2005年09月13日

二度目の送りバント

できて当たり前だということが、どうしてもできない。
できていたはずのことが、
普段なら何も問題なくできるはずのことが、
どうしてもできない。

期待されているのは、
分かっている。
何とかしようと、
必死でやっている。

井川の内面でうるさい自己批評。
必死に戦った、悩めるエースの姿だったと思う。


一度失敗して、
二度目の送りバント。

打席に入るか入らないか、
もうそのタイミングで送りバントの構えをしていた井川。

「早過ぎる構え」

決めなければならない。
なんとしても、決めなければならない。
気持ちが溢れていた。

決めて当たり前だろ?
この試合、ラクに勝って当たり前だろ?
もう、逆転されたくない。

あんな思い二度としたくないだろ!!
なぁオレ、ちゃんと決めろよ!!
なぁオレ、ここで決めたら、もう逆転されないだろ!!

その思いが、また筋肉を硬直させる。

一球目、見逃し、ストライク。
二球目、ファール、ツーストライク。

何やってんだ、オレ。何やってんだ、オレ。
うるさい自己批評と戦う姿、
早過ぎる構えの井川。

三球目。
バントした打球は・・・
阿部の前に。


送りバント成功。

送りバント成功!!




簡単なことほど難しい。
うるさい自己批評の呪縛から、ほんの少し解放された井川。

そして、ワンアウト、2塁3塁。

赤星。

悩めるエースの気持ちを、無駄にはしない。

センター前、タイムリーヒット。
11点目。

「井川、勝とうな」

逆転されることは、なくなった。


調子が上がらない井川。
ノックアウトされた中日戦よりも、
今日のほうが遥かに悪かった井川。

球児や杉山と違って、狙われれば打たれる程度のまっすぐしかいかない。
でも、とにかくマウンドは守った悩めるエース。

ダブルプレーに助けられた形に見えるかも知れないが、
当然のことだが、誰も併殺打を打とうとするわけない。

併殺を狙ったコースに、その球を投げれていたから。

調子が上がらない中、よく粘って投げた。
大差なんだから、完投しろよ、なんて思わない。
7回1失点。
ドラゴンズを3たてしてきた、ジャイアンツ相手。
十分な結果だろう。

生みの苦しみ。

スランプだった打者が、
一つのポテンヒット、
一つの内野安打から甦るケースはよくあること。

今日のピッチングは、そのポテンヒット。

体内から溢れたアドレナリンが、
大きな体を突き動かし、
彼が、雄叫びを上げる姿を、
ぼくたちは、忘れられないでいる。

今日が、あの姿へのきっかけのなってくれれば、
ラッキーな内野安打になってくれれば。

井川がまた、エースという名にふさわしい躍動を、
甲子園のマウンドで見せてくれそうな気がする。

次回、最終天王山。
井川よ、吠えてくれないか!!

ぼくたちが忘れられないでいる、あなたのあの姿を。
愛ゆえに苦言を呈した、
その5万人が見守る、
甲子園のマウンドで。
その姿を見せてほしい。

「早過ぎる構え」

大差の中で、
悩めるエースは。
必死だったんだ。



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posted by コーチ at 21:32| Comment(2) | TrackBack(5) | □ 井川 慶 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

杉山の日だから、自分に受けさせてくれないか

コーチです。

更新、一日、飛ばしちゃいました。

私事ですが、親知らずをぬきまして、ちょっとぼんやりしてて、
そんでもって、のどが痛くて、ずっと寝てました。

おはようございます。

そろそろ大丈夫です。

で、ちょっと古い話になりましたが、
甲子園の話を。

10−0で勝ちまして、4連勝。

目に付いたのは、矢野の素晴らしいリード。
と、杉山が一試合の中で成長していく姿。

試合を見てて感じたのは、サインを出す矢野のメッセージ。
「球児の球は確かに凄い、ストレートと分かってても空振りがとれる、でも直久よ!
おまえの球もストレートと分かっててもヒットできる球じゃないんだぞ!!
ホラ!! ホラ!!」

序盤、カウント1−1や、1−2など、バッターがストレートを待っているだろう場面で
ことごとくストレートのサインを出す矢野。
そこに、全力で投げ込む杉山。

外野フライになる。

「ホラ!な!!」
「ほんまス。打たれないス」

そして中盤、
分かってても凡打してしまうストレートに意識がいったカープ打線。

スライダーが面白いように決まりだす。

「ホラ!おまえのストレート凄いんやで!」
「ほんまス。なんか、分かったス」

3回。
チャンスで前田が、スライダーを空振り三振。
大きな空振りだった。

明らかにストレートを狙っていた空振り。
裏返せば、
変化球を待っててストレートをファールできるレベルのストレートではない。
そういうこと。
あの、前田が。
時代が時代ならば、「イチロー」は「マエダ」だったかも知れない、あの前田が。


杉山は、ピッチングをしているときと、自分の部屋でボーっとしてる時の差があまりない選手ではないか。
以前そんなことを書いた。

仕事用の自分を作らないというか、自分はいつだって自分。
だから、とても感じやすい状態で、マウンドにあがっていた印象がある。
その結果、ピンチを招いて感じてしまう。大きな不安。失っていく自信。

感じやすいのは今も変わらないと思う。
投げている表情、基本的に変わらない。

それがいい方に出てきた。
引き出したのは、矢野。

「ボクの球を前田さんがあんなにも打ちにくそうにしている」

自信。
感じやすい状態であるがゆえ、
雪だるま式に膨れ上がっていく自信。

そして、繰り返される。
待たれている球種を敢えて投じさせる、矢野リード。

打たれない。

結果、完封。

大きな大きな完封だ。

自分が投げる球がどのくらい打ちづらい球か、
過小評価することなく理解した杉山。

頭部へのデッドボール、
その後遺症を強行出場した矢野。
矢野の真意は、自分のバッティングへの恐怖感ということでなく、
杉山のピッチングに対する予感ではなかったか。

この日。杉山の日だけは、自分に任せてほしい。

矢野の気持ちが10点取りながらの完封を呼んだ。

見事な、
あまりに見事なバッテリーの笑顔ではなかったか。


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posted by コーチ at 05:19| Comment(5) | TrackBack(4) | □ 矢野 輝弘 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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