2005年09月22日

「勝てたらいいなぁ、と思ってました」

「勝てたらいいなぁ、と思ってました」
そう言った下柳先輩のお立ち台。

大好きな下柳先輩を、より大好きになった、ヒーローインタビュー。

彼は、本当に心のキレイな人なのだと思う。
心がジブリだ。

下柳先輩はなんだかジブリの映画が似合う。
主人公の女の子が毎日通っている、骨董品屋の主人役みたいな感じ。
ヒゲで左利きの、優しい主人。骨董品屋の隅で、いつもルーペを覗いているみたいな。
そして、大きな犬を飼っている(笑)


「恥ずかしい」という美徳。
そういうものが、まだしっかり残っていて嬉しい。

「熱い男」が横行する世間。
その思いが強く溢れた結果、「熱い」のならば何も問題ないが、
「熱い男」を演じるために、適当な「それっぽい思い」を選んで並べている。
「熱い」ありきの「熱い男」。
順番が逆な「ニセ熱い」。

下柳先輩は、そんな「ニセ熱い」とは真逆に位置する、「心ジブリ左腕」。

でも、そんなジブリな自分の内面を、そのまま表現するのは、恥ずかしい。
だけども、恥ずかしいからといって、その思いに色をつけて、
表現しやすいような形に変えるのは、もっと恥ずかしい。
そんなことをしている自分が恥ずかしい。

「きっとこんな風に言えば甲子園は盛り上がるのだろう」
下柳先輩は、間違いなく、模範解答を知っている。
でも、その模範解答を言葉にして、声援を受ける自分が恥ずかしい。

だから、ヒーローインタビューは苦手。

ただ、その場所に立ってしまったからには、
自分の抱えている「思い」を、忠実に伝えたい。
できるだけ恥ずかしくない形で、忠実に。

「勝てたらいいなぁ、と思ってました」


6回表、ワンアウト1塁3塁。
マウンドに、下柳先輩。
打席にウッズ。
スコアは3−0。3点差。
一発出れば、同点の場面。

岡田監督は、球児の投入も考えたのだそうだ。
しかし、久保コーチが制止。
「ウッズは左投手のほうが、打球が上がらない」
監督も納得。
そして、マウンドの下柳先輩に、一任。

一任された下柳先輩。
矢野のサインは、「膝元に思いっきりこい」

うなずく、先輩。

絶対、抑える。絶対、抑える。膝元に向かって、とにかく全力で。
矢野のサインを信じて、自分の球を信じて。
絶対、打ち取る。絶対、今日勝つ。
勝ちたい、勝ちたい、勝ちたい。
優勝したい。優勝したいやろ。
だから、矢野のミットに向かって、思いっきり投げるだけや。
“前後裁断”
ピンチになってることはもうしゃーない。
打席がウッズなんもしゃーない。
今、自分ができることは、膝元に向かって全力で投げ込むことだけ。
勝ちたい、勝ちたい、勝ちたい。
ウォォォォー!!!!!

投げ込まれたボール。膝元へ。
しかしウッズのスイングが、そのボールを打ち砕く。
強烈なライナーが、下柳先輩の左側を突き抜けていく。

セカンド正面。
ダブルプレー。

ウォォォォー!!!!!


そんな気持ちで投げていたはずの、最多勝投手。
最後に彼はこう言ったんだ。


「勝てたらいいなぁ、と思ってました」


下柳先輩、大好き!! その気持ちをクリックに◎blogランキングへ

posted by コーチ at 06:43| Comment(8) | TrackBack(11) | □ 下柳 剛 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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