2007年08月31日

振って振って優勝するんや

先生  「シーツの送りバントのシーンやけどなぁ」
コーチ 「はい」
先生  「結果的に桜井のタイムリーをお膳立てした形になったけどな」
コーチ 「ええ」
先生  「あれ、サインか?」
コーチ 「ちょっと分からなかったんで、画面の監督の顔から察しようと思ったんですけど、たぶん、シーツが自分でやったんちゃうかなぁ?」
先生  「確かに後ろのピッチャー考えたら6回裏は8回裏ともいえるけど」
コーチ 「1点取ったらほぼ勝ちですからね」
先生  「やけど、6回は6回で、まだ相手に3イニング攻撃が残ってるわけや」
コーチ 「ですね」
先生  「これやられたら久保田もジェフも球児もしんどいで」
コーチ 「3イニングを絶対無失点っていう野球になっちゃいますもんね。『結果的に無失点』じゃなくて、無失点しか許されないような窮屈な投球を強いられてしまうとぼくも思います」
先生  「実際昨日はバントしたシーツがタイムリーエラーして一点失ってる。センター前に二本連続ポテンヒットっていう不運のあとでや」
コーチ 「月並みですけど、何が起きるかわからないですからね」
先生  「1アウトで1塁に赤星。打席にシーツ。ここで作戦があるとすれば、盗塁やと思う」
コーチ 「赤星、首の状態もあまり良くなさそうですしそんなにガンガン走れないんでしょうけどね」
先生  「やったら、シーツの二塁打で一点取ろうとするのがベストや」
コーチ 「せや、思いますね」
先生  「もし、あのバント自分でやったんやったらな」
コーチ 「はい」
先生  「厳しい言い方やけどシーツは3番を放棄してるとも言える」
コーチ 「ダブルプレーにならないためだけやったら3番に関本いれてた方がいいですもんね」
先生  「そういう意味合いで3番に関本入れたんやったら、無論あそこはバントやし、初回だってバントや」
コーチ 「『エンドランやるかもよ?』って見せかけてバントとかもできますしね。関本そういうの好きそうやから」
先生  「やけど、シーツは赤星がランナーにおっても初球から打っていっていいことになってるやろ」
コーチ 「見てたらたぶんそういう決まりごとになってますね」
先生  「これは言うたら特権やで。星野さん時代の3番金本にその特権はなかったわけやから」
コーチ 「ですよね」
先生  「じゃあ、この特権はなんとためか言うたら、当然ヒットを打つ可能性を上げるためやと思うねん」
コーチ 「2ストライクまであれこれ作戦の中の打席を過ごして、カウント悪くなったから『打て』言われてなかなか打てるもんやないですからね」
先生  「初球からしっかり打ちにいって3球のストライクの中で勝負できるようにしてるわけや」
コーチ 「ピッチャーからしても、それはそれで簡単にストライク取りにいけないですし、ぼくがピッチャーやってた頃も、迷わず『打ち』って作戦はけっこうイヤでした」
先生  「ただその時に、『打ち』に『迷い』が出るとな」
コーチ 「一転してむっちゃラクですね」
先生  「ダブルプレーを怖がっている時点で打てる範囲が急に狭くなるしな」
コーチ 「だからまぁあの場面も『迷い』があったからバントしたって言うんやったら辻褄が合ってる言うたら合ってるんですけどね」
先生  「だけども、岡田さんが最近再三言うてる『気持ちで打たなあかん』って言うのは、ああいう場面での『迷い』との格闘であったりとかそういうことも含んでいると思うねん」
コーチ 「強くなれ、って」
先生  「あそこでバントしてたら、いつまで経ってもシーツはあんな感じのままやもん」
コーチ 「そんな感じのまま引退してほしくないんですよね」

先生  「逆にな、カープはよう仕掛けてくるわけやけど、仕掛けてくるチームの守りって見てて思ってんけど」
コーチ 「過敏ですよね」
先生  「昨日、岡田さんが一回だけサインらしいサインだした場面が5回裏やった」
コーチ 「葛城が1塁。打席に矢野でカウント2−2でエンドランでしたね」
先生  「やけど、矢野のファールが三塁戦のボテボテのゴロやったことを考えると、ランエンドヒットやったかも知れん」
コーチ 「そうですね。葛城の走力考えたら、けっこうギャンブルですけど。インコースよりにシュート系の球で、エンドランのサインでそれを引っ張るようなことはないでしょうから」

* 野球未経験者の方へ「用語解説」
ヒットエンドラン・・・文中表記は「エンドラン」。投球と同時にランナーがスタートを切って、バッターが打つ作戦のこと。ランナー1塁の場面で使われることが多い。ライト前ヒットで1塁3塁の形を作ることが理想。この際、打者は原則どんな球でも振りに行かなければならないのがエンドラン。ボール球でもボテボテのゴロを転がしてランナーを進めれば良しという作戦。

ランエンドヒット・・・エンドランと似た作戦だけど、微妙に違うのは打者がストライクの球のみを打つ作戦であるということ。ボール球ならば見送る。その際当然「盗塁」と同じことになるので、一塁ランナーの走力があるか、ほぼ確実にストライクを投げてくるだろうという場面でかつコントロールのいい投手の場合しかなかなか使えないサイン。エンドランよりもギャンブル性は高いが、バッターが普通に打ちに行くため、長打が出る可能性もあり、一気に一点が入ることもある作戦。

先生  「用語解説は済んだ?」
コーチ 「はい、済みました」
先生  「確かに、ヒットエンドランとランエンドヒットはややこしいわな。テレビの解説とか平気で注釈なしで喋るけど」
コーチ 「テレビはほんまにその辺、雑やと思います」
先生  「で、話戻すけどな」
コーチ 「はい」
先生  「カープの方がこの矢野のエンドランかランエンドヒットか分からんかってけど、この作戦にやたら過敏になったことが問題やと思うねん」
コーチ 「でしたね」
先生  「黒田対矢野って、阪神ファンが見てても、ちょっと期待できなんなぁ、って感じや。『三振でもいいから気持ちのある空振りで終わってくれ』ってそんな感じやったもん」
コーチ 「でしたね。ところが黒田がそわそわしだすんですよね」
先生  「過敏やなぁって思った」
コーチ 「で、エンドラン警戒してなのか、もう一球シュート系の球を投げて、それがちょっと甘く入ってレフト前」
先生  「矢野がヒットで出塁してしまう」
コーチ 「で、なんかリズムが悪くなった黒田が関本を追い込みながらもカウントを2−3にまでしてしまったり」
先生  「関本はなんでか全然あかんかったからなぁ。初めてちゃんとバット振ったん三打席目やで。一打席目なんか全球見送りの見逃し三振やった」
コーチ 「だけど、一つのエンドランがなんか変な流れを呼びましたよね」
先生  「で、結局関本は三振で、代打の桧山」
コーチ 「黒田も2アウトになってようやく吹っ切れたか、これは見ごたえのあるいい勝負でした」
先生  「際どいコースのフォークボールを桧山が見極めたり」
コーチ 「ストレート待たれてそうな場面でのまっすぐが153キロで桧山がそれに振り遅れてファールとか」
先生  「エース対切り札の真っ向勝負」
コーチ 「結果は黒田に軍配でしたけど、桧山にいたるまでの過程で黒田が疲弊したことは確かですよね」
先生  「で6回のシーツ送りバント、アニキ敬遠。桜井の決勝打へ繋がっていった、と」
コーチ 「阪神ファンから見てると、エンドラン一つで過敏に反応してくれたらむっちゃラクでしたし、桜井と勝負してくれたことで勝機を感じたことは確かでした」
先生  「黒田博樹という物凄い大エースを最大限解放しない敬遠やった気がする」
コーチ 「1点取られたら負けの場面で、ランナー二塁に井端。球児がウッズを敬遠して森野と勝負するようなもんですもんね」
先生  「そういう時は、ウッズと勝負してほしいもん。エースやから」
コーチ 「逆に杉山は全然まだまだエースじゃないですけど」
先生  「ここ一番でええ球投げたよな」
コーチ 「あんだけランナー溜まっても、あんまり失点する感じがなかったです」
先生  「打線になかなか定着しない『振る』が、ピッチャーにはしっかり備わってるんやでな」
コーチ 「『腕を振る』ですよね」
先生  「杉山のここ一番、栗原を三振に取ったストレートとか」
コーチ 「桜井の『まっすぐ』と決めて打ったホームランと『シュート』と決めて打った決勝打」
先生  「その前の赤星の『ゴロ』と決めて打った内野安打も素晴らしかった」
コーチ 「桜井があれだけ振れるのは、もちろん桜井が偉いですけど、振らしてきた岡田体制の賜物という風にも見えます」
先生  「杉山にしてもそうやしな」
コーチ 「確かにそれでうまくいかない日もあるけど、全員が強くそのことをやろうと心がけることができれば」
先生  「そのチームが一番強いと、オレは思う」
コーチ 「その中でのシーツは当然二塁打を打ちまくるシーツなわけですから」
先生  「もし、自分でバントしたんやったら、それで良しとせんといてほしいと思うんや」
コーチ 「もしサインやったとしたら、シーツは相当危機感持たなヤバイですしね」
先生  「あれだけ『打て』っていう監督が、それを諦めたわけやからな」
コーチ 「ピッチャーのストレートと同じでね」
先生  「おう」
コーチ 「ストレートがあるからこその変化球ですもん」
先生  「せやな。『打つ』『振る』がしっかりしてない中の作戦は結果的に自分の首をしめていくことになるとオレも思う」
コーチ 「『打つ』がしっかりしてない中で、バントと内野ゴロで加点して勝っても、それじゃ日本一まで辿り着けへん」
先生  「チーム状態が苦しくなった今やからこそ、『振る』という鍛錬を積むことがチーム力を大きく飛躍させる」
コーチ 「残り30試合。ここから飛躍できるとすればいいタイミングかも知れません」
先生  「シーズン最後の試合終わる時点で最高潮を迎えられるかも」
コーチ 「そのために今、振ってるんですよね」
先生  「赤星、アニキ、桜井、葛城、桧山。試合出てないけど狩野や第二戦見てる限りは高橋もそれができてる。浜ちゃんはできつつある、って感じかな?」
コーチ 「ピッチャーは球児、ジェフ、久保田はもちろん。渡辺、江草、安藤もダーウィンもよかったですし、杉山、能見、ボギー、上園」
先生  「下柳先輩は丁寧に投げようとしすぎてるから、その『丁寧さ』と『思い切り』のバランスを取り戻してからやな」
コーチ 「ですから、その現在『振る』『腕を振る』ができてる人の場所へ、今できなくなってる人たちが必死こいて向かう」
先生  「その間に、林クンも戻ってこれるといいけど」
コーチ 「あの苦しい場所からチームを支えた大きな功労者ですからね」
先生  「最高のチーム状態で林クンを迎えたい」
コーチ 「そして、今岡、福原」
先生  「シーズン序盤から中盤にかけて、狩野を皮切りにガンガン若い選手が出てきたやん」
コーチ 「今年の象徴ですよね」
先生  「そして終盤はベテランが決めるって最高やけどな」
コーチ 「安藤を皮切りに、福原、今岡」
先生  「そこに林クンも戻ってきて」
コーチ 「クライマックスシリーズ」
先生  「そこに向かうための導火線に桜井が点火した」
コーチ 「中堅どころがまずその火を大きくしてほしいですね」
先生  「鳥谷、関本、浜ちゃん、藤本」
コーチ 「ほんでおいしい所を今岡が持っていったら、みんなで殴りましょう(笑)」
先生  「涙の殴打や(笑)」
コーチ 「そしてアニキが宙に舞う」
先生  「そのための苦しい戦いが今、始まって」
コーチ 「ぼくたちはその伝説の証言者となりたい」
先生  「さぁ、こっからやで!!」
コーチ 「久し振りにこれで締めますか」
先生  「せやな」
コーチ 「2007年、阪神タイガース、奇跡の逆転優勝を願って」
先生  「乾杯!!!!!」


クリックでblogランキングへ
posted by コーチ at 09:13| Comment(0) | TrackBack(0) | □監督 岡田 彰布 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

桜井を叫べ

先生  「コーチ!!!」
コーチ 「なんですか!!」
先生  「抱きしめさせてくれ!! コーチのことを桜井やと思って抱きしめさせてくれ!!」
コーチ 「ぼくでいいんですか!! ぼくは桜井でいいんですか!!」
先生  「せや、桜井!!」
コーチ 「はい!!」
先生  「んんんんんん!!! ぁぁああああ!!!」
コーチ 「ぅぅぅううう!!! ぁぁああああ!!!」
先生  「さーくーらーい!!!!」
コーチ 「ドドンドドン!!」
先生  「こーうーだーい!!!!」
コーチ 「ドドンドドン!!」
先生  「さー、CRY!!」
コーチ 「それ、なんですか?」
先生  「『桜井を叫べ』という駄洒落や」
コーチ 「それ、ちょっとようできてるから逆にイヤな気がします(笑)」


