2006年01月28日

桧山のホームラン

タイガースのゲームにおいて、最も美しいもの、
それは、

桧山のホームランだと思う。

アニキの、ボールにバットが当たる衝撃で、ボールが焦げ付くようなホームランとも違い、
濱中や今岡が見せる、憂鬱も引き連れて大気を舞うようなホームランとも違う。
もちろん、
藤本やスペンサーが時折見せる、ボールが「スマイル」マークに見えるホームランとも違う。

桧山のホームラン。

トムソンガゼルやインパラような草食動物が見せる、一瞬の跳躍に近いか、
或いは、
新緑の雨上がりに、大空に描かれた虹のよう。

桧山のホームランは美しい。


その美しさの正体は。


その正体は「チームと桧山」というキーワードの中にあると思う。

たとえば、と、想像してみる。
学生時代、その多くの時間を過ごした友人9人がいるとする。
「卒業してからも、ずっと遊ぼうや」
そう言って、それぞれの道を歩んだ9人が、
卒業してからもその関係を保つことは、当然ながら難しい。

「それぞれの暮らしがあるし、しかたないよな」

そういう言葉で関係性は片付けられて、
年賀状が唯一の交流ということは、珍しいことではないと思う。

しかしそうならずに、
その関係性が持続する場合もある。

そのチームには必ず「求心力のあるリーダー」がいる。
ただそのリーダーがそのチームに対するモチベーションを持ち続けることも難しい。
だからリーダーだけで、いい状態のままチームは存続しづらい。
じゃあそこには誰がいる?

「リーダーにはならなくとも、そのチームを安定して愛し続ける人」

愛し続ける、その持続力に長けている人が必ずいる。

桧山進次郎。

彼はそういう人に見える。


桧山が放つライトスタンドへのアーチは、
チームを愛し続けた人が放った、
その長い時間がもたらした回答なんだ。


だからこそ美しく、
ぼくは桧山のホームランに魅了される。

甲子園の夜空、
逆風の浜風のはるか上を、
桧山が費やした気持ちが舞い、

ライトスタンドへ、着地する。

桧山がチームを愛してきたならば、
その時間は桧山を愛してくれる。

日本一になったとき、誰の胴上げが見たいって?

桧山の胴上げにきまってるんだ。


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posted by コーチ at 08:41| Comment(7) | TrackBack(1) | □ 桧山進次郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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