ぼくもとても尊敬する、
自称タイガース評論家のtoraoさんが、喜田選手について書かれていて、
感銘するとことがあり、その感銘を書いてみたいと思いました。
ブレーク含みの喜田。見た目もずいぶん変わったと思う。数年前から個人的に専属トレーナーを付けて、食事からトレーニングから徹底して体質改善し、減量&瞬発力アップに成功したとか。体つきだけでなく、顔つきというか、眼の力というか…雰囲気が出てきた。
自称タイガース評論家様より引用。
ぼくも早朝にこの写真を見て同じことを感じました。
ブレイク前に閉塞感を突破すべく、必死にあえいでいた頃のカープの新井選手に顔つきが似ているかなぁ、とそんな印象で。
こんな顔する人は、是非とも状況を突破してほしいとそう願いました。
望んでいる世界は、いったい現在の自分からどの程度の距離があるのか分からない状況。
近いのか、遠いのか、それが分からない。
でも己を研ぎ澄ますしか、望んだ世界を見る方法はなく、
だからこそ、研ぎ澄ますことを継続している若い男の表情。
秋季キャンプで岡田監督から「アッパー気味で振るように」とアドバイスされて、感じるものがあったという。バットスイングなんて、本気で考え始めたら何がなんだかわからなくなるような複雑な運動だが、確かにそんなバカバカしいほど単純な一言からコツをつかむということもあり、そういうシンプルな言葉を出せるかどうかが打撃コーチの技術とも言える。
(中略)
これまで二軍で頭角を現しても一軍でガチガチになっていた喜田だったが、練習量や技術面での自信が出てくれば、もっと打席でリラックスして球を見られるようになるだろう。岡田監督の実になんでもないアドバイスが、喜田の大ブレークを呼んでくれると良いなぁ。
自称阪神タイガース評論家様より引用。
toraoさんは文中で、
岡田監督の実になんでもないアドバイスが、喜田の大ブレークを呼んでくれると良いなぁ。
そう書かれているのですが、
大ブレークするような気がぼくもしました。
種類は違いますが、ぼくも職種上、新人指導ということはかなり若い頃からやってきました。
その過程で大事にしてきたことが、
だいたい3つくらいあって、
それは「結果的にできるような道筋に乗せてあげること」と「いったん乗せてあげたらあとは自力でできるようになるまで待つこと」と、もう一つは後で書きたいのですが、
コンビニの仕事なんて、そりゃもうむちゃくちゃ簡単なので、
本気でやれば、1週間毎日来れば、ほぼ全部できるようになります。
でも、彼らの生活はもちろんアルバイトだけではないので、
そんなことはさせたくないし、
なので、「本気でやれば1週間」という仕事を、
出会って間もない年下の弟や妹みたいな青年たちの空気を見ながら、
「だいたいこのくらいの期間かければラクにできるようになるかな」
ってそういう「所要期間」についてはつかめるようになってきました。
で、あとはそれを待つだけ。
のんびりと彼らの話を聞きながら、
次第に「本当に思っていること」を話してくれるようになることが嬉しく、
よく笑い、時に泣き、
そんな職場になってきたかなぁ、と、少し自分の話でした。
もちろんプロ野球はコンビニの仕事よりも遥かに難しい仕事なので、
一朝一夕でどうこうなるものではないでしょう。
しかし、岡田監督のイメージの中に「所要期間」のイメージがはっきりと見えているような気がします。
適材適所の観点から、人を見る目が抜群に長けた岡田監督。
岡田監督の中で「ここまで来れば、あとは待つ」そういうラインが設定されているように思います。去年の鳥谷などはそのラインに到達していたということなんでしょう。
今年の鳥谷に対して「3割20本は当たり前に打てる」なんていっているのも、
その「期間満了」に対する自信なのではないかなぁ。
喜田選手が「自力でできるようになる」という部分で、
岡田監督のイメージを・える「でき具合」を見せ、一定のラインに到達したならば、
きっと待ってくれると、そう思います。
で、最後に指導に当たって大事だとぼくが勝手に思っていることの3つ目ですが、