先生  「せやけど、桜井やった」
コーチ 「もうほんまに凄まじかったですね」
先生  「先制のバックスクリーンや」
コーチ 「黒田のボールも凄かったですし、ボール焦げそうな打球でしたよね」
先生  「ほんで、打球の凄さも去ることながら、こういうことコーチが言いそうなことやけど」
コーチ 「なんですか?」
先生  「チームの憂鬱をぶっ飛ばしたよな」
コーチ 「確かに」
先生  「序盤から、イヤなムードだらけやったやん?」
コーチ 「でしたね。シーズン前半のタイガースにもう片足突っ込んでましたよ」
先生  「とにかく勝ったし、今日は言おう」
コーチ 「はい」
先生  「まず1回裏の攻撃から」
コーチ 「鳥谷、期待して見てたんですけどね」
先生  「ふつうに調子悪いな」
コーチ 「黒田の初球のワンバウンド。ハーフスイングの空振りしてましたからね」
先生  「ふつうに絶不調なんやろ。まぁ、バードはええんや。打ってほしいけど、憂鬱とはあんまし関係ない」
コーチ 「ですね。ふつうにセカンドゴロに打ち取られました」
先生  「で、赤星やねんけど」
コーチ 「はい」
先生  「赤星は凄く良かった」
コーチ 「一回り強くなったなぁって印象でしたね」
先生  「カウントが0−3になって、逆にヤバイかなぁって思って見てたんや」
コーチ 「分かります。『迷わず、振る』ってことが最も大事なときに、フォアボールゲッター赤星なればこそフォアボールのことがどうしても過ぎってしまいますもんね」
先生  「カウント0−3から一球見て、1−3。次打ちにいけ、絶対ファールにしたらあかん!アウトになってもええから振れ!!」
コーチ 「先生、1回から叫んでましたよね(笑)」
先生  「そしたら赤星、1−3からのまっすぐをセンターに弾き返したんや」
コーチ 「気持ちが入れば入るほど逆に打てなくなるイメージだった赤星ですけど」
先生  「よう打ったなぁ。。」
コーチ 「ところが」
先生  「シーツが初球のシュートにまんまと詰まってゲッツー」
コーチ 「交流戦までの阪神に戻りかけてました」
先生  「気持ちはあるねん。やけど『絶対打ったる』があまりに先行してしまうと、あんな簡単な配球にまんまとやられてまう」
コーチ 「紙一重なんですけどね」
先生  「シーツに出してほしい根性は赤星とは全く逆でな」
コーチ 「はい」
先生  「あの場面で『外に逃げる球を待つ』という根性や」
コーチ 「スライダーを待ってライトに向かって思いっきり振る。100点が右中間を抜くあたり、打ち損じてもライト前のポテンがあるかもしれない。仮にライトフライやファーストフライでもアニキまでまわる」
先生  「これは結果論やないでな。散々こんなシーン見てきてるわけやから、ダブルプレーを避けるのって消極的なやり方ばっかりやない。スライダー待って思いっきり右向いて打つのは十分に気持ちのある打撃やと思うもん」
コーチ 「それができるはずの選手ですからね」
先生  「赤星が走るまで待ったりとか、そういう気配りまでできる状態やないから、そんなことは言わん。ああいう場面はとにかく右向いて思いっきり振ってほしい」
コーチ 「とにかく、1回裏の攻撃は赤星が完璧な出塁をするも、シーツがストレート狙ってるのバレてシュートに詰まってセカンドゴロ併殺という最悪のスタートだった、と」
先生  「そして、悪い流れに拍車をかけたのが」
コーチ 「矢野でしたね」
先生  「矢野ファンの女性方には申し訳ないけど」
コーチ 「こういう流れになった時の矢野はほんまにダメな日があるんですよね」
先生  「それが今日やった」
コーチ 「杉山の今日のいい球はストレートとシュート。初回にアレックスに投げたシュートや、新井に投げたストレートはむちゃくちゃ良かったです」
先生  「チームの状態もあるし、なんとか守備から乗っていきたかった2回の表やったわけで」
コーチ 「勢いつけるなら、当然ストレートでガンガン押していくべき場面やったと思います」
先生  「杉山はそれだけの球投げてるように見えたしな」
コーチ 「ところが先頭の栗原に対して、何か『かわしていこう』という乗れないリードを始めました」
先生  「結果は栗原が打ち損じてくれてセンターフライ」
コーチ 「さぁ、仕切りなおしという前田の打席で初球ストレート。これがまた低目のいい球で、よっしゃーって感じやったんですよね」
先生  「結果的にその球と同じ軌道からフォークボール落として引っ掛けさせてファーストゴロや、完璧な内容やった」
コーチ 「で、次の嶋にセンター前打たれたのもまぁ、際どいとこついてカウント悪くなってしまったからしゃあない感じでそれほど問題はないと思ったんですが」
先生  「2アウトで8番の倉。問題の場面や」
コーチ 「『2回を9番まで回さない』守る上での鉄則ですから、ここは倉をしっかり打ちとって、流れを阪神に持ってきたかった場面」
先生  「今日の杉山の球威やったら、十分に打ち取れたはずやった」
コーチ 「でも矢野がなぜかかわしにいこうとするんですよね」
先生  「初球、二球目ともにスライダーが外に外れて0−2」
コーチ 「で、ストライク取りに行ったストレートをセンター前に打たれて黒田まで回してしまった」
先生  「何か後手後手に回っているって印象やねんな」
コーチ 「杉山は矢野のサインに全く首を振る気ないですけど、正直投げたいタイミングで投げたい球種じゃなかった感じはありましたよね」
先生  「チームの調子ええ時は、素晴らしいリードしはんねやけどなぁ」
コーチ 「黒田の当たりも危なかったですしね」
先生  「杉山とシーツの間にボテボテのゴロが飛んで、一瞬どっちも捕りに行かんかったからな。緩慢に見えたけど、溌剌さを生むような配球でなかったことは確かやと思う」
コーチ 「ただ、今日は杉山が矢野を救いましたよね」
先生  「せや、よう投げた」
コーチ 「杉山直久というピッチャーが、なんとかかんとか現在ローテーションの中で投げられているのは、もちろん矢野が育てたからというのももちろんあるわけで」
先生  「育ての親の矢野がアカン日に、杉山がそれを救う」
コーチ 「いい流れになってきたようにも見えました」
先生  「先にそっちの話をするとな」
コーチ 「はい」
先生  「3回表は1アウトから東出に内野安打で出塁を許すとっからピンチになったけど」
コーチ 「そうでした。インコースのストレートに詰まってヒットコースに飛んでいった当たりでしたね」
先生  「追い込んでから、明らかに東出はファールを打ちに来てたわけや」
コーチ 「ですね。赤星のそういう時とそっくりでした」
先生  「実際4回の赤星の打席で黒田はカウント2−3から外のストレートかシュートで空振り三振取ったんやけど」
コーチ 「ええ」
先生  「追い込まれてカットしに来てる東出に対しては、やっぱ外やったと思うねん」
コーチ 「低目のフォークボールをファールさせて、その後、低目のストレートを見逃し三振っていうのが理想ですよね。赤星の三振もこういうのが多いですし」
先生  「やけど内側に投げさせて詰まってヒットになった」
コーチ 「もちろんアンラッキーな要素もありますが、ベストの選択とは思いにくかったですよね」
先生  「で、アレックスに対して、一打席目のシュートがあまりに良かったから、その残像でスライダー使うならあの初球やったと思ってんけど」
コーチ 「またシュート、シュートで甘く入ってレフト前」
先生  「あそこは、杉山がちょっと無理して投げてる感じが出たかなぁと思った」
コーチ 「確かにそうでした」
先生  「やけど、矢野のいいところは」
コーチ 「はい」
先生  「ピンチになったら開き直っちゃったりするところやねんな。それが結構いい結果になったりする」
コーチ 「そういうとこありますよね(笑)」
先生  「1アウト1塁2塁で栗原。初球、シュートでファール打たせて、あとは全部ストレートで空振り三振」
コーチ 「特に三振取った最後の球は、今日の杉山のベストボールでした。黒田に劣らない素晴らしい速球でした」
先生  「で、2アウトになって、一番イヤな2000本安打目前で充実しまくってる天才前田」
コーチ 「相手は天才ですからいろいろ考えてもしゃあないんですけど」
先生  「ちょっといろいろ考えてたよな(笑)」
コーチ 「やけど、前田の方が予想以上に最初の打席の凡退を引きずってくれてたみたいで、初球の甘いシュートを見送ってくれたんですよね。助かりました。フォークボール待ってたんですかね?」
先生  「たぶん、そんな感じやったけど」
コーチ 「でまぁ、なんとかレフトフライ。アニキ、ナイスキャッチで、なんとかピンチを凌いだ、と」

先生  「で、4回もそんな感じが続くんや」
コーチ 「果てしなくピンチの連続でした」
先生  「7番からやったから、『三者三振!!』みたいなことも十分考えられて、そういうのを狙っていい場面やったけどな」
コーチ 「先頭の嶋をスライダー、スライダー、まっすぐでサードフライ。無難に打ち取ります」
先生  「悪くはなかった」
コーチ 「でも、また倉のところなんですよね」
先生  「初球のスライダーかカーブか、狙われて2ベース」
コーチ 「ピンチで栗原にした投球をすれば絶対打ち取れるやろうに、なんでか倉をかわしにいこうとする矢野」
先生  「裏目に出てたよなぁ」
コーチ 「で、黒田にあっさり進塁打打たれて2アウト三塁」
先生  「梵、東出と続くところ内野安打でも一点やし、イヤな雰囲気あったよな」
コーチ 「さらに梵が、内側のシュートに微動だにしなくてね」
先生  「正直ヤバイと思った。ボールがよう見えてる雰囲気があってんな」
コーチ 「ところが、ここで杉山がファインプレーでした」
先生  「たぶん、梵の感じを察したんやろうけど、自ら歩かしたように見えた」
コーチ 「際どいところついていくよりも、もう、ボール球投げてる感じでしたもんね。インコースのボールばっかりやったから敬遠じゃなかったと思うんで、たぶんあれは杉山の意思やとぼくも思いました」
先生  「で、東出勝負」
コーチ 「カープサイドから見れば、チャンスに東出」
先生  「阪神で考えると、チャンスで赤星という場面やと考えると、ここは力勝負でこられるんが一番イヤやねんよな」
コーチ 「初球からはあんまり狙わないですから、追い込まれてガチッて音のセカンドゴロで赤星俯きながら走ってる姿とかよくありましたよね」
先生  「だから、こここそ力勝負と思ったけど、矢野はまた初球に変化球やった」
コーチ 「そういう場面でかわしにいってなかなかストライク取れないですよ。杉山は下柳先輩とは違うピッチャーですから」
先生  「ほんで0−2になって、ストレートやったけど」
コーチ 「東出が力負けしてショートゴロ」
先生  「ここもなんとか杉山が踏ん張った場面やったな」

コーチ 「しんどいけど5回もいきますか?」
先生  「失点したイニングやな」
コーチ 「アレックスをサードゴロで1アウト。これは良かったんですよね」
先生  「ほんで、新井にホームラン打たれたらあかん丁寧なフォアボールこれもまぁ良しや」
コーチ 「ところが次の栗原の場面で」
先生  「また矢野や」
コーチ 「エンドランあるかも知れない、ってバッテリーも警戒してたんですよね。牽制とか挟んで」
先生  「タイガースやったらアニキが一塁で林クンとか桜井でエンドランは絶対ないけど、ブラウンさんはそういうことやってくる人やからな」
コーチ 「まったく無警戒やったらまだ分からんこともなかったんですけど、『エンドランあるかも?』って場面で投げた球が、真ん中高目のストレート」
先生  「エンドランのサイン出てる時にこれ以上ない打ちやすいコースと球種やった」
コーチ 「エンドランの時は絶対空振りしたらあかんから、ストレートにタイミング合わせるじゃないですか。しかも最悪ボテボテのゴロでもいいから、ポイント前にして、さらに右向いて打つわけですから、あのコースほど打ちやすいコースはないわけですよね」
先生  「そういう体制でバット出したら、セカンドの頭にライナーが行くんよな」
コーチ 「矢野がもちろんそのことを知らないわけはないですから、要するに『あるかも』と思ってるだけで『でも、ないと思う』っていう中途半端な姿勢やったように思うんです。初戦のダブルスチールの時も感じましたけど」
先生  「あの時もなんとなくセカンドに投げてしまったもんな」
コーチ 「エンドランを警戒するなら、一球外したっていいわけで、新井の足を考えれば、スライダーで空振り取って盗塁決められる可能性もそんなに高くない」
先生  「真ん中高目のまっすぐは、あかんかったなぁ。。」
コーチ 「で、1アウト1塁3塁」
先生  「前田の当たりはいい当たりやったけど」
コーチ 「葛城の正面で、だけどファーストミットからボールが出なかった」
先生  「この間の藤原もそうやけどあれはまぁしゃあないよな」
コーチ 「ヒットにならなかったことが御の字と」
先生  「ほんで、嶋にスライダーを大飛球」
コーチ 「桜井、よう捕りましたよね」
先生  「解説やった福本さん、走塁と守備の話になると急に厳しくなるから、捕って当たり前みたいに言ってたけど、あれは超ファインプレーやでな。赤星を基準に考えたらあかんわけで、あれは桜井ほんまによう捕った」

コーチ 「ほんまに今日は、杉山が矢野を救った超ナイスピッチング
やと思いました」
先生  「これをきっかけに矢野が復活してくれることを願うばかりや。明日から頼んだでー!」

