようもなくなってしまうんやでな」
コーチ 「“どうしていいのかほんまに分からない状態”になってしまうんですよね、きっと」
先生  「ほんで、今までできていたことすら、自分からできなくしていってしまう」
コーチ 「常にピンチを招いているかのような精神状態で投球を続けなければならない感じやと思います」
先生  「そら、ふつう難しいよなぁ」
コーチ 「ぼくもブログで、“コーチやったらどうせこんな感じで書くんでしょ”とか、先に予想されて、それがあまりにビンゴやって、しかもそれがちょっと自信のある感じのことやったのに、あまりにズバリ見抜かれてしまったら、その先ちょっと書けないですよね。書けてたはずのことが書けなくなっていくと思います。いつでも、見抜かれてないか、気になってしまう感じで、あれもあかんのちゃうか、これもあかんのちゃうか、自分からつぶれてしまいそうで、怖いです」
先生  「井川はどうなるんやろか?何とかポテンシャルだけで、4点に抑えたって感じやったけど」
コーチ 「相当、苦しい状態ってことには違いないでしょうね」
先生  「バレてるって分かってても、それに完全な対策を打ちきれてないって分かってても」
コーチ 「井川は投げさせるしかないですもんね」
先生  「せやねん。一度ビッグネームになってしまった選手は、もう後戻りできひん」
コーチ 「そうですよね。清原も江藤も、ああいう状態になってから蘇生することはなかったです」
先生  「だから、井川はどんだけ苦しい状況でも、投げ続けなあかんねん」
コーチ 「苦しいです」
先生  「苦しいけど、そこにしか活路は見出せへん」
コーチ 「走り続ける中で、カムバックを果たす」
先生  「それ以外では、カムバックできひん」
コーチ 「球史に名を刻む左腕になるか」
先生  「志半ばのまま、早くもフェードアウトしてしまうのか」
コーチ 「日本シリーズを含めた、残り数試合」
先生  「ほんまに瀬戸際や」
コーチ 「ただ、ぼくたちの願いは一つです」
先生  「球史に名を刻む左腕になってほしい」
コーチ 「日本でもアメリカでも、場所はどこでもいいですからね」
先生  「オレたちが忘れられへん井川のあの姿を、もう一度観てみたいし、できれば長く観ていたい」
コーチ 「そのための残り数試合」
先生  「岡田さんは使ってくれる人やでな」
コーチ 「そう、信じてます」
先生  「人、一人の人生がかかってるわけやから」
コーチ 「球史に名を刻む人生にもう一度戻ってほしい」
先生  「次回はジャイアンツ戦」
コーチ 「おそらくは、ほんまに佳境です」
先生  「井川慶、人生をかけたマウンド」
コーチ 「祈るだけです」


コーチです。

井川に対しては、多くの方が様々な感情を抱いていると思います。
そのうちの一人。
ぼくの思いは
「終わってほしくない」
終わってほしくないから、応援します。

初回、荒木と井端を簡単に打ち取ったときの、監督の笑顔。
とても印象的でした。
ぼくもあんな顔になりました。

「頑張れ井川」
「這い上がれ井川」

その気持ちしか、ありません。

井川、頑張れ!!


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posted by コーチ at 08:04| Comment(7) | TrackBack(6) | □ 井川 慶 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年09月20日

事実上、マジック1

かすかではあるが、まだプレーオフの望みがある現在。

1年間、必死で戦ってきたことは、ドラゴンズの選手とて同じことである。
「絶対、勝つ」
必然的に、気持ちは強く、そしてその気持ちは強く表に溢れ出てくる。

対して、杉山。
こたつでみかんを食べている時と、マウンドでピッチングをしている時の差が、
一般レベルに比べて極端に少ないと思われる杉山。

「何がなんでも負けるわけにはいかない」

半ば喧嘩腰の目をした戦闘集団に、
少したじろいでしまったか。

家でリラックスしている時に喧嘩を売られたら、誰だって困る。
だいたいいつも家でリラックスしている状態に近い杉山。
そしてそのメンタリティの中から活路を見出し、ローテーションをしっかり守ってきた今年。

ノックアウトされてしまったが、売られた喧嘩を買うよりは良かったと思う。
せっかく熟成しかけている、マウンドでの気持ちの持ちよう。
相手にあわせて変えることはいいことではない。
打たれたときは、「自分に腹を立ててイライラする」のではなく、
「シュンとなって落ち込む」それが、杉山が活路を見出してきたことの結果である。
「シュンとなって落ち込む状態」で投げているからこそ、
ピンチになっても、丁寧に丁寧にリズムを崩さずに投げることができるのだ。
ここ一番という場面で、矢野が構えるミットに気持ちよくすいこまれたストレート。
何球も見た。

昨日は、ドラゴンズの「必死」に飲み込まれた。
そういう結果を、受け入れて、
「どうすれば必死に飲み込まれなくてすむか」
そのことを考えて、今年一年培ってきたことを土台に、また次に頑張ればいい。


アツのことが気になる。
やはり「3番」に困っているように見える。
とにかく、なんとかチームに貢献したい。
でも、気持ちを入れて一生懸命やろうとすればするほど、
体がぎこちなく動き出してしまう。
「決めてきた人」が「繋ぐ人」へ。
やはり、そう簡単にいくものではないのだろう。
ドラゴンズは、おそらく中田が投げてくるだろうから、
そのままいけば今日もスタメンはアツだ。
スタメンで出た2試合をふまえて、今日、何かきっかけを掴んでもらえたらと思う。
2試合は両方とも大差で負けてしまっているので、
アツにとっても酷なゲームだったと思う。
「赤星と金本の間を打つというのは、こういうことか」
そのきっかけを今日、掴んでほしい。


ドラゴンズはとにかく戦闘モードである。
失うものはもう何もない。そういう玉砕戦でやってきている。

戦に赴く武士のごとく。

そして、そんな気持ちで攻め込んでいる時に、
目の前に、どう足掻いても太刀打ちできない大きな障壁があったなら、
馬にまたがり剣を抜き、決死の覚悟で乗り込んだ相手軍が、
驚くほど高い壁をこしらえて、待ち構えていたなら、
その時、武士ははどう思うか?