「これまで二軍で頭角を現しても一軍でガチガチになっていた喜田だったが、練習量や技術面での自信が出てくれば、もっと打席でリラックスして球を見られるようになるだろう。」
「自信」というキーワードに関して。
「自信」というのは、文字通り「これでいいんだ」と自分を信じることなのだと思うのですが、当然誰にとってもそこまでの道のりは長く、とても険しいものだろうと思います。
じゃあ、何ができれば「これでいいんだ」っていう場所に到達できるのかって、
そのことについては考えながら仕事をしてきたのですが、
教える側のできることと言えば、それは、
「していいこと」と「してはいけないこと」がはっきり分かるという安心。
このことを出来るだけ早く、正確に伝えることかなぁと思っています。
たとえばコンビニの仕事で言えば、
「このジュースは入荷当時はよく売れていたけど、ここ数日ぴたっと売れなくなってきたから、別のものに変えたほうがいいんじゃないのかな?入れ替えてもいいのかな?でもぼくはまだ働き始めて3ヶ月くらいだし・・・」
と、アルバイトの誰かが思ったときに、当然ぼくは、思うようにやってみてほしい。
なのでぼくは最初に「万引き以外はだいたい何でもやっていいから、いいと思うことは全部やってください」ということを伝えます。
売り上げが上がると思ってやることに不正解はないですもんね。
その気持ちを持ってくれたことが嬉しいし、
「入れ替えていいすか?」
「いいよ」
という、安心の関係性の中で仕事ができることはぼくにとってもとてもありがたいことなので。
「今働いているアルバイトの人たちは、概ねそういう環境で働いてきた人ばかりやから、
先輩やから、後輩やからってそんなこと思わへんで。来年の自分がそんなこと思うと思う?」
「いや、思いません」
「ほな、どうぞ」
やっていいことが増えた人たちは、やっぱり一つ楽しみも増えてそれが「自信」に繋がってくれたらなぁ、とかそんなことを考えます。
で、前置きが長くなりましたが、
岡田監督の「アッパー気味で振るように」という飛びぬけてシンプルなアドバイスって、
この「やっていいこと」を明確にするという意味において、
とても分かりやすく「自信」に繋がる言葉じゃないかと思ったのです。
岡田監督から喜田選手へのメッセージは、これ以上ないシンプルさの
「おまえは、打て」
そういうことだと思います。
打席でも練習中もいろいろ考えんでいい。
おまえは打ったらええ。
だって打ったら点が入る。
点が入ったら勝てるやろ。
だからおまえは打ったらええ。
ダウンスイングが体に染み込んでいる人というのは、
一般的に、「厳しい環境で野球をしてきた真面目に言うことをきく、素直な選手」という人が多いように感じます。
喜田選手、なんとなくそうじゃないかなぁ、と思うのですが。
「アッパー気味に」
それはスイングの軌道もさることながら、
「もうちょっと力を抜いてさ」
という、実直すぎる喜田選手の心に対するメッセージなんじゃないかと。
同じ意味合いで違う言葉に置き換えれば、
「新庄を見てみろや、あれでもメジャーリーガーやってんで」
とか、こんな感じかなぁ。
「練習でのスイングが完璧であること」と「試合で打つこと」は実はあまりリンクしません。
重要なことは当然「試合で打つこと」であって、
岡田監督は、「試合で打てるように」という道筋に乗せ、今は「打てそう」という状態になっているかそれを見てみようという状態なんじゃないかなぁ。
「打てそう」なら、あとは待ってくれる。
キャンプ、オープン戦での喜田選手。
どこまで「試合で打つ」ことができる可能性を見せられるか。
そのことを楽しみにキャンプインを待ちたいです。
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「自称阪神タイガース評論家」〜雌伏から雄飛!喜田55〜
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