コーチ 「で」
先生  「せやな」
コーチ 「桜井のホームランと、決勝タイムリーは」
先生  「こんなにも大きな憂鬱をぶっ飛ばした、とてつもなく大きなバッティングやった」
コーチ 「その後もシーツや、藤本のエラーもあったし」
先生  「まだまだ時間かかりそうやけども」
コーチ 「とにかく桜井がチームを救った」
先生  「ホームランはストレートを」
コーチ 「三塁打はシュートを」
先生  「それぞれ、一点の曇りも無く、『来るはずや』と信じてバットを出して行った桜井」
コーチ 「今こそ必要なことは、その曇りのなさなはず」
先生  「岡田さんが頑なに策を講じず『打て』を繰り返すのは」
コーチ 「この曇りの無さをチーム全体で共有できることが一番強いと信じてるから」
先生  「だから打て、信じて振り抜け」
コーチ 「まずはそれを最も経験の少ない桜井が体現してみせた試合」
先生  「鳥谷はバット振りまくって調子を取り戻せ」
コーチ 「シーツは右向いて思いっきり振る」
先生  「打席での矢野は打てなくてもいいから粘り強さを」
コーチ 「関本はもっと自信持っていいんやで」
先生  「最も憂鬱に陥りやすいタイプかに見えていた赤星は強い気持ちでそれを克服して見せたやないか」
コーチ 「関本は赤星の姿を見てたはずです」
先生  「葛城も守備のミスを取り返そうと必死になって力みそうなところ、なんとか踏ん張って逆方向に二本ヒット打ってる」
コーチ 「シーツに一番必要なことを葛城が体現してくれました」
先生  「たとえ打てなくてもアニキはやっぱり簡単にアウトにならん」
コーチ 「矢野の打席にその姿を」
先生  「そうやって、何かが動き出した今日」
コーチ 「桜井がぜんぶまとめて『勝利』へ導いた」
先生  「久保田は不運な面が重なったけど、DJFKは今日もナイスピッチング」
コーチ 「一度完全にはまってしまったから完璧な試合はなかなかできないかも知れないけど」
先生  「こういうゲームを続けていくうちに、一人また一人と蘇生していけばな」
コーチ 「シーズンが終わる頃に最高潮が来るかもしれない」
先生  「桜井そのきっかけを作ってくれた」
コーチ 「だから今日は桜井と叫ぼう」
先生  「そこからまた、始まるんや」


クリックでblogランキングへ
posted by コーチ at 00:47| Comment(2) | TrackBack(1) | □ 桜井 広大 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月30日

今こそ鳥谷、1番鳥谷。

先生  「ジャーン!」
コーチ 「先生、背中のそれはなんですか?」
先生  「作ってみました」
コーチ 「羽、ですか?」
先生  「せや、羽や。徹夜で作った。鳥になるためや」
コーチ 「大事な試合で阪神負けて頭おかしなったんちゃいますか」
先生  「アホ! まだまだ正気や。これは応援グッズや」
コーチ 「応援グッズ?」
先生  「オレが鳥になって応援することによって鳥谷が打てるという思考に基づくものや」
コーチ 「物凄く的外れやと思いますけど」
先生  「くちばしもありまーす♪」
コーチ 「ごきげんですねぇ(笑)」

先生  「なぁ、コーチ」
コーチ 「はい」
先生  「昨日、2番に入った関本が4本もヒット打ったんや」
コーチ 「ですねぇ」
先生  「やのに点が入らへん」
コーチ 「はい。ふつう2番があれだけ打ったら得点できますもんね」
先生  「せやねん。もちろん得点できひん原因は1番と3番が打ってへんからやねんけども、特に問題は1番や」
コーチ 「鳥谷ですね」
先生  「せや。やけど鳥谷は1番であるべきやとおれは思うねや」
コーチ 「何ででしょう?」
先生  「鳥谷はチーム状態にあまり影響されへんからや」
コーチ 「なるほど」
先生  「22安打打った巨人戦で唯一無安打やったんが鳥谷やったやろ?」
コーチ 「そうでしたね」
先生  「やけど、神宮で7点差ひっくり返した時、7対2にするホームランを打ったんも鳥谷やった」
コーチ 「でした、でした」
先生  「良くも悪くも鳥谷は物凄く安定感があるんや」
コーチ 「ですね。タイガースの選手、今岡を始め不安定な人多いですからね」
先生  「せやねん。まぁ、そこが魅力でもあるんやけど、今は正直、鳥谷に頼りたいんや。チームがこう、何かどうしようもないところに陥りそうなときにな、そこから救ってきたんはいっつもアニキやった」
コーチ 「そうでした」
先生  「ところが、今のアニキは芯に当たっても、ほんまに完璧じゃないとライトを越えへん」
コーチ 「甲子園ではなおさらですよね。球場広いし、風は逆やし」
先生  「だから、アニキはバントを試みてしまったりするわけで、やっぱりアニキにそんなことさせたらあかんって思うんや。アニキは犠牲フライを打ち上げればいい場面やったら、きっと外野フライを打てる」
コーチ 「そういう状況を作るためにはやっぱり」
先生  「鳥谷が打たなあかん」
コーチ 「おっしゃるとおりです」
先生  「鳥谷はチーム状況と比例して不調ではないと思うんや」
コーチ 「はい」
先生  「自分の不調がたまたまチームの不調と重なっているだけ」
コーチ 「なるほど」
先生  「だから、こういう状況下でたぶん赤星なんかは『必死にくらいついていく』とかいう気持ちになると思うねん。もちろんそれは素晴らしいことや。やけど、その気持ちが結果に直結しやすいかって言うと必ずしもそうではない」
コーチ 「ですね」
先生  「一番大事なことは『ふつうであること』や。赤星みたいな選手はそれを獲得するために『必死にくらいつく』を通る過程が必要で、その様はもちろん美しい。やけど、鳥谷にその過程は必要ない」
コーチ 「だから、今日からでも打てる、と」
先生  「せや。ちょっと厳しいこと言うと、こういう時に打つために全試合出てるとすら思う」
コーチ 「ぼくも、そう思います」

先生  「最終回の葛城の打球。いい当たりやったやん」
コーチ 「はい」
先生  「でも、抜けへんかった。もちろん前田のファインプレーやったけど、やけど、あれがヒットにならへん」
コーチ 「その前の浜ちゃんの打球もそうでしたね」
先生  「で、その前の回に久保田が尾方にライトオーバー打たれたやろ」
コーチ 「いいバッティングでしたね、あれは」
先生  「なんで尾方の打球はライトを越えて、葛城の打球はレフトを抜けなかったかという問題やねん」
コーチ 「はい」
先生  「それはやっぱり、ほんの僅かな『迷い』やと思うんや。もっと言うと『ちょっとだけ他のこと考えてしもうてる』」
コーチ 「集中しきれてないんですよね」
先生  「投げる、打つ、捕る、走る。このことだけに集中できてたら起きひんプレーが随所にあった」
コーチ 「昨日のシーツのエラーとか、初戦の矢野がダブルスチール決められてとこもそうでしたね」
先生  「どっかで他のこと考えてしもうてる感じやねん」
コーチ 「やけど、そうではないプレーもありました」
先生  「安藤のピッチングとか、桧山のフォアボール、高橋のファインプレーとか、ああいうプレーは集中しきってなできひんと思う」
コーチ 「尾方のバッティングにはそうだったと」
先生  「せや思うねん」
コーチ 「迷わず、振る」
先生  「今、一番大事なことはそのことやと思う」
コーチ 「で、ぼくらは信じて応援する、と」
先生  「あれこれ考えたってしゃあない。巨人はグライシンガー攻略するために、阿部やスンヨプが送りバントしてたみたいで、それはそれでええけど」
コーチ 「原さんらしいですよね」
先生  「岡田阪神はそもそもそういう野球やないんやから、『打つ』ということを迷った時点でTHE ENDなんや」
コーチ 「せや、思います」
先生  「先頭の7番矢野が出塁しました。関本が打っていって粘ったけど際どいコースをストライク言われて三振しました」
コーチ 「ありそうですねぇ(笑)」
先生  「続くピッチャーのところで送りバントのサインやったけど、大事にやろうとしすぎて送れませんでした」
コーチ 「リアルです」
先生  「2アウトランナー1塁。打席に鳥谷」
コーチ 「鳥谷が1番におる意味がここにこそあるんですよね」
先生  「非常に重苦しい、ここで打てなかったら無得点やわ、流れも相手にいってしまうわという非常に重要な局面で」
コーチ 「はい」
先生  「右中間に二塁打打って一点取るんが鳥谷の仕事や」
コーチ 「重苦しさを感じにくいからこそ」
先生  「打てる可能性がある」
コーチ 「そうやって、鳥谷がなんとかして勝ち星を拾っていければ」
先生  「赤星をはじめとする、むちゃくちゃ真面目で感じやすい人たちが『ふつう』を取り戻し始めるはずや」
コーチ 「その時は林クンも戻ってくるでしょうし、ならば再浮上は十分にある、と」
先生  「今岡もやしな」
コーチ 「ですね」
先生  「で、そもそも、そういうチーム状態にならんことには、3位までに残ってもどうもこうもできひんしな。間違って日本シリーズ出れたとしても交流戦の二の舞やで」
コーチ 「優勝して、日本一になるために今戦ってるわけですからね」
先生  「『迷わず打つ』今はそれをもう一度獲得できるように頑張るだけや」
コーチ 「そのために鳥谷」
先生  「打ってくれー!!!!」
コーチ 「先生、羽が舞うから、羽ばたかんといてください!!!!」


クリックでblogランキングへ
posted by コーチ at 11:00| Comment(3) | TrackBack(0) | □ 鳥谷 敬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月29日

もっと愛し合いましょ♪

先生  「渡瀬マキさんは、かわいいなー!!」
コーチ 「昨日、甲子園来てはりましたね」
先生  「球児の応援やな」
コーチ 「12回裏まで見てはったみたいですよ」
先生  「渡瀬マキさんはかわいいなー!!」
コーチ 「分かりましたよ。先生、前から好きでしたもんね」
先生  「もっともっと♪ もっと愛し合いましょ♪」
コーチ 「転調の部分から歌わないでください」
先生  「もうな、アレは男の夢や」
コーチ 「何がですか?」
先生  「渡瀬マキさん、球児が出てくる時に、目を潤ませながら体の前で手を組んで、ちょっとお祈りしてるみたいやったやろ?」
コーチ 「はい『頑張って、球児君』みたいな」
先生  「あれこそ男の夢や!」
コーチ 「まぁ、言いたいことは分かります」
先生  「そこでや」
コーチ 「どないしたんですか?」
先生  「オレもな」
コーチ 「はい」
先生  「授業で教室に入るときのテーマソングをリンドバーグの曲にしようと思う」
コーチ 「登場にテーマソングのある教師なんて聞いたことないです」
先生  「そしたら、きっと渡瀬マキさんは授業参観に来てくれるはずや」
コーチ 「無茶言ったらダメです」
先生  「目を潤ませてやで、『先生、授業頑張ってください』『はい、頑張ります!!!!!』」
コーチ 「ちょっと、目ぇイッてますよ。頷いてるのか痙攣してるのか分からない状態になってます。てか、だいたい教師が授業始めるのに教室入ってくるシーンのどこに感動のポイントがあるんですか」
先生  「前の日は学校休むんや」
コーチ 「え?」
先生  「休んで、100km離れたところからマラソンを始める」
コーチ 「何考えてるんですか」
先生  「果たして先生は、授業開始に間に合うのか!!」
コーチ 「仕事なんですから普通に出勤するべきやと思いますよ」
先生  「足の裏のマメが潰れるも、それを懸命にこらえて前へ足を進める先生」
コーチ 「もう、分かりましたよ」
先生  「さぁ、先生もう少しだ、頑張れ! 頑張れ先生!!渡瀬マキさんが待つ教室まで… 残り2分でチャイムがなってしまう。モニター越しに声援を送る、生徒たち」
コーチ 「なんで中継までされてますの」
先生  「さぁ、先生校門を入った。足を引きずりながら廊下を一歩、二歩と。さぁもう少しだ。先生頑張れ!先生頑張れ!! 渡瀬マキさんも目を潤ませながら『先生、頑張って!!』」
コーチ 「そんなことに巻き込んだら失礼です」
先生  「朦朧としながら、慣れしたしんだ教室を確認する。もう少しだ。ドアに手をかけ、ガラガラガラ、ドアが開いた瞬間!! エーブリリトゥーシング♪」
コーチ 「もういいです!!」
先生  「さくらーふぶーきのー♪」
コーチ 「そっちも歌うんですか!!」

先生  「まぁ、半分は冗談やけど」
コーチ 「どこの半分を本気と取ればいいのか分かりません」
先生  「昨日は正直、勝てた試合やった」
コーチ 「急に、野球の話になった」
先生  「安藤も帰ってきたやん」
コーチ 「素晴らしかったです」
先生  「しかも渡瀬マキさんがお見えになってた試合や」
コーチ 「先生、ちょっと天覧試合みたいなノリですね(笑)」
先生  「勝ちたかった。昨日は勝ちたかった」
コーチ 「確かに」
先生  「でもな、優勝できひんチームは必ずこういう試合を落とすんや」
コーチ 「勝てる要素ばっかりの試合ですよね」
先生  「月並みやけど『負けなかった』のは大きい」
コーチ 「ですね」
先生  「で、こういう試合の後大事なことは」
コーチ 「はい」
先生  「渡瀬マキさんが、歌の中で言ってはる」
コーチ 「もっと愛し合いましょう」
先生  「林クン、林クン打たれへんくても好きや!!むっちゃ好きやー!!!!!」
コーチ 「金本さん、ありがとうございます!!いっつも、むっちゃありがとうございます!!!!」
先生  「というような気持ちを強くもてたら絶対打てる。昨日やって紙一重なんや。なにかがチグハグになってるだけや。それを繋ぐものは」
コーチ 「愛、ですね」
先生  「もっともっと」
コーチ 「もっと愛し合いましょう!!」