無論、攻め入りながらも、諦めるのである。
「わぁぁぁ!!!」と雄叫びを上げながら、相手軍に攻め入るも、
家族のこと、
これまでの人生のことを思い、
自分自身の総まとめを始めるのだ。


さぁ全員で、その壁を完成させよう。
よいしょよいしょと、大きな壁を。
どうしても上りきれない、その大きな壁を。
守って打って。走って投げて。
その大きな壁を完成させよう。


そして、息巻く竜軍が、これまでいとも簡単に突破してきた、
虎軍大将井川。

突破できるはずの相手の大将。
それが最後の砦になったとすれば、
間違いなく戦は終わる。

終戦。

数々の「今年」を背負った井川が、戦を終わらせてほしい。

井川が投げる今日の試合。
ドラゴンズは負ければ終戦である。
他のどの投手でもない、井川だからこそ、
今日で全てが終わってしまうのである。

今日、井川がドラゴンズを封じた上で勝利したならば、
今日、胴上げしてもいいくらいだ。

事実上のマジック1。
数々の傷を背負ったエースが投げる試合だからこそ、
事実上マジックは1となる。

優勝決定戦の大一番。

甲子園のマウンドは、
エースの帰りを静かに待っているところだ。


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posted by コーチ at 07:22| Comment(3) | TrackBack(3) | □ 井川 慶 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年09月19日

安藤投手へ

こうして、パソコンの前に座り、キーボードをタイピングしながら、
「そのこと」を書こうとすると、
本当に、本当に多くの感情がフラッシュバックして、溢れ出して、
なんだか、不安定になってしまう。
でも、書きたい。
そう思いました。

ぼくも去年、奥さんとともに闘病生活を送っていました。

奥さんは、とても重い精神の病でした。

とても感受性の強かった幼少期、
彼女はその頃に、本当に多くのつらいことを経験していました。

気がつけば彼女は、その「つらいこと」「しんどいこと」から、
身を守るために、
「つらいこと」「しんどいこと」を感じない自分を作り上げていました。
8歳くらいから、そうでした。

「しんどいこと」を感じない自分は、当然しんどくないのですが、
それに伴って、様々な感情を失いました。

「嬉しい」「楽しい」「信じる」「大好き」

8つの頃から10数年、彼女はその種の、
「人が人として生きている意味」とも言える感情を感じないまま、
「本来の自分」とは違う自分で生きていました。

気がつけば、「本来の自分」なんて、なくなっていました。


対してぼくも、
奥さんほどに重度ではありませんが、そういう部分がありました。

子どもの頃から大人過ぎたことによる弊害。
その症状が顕著に出てる青年でした。

「できる自分」であること。
「他人から尊敬される自分」であること。
その鎧で弱い自分を守るため、
周囲に強く見せるため、
無理を無理とも感じなくなって、
ぼくは超人的な暮らしをしていました。

「本来の自分」
それから遠ざかっていることに、
自分では気がついていませんでした。

そしてある時。



ぼくは、奥さんのことを好きになりました。



それでもまだ、心の中に小さくくすぶっていた、
「本当の自分」
その自分が、奥さんの中で、また本当に小さくくすぶっていた
「本当の彼女」を好きになりました。



そして、偶然。
奥さんも同様の状態で、ぼくのことを前から好いてくれていました。
彼女の中にかすかに残ってくれていた、
「人を好きになる」
という感情が、
ぼくを好いてくれていました。


付き合うことになり、
すぐに一緒に暮らし始めました。


しばらくして、奥さんは、大きくバランスを崩しました。


自分の思ったことを話し、自分の好きな人と一緒にいること。
奥さんはそのことが、自分の中で処理できませんでした。
「感じる」ということはイコールで「弱いこと」。
それを土台に形成された「感じない」「強い彼女」は、
「感じること」に必死に抵抗しました。
でも、「感じたかった」本来の彼女。
でも、8歳で止まったままの彼女。
感じてしまうと何もできない、8歳の彼女。


そして、失いかけていたはずの「本当のぼく」は、
そんな彼女を前にして、
みるみる膨れ上がっていきました。
忘れていたはずの、様々な感情。
それが甦りました。


「彼女を守りたい」
「大好きだから、守りたい」


自分が動くために、たくさんの理屈と理論武装が必要だったぼくが、
その思いだけで全てを決めました。



奥さんは24時間、
ずっと一緒にいなければならない状態でした。

その日に雇い主のところへ行って、
事情を話し、
「申し訳ないけど、とりあえず2週間休ませてほしい」
そう言いました。


雇い主は、快諾してくれました。


「本当のこと」を「本当の気持ち」で話せば、わかってもらえるんだ。
ぼくは、そんな当たり前のことにようやく気がつきました。

劇的に変化していく自分の内面。
肥大する、本来的な自分を必死に感じ、
なんとか均衡を保ちながら、
ぼくは奥さんと、
ずっと一緒にいました。
「強い奥さん」とも「弱い奥さん」とも、
たくさんたくさん話しをしました。

