そう言った下柳先輩のお立ち台。
大好きな下柳先輩を、より大好きになった、ヒーローインタビュー。
彼は、本当に心のキレイな人なのだと思う。
心がジブリだ。
下柳先輩はなんだかジブリの映画が似合う。
主人公の女の子が毎日通っている、骨董品屋の主人役みたいな感じ。
ヒゲで左利きの、優しい主人。骨董品屋の隅で、いつもルーペを覗いているみたいな。
そして、大きな犬を飼っている(笑)
「恥ずかしい」という美徳。
そういうものが、まだしっかり残っていて嬉しい。
「熱い男」が横行する世間。
その思いが強く溢れた結果、「熱い」のならば何も問題ないが、
「熱い男」を演じるために、適当な「それっぽい思い」を選んで並べている。
「熱い」ありきの「熱い男」。
順番が逆な「ニセ熱い」。
下柳先輩は、そんな「ニセ熱い」とは真逆に位置する、「心ジブリ左腕」。
でも、そんなジブリな自分の内面を、そのまま表現するのは、恥ずかしい。
だけども、恥ずかしいからといって、その思いに色をつけて、
表現しやすいような形に変えるのは、もっと恥ずかしい。
そんなことをしている自分が恥ずかしい。
「きっとこんな風に言えば甲子園は盛り上がるのだろう」
下柳先輩は、間違いなく、模範解答を知っている。
でも、その模範解答を言葉にして、声援を受ける自分が恥ずかしい。
だから、ヒーローインタビューは苦手。
ただ、その場所に立ってしまったからには、
自分の抱えている「思い」を、忠実に伝えたい。
できるだけ恥ずかしくない形で、忠実に。
「勝てたらいいなぁ、と思ってました」
6回表、ワンアウト1塁3塁。
マウンドに、下柳先輩。
打席にウッズ。
スコアは3−0。3点差。
一発出れば、同点の場面。
岡田監督は、球児の投入も考えたのだそうだ。
しかし、久保コーチが制止。
「ウッズは左投手のほうが、打球が上がらない」
監督も納得。
そして、マウンドの下柳先輩に、一任。
一任された下柳先輩。
矢野のサインは、「膝元に思いっきりこい」
うなずく、先輩。
絶対、抑える。絶対、抑える。膝元に向かって、とにかく全力で。
矢野のサインを信じて、自分の球を信じて。
絶対、打ち取る。絶対、今日勝つ。
勝ちたい、勝ちたい、勝ちたい。
優勝したい。優勝したいやろ。
だから、矢野のミットに向かって、思いっきり投げるだけや。
“前後裁断”
ピンチになってることはもうしゃーない。
打席がウッズなんもしゃーない。
今、自分ができることは、膝元に向かって全力で投げ込むことだけ。
勝ちたい、勝ちたい、勝ちたい。
ウォォォォー!!!!!
投げ込まれたボール。膝元へ。
しかしウッズのスイングが、そのボールを打ち砕く。
強烈なライナーが、下柳先輩の左側を突き抜けていく。
セカンド正面。
ダブルプレー。
ウォォォォー!!!!!
そんな気持ちで投げていたはずの、最多勝投手。
最後に彼はこう言ったんだ。
「勝てたらいいなぁ、と思ってました」
下柳先輩、大好き!! その気持ちをクリックに◎blogランキングへ