クリックでblogランキングへ
posted by コーチ at 11:15| Comment(6) | TrackBack(1) | □ 安藤優也 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月27日

秋に

先生  「ナゴヤドームで一勝二敗」
コーチ 「でしたね」
先生  「はぁ。。。」
コーチ 「特に、昨日の負け方はしんどかったです」

先生  「だけど!!」
コーチ 「そんな時は!!」
先生  「イエーイ!!」
コーチ 「イエーイ!!」
先生  「想像してみようのコーナー!!」
コーチ 「よーし、張り切って想像するぞ」

先生  「準備はよろしいですか」
コーチ 「はい」
先生  「しっかり目を閉じてくださいね」
コーチ 「はい」
先生  「想像してください!!」
コーチ 「はい」
先生  「球児、涙のヒーローインタビュー」
コーチ 「ちょうど、一年前でしたね。。。」
先生  「あれから怒涛の快進撃やったんや」
コーチ 「タイガースには、藤川球児がいるんです」
先生  「想像してください!!」
コーチ 「はい」
先生  「その球児に、駆け寄っていく矢野の笑顔」
コーチ 「笑ってますねぇ。。」
先生  「ものすご笑ってる」
コーチ 「球児は、ちょっとだけ遅れて」
先生  「笑うねん」
コーチ 「おっしゃー! 元気出てきた」
先生  「どんどん行くで!」
コーチ 「はい!」
先生  「想像してください」
コーチ 「はい!!」
先生  「お風呂に入っている、岡田監督」
コーチ 「先生!!」
先生  「なんや?」
コーチ 「なんや、やないです。想像するものに一貫性がなくなりました」
先生  「あ!」
コーチ 「あ! や、ないです。ちゃんとしてください」
先生  「お風呂を洗ってる岡田監督の間違いやった」
コーチ 「どっちでも一緒です! そのシーンを想像しても元気でないです!!」
先生  「分かった」
コーチ 「しっかり頼みますよ」
先生  「ではいきます」
コーチ 「はい」
先生  「想像してください。身長が5メートルになった、岡田監督」
コーチ 「先生!!」
先生  「ちょっと面白かったやろ?」
コーチ 「ちょっと面白かったですけど、それではダメです。ぼくは元気になりたいんです。巨大な岡田監督を想像しても元気でないです」
先生  「感動系?」
コーチ 「そうです。最初の方のやつはけっこう良かったんですよ」
先生  「分かった分かった、ほな感動系、いくで」
コーチ 「頼みますよ」
先生  「想像してください」
コーチ 「はい」
先生  「・・・・・・」
コーチ 「先生?」
先生  「・・・・・・」
コーチ 「先生、どないしたんですか? 泣いてるんですか?」
先生  「想像してもうたんや」
コーチ 「何を想像したんですか?」
先生  「秋にアニキが胴上げされてるとこや」


クリックでblogランキングへ

posted by コーチ at 12:38| Comment(10) | TrackBack(0) | □ 金本 知憲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月25日

どどんどどん♪

先生  「そういや、ドラゴンズはな」
コーチ 「はい」
先生  「こいつ、と決めたピッチャーを打ち込むことがすごいうまいチームや」
コーチ 「確かに、ターゲットは逃しませんよね」
先生  「去年まではそれは井川の役割やった」
コーチ 「ローテーションの軸におる選手を狙うんですよね」
先生  「とにかく井川が狙われとった。対井川はドラゴンズしか持っていない情報がある雰囲気してたし」
コーチ 「ターゲットにされてボコボコにされる試合もようありました」
先生  「だけど、井川がターゲットであり続けたことによって、その他の投手で勝てる試合もあった」
コーチ 「一昨年はそれが顕著で、ドラゴンズとの三連戦は初戦の井川で落として、福原、下柳、安藤の誰かで残りの二試合を勝つ三連戦が多くありました」
先生  「今年はそれが下柳先輩に代わったんやろな」
コーチ 「一年通しての軸は、もちろん下柳先輩ですからね」
先生  「そこで軸を痛めつけられて耐えられるかどうかの勝負や」
コーチ 「昨日は、なんとか耐えましたよね」
先生  「渡辺がとても良かった」
コーチ 「こういう試合、中日戦の中でよくある感じはしたんです。序盤で大量失点して、えらいことになるかなぁ、と思ったら、中盤から終盤にかけて沈静化して、なんとなく静かに終わってしまう」
先生  「で、仕切りなおしの第二戦でアニキがホームラン打って勝つんや」
コーチ 「ほんで、流れに乗って第三戦。ピッチャーが好投して逃げ切り。終わってみれば2勝1敗。みたいな」
先生  「だといいなー!!」
コーチ 「そうだといいなー!!」
先生  「どどんどどん♪」
コーチ 「今日勝ちたい♪」
先生  「どどんどどん♪のーうーみー♪」
コーチ 「どどんどどん♪りんーくーん♪」
先生  「どどんどどん♪」
コーチ 「どどんどどん♪」

先生  「なぁ、コーチ」
コーチ 「はい」
先生  「今の、完璧な呼吸でどどんどんに入れたな」
コーチ 「そうですね」
先生  「だから、今日は大丈夫や!!」
コーチ 「それとこれとは関係のないことです(笑)」
先生  「桜井の併殺打ゼロへの挑戦も終わってしまったけど」
コーチ 「その挑戦のこと、あまり取り上げてもらえなかったですけどね」
先生  「ここに来て、初併殺は立派のひとことや」
コーチ 「たしかに」
先生  「林クンも鳥谷も、大量点の終盤しっかり打席をおくれてたし」
コーチ 「ドラゴンズはジャイアンツ戦の初戦をとった後、連敗しているわけで」
先生  「そのジャイアンツも昨日カープに信じられへん負け方したし」
コーチ 「ならば」
先生  「今日は」
コーチ 「どどんどどん♪」
先生  「アーニーキー!!!!!!!」

クリックでblogランキングへ

posted by コーチ at 08:23| Comment(2) | TrackBack(2) | □ 桜井 広大 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月24日

関本が示した

先生  「ブラジルはサッカーやろ」
コーチ 「確かに」
先生  「サッカーじゃなければバレーボール」
コーチ 「バレーも強いですよね」
先生  「その中で野球をやっている人を、オレはむっちゃ好きや!」
コーチ 「おまえなんでそんなスポーツやってるねん、とかブラジルにおった頃言われたこともあるでしょうね」
先生  「そもそもそれはスポーツなのか?」
コーチ 「小さいボールを長い棒で打つようなスポーツ、オレは認めないね」
先生  「てゆうか、お前のやっているのは、攻撃の時に座っているスポーツなんだろ?」
コーチ 「とんだお笑い草だぜ」
先生  「と、ブラジルではバカにされたかも知れん」
コーチ 「はい」
先生  「ユウイチ!! おめでとう!!! ナイスバッティングやったで!!!!」
コーチ 「8年くらい前でしたっけ? 野球留学生として日本にやってきて、ファームで実績を残すものの」
先生  「ちょうど一軍が見えてきた頃にはペタジーニとかおったしな」
コーチ 「外国人枠の関係でなかなか一軍に呼ばれない」
先生  「ほんで、3年前に日本国籍取得して、そこそこ一軍で出場機会もできてきて」
コーチ 「やけど、去年ヘルニアで一年間を棒に振り」
先生  「勝負の今年、キャンプ中に靭帯断裂」
コーチ 「やっと治って、二軍の試合でたら、指骨折」
先生  「そういう経緯で昨日登録されて」
コーチ 「6打点の大暴れ」
先生  「もう、昨日はなぁ」
コーチ 「はい」
先生  「松元・ユウイチ・ダニエル選手の、野球選手人生を大きく左右する日やったということで」
コーチ 「杉山にはまだまだチャンスがあるでしょうし」
先生  「ユーイチおめでとう!でいいと思う」
コーチ 「月並みですけど『悔いのないように』って感じで、もともと思いっきり振る選手だった印象ありますけど、昨日は第一打席からもう、物凄い振ってましたもんね」
先生  「高校野球の大差で負けてるチームの、最終回に代打でおく
られた背番号二桁の三年生みたいな」
コーチ 「一打席目と、桟原から打ったタイムリーは凡打と紙一重の打球でしたけどね」
先生  「そうやって振ってるとセンターに抜けるんやろう、きっと」
コーチ 「というわけで、昨日はユウイチおめでとうDAYですよね」
先生  「それでいいと思う」
コーチ 「スワローズはこれから、ベイスターズ三連戦、そのあと巨人と当たりますから、そこでユウイチが大暴れしてくれたら非常に嬉しいです」


先生  「ところで、負けたよな、やっぱりそれは悔しいな」
コーチ 「はい、悔しいです」
先生  「もう、古田の執念やな」
コーチ 「グライシンガー中4日。9回も7点リードで林クンに対して高井をワンポイントで使ってましたし」
先生  「地元で散々な三連敗は絶対できひん。絶対勝つんやという強い姿勢が一矢報いる形となった」
コーチ 「でも、昨日の収穫はですね」
先生  「おう」
コーチ 「グライシンガーを打てるかも、という雰囲気が打線の中に出たことやと思います」
先生  「せやな、これまで手も足も出えへんという試合ばっかりやったけど」
コーチ 「5回でしたね。矢野からの攻撃でした。やっぱり中4日っていうのも少し影響したんじゃないかなと思ったんですけど、制球が微妙に乱れてきました」
先生  「ここで矢野がボール球振らんと、しっかりフォアボールで出塁するんよな」
コーチ 「はい。で、続く関本がお見事でした」
先生  「追い込まれてから、ストレートとチェンジアップのちょうど真ん中のタイミングくらいで待ってる感じやと思った」
コーチ 「ほんで、それを全部ファールしていった関本」
先生  「カウント2−2からのスライダーやったよな」
コーチ 「そうなんですよ。グライシンガーとしては本当に珍しい抜けた変化球。あれ、体の近くまで外れちゃったからボールでしたけど、真ん中にスーッと入ってくるスライダーになった可能性も十分にあるボールでした」
先生  「真ん中入ってきてたら関本、2塁打打ってたもんな」
コーチ 「おそらく。そういうタイミングで待ってましたから」
先生  「で、カウント2−3になってから」
コーチ 「ストレートを打って、矢野がスタート切ってたぶん、二遊間が詰まってたんで宮本に取られてしまいましたけど、ヒット性のあたりがいきました」
先生  「まぁ、どんなピッチャーでもそうやけど、攻略の鉄則よな」
コーチ 「打ちにくい球はファールして、打ちやすい球が来るまで待つ」
先生  「その時にどの『間』で待てば最もファールしやすく、打てる球が来たときに打ち切れることができるか」
コーチ 「それを関本が示しました」
先生  「でその後、代打桧山」
コーチ 「大歓声でしたね」
先生  「打席の内容も素晴らしかったし」
コーチ 「インハイの速い球をファールしました」
先生  「一塁側のスタンドにライナーでいったファールやってけど、あれは阿部とか今岡とか極端な天才以外はどう打ってもファールにしかならんコースやから、ピッチャーとしては『狙って取ったファール』やったはずやねんけど」
コーチ 「あんだけバチーンとライナーで打たれたら、ちょっとイヤな感じになりますもんね」
先生  「で、殊勲のタイムリーに繋がった次の球」
コーチ 「完璧なコースのチェンジアップを桧山はしっかり見送りました」
先生  「そしてストレートで力勝負に来たところを」
コーチ 「センター前へ」
先生  「これがグライシンガー攻略の糸口が結果として現れた唯一の場面やったけど」
コーチ 「次の鳥谷も全く同じように打っていって」
先生  「力勝負に来たストレートを」
コーチ 「レフト線!!って思ったら、際どくファールになってしまう」
先生  「やけど、打ち方待ち方は完璧やったよな」
コーチ 「ああやって打てばヒットも出るという可能性を十分に示せた打球やったと思います」
先生  「で、7回に矢野がヒット打った」
コーチ 「この時は、もうこのイニングで終わりって本人もその気で投げてるような力の入った投球でした。『力み』を感じましたよね」
先生  「矢野のヒットも、もの凄いストレート投げた後にチェンジアップが甘く入ってきたボールやった」
コーチ 「グライシンガーはスイスイかるーく投げられるのが一番イヤなわけで、ああやって力んでくれる状態まで持っていけるかどうかがたぶん勝負の分かれ目なんやと思います」
先生  「で、矢野のヒットのあと、おそらくグライシンガーから見て『天敵』関本」
コーチ 「またもやファール打ちまくります」
先生  「カウント2−1と追い込まれたところから、もう、ライトの方しか打ちませんよぼくは、という割り切ったスイング」
コーチ 「ヒット性のファールもありましたしね」
先生  「最後は、ストライクともボールとも言える際どいコースのストレートで三振やったけど」
コーチ 「あの球はグライシンガーの全力投球でしたしね。7回2アウトまで1失点という響きよりも、全然ラクじゃない投球内容やったと思います」
先生  「次こそ打てるかも」
コーチ 「序盤から関本が見せたあの打撃が出来るかどうかが鍵ですね」
先生  「対グライシンガーの時は、思いきって関本2番も面白いかもな」
コーチ 「ですね。たぶん相当苦手意識あるでしょうから」
先生  「ほな、1番矢野、2番関本、3番桧山で」
コーチ 「思い切りすぎです(笑)」