一進一退。
一進一退。
そしてまた、
一進一退の繰り返し。


「感情を取り戻そう」
「感情を取り戻した上で、生きていける強さを手にしよう」


誰も信じることのなかった「強い奥さん」に、
まずはぼくを信じてもらうところから、全ては始まりました。

思いつく限りのことをやりました。
思いつく限りのことを話しました。

「何でそんなに私のことを気遣うの?」
「大好きだからに決まってるやろ」
「嫌いにならへん?」
「嫌いにならへん」
「こんな病気やのに嫌いにならへん?」
「嫌いにならへん」
「何で?」
「大好きやから」
「大好きやったら、嫌いにならへんの?」
「そうやで。大好きやったら嫌いにならへん」

そんな風な同じやりとりを、
毎日毎日、何百回もしました。

そしてある朝、
「強い奥さん」は、

「ぼくのことを信じる」

と、そう言ってくれました。
そして、笑ってくれました。

ぼくは、本当のぼくは、
分からなくなるまで泣きました。


0が1になりました。
まだまだ、一歩も家の外に出れない状態だったけど、
0だったものは1に変わり、
そこから、二人で、
前を向いて、ゆっくりゆっくり歩き始めました。


一人を信じることができた奥さん。
本当の友達もできました。


発症当日、仕事を休みたいと申し出た雇い主は、
「家に一人でおいとけない。でも働かなければ、暮らせない。だから、一緒に働かせてくれませんか」
という、それはそれは我がままな申し出を、

「別にかまへんよ」

そう快諾してくれました。


その後、もちろん全てがうまくいったわけではないけど、
また一進一退、一進一退を繰り返しながら、
少しずつ、少しずつ、
奥さんは快方に向かっている途上です。

今では「やりたい仕事」も見つかって、
「しんどい」「やめたい」と毎朝言いながら、
「でも、頑張りたい」
と言って、一生懸命出かけていけるようになりました。


「しんどい」けど「やめたい」けど、「頑張りたい」。


何も感じなかった奥さんは、確実に快方に向かっています。


・・・・・・・・・・・・


安藤の先発回避のニュースをきき、
そんなことを思い出しました。

矢野のあんな表情を見て、
お世話になった、いろんな人のことを思い出しました。


安藤投手へ
今はただ、あなたの一番大切な思いを、大切にしてください。
ぼくは、そうして本当に良かったです。
ぼくも、うちの奥さんも、
そんな安藤投手が大好きです。
背番号16がマウンドに立つ姿は、
いつまででも待ってますから。
だから、今は、一番大切な思いを、大切にしてほしいと、
一タイガースファンは、
思っています。


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posted by コーチ at 07:24| Comment(12) | TrackBack(3) | □ 安藤優也 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年09月18日

代打片岡、3番片岡、8番片岡

注目の3番ファーストは片岡だった。

相手投手が右のゴンザレスということでアツの起用なのだろう。
選手の格、アツの気持ちも考慮して、関本と併用ということか。
それならばそれで、アツに期待したい。

試合後のアツのコメント。


「力を抜こうと思っていたけど、どうしても力が入ってしまった」


「与えられた仕事をしっかりこなす」
口先だけでなく、心の底からそう思って頑張ってきた証でもある。
アツは「代打の切り札」を心から受け入れ、「代打」と真正面から向き合ってきたのだろう。

常時スタメンで出場していた頃とは、明らかにスイングが違う。
空振りもファールも含めた一つ一つのスイングに込められる、
体も気持ちも含めた全ての力が増している感じを受ける。

しかし、ふってわいたように求められた
「3番ファースト」の仕事。

「3番ファースト」の意味は、当然「4番金本の前の打者」であり、「5番今岡の前の前の打者」。その意。

無論、繋ぎ役。

「決める役」「突破口を開く役」
その切り札としての責務を果たしてきたアツ。

「決める者」から「繋ぐ者」へ。
この切り替えはどうしようもなく難しい切り替えだろうと思う。
数試合やそこらで、どうこうなるものなのだろうか・・・

アツを使ったのならば、思い切ってアツを使い続けるのも一考かと。
左投手の時ならば、3番セカンド関本。8番ファースト片岡。
こういうのもアリかなぁ?

片岡の8番という打順は、
打順の格を重視する「清原的なメンタリティ」の持ち主ならば怒るだろう。
ただ、代打のメンタルが強く浸透している現在。

6番スペンサー、8球投げさせてフォアボール。
7番矢野、7球投げさせてライト前ヒット。
その後、8番ファーストアツ片岡。

「代打片岡」とほど近い状態での打席。
1試合のうちに1度はチャンスで回ってくることがあるだろうから、
「その場面で打ってくれたらいいよ」
という比較的、ラクな期待。
あとの打席は、思いっきり振って、打ったり打てなかったりでかまわない。
もう、8番片岡、存在感だけで十分。

「金本と今岡の前」よりも、「スペンサーと矢野の後」の方が、
現在のアツは活きる。

そんなことをアツの打席を見ながら、考えていた。

ただ、こういう2段階の入れ替えは、交流戦を除けばほとんどしていない。
ので、そこから派生する目に見えない歯車の狂いが生じた場合怖いので、
とりあえずは、ゲームで試してみよう(笑)

