2006年01月08日

稀代の名ショート井端弘和

報道によればドラゴンズの井端選手が、前回提示額から異例の2,000万円増の2億円で契約とのこと。
前回の提示額には反省すべき点もあったって。
まぁいいや。金額に興味は特に湧きません。

大切なことは、
中日ドラゴンズという球団が、
どれだけ井端弘和という選手を大切に思っているかということ。
ドラゴンズが誇る最高の宝で最強の武器。
井端弘和をどれだけ大切に思えているかということが肝要だと思うんです。
そのために尊敬と感謝の念を、常に持ち続けなければならないってぼくは思います。
「選手なんて所詮は駒」そういう考え方でないのならば。。。

タイガースにアニキがいなくなったら全く機能しなくなるのと同じ。
アニキが抜けてからのカープがどういう状況になったか。
松井秀喜が抜けてからのジャイアンツがどういう状況になったか。

野球は一人でやるものじゃありません。
だけど核になる選手の影響力は、ちょっと信じられないくらいあるものだと思うんです。

ドラゴンズ球団をはじめ、
なんとなしですが、世間の井端弘和に対する評価が低いのが残念で、
それはやはり彼が4番打者ではなく2番打者だからで、
だからぼくは、なんとかかんとか井端弘和を絶賛したいと思うんです。

1番の荒木選手は、足が速くてよく出塁しているというイメージが強いんですが、
実はそうでもないんです。
率の話はあまり好きではないんだけど、
ここでは分かりやすいのでその話を出してみます。

2005年シーズンの荒木の出塁率は.332なんです。
これがどのくらいの数値かというと、
タイガースでこの値に近いのが鳥谷の.343、矢野の.323。
規定打席に達していない準レギュラーの選手も入れれば、
スペンサーの.326というのも加えていいかと思います。

こう書くと分かりやすいので、あえてこう書きますが、

「荒木って、スペンサーくらいしか出塁してない」

だけどドラゴンズの核は1、2番っていう触れ込みで、
荒木井端ってたいていまとめて言われるのは、
どうしたって、2番の井端が1番を補って機能させてきたから。

荒木が初球を内野ゴロでアウトになったあとの井端が、
四球を選んで出塁なり、球数を投げさせてからライト前に単打みたいな。
投手がリズムに乗るか、
攻撃のリズムを作れるか、ということで、
ことごとく攻撃のリズムを作ってきたのが井端。

もしドラゴンズ打線から井端が抜けたと想定すれば、
おそらくですが、
ウッズはホームラン王争い、
福留は首位打者争い、
荒木は盗塁王争いをしてるけど、
なぜか、点数が入らない。
そういうチームになってしまうように思います。
じゃあなぜ点数が入らないかを考えれば簡単で、
それは、
井端弘和がいないから。

井端は守備がうまくて、打てるショートというだけの選手では全然ないと思います。
井端弘和はチームが得点することにおいて、
その屋台骨を一人で支えている、
プロ野球史上稀に見る、
日本が誇る2番ショートである、と。

来季は3番の構想もあるみたいですが、
個人的にはもったいない使い方だなぁと思います。
もちろん、井端は3番も申し分なくこなすでしょうが、
2番を打てる井端以上の選手は、
ドラゴンズはもとより日本を見渡しても現在いないと思われます。
ならば、スペシャリストのその任務を全うしてもらう方が、
機能するのではないだろうか、と、
老婆心ながら思うのですが。

井端選手の話は、続けて考えたく思っています。


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posted by コーチ at 08:44| Comment(8) | TrackBack(2) | ■ 中日ドラゴンズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月06日

プロ野球選手の評価

シーズンオフなので、契約更改の話。

タイガースでは久保田。
他の球団でもたくさん越年している選手が出ているみたいで。
そして保留した選手のコメントで頻繁に耳にするのが、
「金額はともかく、評価が低い」

野球選手がどのくらいの給料を貰えばいいのか、ぼくには分からないけど、
ただ、評価については思うところがあります。

「10−0で勝っている試合の8回に打ったホームラン」と
「その試合の序盤。まだ0対0の時に打った進塁打。結果的にその進塁打が大量点のきっかけとなった進塁打」

この二つのうちどちらを高く評価するか?

無論、後者の進塁打であって当然で、
テレビの解説や、翌日のスポーツ紙、監督の談話なんかでも、
「序盤の進塁打がキーだった」なんて話がなされます。

でもシーズンオフ。いざ契約の話になると、
打率、ホームラン、打点。
結局この数字が話題のメインになって、
あの時の進塁打なんて全く忘れらてしまう感じ。

あの場面でセカンドゴロを打ち、
監督もチームメイトも「よくやった」と迎えてくれた、
あの空気に対する気持ちを、
そして自分の後の打者がタイムリーヒットを打って得点した時の充実感を。
打点もつかない、得点もつかない、
むしろ打率が少し下がった、
記録上、一凡打。

だけどそれによってチームが勝つ。
打った人の前には必ず、打ちやすくした人がいる。
それが打線。

ならばその線が機能して、優勝したとしたなら、
その線を構成した全ての人が評価されるべき。
ダウン提示だったからではなく、
藤本や関本の(査定上の)評価が下がっているというニュアンスの報道は、
残念でなりませんでした。