先生  「東京ドームではジャイアンツが勝ち越したかぁ。。」
コーチ 「山本昌を二戦目に使って、一気にムードを高めようとしたんでしょうけど」
先生  「結果的には三戦目の川上まで打たれて裏目に出た感じになってしまった」
コーチ 「落合の賭けやったんですけどね」
先生  「ほんま仕掛けてくるなぁ、あのお人は」
コーチ 「まぁ、山本昌と朝倉を巨人と阪神どっち投げさすかって時に、昌が阪神戦で打たれてるのと、朝倉が阪神戦で好投してるのとで自然は自然やと思いましたけども」
先生  「ただ、巨人戦スキップさせて阪神戦に回した朝倉をタイガースが打ち込めば」
コーチ 「ドラゴンズ、相当きつくなってくるはずです」
先生  「朝倉、小笠原、中田、って順番かな?」
コーチ 「やっぱ、朝倉を打ちたい」
先生  「この間みたいなピッチングされることを仮定すると相当キツイけど、グライシンガー攻略までもう少しのとこまで迫ったみたいにな」
コーチ 「粘れ、関本!」
先生  「連続無失策の記録が途切れちゃったのは残念やったけど」
コーチ 「あれも、一二塁間の打球を飛びついて止めて、その後の送球ですもん。桟原がベースに入るのもちょっと遅かったし、いずれ記録は途切れる時に、ああ、途切れるときってこんな感じかぁ、って納得した感もあったんで、まぁ大丈夫でしょう」
先生  「頼んだ関本、8番からの突破口や」
コーチ 「それから、ユーイチおめでとう!!」

先生  「いよいよ、ドラゴンズ戦やー!!!!」

クリックでblogランキングへ





posted by コーチ at 08:54| Comment(2) | TrackBack(0) | □ 関本 健太郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月23日

代打満塁ホームラン翌日

第二戦圧勝。

前日の神宮初戦。
タイガースはペナントレースを闘っていくことにおいて、
何よりも大きな宝物を手にした。
それはとても優しい宝だ。

「桧山さんの満塁ホームラン」

これはぼくの勝手なイメージだけど、

打席に入る前に目を閉じる。
目を閉じて、思い出すのは桧山さんの満塁ホームランのシーンだ。
桧山さんは心をどの場所に置いて打席の中に立っていたか。
桧山さんが格闘していた巨大な憂鬱を、
それと真正面から対峙してバットを振り続けた真摯な姿を。
そして「なんとかしよう」と取り組み続けたことだけを背景に、
追い込まれてからのフォークボールを強く振りにいった勇気を。

そして、桧山さんの打球はバックスクリーンまで届いた。
桧山さんの安堵の表情を、みんなで祝福した。


目を開ける。

その時、たとえば桜井の心は「打つこと」において、最も適した場所に在ることができると思う。

「桧山さんのように振るだけだ」

レフトオーバーのホームランを打ちたい、という欲もなく、その欲がないのでその欲を打ち消そうと過度にミートを心がけることをする必要もなく、ただ投手の投げた球道に添って、自分の出せうる最も適した角度でバットを出していく。

桧山のメンタルが桜井へと入っていけば、
あんなホームランが二本も、その後にあんな右中間への打球が生まれる。

それが関本ならば、桧山と同じ距離くらいのホームランだった。
やっぱりアニキはもっと遠くまで飛ばした。
野口はやはり上園を上手に持ち上げて、
上園は最後まで投げきってみせた。

『闘志』と『達観』が絶妙のバランスで存在した昨日のタイガース。
ワイルドピッチでの加点も、スワローズバッテリーに重圧をかけ続けた結果。

残り37試合。プラス、プレーオフ。

相手だって真剣だ。全部昨日みたいにはいかない。
だけど、うまくいかなかったときこそ、
「桧山さんの満塁ホームラン」を思い出せばいい。


宝を手にしたチームは翌日、
その宝を輝かせた。
その光は優しく、穏やかな光。


ジャンも見てただろ? 満塁ホームラン。
あの場所で野球やってみようよ。
あの場所でやろうとしてみようよ。
監督、久保コーチ、矢野さん、みなさんゴメンナサイは言えましたか?
桧山さん、ありがとう。は言えましたか?
武内選手にもしっかり謝らなくちゃ。

繊細さゆえ、内面のコントロールができないならば、
答えは降板して間もなく桧山さんが見せてくれたよ。
人の気性は本当に本人の問題だけでないことが多い。
親や教師や友達や、小さな頃に触れた様々な経験が、人の内面を大きく構築していくことは間違いないと思う。
全部その人だけの責任じゃない。
だけど、それを人は受け入れて生きていかなきゃなんない。
幸せな人生を送りたいと思うなら、
それを受け入れて克服していかなきゃなんない。

ぼくの周りにも、昔深刻なイジメに遭っていた人もいるし、親の暴力のせいでうつ病に陥ったのに、現在親が背負った借金を返している人だっている。自殺未遂を経験した人も何人も知ってる。

それはみんな自分のせいでそうなったわけじゃない。他の理由の方が遥かに大きく結果、大人になってもその問題と対峙しなきゃなんない人たちばかり。だけどみんなそれはそれとして受け入れて、「自分のせいじゃないけど、自分のこと」と受け入れて、「幸せになりたい」って頑張ってるよ。人を信じることが分からなかった人が、「信じること」を獲得するために振り絞る勇気は圧倒的に素晴らしく自分を後押ししてくれる。

「桧山さんの満塁ホームラン」は、そういったたくさんのことを見事に昇華しきった人のみが体現できる、本当に美しいホームランだと思った。

その美しさを本当に受け入れきれたとき、
もう一度マウンドに戻ってきてください。

ジャン投手へ、
ぼくは、待ってます。


クリックでblogランキングへ
posted by コーチ at 12:56| Comment(0) | TrackBack(0) | □ ジャン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月22日

広陵高校、野村君に聞こえた


甲子園。夏。
決勝戦。

もちろんぼくも、
そしてこの試合を見ていた誰もが予想できなかった結末で、
佐賀北高校が優勝した。

記録的猛暑が続いた今年の夏。
その暑さの中で、
初戦からほぼ完投で勝ち上がってきた広陵のエース野村君。
疲労はある一定のラインを超えているように思えた。
多彩な変化球を凄まじいリズムでコーナーへ投げわけ、
7回まで佐賀北高校の打線を、わずか1安打に抑えていたが、
その凄まじいリズムこそ、疲労の現れに見えた。


人の中には、このような能力を持っている人がいる。

ある特定の感覚を極度に必要とする時、
しかし、その必要の度合いに体が適応できない時、
別の感覚を切断し、必要な感覚を特化することができる能力。

水泳の北島康介選手であったり、格闘家の山本KID選手にこの種の能力をとりわけ感じる。

超一流のアスリートが見せるこの場所で、6回7回あたりの野村君は投球をしているように見えた。
佐賀北打線を抑えることに必要な球の切れ、制球力。しかし、疲労によってその力が出し切れず、体が自然と反応し、ある感覚を切断して「投球」の感覚を特化したのだと思った。
それほど野村君の投球のペースは尋常ではなかった。

この時切断される感覚。それはとても危険なものだと思う。
肉体的には「しんどい」を、精神的には「不安」を感じないようにする。そして同時に失われる、「嬉しい」や「信じる」といった、プラスに働く感情。

透明な見えないシールドの中で投球を繰り返していた野村君は、その時とても孤独だったと思う。だけど、その孤独にすら気が付かない。しかし、気が付かないことであれだけの投球を実現させる。

8回だった。

それまで、白くボンヤリとした膜の中で、音はただの「音」としてその膜の外に存在していただけだった。
しかしその膜を、
あまりにも異様な大歓声が打ち破る。


聞こえてなかった音が、聞こえてきた。
見えなかったものが、見えてしまった。
無色だったものに色がついて見えた。
感じさせていなかった全てのことが、一挙に押し寄せてきた。
いいことも悪いことも全て。
疲労。不安。責任。
いや、
仲間。感謝。3年間の出来事の全て。
封印していたはずのありとあらゆる事柄が、台風が接近している海岸沿いに打ち寄せる波のように激しく迫る。

そして、満塁だった。
「満塁だ」という意味を感じた。

コントロールが利かなくなった。
際どい球を全てボールと判定された。
急激に球威が落ちた。


押し出しの四球。笑ってみせた。


そして、三番の副島君の打球が「奇跡」になった。


聞こえてきたんだよ。聞こえなかった音が。
だけどね、ぼくも、聞こえないようにして生きていた時期がありました。何も聞かず、何も感じず、ある能力を特化させてね、世の中を渡り歩こうとしてたんだ。だけど、その時何も始まってなかった。

始まったのはね、聞こえてからだった。
いろんな音が聞こえてからだった。
大好きが分かる。優しいが分かる。
苦しいも分かる。しんどいも分かる。
「何より愛が大切だ」って、恥ずかしがらずに言えるようになった。

野村君は大会を通じて本当に素晴らしい投球を繰り返した。
優勝したい、という一心で、一時的に何かが聞こえなくなっているように見えた。

だけど、8回、野村君に聞こえた。

そうだ、野村君。5対4、逆転されたところから始まった。
「聞こえる」から始まった。

よくぞ聞いたよ。
とても偉いと思ったよ。
「悔しい」が聞こえるから「ありがとう」が聞こえる。

遠くの町から小さな声で、心を込めて。
本当に、ナイスピッチング。

満塁ホームランを打たれてから甲子園のマウンドで投げた。
本当の顔、本当の目で投げた。
疲れきった、弱った姿のままで真っ向から立ち向かっていく姿に、
ぼくは泣いてた。

決勝戦。
異様な大歓声の中に混じる声を、野村君は聞いたかな?
「みんなありがとう。そうだ、ぼくは、一人じゃない」

記録的猛暑の青空の下。
背番号1は守られていた。


クリックでblogランキングへ
posted by コーチ at 16:38| Comment(4) | TrackBack(1) | ■ 高校野球 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

神様の継承

素直に一生懸命頑張る人を神様は裏切らない。


その時、彼は一握り短くバットを持っていた。
カウントは2ストライク1ボール。追い込まれていた。
走者は満塁。打席に背番号24。
高目の速いストレートを空振りしないための準備。

「あの頃」四番バッターだった、背番号24。
四番バッターには向いていなかった。だけど四番は彼しかいなかった。最弱時代の「あの頃」を支えた四番打者は今、
バットを短く持って打席に立っていた。

とにかくヒットが打てなかった。それでも監督は彼を使い続けた。
浜中が一軍に再登録された日。交代で二軍に行ったのは庄田だった。

それは皆がどこかに抱えた複雑な感情ではなかったか。
でもその複雑な気持ちを打ち消すかのように、マスコミが先頭に立って「ベンチは彼の野球に取り組む姿を評価している」「彼の存在感がベンチに必要なのだ」と、彼の一軍残留を擁護していた。
「背番号24はもう、終わってしまった」誰もがそう思いたくなかったからだ。

気が付けば彼を語るとき、「確かに結果は出てないけど」という注釈が必ずつくようになっていた。


カウントは2ストライク1ボール。
走者は満塁。彼はバットを一握り短く持っていた。

フォークボールだった。低目からボールのコースへ落とすことを狙ったボールだった。しかしボールは投手の思惑とははずれ、ベルト付近からやや低目へと沈んでいった。

長きに渡って彼の姿を見続けてきたみんなが知っていた。
真ん中低目。
そのコースは、打てる!!