おそらく、今日は代打のアツ。
今年一年、たくさん見せてくれた代打での活躍。
期待して、見守りたい。

泣かせる代打アツ片岡、この秋にもう一度泣かせてくれ!!の思いをクリックに◎ blogランキングへ



posted by コーチ at 04:11| Comment(2) | TrackBack(5) | □ 片岡 篤史 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年09月17日

いぶし銀候補、若手筆頭:関本健太郎

アンディが軽症とのこと。本当に良かった。
新聞紙上には「大幅な戦力ダウン」の文字が躍るが、そっちはそれほどでもないと思う。

あんなにも一生懸命に一年間戦ってきた人が、最後の最後で試合に出られない不憫さ。
もう、かわいそうでしかたがない。
真面目に頑張る人が報われない世の中はいやだ。

その事態が回避できて、本当に良かった。

ということで、当面の3番ファーストを誰に任せるかという問題。

関本が適役だと思う。
片岡よりも関本。

というより、関本はシーツと比較してもまったく遜色のない選手。
3番ファースト関本。
外国人抜きの打線を考えようとするなら、
自然にその選択になるだろうと思う。

現状のタイガースの打線は、言わずもがなの絶好調。
一年間ほとんどなかった、金本と今岡、どちらもが好調な状態。

すなわち、3番を打つ人は、極端に言えば打たなくても点が入る。
ゆえに必要とされる役割は、
「打つこと」ではなく「4番以下を、より打ちやすくすること」
関本、適任。


シュミレーションしてみる。赤星から始まるイニング。

1番、赤星。
ヒットを打つなり、四球を選ぶなりして、また出塁。
球場がいきなり異様な空気に包まれる。

どうしても赤星を気にせざるをえない、相手チームのバッテリー。
2番、鳥谷に対して、ストレート中心の攻め。

次、走りそう。次、走りそう。
小さな一塁ランナーの、巨大な存在感。

もちろんストレート狙いの鳥谷、
ただ、捕らえきれずファール。
で、次の変化球をセンターフライ。
赤星、進めず。
よくあるケース。

ただ、ここで重要なことは、
金本、今岡の打席の前で、より神経を使わせておくこと。
簡単にバントするより、
「ストレートを狙われている」と分かって「ストレートを投げざるをえない状況」
の方が疲れる。

鳥谷が凡打と仮定しても、相手投手の精神的な負担は非常に大きい。

そして、3番関本。
1アウトランナー1塁に赤星の場面。

相手チームはシーツであれば考えなくてよかった作戦を頭に入れなければなくなる。

「ヒットエンドラン」

ローズと清原の戦線離脱により、実は三振王街道を爆進中だったアンディ。
非常に空振りが多い。
もう、あのコースのスライダーは絶対バットに当たらない(笑)

ところが関本。
アンディに比べればバットに当てるのがうまい打者。
ゴロとライナーの打球の比率が多くなるスイングをしている。

「ヒットエンドランがあるかも知れない」

そのことを頭に入れた状況で。
初球、赤星スタート。

投球は、一二塁間に打たれないためのストレート。
打席は関本。
捕手の頭に一瞬よぎる「打つかもしれない」という準備。
打席の関本。

見送り。

「打つかもしれない」一瞬でも思ってしまったが最後、
コンマ数秒、遅れる送球。
赤星、ラクラク盗塁成功。

何のことはない。単独スチール。
しかし、“関本”という名前は相手にいろいろなことを考えさせるいやらしさのある名前。

1アウト2塁で関本。

なかなか芯をとらえないものの、なかなかアウトにならない関本。
いつの間にかカウントは2−3。
投球は8球目。
ファール。
9球目、ファール。
1回表から9回ウラのような打撃をする関本。
その10球目。
きわどいコースを見逃す。
フォアボールを確信し、一塁へ歩こうとする関本。
しかし、判定はストライク。
見逃し三振。

不服そうにベンチに戻る関本。
「チャンスに打てなかった3番」しかし、
「4番以降を打ちやすくした3番」である。


ツーアウト2塁に赤星で打席に金本。
1回表から考えてしまう、
「1塁が空いている」という事実。
凄い4番打者。

際どいコースが二球外れてボールになったところで、
あとは事実上の敬遠。

幾度となく見た、4番を警戒しすぎて「5番の前にランナーをためてしまう」という状況。
そして、この状況で打ってきたから、ぶっちぎりで打点王。

さぁ、ツーアウト1塁2塁で打席に今岡……
初球甘く入った変化球!!

