岡田監督のことが大好きな野球町ですが、さすがにさすがにあの場面・・・
先頭の今岡、フォアボールで出塁。
際どいコースに必死に手を出さなかった、魂の四球。
ノーアウト1塁でスペンサー。
ホームランを含む、唯一のヒットを打っていたスペンサーだった。
いや、でも。
先生 「あそこは代打やと思ったなぁ・・・」
コーチ 「なんぼ岡田さんでも、あそこまでリスクを背負う采配をするとは思わなかったです」
先生 「赤星に“打て”言うて、自分でバントした場面とは違うからな」
コーチ 「赤星とスペンサー。一塁に到達するスピードが違います」
先生 「ランナー今岡、打席にスペンサー」
コーチ 「ピッチャー川村」
先生 「ダブルプレーが目に浮かぶ」
コーチ 「もしくは、スペンサーがダブルプレーを怖がったとこを逆手に取られて、高めの速い球を内野フライとか」
先生 「リアルすぎる」
コーチ 「そして、なおもランナーは今岡」
先生 「動くに動かれへん」
コーチ 「でも、岡田さんは、スペンサーを打席に送ったほうが得点が入りやすいと思ったからそうしたんですよね」
先生 「それって、凄い勇気やで。勇気と愛やで」
岡田監督があの場面で採用できた作戦。
@スペンサーに代打久慈で送りバント
Aスペンサーに代打桧山でライト方向に引っ張る打球を期待する
Bスペンサーそのままで、スペンサーのバッティングに期待する
コーチ 「ぼくらスペンサー大好きですけどね」
先生 「岡田監督はもっと大好きなんやろな(笑)」
コーチ 「まぁ他にも作戦の立てかたはなんぼでもありますけど、現実的に岡田監督でもやりそうな作戦といえばこんな感じですよね」
先生 「せやな。間違っても、今岡に代走だして、代打久慈でバントエンドランなんかはありえへん」
コーチ 「でもそういう作戦の方が“思い切った作戦”言われますけど、監督からしたらラクですもんね」
先生 「あとあといろいろ言われにくいしな。ベタで分かりやすいから」
コーチ 「ただ、スペンサーをそのまま打席に送るって」
先生 「シュールやでなぁ(笑)」
コーチ 「ようそんなシュールなこと、あの場面でできるなぁってほんま思います」
先生 「勇気あるで、ほんま」
コーチ 「あれでスペンサー、ダブルプレーやったら、スポーツ新聞に何書かれるか分からないですよ」
先生 「ほんまになぁ、夕刊とかやったら、“ある球団関係者”がいっぱい出てきて、いっぱい批判するしな(笑)」
コーチ 「“どんな場面でも『お前にまかせた』って何もしない監督に、もう選手たちもあきれ返ってるんですよ”とか(笑)」
先生 「“球団内部では、岡田監督の間は優勝は無理というのがもう当たり前になってますね”みたいなタッチでな(笑)」
コーチ 「ああいうの、ええ加減やめたらいい思うんですけどね」
先生 「週刊誌も夕刊も、ああいうタッチでものを書くマニュアルでもあるんかな?」
コーチ 「そんな気もしますね」
先生 「まぁそんな結果論メディアのことなんかどこ吹く風、岡田監督は自分の感覚を貫いた」
コーチ 「ほんま素晴らしい監督ですよ。ぼく、テレビ見ててスペンサーが打席に向かうとき嬉しすぎて、笑いが止まらなかったですもん」
先生 「コーチ、シュールなん好きやもんな(笑)」
コーチ 「シュールさに興奮した笑いです。マジで」
1塁ランナー、魂のフォアボール今岡。
打席にスペンサー。
結果。
「打て」のサインも、スペンサー自らバントの構え。
監督、ベンチで笑み。
「打ってこい」
その結果。
ご存知のように、止めたバットにボールが当たり、
最高の送りバント。
転々とするボール。
全力疾走のスペンサー。
間一髪ファーストはアウト。1アウト2塁。
今岡に代走を出さない理由は簡単。
矢野、藤本。
二人とも「なんとか打たなきゃ」
それを強く思いすぎてしまう人たち。
今岡に代走は、当然、「10回で決めなければ」という意識が強くなってしまう。
その意識が強くなりすぎたときの矢野、藤本。
いい結果は生まれにくい。
ただでさえ、そういう気持ちが強くなってしまう場面。
なるべくいつもどおりの普通のイニングと同じように。
ヒットで際どいタイミングになって、「代走を出しておけば一点だったのにということが起きる可能性」と、「代走を出したことによってヒットがでにくくなる可能性」
二つを天秤にかけて、
今岡はそのまま。分かりやすい。
2塁に、走るのは遅いが一生懸命走るシーンが目立つ今岡。
打席に矢野。
THE矢野というようなライト前ヒット。
今岡は当然、3塁ストップ。
1アウト 1、3塁。
打席に藤本。
まだ桧山も濱中もベンチにいる場面。
そのまま藤本。
先生 「なんか痛烈に岡田采配の見事を感じた場面やったな」
コーチ 「そうですね、改めて藤本が打席に立ってみて分かることがありましたもんね」
先生 「代打を出す理由がない」
コーチ 「ああいう場面で、藤本がラクなバッターじゃないんですよね」
先生 「せやねん。濱中、桧山と比べても、遜色ないイヤさを藤本は持ってる」
コーチ 「2年前優勝したときは、打率は今よりはるかに良かったですけど、ああいう場面での格として濱中、桧山の方が上でしたもんね」
先生 「ところが、昨日の藤本にはまったくその格負けを感じなかった」
コーチ 「濱中、桧山にも」
先生 「ピッチャーの川村にも」
コーチ 「決して調子のよくない藤本が」
先生 「格負けしない」
これまで、一貫して、細かい一点にこだわらず野球をしてきた。
1アウト1、3塁。打席に藤本。
スクイズでも全然おかしくない場面で、スクイズという頭はまったくよぎらない。
8番、藤本が打って得点する。
そういう野球。
続けてきた結果。
藤本はあんなにもたくましい選手になっていた。
そして、決勝打。
藤本はこれでまた一回りたくましい選手になるのだろう。
スクイズが悪いわけではない。岡田さんだってやることもあるだろう。
スクイズをやるのは、本当に本当に最後の最後なのかもしれない。
対、ソフトバンク第7戦。
藤本のスクイズがあるのかも。
そして、その試合まではやる必要ないのだ。
試合は続いていく。トーナメントではない、リーグ戦。
二つの決定的な違いは、
勝っても勝たなくても、次の試合があるということ。
次の試合があるということは、その選手がまた出るということ。
連続していく試合の中で、
その選手が少しずつでもたくましくなっていける采配。
岡田監督が一貫してやってきたこと。
その一つの結果が昨日だと思う。
スペンサーが唯一のヒットを放ち、完封、あるいはノーヒットノーランを避け、
藤本が決勝タイムリー。
先生がこの間言ってた。
「スペンサーは日本語を覚えて、通訳になってほしい」
どんな形でもずっとベンチにいてほしい選手だ。
今年、大事な試合でお立ち台に上がってほしい。
そして数年後、外国人投手交代の場面で、久保コーチとともにマウンドにいく姿。
見てみたいなぁ。
それにしても、岡田采配の見事。
近年の野球を根底から覆す、新しい野球。
「無策であるメリットを信じ、無策を講ずる勇気」
こんな監督、ぼくは見たことがない。
見たことのない、かっこよさだ。
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