打球はセンターへ高く舞い上がった。
風はフォロー。


神様は、素直に一生懸命頑張る人を裏切らない。


打球はバックスクリーンへと落下して、
神宮の夜に歓喜のメガホンが打ち鳴らされた。
一塁ベースを回ったところで彼は、
ポンポンと二回手を叩いて、少し笑った。


ダイヤモンドを一周してベンチ前。
全ての人が、ありったけの祝福で彼を迎えた。
みんな彼のことが大好きなんだ。


神様に守られた背番号24は昨日、
「神様」の称号を継承した。


代打の神様、桧山進次郎。
神宮の夜に産声を上げた。


クリックでblogランキングへ




posted by コーチ at 10:28| Comment(2) | TrackBack(0) | □ 桧山進次郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月20日

送りバントをしない

春のセンバツ、決勝戦と同カードになった、常葉菊川―大垣日大戦。

常葉菊川の野球は「高校野球」という独立した野球スタイルが当然とされた「高校野球という慣習」に大きく一石を投じていると思う。「いやいや、野球は野球だろ」って。

準々決勝。相手はセンバツで決勝を戦った大垣日大戦だった。好投手森田君。森田君は春から比べて飛躍的に成長していた。

常葉菊川は送りバントをしない。
今日試みた犠打2つはいずれも9番のピッチャーに出されたサインで、プロ野球における「投手の送りバント」とほとんど同じ意味合いの送りバントだった。

「この1点を取れば勝てる」というところで「四番にバントも当然」。「高校野球」の中にいまだしっかり根付く普遍性のある考え方だと思う。しかし、常葉の野球にそれはない。

常葉菊川、1点先制されて迎えた4回だった。

攻撃は1番の高野君から。4回が1番から始まるということは、3回までパーフェクトに抑えられているということ(盗塁失敗があったのでパーフェクトではなかったけど、ほぼ、完璧な内容で抑えられていました)。

先頭のトップバッター高野君。フォアボールで出塁。それほど多く巡ってこないであろうチャンス。絶対ここで1点返したい。ここで二番にまわる。

プロ野球に置き換えてみても、ここは送りバントの確率が非常に高い場面だと思う。3回まで川上に完璧に抑えられてた、1点負けてる4回。先頭の鳥谷が出塁。赤星、送るでしょう。

だけどここで常葉は打たせる。エンドランではなく「打て」のサイン。監督はジェスチャーで「進塁打を打とうとするな、引っ張れ」という動きまでしていた。「とにかく、振ろう」という野球。

しかし、2番の町田君は三振。続く3番4番も打ち取られて、このイニング先頭打者の出塁を2塁にすら進められないまま終了してしまう。

4回まで内野安打一本とフォアボールの出塁だけ。しかも出したランナーは盗塁失敗と1塁に釘付けの残塁。さらに先制までされて中盤を迎えた試合。

本当に不思議なことなのだけど、常葉が優勢に見えたのだ。大垣日大のエース森田君。140km/h中盤のストレートとキレのよいスライダーを投げる素晴らしいピッチャーで、実力を十分発揮して投球をしていた。実際4回まで被安打1、与四球1。ランナーを二塁にまでやらない投球。しかも1点リードして迎える中盤に、なぜか森田君の方が追い込まれていた。


「送りバント」という作戦について考える。なぜ送りバントをするのかというと当然「得点になる確率が高まるから」だ。
ダブルプレーの危険がなくなること。そのことでのバッターの心理状態が優位になる。スコアリングポジションにランナーが進むことで、相手投手、相手野手にかかるプレッシャーも高まる。誰もが知ってる「送りバント」の理由。確率の問題だ。

常葉菊川の野球を見て思うことは、「送りバントをしない」ということの理由もまた、確率の問題ではないかということだ。

高校野球はだいぶ変わってきたとはいえ、先発投手が完投することが多い。その時にバントで一つアウトをあげるという作戦は、ある面では相手投手を楽にすることでもある。「全員を打ち取らなければならない」ぼくも投手をやっていた経験があるがこれは大変だ。バントをしてくれて楽だと感じた場面も確かにあった。一旦リセットされる感じもあって、「さぁここから」と投げやすくなる面もある。

常葉菊川は1番から9番まで狙い球が来れば、全員しっかり振ってくる。軸足に体重を乗せて、とにかくしっかり振ってくる。カウント0−2、0−3で見てくる可能性はほどんどない。打者有利なカウントであればこそ、とにかく振ってくる。投手は楽にストライクを取ることが許されない。

常葉菊川は春のセンバツで、佐藤君を擁する仙台育英や中田君を擁する大阪桐蔭にその野球で勝って優勝した。序盤から「振る」ということを繰り返すことで、終盤に必ず得点して勝っていた。序盤、中盤に送りバントをしないことが終盤に得点することを考えたときに最も確率の高い作戦。そういう風にも見えた。

さらに、2005年の岡田阪神が鳥谷や藤本にほとんどバントささずに打たせたことで、「いざ」という場面で鳥谷、藤本に回って来たとき代打を出す理由を感じなかったというケースを何度か目撃した。常に振っている打者は「いざ」という時に「振れる打者」になっている。2アウト1塁2塁とか、「打って得点するしかない場面」で、「打てそう」という期待を持たせるバッター。鳥谷も藤本もそういう活躍を随所に見せていた。

常葉菊川が全員ポイントゲッターになれるのは、これと類似した要因があるように思う。常に振っているから、当然チャンスの打席で振れる。「迷いがない」という強み。「エンドランがあるかも」「スクイズがあるかも」と思ってヒッティングにいくのと、「打つだけ」と決めてヒッティングにいくこととの確率の差。さらに全打席がその準備となるようなゲーム運び。理にかなっていると言える。

ただ、「送りバントをしない」というのは何か歯車が噛み合わなければ、当然いい当たりのショートゴロのダブルプレーもあるし、ライナーでランナーが戻りきれなかったり、相手を調子付かせる危険も孕んだ諸刃の剣でもある。

実際、常葉菊川は春のセンバツで仙台育英や大阪桐蔭といったビッグネームを倒したのと同様の試合運びで、静岡県予選を勝ち上がってきている。仙台育英や大阪桐蔭より強いチームとは県予選では当たらないだろう。だけどそうなってしまうのもまた「送りバントをしない」ということから表現されることだと思う。でも、勝つ。そして甲子園。


今日のゲームに話を戻す。

4回、先頭の1番バッターがフォアボールで出塁。しかし、2番は送りバントをせず三振。3番4番も凡退で無得点。その後の5回。ここで常葉菊川は逆転することになった。

5回。先頭の5番中川君がスライダーで空振り三振。
1アウトで、6番の酒井君がそのスライダーを初球から狙ってヒットで出塁。1アウト1塁で7番。1点負けてる5回。バントするチームもあるだろう。エンドランももちろん、とにかく動きたくなる場面であることは間違いない。

しかし7番石岡君の場面で、ランナー1塁から、ふつうに打ってライト線の三塁打で同点に追いついてしまった。さらに1アウト3塁で8番伊藤君。「スクイズ」の「ス」の字も感じさせず、初球をライト前に。いい当たりではなかったけど、迷わず振りにいっているからヒットになるという当たりだった。あまりに鮮やかな逆転劇。

しかし大垣日大の森田君もさすが、その後なんとか踏ん張って、ゲームは2−1常葉菊川1点リードのまま8回へ。

8回は、常葉が最も得点するイニング。
先頭の3番長谷川君がレフト前ヒットで出塁。
スコアは2対1の1点差。イニングは8回の裏。もう1点取って3対1にすればほぼ勝ちは決まるという場面。ノーアウトランナーなしでバッター4番。ふつうの高校野球なら、ほとんどのチームがバントさせると思う。プロ野球でもタイガースで言うなら、クライマックスシリーズの戦い、あと1点取れば勝てるという8回裏。金本以外ならばバントだろう。シーツはシーズン中でもやってるし、林クンでも桜井でもここはバントさせると思う。

常葉菊川、この局面で、サインは「打て」。
この試合が始まるまで甲子園でノーヒットだった四番の相馬君、ここで一二塁間をゴロで抜いていく。

確率の問題なのだ。打てる可能性が高ければ打てばいい。そのほうが点になる。凄くシンプルで分かりやすい野球だ。だけどそれがここまで徹底されるとあまりに斬新に感じる。

ノーアウト1塁3塁、「1点取れば勝ち」の局面。昨日、帝京が再三スクイズをしかけた場面だ。バッターはここまで全くタイミングの合ってなかった5番の中川君。

犠牲フライで3点目。スクイズの気配すらなく、二球目のスライダーをセンターへ打ち上げた。その後7番の石岡君にホームランまで飛び出して、終わってみればこの回4点。スコアは6−1。完全に決着をつけた。

「送りバントをしない」
この野球はあまりにもリスクが高い。しかし常葉菊川は春のセンバツで優勝し、夏もベスト4まで勝ち上がった。あと二つで春夏連続優勝。物凄い結果を残した。

明日はあの駒大苫小牧を破った広陵戦。
好投手野村君、チーム一丸となってしっかり繋ぐ打線。
非常に強い相手だ。監督が熱中症で倒れたというハプニングをプラスに変えたチーム。乗っている。

さぁ、どうなる。


今日、常葉に破れた大垣日大。
このチームもまた非常に素晴らしいチームだった。
監督さんは阪口監督。以前、東邦高校の監督をされていた方でいわゆる『名将』。

その『名将』が現在をしっかり感じ、「現在強いチーム」を念頭において作り上げたチーム。エースの森田君も、四番の大林君も凄い選手だったが、みんなとんかくニコニコしていた。「守られてる」ってそういう安心感の中野球ができている印象をすごく感じた。

その中で動かすところは監督が動かし、任せるところは選手に任せる。微妙な微妙なバランスを見事に阪口監督はとっているように見えた。近年の駒大苫小牧や今年の常葉菊川のような爆発力はないが、しっかりと皆が実力を伸ばし、それを発揮できる野球だと思った。春は「ふつうの好投手」だった森田君が、大会有数の右腕にたった数ヶ月で変貌した姿は本当に驚いた。で、その成長力を見るにつけ森田君は是非タイガースに来てもらいたい(笑) 冗談抜きで彼は藤川球児になれる素質を秘めていると思う。何より投げている時の表情がいい。
ドラフトの話になると中田君か佐藤君に話題が集まりそうだけど、大垣日大の森田君、一位指名もいいよ! もう一度甲子園のマウンドへ。

ともあれ、「送りバントをしない野球」が春夏を制すれば、また高校野球のあり方が変わるんだろうな。常葉菊川が高校野球の流れに大きな変化をもたらせるか、明日準決勝。

で、夕方からヤクルト戦(笑)
夜から仕事。
正直、寝る時間が、ない。

でも、いい。
野球、おもしろい。

クリックでblogランキングへ
posted by コーチ at 19:58| Comment(2) | TrackBack(0) | ■ 高校野球 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

三つ巴

京セラドーム最終戦。
タイガースはカープ大竹に完封負け。

フェルナンデスの翌ゲーム。
こういう課題が浮き彫りになるんだなぁ、と勉強になった試合でもあった。

アフター、フェルナンデス。

確かに大竹は良かったが、第二戦の後「フェルナンデス」の「アフター」ということを軽んじた結果だと思う。

プロ野球の選手がフェルナンデスのボールを打つという行為は、例えばぼくらで言えば公立高校の高校入試の問題を解くくらいの難易度ではないかと思う。

落ち着いてやれば、7割くらいは解ける。でも「こんなの全然覚えてないし、久し振りすぎて分かるわけない」ってなれば、本来7割取れるものも、そこまで達しない可能性が十分ある。「解けて当たり前」って思いすぎて力みかえるのもまた同じ。重要なことは、どれだけ落ち着いてその対象と向かい合えるか。ニコッと笑って「うんうん」と頷きながらやるくらいのイメージが丁度いい。

赤星の「無理して打ちにいかず、フォアボールで出塁して盗塁しよう」という姿勢や、シーツの一二塁間の方向に向かって打ったヒットなどが顕著にその姿勢を現していたと思う。
「落ち着いて、一問、一問」

フェルナンデス攻略は完璧だった。

ただ、そうやって気分を良くした翌日に難関大学の入試問題だった。
広島にある「大竹大学」。学部によっては、早稲田慶応レベルの難易度だ。知らない英単語がズラッとならぶ長文。さらに問題文も英語。
試合によっては、ラクな学部の問題であることもあるのだけど、昨日は最難関の学部の問題だった。

もちろん、虎予備校の生徒たちは、その対策をしていないわけではない。知らない英単語が並ぶ長文に対応するための訓練もこれまで何度もやってきた。分かるところから攻略していき正解にたどり着く、時間はかかってもそのことをできる可能性は秘めてはいた。

だけど昨夜、一旦、脳を「ニコッと笑って一問、一問」という状態にシフトしてしまったものだから、急に難問を前にして、いったいどこに焦点をあわせればいいのか分からない。分からないまま勘で解答を選択する。やはりそれでは当たらないのだ。知ってたはずの難問対策に焦点を合わせる前に試験時間が終わってしまった。

惨敗。


という感じだったかなぁ。。

まぁこれはこれで仕方がない。「アフターフェルナンデス」について意識しながら野球できるほど、余裕のある戦いをしているわけではないし。次、この機会が来たらしっかり準備して、のぞんでほしいと思う。お風呂に入って一日の疲れを抜き取るとうに、試合後ほんの5分でいいかもしれない。「フェルナンデスと対峙していた自分」を抜き取るためにバッティングマシンを145kmくらいに設定して、しっかりセンターへ打ち返す練習をしてから帰る。そういった対策は必要かも知れない。やはり、それほど特殊な投手だ。

逆に言えばカープは、三連戦の頭にフェルナンデスを持ってきて6回くらいまで投げさせる。その試合は負けても次の試合で大竹、その次の試合で長谷川が抑えやすくなる。みたいなそういう作戦も有効かと思えた。シーズン終盤だけど(笑)

ラッキーなことに移動日が入ったので、混乱した状態をリセットできる時間が与えられた。今日を有意義に過ごしていてほしいと思う。

明日からスワローズ三連戦。

スワローズはジャイアンツ戦でグライシンガーが投げていたので、幸い当たらない。グライシンガー以外なら、完璧なピッチングされなければなんとかなる。

大きなうねりの中で、確かに上り調子のチームも、当然全勝できるはずもなく、昨日のような負けももちろんあるだろう。大きな下降線に入ったジャイアンツは例の『上原騒動』(自身のHPにチームにやる気のある選手とそうでない選手がある、というような内容を書いたこと)に阿部がサヨナラ満塁弾という決着のさせ方を見せた。