確かに藤本は凡退しているイメージが強い。
でも、大事な場面で凡退した後、守備でファインプレーをする姿もよく見た。
その姿がチームの士気を高め、
いいムードでそのゲームを押し切ったという試合だってあったに違いない。
その、センター前にぬけそうな強いゴロに飛びついたときの藤本の気持ちを、
「打率が低い」
と評価するのは、それってうまく評価できていない。

「部活動もボランティア活動も素晴らしい。思う存分やりなさい」
と言われて、部活動やボランティアや行事ごとを、
思う存分精一杯やってきた中学生が、
3年生になって、
「で、おまえはあまり勉強してないから、この辺の高校にしか行けないな。
まぁサボってたのはおまえだから仕方ないな」
と言われた時の感じと似ていると思う。

「先生、オレが頑張ったから文化祭はあんなに盛り上がったんだ。オレがやらなかったらあんな風にはならなかったって、あの時もそう言ってたじゃないか」
「だけど、おまえ勉強してないだろ?模試の結果だって今ひとつじゃないか」
「じゃあオレは文化祭のとき、何もしないで受験勉強してれば良かったんですか?それで文化祭は盛り上がりましたか?」
「まぁ、それなりにはなったんじゃないか?で、努力したのはおまえだけじゃないだろ?クラスメイトや先生方の協力もあって成功したんじゃないか。それを勘違いしたらいかんと思うがなぁ」

ただ実のところ、個人的にタイガースの査定は、
優勝したこともあると思うけどそれほどひどくはなかったと思っている。
(関本、藤本、桧山の評価が低かったことを除いて。今岡は評価が高すぎる気がしましたが・・・)
球児も結果的には上がったし、スペンサーも残留した。
何年間か継続して結果を残してこそというのは、とてもよく分かるので、
鳥谷や杉山あたりはあの感じで妥当だと思った。

ひどいと感じるのはドラゴンズ。
井端の評価が低いことがとても残念だ。
井端は現在のプロ野球界屈指の名選手だ。
最も給料が高くたっておかしくないと思う。

邪推だが、尊敬する井端選手がこのような気持ちでいまだサインしていないかと思い、
たとえ話に当てはめさせてもらいたい。
かなり誇張した表現にはなるけど、
だけど焦点にズレはないと思います。

「確かに優勝はできませんでしたが、オレがいなかったら優勝争いもできなかった、ってそう言っていたじゃないですか?」
「だけど、君は打点がそれほど多いわけじゃないだろ?打率だって福留君より低いじゃないか?」
「じゃあ、例えば1点差で負けていて、ノーアウトで荒木が出塁したんです。その場面でオレはホームランを狙えばいいって言うんですか?」
「いいじゃないか、2点入るしね」
「荒木が盗塁するかも知れないじゃないですか?」
「盗塁するのは荒木君だろ?」
「でも荒木の盗塁をより成功しやすくするために、相手に送りバントの可能性を示唆して、オレはツーストライクまで打たないということをよくやっていました」
「それは監督の指示で?」
「いえ、自分の判断です。そういう野球ですから」
「ただね、荒木君の盗塁が成功したとして、その後、君がタイムリーヒットを打っていればもっと打点が増えていたと思うんだがね」
「その時はすでにカウントが悪くなっていることが多いですし、追い込まれた場面でヒットを狙うよりも、ファールを打ちながらカウントを稼いで四球で出塁して、ウッズや福留や立浪さんで得点するほうが・・・もう、いいです」


特に今年の契約更改にはこのような空気を感じる。
野球の変化に査定スタイルがついていけていないということだと思う。
「中継ぎの評価が低い」って、多くの中継ぎ投手が怒っているのも、
きっと同じ理由だ。

打った人の前には必ず打ちやすくした人がいて、
抑えた人の後には必ず、抑えやすくした人がいる。

打ちやすくした人が作ったツースリーというカウントを、その後に打ったセカンドゴロを、
抑えやすくした人が作った「あいつが出てくる前になんとかしなければ」という相手チームの焦りを、もっと評価してあげてほしい。

これは日本の社会全体の問題かも知れないけど、
井端的な活躍を職場でしている人が評価されにくい。
ぼくが感じている憤りはそこへと繋がる気がする。

来季のジャイアンツは強いと思う。
なぜならそれは、当然のように清水がレギュラーであるという「当然」、
当然のように小久保が4番でありキャプテンであるという「当然」。
原監督はその「当然」に非常に意識的であり、敏感な人だと思う。

その「当然」をもってすれば、
ドラゴンズの井端や、井端的な活躍をする周囲の人たちは、
「当然、最も評価されるべき人材」だと思う。

チームを強くしたいと思うならば、
社会をよりよくしたいと思うならば、
その「当然」は「当然」でなければならない。

そして我らが将、岡田彰布もその「当然」にとても意識的な人であり嬉しい。
だって、彼の口癖は、
「そら、そうよ」

posted by コーチ at 12:29| Comment(6) | TrackBack(0) | ☆ プロ野球改革 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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