ね、得点できそうでしょ?笑


肝要なことは、今岡が打席に入るまでに、
どれだけ相手のバッテリーを消耗させるか。

「消耗させる」という面から考えれば、実はアンディよりも関本の方が適役だとすら思う。
でももちろん3番の仕事はそれだけではないので、
総合的に見れば、同等のチーム貢献値を果たす打者だろうと思う。

てことで次は、関本と片岡の比較になるのわけだが、
片岡はもう、メンタルが「代打の人」になってしまっているので、
自然と「決めにいく」スイングをする選手になっている。
日本ハム時代から主軸を打っていた片岡だし、
当然といえば当然。

だから、ランナー2塁に赤星。
という場面で、どちらがタイムリーヒットを打つ可能性が高いかといえば片岡なのだが、
そうやって1点を取ることは、重要性が低い。
無論、5番がぶっちぎりの打点王だからである。

3番で1点取るよりも、たとえ凡打しても5番で3点取れる可能性へ。
そういうつなぎをしていく方が、9イニングで考えたとき、
得点力は増すものと思われる。

そんなわけで、片岡はやっぱり代打においておきたい。
終盤の泣かせる代打アツ片岡。
その存在感は本当に大きい。

さらに関本のプレースタイルから推測されるメンタリティ。
これも、「消耗させる役割」としての3番としてはもってこい。

あんなに大きな体でセカンド守る彼。
甲子園に行った時、試合前のノックを見てて思ったのだが、
センターの赤星。
セカンドの関本。
これは体のサイズを考えれば守っているポジションが逆である。

でも関本はずっと内野手をやってきた選手なのだ。
「大きいから、外野かファーストでホームランバッター」
その種のステレオタイプが嫌いな人なのではないかと思う。

彼は将来「いぶし銀」と呼ばれることを目標としているのではないだろうか、
そんなことを思わせるプレースタイル。
関本少年は、バースや掛布ではなく、篠塚に憧れていたんじゃないだろうか、
そんなことを思わせる頑ななまでの、右打ちの意識。ただではアウトにならないその姿勢。

シーツは本当に気の毒だと思うが、
関本にとってはまたとない大チャンスだ。

1番に赤星がいて、4番に金本、5番に今岡がいるこの並び。
その真ん中を、鳥谷とタッグを組んで繋いでいく役割。

投手の前を打つ8番よりも、
間違いなく、関本の関本たる所以が活きる仕事場だ。

ヒーローにならない活躍を、
「いぶし銀」と呼ばれるその日まで、
関本には続けていってほしい。

10数年後、大ベテランとなった関本は、
「代打の神様」と呼ばれていている濱中とともにチームを支えている。
「ピンチヒッター濱中」がコールされれば、甲子園は大歓声だ。

その試合は、最終回。
ワンアウトランナー3塁から、
代打濱中の劇的なサヨナラヒットで幕を閉じ、
スポーツ紙には大きな活字で「代打の神様濱中、サヨナラ打!!」

その左隅に小さな活字で、
「いぶし銀関本、サヨナラを演出するセカンドゴロ進塁打」

そんな活躍をずっと見ていたい。

さぁ優勝に向かって、関本の「いぶし銀」人生のスタート。
さぁ、赤星の盗塁をアシストしろ!!
今岡の打席で投手がコントロールを乱しやすくするため粘れ!!

そしてその回、得点が入って、
試合にも勝って、
ヒーローとともに大喜びしている関本の姿を、
ぼくは見続けたいんだ。

いぶし銀候補、若手筆頭:関本健太郎。
その序章の、幕が開いた。

関本健太郎の目立たない活躍を願って!!笑 ワンクリックお願いします!! blogランキングへ

posted by コーチ at 07:20| Comment(2) | TrackBack(0) | □ 関本 健太郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年09月16日

岡田野球の真髄

「おれは何もしていないし、みんな役割が分かっているから、動かんでもええ」

最近の岡田監督の言葉。
そんなチームを堂々と作りきった、名将の言葉。

強いチームと弱いチーム。
ちなみに現在のジャイアンツは決して弱くない。

清原とローズが完全に離脱させて、
工藤先輩が必死の思いでチームを鼓舞した8月12日以降、
先生が「8月12日は工藤記念日にしよう」と言った(笑)
あのドームでの、巨人阪神戦以降、
ジャイアンツは、昨日の負けを含んでも15勝12敗と3つ貯金している状態。
9月だけ取ってみれば、この阪神戦を迎えるまでは、
実に、7勝2敗と絶好調ですらあった。

そのジャイアンツに、この完勝劇。

ジャイアンツが弱いのではない。
タイガースが強いのである。

じゃあなんで強いのか?

平たく言うと、
「みんな、活躍してるから」

橋本と江草、
野間口と内海。

名前で言えば、後者に分があったはずのネームバリュー。
活躍してるのは前者。

投手がいないのではなく、
いるはずの投手が活躍できなかったから、この差がでてるだけ。

昨年、今ひとつだった下柳。
先発に転向して初めての年の安藤。
期待されながら、打たれだすと止まらなかった杉山。
勝つけど負ける福原。
一年中波に乗れない井川。

本当はあまり抑えに向いてない久保田。
実質ルーキーイヤーの球児。
慣れられてきた感のあったウイリアムス。

そして、阪神ファン以外はまだ名前と顔が一致しないであろう、
橋本、江草、桟原。

シーズン当初から悩み続けている井川を中心にした、この投手陣。
不安要素もたっぷりだったこの投手陣。
しかし、球界随一と言われる投手陣。


投手がたくさん居るのではない。
居る投手が、活躍しているだけ。

そして、彼らが活躍できる土壌を作るのが、
監督の仕事。

「おれは何もしていないし、みんな役割が分かっているから、動かんでもええ」

ここに至るまでに、いったいどれだけ多くのことをしてきたか。
“動かない”という動きも含めた、働きかけをどれだけしてきたか。

投手起用の面で言えば、岡田監督はワンポイントでの起用をしない。

2点負けてる試合であれば、橋本に、
2点勝っている試合であれば、球児に、
それぞれ同じように1イニングを任せる。

たとえば、ランナーがたまった場面で、福留や阿部といった左の強打者を迎えるケース。
その場面のみを考えれば、橋本より江草の方が抑えやすいだろうと思う。
しかし、おおむねそういう場面で岡田監督は橋本に任せてきた。
逆もまたしかり。
ある時は江草に任せ、桟原に任せ、
9回は久保田に任せ続けた。