タイガースにおける『金本談話〜走塁編〜』は、見事なまでの影響力で、さらにその影響力は長きに渡って持続され定着しつつあるとすら言える。ランナー1塁から2塁打で一気にホームまで。『金本談話』以降、何度となくそうやって得点するシーンを見た。タイガースの快進撃の理由に『金本談話』は絶対に欠かせない要素である。

ジャイアンツにおける『上原騒動』もまた、それになりうる力を秘めていると思う。東京ドームでタイガースと引き分けて以降、下降線を辿る一方に見えたジャイアンツに差した一筋の希望の光。諸刃の剣に見えたその光だったが、それを阿部がサヨナラ満塁弾で大きく輝かせた。

さぁ、乗ってくるかジャイアンツ。

井端とウッズが打って負けた初戦から、なんとか連勝したドラゴンズ。強い勝ち方じゃないけど、「結果的に勝つという強さ」を見せ始めたドラゴンズと、東京ドームで首位攻防戦。

いやいや、面白くなってきた。

上位三チーム。それぞれに弱い部分を抱える。
ジャイアンツの弱さは、感度の不統一から来るチームとしての脆さ。
ドラゴンズの弱さは、福留不在。
タイガースの弱さは、アニキの状態。
ゆえに逆にこれを強さに変えることができれば、そのチームが一気に抜け出すはずだ。

ジャイアンツは「原辰徳」というアンテナに、全員が結集できたとき、おそらく爆発的に強い。原監督もまた考えすぎる人のように感じる。選手が結集してくれた状態で監督がいい気分になったとき、その感度は飛躍的に覚醒し、采配はズバズバ的中するだろう。

ドラゴンズは、福留不在の打順を「これだ」と決定できれば強い。まだ迷っているように見える。三番に福留の代役を入れるか、三番に井端を入れて一番に若い選手を抜擢するか。タイガースサイドから見て最も怖いのは、やはり井端が三番に座り、一番に堂上兄や英智といった「なんかやりそう」という雰囲気の選手がおさまってしまうこと。
5番森野、6番中村紀という並びがやはり一番怖いし、井上は7番をうっている時が最も怖い。「なんかやりそうな1番堂上」が初球をバチーンとライト前にヒット。「なんかやりそうな雰囲気」のまま、二番荒木が送って、1アウト二塁で井端、ウッズ、森野、ノリ、井上、谷繁・・・ 井端に粘られてフォアボールで出してしまおうものなら、ウッズに3ランで一気に試合を決められかねないし、ウッズも警戒してフォアボール出しちゃったら、満塁で森野、ノリ。それこそ試合が決まる可能性が高い。
「福留不在」を克服した時のドラゴンズ。これは圧倒的に強いように思う。

そしてタイガース。

アニキの状態はやはり深刻に見える。しかし、今年はこれまでにない「金本イヤー」なのだ。アニキがいたからこそ、ここまで来れているわけで、アニキが四番にいない優勝を「優勝」とは呼びたくない。本人が決断すれば話は別だけど、そうでなければ、いくら本来の打撃ができなくとも、一ファンのぼくはその姿をしっかりと応援したい。そして、アニキ以外の選手たちに、アニキのぶんまで打ちまくって優勝してもらいたい。ある日は桜井が打ち、ある日は赤星が走り、ある日は鳥谷が決める。またある日は関本のファインプレーで、あくる日は矢野の好リードで、ある時、林クンがホームランを打って勝っていってほしい。アニキの負傷を全員でカバーする。それが実現できれば、タイガースは当然強い。

ナゴヤドームの三タテで一気に加速したタイガース。
先日の東京ドーム、巨人―阪神戦の延長12回。京セラドーム中日戦でのノリのスクイズ、三戦目の監督退場。

ナゴヤでの中日―巨人戦では堂上兄がサヨナラ弾を放ったり。

上位三チームの直接対決はペナントレースのキーとなりうるシーンが必ず何かある。

ドラゴンズが来週は山場。巨人、阪神連続のカード。

東京ドームで何が起きるかによって、ナゴヤでの中日―阪神戦の内容はいかようにも変化するだろう。

タイガースはヤクルト相手にしっかりとした野球を取り戻すこと。低目の変化球を振らない。厳しいところはファールにして、甘くなったところを打ちにいく。できていたことをやっていこう。「アフター、フェルナンデス」は一試合で克服だ。
しっかりとやる中で、1度負けてもいいだろう。しっかりやれば2度勝てる。はず。大事なことはしっかりやること。ことのほかフェルナンデスショックは強く、今は強く思いすぎるくらいでいいかもしれない。そしたらいつの間にかまた安定してくる。

毎週、毎週見所満載。
週一の休み、見るほうにも必要だと思えるくらいに内容が濃い。


クリックでblogランキングへ
posted by コーチ at 17:42| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ ペナントレース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月19日

夏の甲子園、秋の甲子園。

高校野球のことをちょっと。

昼間は寝なくちゃ仕事に差し支えるのですが、
(夕方からプロ野球見なきゃなんないし:笑 22時出勤)
あまりに凄い試合やってたので、眠れませんでした。

佐賀北、勝っちゃった。。
すげぇ。。。

前評判も何も、「佐賀北よくぞベスト8まで来た。帝京相手に最後までよく戦い抜いた」って試合だったはず。実力差は計り知れず。圧倒的に帝京が強かった。でも、勝ったのは佐賀北。

「試合は監督のものではない」ということを象徴したような試合。

帝京は連投になるエースの垣ヶ原君を休ませようと、高島君という控えの投手が先発。春までエースだった大田君をなぜ投げさせなかったのか、その事情はよく分からなかったが、とにかく「今日は勝てるだろう」と思ってたことは確か。

その僅かな隙を佐賀北が突いていく、序盤猛攻。
慌てて垣ヶ原君を投入。佐賀北の3番副島君、そのエースからホームラン。

序盤は佐賀北ペース。しかし、あっという間に帝京が力で追いついてしまうという展開。3−3のまま両投手の好投で、試合は終盤へ。8回、佐賀北の攻撃で、帝京のセカンド上原くんが「これぞスーパー高校生」という超ファインプレーを3つ続けて。特に3つ目のプレーは圧巻。センターに抜けようかという当たりを逆シングルでキャッチして、ショートの杉谷くんにグラブトス、ショートがファーストに転送してアウト。まるで中日の二遊間のようだった。

実力を見せ付けて、帝京一気に勝ち越してゲームセットかと思ったのだけど、その後帝京チャンスになると、必ずバント。スクイズも二度失敗。強攻策も必ずバスター。
「普通に打たせてやったらいいのに」
テレビの前で眉間に皺が寄る。
あの場面で打つためにどれだけ素振りしてきたんだよ、あの子たちは。野球エリートたちが集まる高校にやってきて、レギュラーとって甲子園に来るまでに、あの子たちがどれだけ練習してきたかって想像もつかない。その姿を見てきたんだろ。じゃあ、信じて打たせてやれよ。何で「思い切って振ってこい」って言えないんだ? 「お前がやってきたことを信じて、思い切って振って来い」3番バッターにバスター。ツーストライクになってからスリーバント。5番バッターにスクイズ。。。

誤解を恐れず言うと、「東の横綱」といつも呼ばれる帝京高校の野球は時代遅れだと思った。

近年の優勝高、昨年の早実しかり、駒大苫小牧しかり、春のセンバツで優勝した常葉菊川は送りバントをしないで優勝してしまったチームだった。送りバントをするかしないかは問題ではなく、「思いっきりやってこい」があるかないか、って物凄く重要な要素だと思う。チャンスの場面で物怖じせず「オレが、打つ」と思って、全力でバットを振り切れるか、それが重要なのだ。

今大会で駒大苫小牧を破った広陵高校やベスト8に残った長崎日大。こういった地方の私学強豪校のイメージの変わったことと言ったらビックリだ。なんといい顔で野球をしているものか。正直、巨人の西村がエースだった頃の広陵とかヒール役でしたよ、ぼくが勝手に思ってただけですが。今年の広陵は応援したい。エースの野村君、本当にいい顔で投げる。対する今治西の熊代君。エースで四番。去年は二年生エースで3番バッターだったが、彼もまた本当にいい顔をするようになった。強豪校対決。印象が変わったなぁ。。

こんなにも応援したい高校ばっかりになっても高校野球は見るのが大変なのだが、「いい投手がいて、守備が良くて、打てたら勝てる」という高校野球、その時代はもう終わった。

強打の智弁和歌山を圧倒した今秋ドラフトの目玉、仙台育英の佐藤君。甲子園最速も記録した。その佐藤君を奈良の智弁学園が打ち崩した。しかし智弁学園を力で圧倒した帝京に、佐賀県の県立高校が勝ってしまう。

高校野球は新時代に突入している。
新時代って言っても、それは原点に返っただけのこと。
信じて、投げる。
信じて、振り切る。
どれだけその「信じる」を強く持てたかの勝負。

優勝候補筆頭の東の横綱は、おそらく少しそれをおろそかにした。

高校野球もプロ野球もやってることは同じ。「野球」だ。

セントラルリーグの大混戦。
抜け出すチームもまた、どれだけその「信じる」を持てたか勝負。

夏の甲子園も、秋の甲子園も己と仲間を強く信じたチームこそ、踊っていた。

クリックでblogランキングへ

posted by コーチ at 15:20| Comment(2) | TrackBack(0) | # 日常 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

能見の一礼

先生  「ナイスピッチング、能見!」
コーチ 「ほんま、ええピッチングでしたねぇ(涙)」
先生  「ナイスガイ、能見!!」
コーチ 「ほんま、端正な顔立ちです」
先生  「Do you know me ?」
コーチ 「その駄洒落は余計です」
先生  「ナイスリード、野口!」
コーチ 「ほんま、ええリードでしたねぇ(涙)」
先生  「ナイスボイス、野口!!」
コーチ 「ボイス?」
先生  「Yes!! ナイスボイス、野口!!」
コーチ 「そうですね、改めて思いましたけど、野口ええ声ですよね」
先生  「ナイスバッティングも、野口!!」
コーチ 「バッティング『も』て(笑)付け足すほうを間違ってます」

先生  「せやけど素晴らしかったよな」
コーチ 「プロ入り初完封、栗原をセンターフライに打ちとってゲームセットでした」
先生  「センターの方に向かって一礼してたよな」
コーチ 「様々な思いが去来したんでしょうね、これまでの様々な出来事に対して、ありがとう、みたいな」
先生  「そんな一礼に見えたな」
コーチ 「そしたら野口が駆け寄ってきてむっちゃ笑ってるんですよね」
先生  「能見イェイ!能見イェイ!みたいな感じでむっちゃテンション高いし」
コーチ 「ハハハ、そんな感じでしたね」
先生  「あの『イェイ』も、ええ声やったんやろなぁ。。。」
コーチ 「何でそこで目を閉じるんですか。意味が分かりません」

先生  「一番良かったんは四回やった」
コーチ 「ですね、あそこが完封できるか、江草や渡辺のリリーフを仰ぐかのキーになったとこでした」
先生  「アレックスにアンラッキーな二塁打打たれて1アウト二塁」
コーチ 「迎えるバッターは新井と栗原。一番怖いとこでしたね」
先生  「結果は連続三振やってんけども、結果もさることながら、新井と正面から堂々と勝負して投げ勝った素晴らしい内容やった」
コーチ 「はい」
先生  「初球、二球目とボールになってもうて、一塁空いてるし歩かしてもええ場面かなと思ったけど、あそこで歩かしてたらたぶん完封できひんのよな」
コーチ 「そう思います。仮にその後の栗原をダブルプレーに打ち取れたとしても、カウント0−2から新井と勝負しに行って、そして投げ勝てたからこそ、その他の打者を抑えきることができたんや、思いますね」
先生  「ここからが野口やった」
コーチ 「カウント0−2のバッティングカウントで、新井が最も待ってないであろう球種。ぼくには何か全く分かりませんでしたが」
先生  「野口はそこから二球連続でスライダーを投げさせたんやった」
コーチ 「それを新井がどちらも見逃す」
先生  「完全な野口の読み勝ちやったな」
コーチ 「で、2ストライクとったところで、ストレート。これを新井がファール」
先生  「その後、決めにいったであろうチェンジアップを真ん中低目に。これは、出そうになったバットを新井が止めてボールこれで2−3」
コーチ 「そして、スライダーもファールしてその後でした」
先生  「まっすぐで空振り三振」
コーチ 「『狙い玉を絞らせない』といわれるリードのお手本のような配球でしたよね」
先生  「オレらよう野球見ながら、『次ストレート』とか『次スライダー』とか予想しながら見るやん?」
コーチ 「そうですね。ほとんど予想してますね」
先生  「正直、普段の矢野はだいたい当たるんや。あと古田も得意やった」
コーチ 「そうですね、先生、『古田と相性ええ』って言ってましたもんね(笑)」
先生  「やけど、昨日の野口のリードは全然分からへんねや。もう、完全に裏かかれた」
コーチ 「あそこはぼくも外にチェンジアップかフォークボールやと思ってました」
先生  「新井もそない思ってたんやろ」
コーチ 「振り遅れて三振」
先生  「野口―能見バッテリーの完全勝利やった」
コーチ 「で、2アウトになって栗原」
先生  「栗原もカウント2−3になって、おそらく新井の打席のストレート勝負の残像があったんやろな」
コーチ 「ボール球のチェンジアップを振らせて連続三振」
先生  「あまりにも完璧な阪神バッテリーの勝利やった」
コーチ 「カープは確かに低迷してますけど、スコアリングポジションにランナーを置いて新井、栗原って場面は、ウッズ、森野と勝負するんと同じことですもんね」
先生  「小笠原、二岡とも同じや」
コーチ 「そこで連続三振。もちろん、塁が空いてるわけですから四球もありきで慎重にピッチングしていくことも間違いではないと思うんですけど、ジャンもボギーも下柳先輩もこういう場面でほんまによくフォアボールで歩かせてたんですよね」
先生  「当然、7回は久保田がおるっていうんはあるけど、こういうところで攻め切って投げ勝たな、やっぱ長いイニング投げさせにくい」
コーチ 「序盤にしっかりリードできる試合も少なかったですけど、それをバックに、あそこで攻め切る勇気」
先生  「今後序盤に3点4点リードできた試合は、昨日の能見のような投球ができるかどうかが、JFKをお休みさせることができるかどうかのポイントになると思う」
コーチ 「そうですね」
先生  「何はともあれ、センターの方に向かって一礼した能見の思い、その全てに」
コーチ 「おめでとう!!!!!」
先生  「おめでとう(ええ声)」

