だけど、実現すればプロ野球史上初の出来事だと確信している。
ぼくはスペンサーが大好きだ。
本当に本当に大好きだ。
札幌の横浜線で、スペンサーだけがヒットを打っていた試合の10回に、
ノーアウト一塁で、ノーサインの送りバントを試みたスペンサーが大好きだ。
そして、その送りバントを失敗したスペンサーも大好きだったし、
その後困った顔をして、二三度首を振ったスペンサーも大好きだった。
その打席。
監督に「打て」と言われ、打ちに行って、
ボテボテのピッチャーゴロでランナーを進めたスペンサーももちろん大好きだった。
初球の甘いストレートを見逃すスペンサー。
ヒーローインタビューで桧山を気遣ったスペンサー。
今岡の劇的なホームランの後、あっさり三振してそれをとても悔やんだスペンサー。
6番ライトスペンサー。
歓声が微妙な甲子園。
期待されないスペンサー。
だけどチームが優勝した年に300打席以上も打席に立ったスペンサー。
ライバルは、女性や子どもから絶大な人気を誇る桧山と濱ちゃん。
だからと言って男性から人気があるわけではないスペンサー。
スペンサーは言ったんだ。
「ポジションを獲ることを意識していない。連覇と日本一。そのためにチームに貢献すること」
役割を分かりすぎているスペンサー。
打つことだけが貢献ではない。
「打たない中での貢献」で優勝に貢献した、
「打たなくても貢献できるタイプ」のスペンサー。
上坂、秀太、スペンサー。
だけど打つ可能性は秘めているスペンサー。
これで打ったら、大変大変。
井端クラスのスペンサー。
そんなスペンサーに一ファンとして球団に要望を。
ルールが許すならば、
スペンサーを、
三塁ランナーコーチに!!
もし実現すれば、
おそらく史上初の出来事。(おそらく)
助っ人外国人のランナーコーチ。
他の誰がやっても「遊び」のニュアンスが出るランナーコーチ。
だけど不思議と「本気」が香るスペンサーのランナーコーチ。
甲子園。
最終回、裏の攻撃。同点。
ツーアウト。
ピッチャーは岩瀬。
セカンドランナーは濱中。
岩瀬、渾身のスライダーを、
アニキが軽打のレフト前。
レフトは守備固めの英智。
タイミングは微妙。
ランナーコーチはスペンサー。
「STOP!!!!」
直後に英智から谷繁にストライクの返球。
球場が沸く。
ナイス判断スペンサー。
ツーアウト1,3塁でバッター今岡。
岩瀬対今岡。
一流対一流のせめぎあい。
際どい勝負球、
ストライクともボールともどちらとも判定できるボールが、
ボールとなり四球。
不服そうな、谷繁と岩瀬。
井端がマウンドに駆け寄って一声かける。
満塁。
バッターは今日ヒットの出ていない鳥谷。
悠然と構える落合。
同じく悠然と構えるかに見えた岡田。
しかし、立ち上がり主審を呼ぶ。
ベンチに下がる鳥谷。
そして場内アナウンス。
「バッター鳥谷に代わり、ピンチヒッター、スペンサー。背番号41」
異様に静かな甲子園。
三塁ランナーコーチボックスから、小走りでベンチに戻るスペンサー。
そのスペンサーに秀太がヘルメットとバットを渡し、
そのまま秀太がランナーコーチへ。
満塁。
同点。
サードランナーの濱中がホームインすればサヨナラ。
マウンドに岩瀬。
打席にスペンサー。
その初球。
膝元に投じたはずのスライダー。
手元が狂った岩瀬。
ショートバウンド、
谷繁まさかの後逸。
打席で腕をグルグルまわすスペンサー。
「Come on !!!! Come on !!!! Come on !!!!」
すばやい動きでボールに追いついた谷繁。
ベースカバーに入った岩瀬に返球。
頭から突っ込んでいった濱中。
判定は、
「セーフ!!!!セーフ!!!!」
ホームベース上で抱き合う濱中とスペンサー。
ポジションを奪った男と、奪われた男。
勝利を抱きしめる甲子園。
一ファンの妄想。
本当に見たいシーンはこんなシーンで、
そのためにはどうしてスペンサーにランナーコーチをやってほしい。
半分冗談だけど、半分本当に思ってます。
スペンサーがサインを出すと、チームが勝つ気がするから。
シェーン、今年も頼んだよ。
そんなに大勢じゃないかも知れないけど、
あなたの活躍を楽しみにしているファンは確かにいるんだ。
そしてその活躍はあなたの言うように、
どんな活躍だっていいんだ。
あなたがベンチにいるだけで、チームの力が何割も増す。
シェーン、あなたは本当に凄い選手だって思うんだよ。
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