「抑えなければならないのは、現在、この場面だけではない。大局を見て全ての投手がそれぞれレベルアップできるような投手起用」

その結果が磐石のリリーフ陣容。
たくさん投手が居るのではなく、
居る投手が活躍したからの結果。

そして、久保コーチをはじめ、コーチ陣に対する
「やったらあかんことはない。いいと思うことは全部やればええ」
という姿勢。

杉山は岩隈から、
安藤と福原は上原からヒントを得て、より素晴らしい投手になった。
下柳は、矢野と二人三脚、技巧派の限りを極めようとしている。
あと、悩める彼はもう少し(笑)


もちろん活躍している選手が素晴らしいし、
担当のコーチも素晴らしい。
しかし、その土壌を作ったのは間違いなく彼、
岡田彰布に違いない。


攻撃陣に目を移してみる。


1  今岡
2   赤星
3   キンケード
4   金本
5   桧山
6   アリアス
7   鳥谷
8   矢野

何なんだこれは?
誰なんだそれは?というような懐かしい名前も並ぶこの打順。

もちろんこれは2004年の開幕オーダー。
岡田タイガース船出を飾った、いや飾れなかったオーダー。

自分の感覚と2003年に対する遠慮がごちゃまぜになったようなオーダー。
でもその中で譲らなかった、4番金本。

岡田采配の妙は、5番今岡の大当たりは当然絶賛されるだろうが、
2年越しで大輪を咲かした4番、金本。
ぼくはまず、4番金本ありきだと思っている。
カープ時代から凄いバッターだったので、いまいち分かりにくいが、
間違いなく、金本知憲の野球人生の中で、
今が一番凄い打者である。

仮に、メジャーリーガーも含めた全ての日本人選手で日本代表を作ろうとしたならば、
松井にするか、金本にするか、4番を選ぶのに本当に悩んでしまうような、
そんなにも凄い選手。
それが現在の金本。
ヤンキースで4番を打てる人と肩を並べている。

そんな選手を3番において、繋ぎ役をやらせるのは、なんてもったいないんだ。
悪くないけど、もったいない。
優勝イヤー。三塁コーチボックスで岡田コーチは思ってたのだろう。

頭が良くて、気配りも出来、野球をとてもよく知っている金本だからこそ、
繋ぎ役をやるのではなく、
その自身の持つポテンシャルを全て解放してもらいたい。

で、今年の大活躍。
あんな場面で、あんなホームラン。
何本見たことか。

岡田采配の妙は基本的にここ。

その選手ができるだけ活きる配置。
赤星は、赤星の前にランナーがいないほうがいいので1番。
本当は藤本に打ってもらいたかった2番。
赤星が盗塁した後、センター前にレフト前に打てる2番。
現在は、そこでの成長を見込んで鳥谷。
2番の資質を持った3番打者になってほしいということだと思う。
繋ぎ役をやるのが好きなシーツが3番。
揺ぎ無い大黒柱、金本が4番。
チャンスになると自然と眼の色が変わる今岡が5番。
不安定なメンタルが、打点を稼ぎ、勝利に直結する活躍をすることで、
いいほうに出ることを狙ったのかもしれない。だとすればそれも含みで大成功。
6番は、ひとまずおいといて。
あとは、7番矢野、8番藤本、関本。
投手の前を打つ8番、実は重要。
出塁すればピッチャーが送りバントできるし、
ツーアウトからなら、8番が出塁することによって、
ピッチャーまで回って、次の回、一番から攻撃できる。

矢野の負担をできるだけ避けたいということで、8番より7番。
去年は鳥谷の負担を最優先したため開幕当初の考えでは鳥谷が7番で矢野が8番だったか。
開幕時の鳥谷、現状の藤本、関本、問題なく8番をこなせる打者。


で、ひとまずおいといた6番ライト。

もうあまりに定着しすぎて話題にも上らない「併用」だけど、敢えて。

監督は両方使いたい。桧山もスペンサーも、藤本も関本も両方使いたい。
で、両方使いたい時のきっかけとして、右投手、左投手で使い分け。
しかし、右左にこだわっているのではない。
例えば、昨日の試合。相手は右の西村で桧山、藤本がスタメン。
西村が降板して、左の岡島がマウンドでも、
桧山と藤本が相変わらず打席に入る。
(昨日は、シーツが途中交代っていうイレギュラーもありましたが)
でも、基本的にはこのスタンス。
先発投手の右左をきっかけにして、
基本、「この試合は任せました」というスタンス。
投手起用と考え方は同じ。

その結果、
4人ともが一直線上に並んで、誰が出てもそれなりに活躍できる状況。
桧山とスペンサー、藤本と関本。ともにタイプが違うので、
単純に比較できないけど、
チームに対する貢献値は、皆同等に高い。
だから誰が出ても、それなりに勝てる。
スペンサーと関本が出てる試合で、
桧山と藤本だったらなぁと思う試合はない。
逆もしかり。

