タイムリーヒットの後、
赤星は、走らなかった。
投手、ミアディッチ。
前の盗塁機会で、悠々と盗塁を決めた相手。
モーションの大きなミアディッチ。
思うように投げれなくてイライラしていたミアディッチ。
走れば必ず成功する。
盗塁の個数が一つ稼げる。
でも赤星は、走らなかった。
フリーパスの場面で盗塁することのリスク。
感じたのだろうと思った。
ドラゴンズバッテリー対赤星。
谷繁は、恐ろしいほどの形相で赤星を刺しに来る。
たとえばワンアウトで1塁に赤星という場面。
ピッチャー、川上。キャッチャー谷繁。
執拗な牽制球。
打者の鳥谷よりも、ランナーの赤星を中心に配球を組み立てるバッテリー。
そして、そこが甲子園ならば、
5万人が一塁ランナーを見ている場面。
赤星は、そういう場面でセーフになってきた男。
そして、これからもそういう場面でセーフになる必要がある男。
近い将来、そういう場面の相手は、
ソフトバンクの城島。
僅少差の中盤、終盤で、
赤星が城島からもぎ取るセカンドベース。
勝負を決するスチールである可能性も非常に高い。
赤星は、そこでセーフになろうとする男。
マウンドには乱調のミアディッチ。
120%の成功が約束された場面。
でも120%の成功が約束された場面なればこそ、
感覚の狂いを招きやすいと判断したのだろう。
赤星がセーフになろうとする場面は、
赤星しかセーフになれない場面。
徹底的にマークされた、その中を突き破ることによって、
チームにもたらされる、
「一つの進塁以上の何か」
赤星はそのことにとても意識的だ。
シーズン終盤になると、とかく個人記録がもてはやされる。
4年連続60盗塁。
物凄い記録だが、それはあくまで目安でしかない。
「走れるけど走らなかった盗塁」
赤星は勇気のある自重の中、4年連続での60盗塁に向かっている。
最も大事な場面で、
絶対に走ってほしいその場面で、
誰もが「走ってくる」と思い、
そして、相手は「走られてはならない」
そう思う場面で、
赤星は盗塁を決めるために、
昨日、赤星は、
一つの盗塁を自重した。
あんなにも小さい人が、
こんなにも凄い1番打者になれるんだ。
日本シリーズ、あるいはプレーオフ、あるいは来週の天王山。
その大事な大事な局面。
ランナー、一塁に赤星。100%盗塁。
そんな場面で、赤星がセーフになる姿を、
そして、その盗塁によってもたらされる
「一つの進塁以上の何か」を、
ぼくは感じたい。
ならば、至福の瞬間はすぐ目の前なんだ。
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