そして、送りバントをしなかった岡田監督。

チャンスで鳥谷。
チャンスで藤本。

とにかくしっかり打って来いと、打たせた監督。

結果、チャンスで鳥谷、チャンスで藤本。
相手にとって決してラクではないバッターになっていた。

そして鳥谷の後、
言わずもがなの、シーツ、金本、今岡。
どんどんラクではない打者が登場してくる。

藤本の後、
代打、濱中、片岡、桧山、スペンサー、関本、浅井。
そりゃもう、大変な打者が控える。

もちろん、うまくいかなかったこともたくさんあった。
送りバントをしていれば勝てていた試合もたくさんあった。
でも、送りバントをしなかったから、勝てた試合の方が多いから、
現在7.5ゲーム差。
実は首位を独走している状況になったのだろう。

7.5ゲーム差というのは、
セリーグの中ではどのチーム同士の差よりも開いた差である。
2位中日と、3位ヤクルトは現在5.5ゲーム差だ。
4位横浜と5位巨人の差は、3ゲーム差しかない。


「おれは何もしていないし、みんな役割が分かっているから、動かんでもええ」


そんなチームは、昨日も決して弱くないジャイアンツに快勝した。

初回、赤星が出塁し、
「先頭バッターが出塁」という意味の100倍くらいの意味を持たせる存在感を出し、
気がつけば2塁までいってしまっている。

鳥谷はカウント0−2から、真ん中の球を振りにいくも、ライトフライ。
当てて進塁打よりも、振って進塁できないほうがいい。
一貫している、後々生きる、結果、進塁打にならなかったバッティング。

そしてシーツはデッドボール。
骨折の疑いもあり、ショックだが・・・
でも、関本がいる。片岡がいる。
日本シリーズへ、大きなドラマの伏線と考えたい。

1アウト1塁2塁。
4番、大黒柱。
警戒しすぎでフォアボール。

満塁。

満塁で、人間業とは思えない打率を誇る5番。

得意の満塁ホームラン。

そして、併用を続けてこられた、優勝イヤーの4番バッターの大アーチ。


「おれは何もしていないし、みんな役割が分かっているから、動かんでもええ」


追加点は、また満塁が得意な人の前に、
先頭の赤星倒れるも、
しっかり振っている鳥谷のライト前ヒット。
いつも8番でやっている、粘ってから打つ関本が、8球粘ってセンター前ヒット。
4番は警戒されすぎて、また満塁。

で、満塁が得意な人は警戒されすぎてデッドボール。
押し出し。


「おれは何もしていないし、みんな役割が分かっているから、動かんでもええ」


頭部デッドボール以降、必死の思いでアウトコースを打ちにいき続けている矢野のホームラン。


「おれは何もしていないし、みんな役割が分かっているから、動かんでもええ」


投げては、下柳がほぼパーフェクトな内容で6回途中まで。

で、球児。
ウイリアムス。
久保田。

矢野が自身1000本安打となるダメ押しのホームランを打ったあと、
ニコリともせず、プロテクターとレガースを装着する背後で、
ニコニコニコニコしている岡田監督の表情が印象的だった。

「こんなチーム、こんなチームを作りたかったんや!!」

自分のイメージが見事なまでに具現化された現状にこぼれる笑顔だった。


理想を挙げればきりがないだろうが、、
100のことが全てうまくいくわけがない。

現実的に考えて、岡田タイガースは非常に理想に近いチーム像だとぼくは思う。

現状の7.5ゲーム差は、
岡田監督と同じことをしても、勝てる状況ではないと判断した落合監督が、
野口を朝倉を山本昌を続けて登録抹消したことも関係していると考える。
落合監督が自身の判断のみでしたことならば、問題ない。
しかし、「岡田監督のあまりにも頑なな野球」の前に、
たじろいでしまったようにも見える。
言い換えれば「岡田が落合を動かした」そんな気もしてしまうのだ。

落合監督は昨日、打順も変更した。
直接繋がっているとは言い切れないが、岩瀬が打たれて負けた。

岡田監督の野球は、

金本が4番で大活躍することによって、
球児が抑える。

繋がってるか繋がってるかよく分からない部分を、
「繋がっているのかも知れない」
そう思わせられる野球だ。

そんな時代が到来したのだ。
ぼくたちは野球というスポーツの変遷、その真っ最中を目撃している。

パイオニアは冷遇を受けやすい。
野茂英雄もそうだったし、
地動説のコペルニクスもそうだった(笑)


岡田彰布の、あそことここが関係したのかよく分からないけど、
関係してそうに思えてしまう野球。

ねじれの位置に、たくさんの架け橋をかけた野球。

その全方位が関係しあって、大きな渦を作り、勝利を生み出す。
そんな新しい野球を作った名将はこう言った。


「おれは何もしていないし、みんな役割が分かっているから、動かんでもええ」



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posted by コーチ at 07:27| Comment(9) | TrackBack(3) | □監督 岡田 彰布 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年09月15日

愛メイン、それが岡田采配

岡田監督と世間が、なんだか、うまい具合に噛み合ってきていると思います。

「何が何でも球児に記録を作らせてあげたい」

新聞は大喜びで、球児の写真を一面に持ってきていました。

岡田さんは球児の記録のことが大々的に新聞の一面を賑わすとを想定して発言しているか?
おそらくしていない。

星野さんなら、「一面用のコメント」考えてしていたでしょう。
でも、岡田監督はあまりそういうことを考えない。

「球児に記録作らせてやりたいやろ、だって」

岡田監督、もう、それのみ(笑)
だって、そうやろ。
だって、そうやろ。

星野さんは、その気持ちプラス、外向きの扇動が少し入る。
社会の人、大人の人。

球児を投げさせ続けることに関して、
やはり怪我の心配、
シリーズに向けての疲労。
来期以降へ向けての不安。

これから先、
仮に球児が打たれてしまったとき、
世間は、球児を酷使する監督を批判すると共に、
球児に対する心配を大々的にするでしょう。

その空気の中で、優勝戦線を戦うことはいいこととは言えない。
タイガースが保有する、最強の武器。
球児のストレート。
これが最も、いきいきとするために、

「球児に対する不安」

これは、ちょっと、なくてもいい不安。
もうここまで来てしまってるんだし、
あとは、充実した気持ちのままシーズンを過ごしきることの方が
絶対にいい。

ところが、
「球児に対する不安」はそれを難しくさせてしまう。

でも、
「登板数、記録更新」
という大義名分は、その不安をないものに変えてしまう。

自然と出てくる
「頑張れ、球児」の声。

もし打たれても、
「次は、頑張れ」の声。

球児が、余計なものに邪魔されない状態で、
投げ続けることができやすい。


そして、星野さんなら、
こういうことも含みで、
「是非とも、取らせてあげたいねぇ」
そう言っていただろうと思う。

でも、岡田監督は含まない。

「だって、球児に記録作らせてあげたいやろ」

それのみ。それだけ。
そしてその結果、うまれて来る、
過ごしやすい環境。

世間と監督がマッチしてきたなぁ。。


ぼくは星野さんも岡田監督もどちらも大好きだ。

でも敢えて比べれば、岡田監督のほうが好きだ。
愛の比重が大きいから。

愛メインの岡田采配。

さぁ優勝まで、
監督が愛する選手たちが、
ぼくたちが愛する選手たちが、

いよいよ、
本当にいよいよ、
「もう楽しくてしゃーなくて笑っちゃう」って、そんな状態で、
優勝までひた走ってくれそうな気がする。

全部勝てるわけない。
だけど、
「楽しいから」→「次の日勝てる」
「大好きだから」→「打つし、抑える」

信じられないような、そんな素晴らしい瞬間が、
目の前に、すでに存在しているような気がする。

長きに渡る低迷期、
2年前を経ても、まだ拭い去れない、
「本当なのか?」
という思い。

これからの2週間が、その思いを払拭してくれそうだ。
「本当なんだ」これは「本当なんだ」

愛メインの采配は、
今度はいったいどんなことを教えてくれるのだろう?

楽しみでしかない。


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posted by コーチ at 06:28| Comment(7) | TrackBack(2) | □監督 岡田 彰布 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年09月14日

だから赤星は走らなかった

5回。

タイムリーヒットの後、
赤星は、走らなかった。

投手、ミアディッチ。

前の盗塁機会で、悠々と盗塁を決めた相手。
モーションの大きなミアディッチ。
思うように投げれなくてイライラしていたミアディッチ。

走れば必ず成功する。
盗塁の個数が一つ稼げる。

でも赤星は、走らなかった。

フリーパスの場面で盗塁することのリスク。
感じたのだろうと思った。


ドラゴンズバッテリー対赤星。

谷繁は、恐ろしいほどの形相で赤星を刺しに来る。
たとえばワンアウトで1塁に赤星という場面。

ピッチャー、川上。キャッチャー谷繁。
執拗な牽制球。
打者の鳥谷よりも、ランナーの赤星を中心に配球を組み立てるバッテリー。
そして、そこが甲子園ならば、

5万人が一塁ランナーを見ている場面。

赤星は、そういう場面でセーフになってきた男。
そして、これからもそういう場面でセーフになる必要がある男。

近い将来、そういう場面の相手は、
ソフトバンクの城島。

僅少差の中盤、終盤で、
赤星が城島からもぎ取るセカンドベース。
勝負を決するスチールである可能性も非常に高い。

赤星は、そこでセーフになろうとする男。

マウンドには乱調のミアディッチ。
120%の成功が約束された場面。

でも120%の成功が約束された場面なればこそ、
感覚の狂いを招きやすいと判断したのだろう。

赤星がセーフになろうとする場面は、
赤星しかセーフになれない場面。

徹底的にマークされた、その中を突き破ることによって、
チームにもたらされる、
「一つの進塁以上の何か」
赤星はそのことにとても意識的だ。

シーズン終盤になると、とかく個人記録がもてはやされる。
4年連続60盗塁。
物凄い記録だが、それはあくまで目安でしかない。

「走れるけど走らなかった盗塁」

赤星は勇気のある自重の中、4年連続での60盗塁に向かっている。

最も大事な場面で、
絶対に走ってほしいその場面で、
誰もが「走ってくる」と思い、
そして、相手は「走られてはならない」
そう思う場面で、

赤星は盗塁を決めるために、

昨日、赤星は、

一つの盗塁を自重した。


あんなにも小さい人が、
こんなにも凄い1番打者になれるんだ。

日本シリーズ、あるいはプレーオフ、あるいは来週の天王山。
その大事な大事な局面。
ランナー、一塁に赤星。100%盗塁。
そんな場面で、赤星がセーフになる姿を、
そして、その盗塁によってもたらされる
「一つの進塁以上の何か」を、
ぼくは感じたい。

ならば、至福の瞬間はすぐ目の前なんだ。


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posted by コーチ at 09:00| Comment(3) | TrackBack(5) | □ 赤星 憲広 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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