クリックでblogランキングへ
posted by コーチ at 12:24| Comment(0) | TrackBack(0) | □ 能見 篤史 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月18日

せめてグラウンドの中だけでも

3点目。

林クンの浅いライトフライで、鳥谷がホームに突っ込んでのクロスプレーのシーン。あれも抗議しなきゃ。鳥谷は「空タッチだった」とコメントしてたみたいだけど、肘かミットかって本人が分かる問題でもないだろうし(捕手の石原は分かるかもしれないけど)、内部でしか見れない角度の映像もあるだろう。しっかり確認してやはり誤審だったならば「ちゃんとしてください」と言うべきだと思う。サンテレビの中継ではよく分からなかった。阪神に有利な判定の場合はあんまりスローで流さないし。いやだなぁ、と思った。

ストライク、ボール。ハーフスイング。
際どいところは、タイガースに有利に判定が多かった。9回2アウト粘って森笠が見逃した10球目のストレートは、あれはどっちともいえるボールだったけどストライクだった。ゲームセット。

たまたま重なっただけだったと信じる。
前の試合とは関係がなかった、と信じる。
そもそもカープには何ら関係のない話で、万が一関係させらたらとばっちりもいいところ。
帳尻合わせで喜ぶなんて思うなよ。それこそファンをバカにしている。

サッカー日本代表のオシム監督がドキュメンタリー番組で言っていたことを思い出す。記憶が頼りなので言葉は曖昧だが、このような内容のことを言っていた。
「どんな仕事だって大変だ。仕事には必ずイヤな面がある。それを受け入れられないならば、その仕事には向いていないということだろう」

とても理解できる言葉だった。

しかし「野球を見る」ということに関して、ぼくらはそれを仕事でやっているわけではない。審判がそんなだったら見なくなるよ。ほんと。仕事じゃないんだもん。そんな負の部分まで受け入れる必要があるとは思えない。みんな仕事で散々受け入れてるんだ。

冒頭に書いたような、自分の方に有利な判定に物申す、ということは現実的には難しいとは思う。大きな組織であればあるほど、ぼくが考えるようなガキっぽいことは通用しないのは、分かってる。

だけどね、あのホームでのクロスプレーを起点にして、岡田監督に「まぁあれはしゃあないわな」と言わせてしまうこと、そうせざるをえないでしょう。巨大な組織の現場監督なんだもん。ブラウン、もっと怒れと思ったけど、ある程度で引き上げて「まぁ昨日の今日だから」と言った物分りのいい感じ。

そういう世界をわざわざ見たくない。

多くの人は日常でさんざんそういうことを見てるんだ。なんとか自分のまわりの小さな世界だけでもそうじゃない世界を作ろうって闘っている人だっているんだ。

プロ野球が夢を売る仕事、だと言うならば、プレーとジャッジ、グラウンドの中だけでも膿のない世界を見せてくれないか。監督や選手はそうやろうとしてるだろう。せめてグラウンドの中だけでも。


ただ、桜井のホームランはそれとは全く関係なく素晴らしかった。
杉山の投球もそれとは関係なく素晴らしかった。
関本のファインプレーも梵のファインプレーも素晴らしかった。

最後は調子が上がらない球児というのもあったが、森笠がアウトにならない。素晴らしい粘りだった。前田の表情もとても良かった。確かにカープは強い。巨人を三タテしてきただけのことはあった。

だけど、勝った。

桜井があの場面で打てたこと。もちろん桜井が素晴らしいのだけど、桜井があの場面で迷わず振り切れるという背景を抱えたチームであること。それが強さの理由。


クリックでblogランキングへ

posted by コーチ at 05:55| Comment(6) | TrackBack(0) | ☆ プロ野球改革 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月17日

「何か」は起きた

何かが起きそうで、起きない。
いやでも確かに「何かは起きていた」。
季節は夏。
だから「起きたこと」が告げられただけだったのかも知れない。

「どこ見てんねん、セーフやろ!!」

激しく審判に詰め寄る岡田監督の姿を見て、「2005年9.7」がやってきたと思った。
全く予期することのできない「何か」は、セカンドベース上で起きたのだと思った。

際どい判定で、おそらくはセーフだとぼくも思った。

中日サイドから見れば、あれが正しく「セーフ」だと判定されてそのまま逆転負けをするより、もしくは、「セーフ」の判定でなおもノーアウト満塁で赤星、シーツ、金本を斬って、勝ちきってしまうよりも、あれが「アウト」だと判定されたことに恐怖を覚えたのではないか。

やはり、何かが起こる。

「チーム」というものを結集してしてまう「何か」が。
それを起こさせないために、さも自分の方にそれが起きたかのように錯覚させるために、第二戦、自ら「スクイズ」のサインを中村紀に出したのだ。

落合監督は知っている。

「起こしたもの」よりも「起きてしまったこと」の方が、遥かに爆発的な力を持っていることを。人間が考えられうる「予定調和」などたかが知れている。野球における配球、作戦。いくら裏をかいたところで、その全ては「予定調和」に含まれるのだ。

予定調和は「鳥谷にセカンドゴロを打たせたところまで」だった。

ウッズのホームランも井端が出塁して、上園から一点取ったところも「予定調和」の範疇。試合の中で起こりうる「野球」という座標軸内の出来事の一つだ。

満塁のピンチで鳥谷の裏をかいてセカンドゴロを打たせた。

しかし、なんでもないセカンドゴロを荒木が捕球できない。慌てる、一塁ランナーが全力で走ってくる、間一髪、井端が捕球する。それが審判には「アウト」に見えてしまう。
荒木が捕球できなかったところから、「アウト」の判定までは誰にも意図がない。

そして、「無意図の天才、岡田彰布」がベンチから恐ろしい形相で飛び出してくる。「監督として怒る必要があるから」→「怒っている」というニュアンスが全くない「怒る岡田彰布」。

「なんで、今のがアウトやねん!!!!どこ見てんねん、下手くそ!!!!!」

わざと退場になったのではない、「退場になってしまった」岡田。

おそらく、これが怖かったのだ。
「起こそう」として起きるものではない、人間の魂の奥底にある感情、それがチームの中に強く太く浸透し、圧倒的結束を持って前に進みうる、そのきっかけとなる「何か」。その「何か」は意図のある場所には存在しない。

ただ「監督」という仕事は、「意図」を持ってのみ成立する仕事でもある。「岡田の在り方」こそ、実は爆発的な強さを産む。しかし、「その場所で監督で在り続けること」その在り方は難解すぎるし、自分がやろうと思ってできることではない。

自分ができることは、「何か」が噴出する前に、先手先手で手を打ってそれを封じること。「監督」としての自然な在り方のまま、「意図」の範疇で「無意図」を封じる。

しかし「何か」は噴出してしまった。

後手に回らざるをえない。
「本当の意味での勝ち」を取りにいくならば、あの場面は岡本を続投させ、岡本が抑え切ってこそ噴出した「何か」を真っ向から制することになったのではないか。しかし、その確率は低かった。

高橋聡をマウンドに送る。
高橋はとてもいい球を投げ、赤星とシーツを打ち取った。
ドラゴンズは強いのだ。
9回は岩瀬が抑えて逃げ切った。
しかし、

「逃げ切った」

昨日、ドラゴンズの戦いは「逃げ切った」に制限された。福留がいなくなってしまったことで、それしかなかったのかも知れない。しかし昨年落合監督が優勝インタビューで流した涙は「逃げ切った」がいかに苦しいものだったかを現しているものだと、そう感じた。

二年連続「逃げ切った」に追い込まれた落合監督。
岡田監督の気持ち形にかえることができず、
「さぁ、今日から」と結実したタイガース。
季節は夏。そのゲームで「起こったこと」がそのままゴールに繋がる時期ではなかったのだろう。しかしその「何か」は「さぁ、今日から」が意図してできる次元を遥かに超えた場所で安定したように見える。

「意図」と「無意図」のガチンコ勝負だ。だから阪神と中日の試合はこんなにも面白い。

広島では「意図」が空中分解を起こした。
監督の「力み」に端を発したナゴヤドームから広島にかけての空中分解。東京ドームであれほど輝いていた阿部は、何かイライラし、たとえば実力主義を唱える飲食店で、若いが店長をやっている男のようだった。店が忙しくなるとピリピリし、売上げが伸びなければピリピリする。年上の社員をおかまいなしに叱責し、従業員たちにその憤慨ぶりをぶちまける。
あの延長12回の2−2の引き分け以降。1勝5敗。

ジャイアンツは、昨年球児がヒーローインタビューで悔しくて泣いてしまった時のようなことが、起こらなければ苦しい。阿部が泣いて謝るようなことがなければ苦しいと思う。ストライクが入らない福田に「話にならん」と言ったこと、球が走らない門倉に「137,8kmじゃそりゃ打たれるでしょ」と言い捨てたこと。
巨人は「ごめんなさい」「うん、もういいよ」ここからはじめなきゃ。

ドラゴンズは「大人」としてのペナントレースを選択した。落合監督は考えられうる「策」を遠慮なく出してくるだろう。問題を見てみぬ振りをすることも本意だ。それが大人の社会。うまくごまかしてうまくいくなら、うまくごまかす。そのことに迷いはない。だけど、それはしんどいし、そうじゃない勝ち方があることも重々知っている。だから迷っていたのだと思う。だけど、落合は昨日のゲームで覚悟を決めたようにそう感じた。岡田が怒ってベンチを飛び出していった瞬間、覚悟は決まったのだと思う。

タイガースはそのままでよいと思う。
岡田阪神、金本阪神、なればこそ体現できる「さぁ、今日から」をライバルたちは極度に恐れている。ならば迷わず「さぁ、今日から」だ。

昨日勝てなかった悔しさを、赤星やシーツはあの場面で打てなかった悔しさを思いっきりプレーにぶつければいい。

「ぉぉりゃぁぁああ!!!!」って言って野球をやれば、それでいい。

さぁ、佳境に差し掛かってきたペナントレース。
何が起きるか。


クリックでblogランキングへ

posted by コーチ at 08:17| Comment(5) | TrackBack(0) | □監督 岡田 彰布 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月15日

スクイズ

2対0。8回表。
中日サイドから見て2点リードしている場面。
1アウト3塁。打席にノリ。
落合監督はスクイズを敢行した。

朝倉がほぼパーフェクトな投球で、試合を動かしていき、随所に井端と荒木のファインプレーもあり、THE守備戦はドラゴンズ側のフィールドのように思えた。

タイガースとしてはいくら林クンと桜井がしっかりしてきたとは言え、こういうゲームはやはり四番頼みだったチーム。アニキが突破口を開いてアニキが決めれば勝ち、決められなければ負けてきた。現状のアニキの状態を考えれば、8回を迎えて2対0。このゲームにだけ関して言えば、よっぽどのことがない限り、ドラゴンズ有利であったと思う。

その場面でのスクイズだった。

荒木や英智や投手に出すならばそれは自然なサインだし、昨日、シーツに送りバントのサインを出したように、ノリに送りバントというのもそれほど不自然性はない。ただ1アウト三塁でノリのスクイズはあまりに不自然だった。

おそらく落合監督は優勝しようとしているのだ。
何を当たり前のことを、今更、という感じだが、「優勝しようとしている」そのことをまざまざと見せ付けられたシーンだった。

マラソンで言えば現在のペナントレース、30kmを過ぎたあたりか。最も苦しいと言われる35km〜40kmの間を目前に控えた大事な時期だ。

序盤で大きくアドバンテージを取っていたものが、この時点でほぼ並ばれた。現在走っているペースを見れば、怖いのは前よりも後ろ。「ふつうに勝つ」では足りないと落合は感じたのではなかっただろうか。

「朝倉の完封勝利」確かに、大事な試合で大きな勝利だ。しかし、それでも快進撃のタイガースの勢いを止めるには至らない、そう判断してのスクイズだったように思う。あの場面で仮にノリがタイムリーを打って、その後ウッズがホームランを打って、朝倉がしっかり抑えて5対0で勝ったとしても、まだ足りない。

だから、スクイズ。

ペナントレースの中で「あれがポイントだった」というシーンがほしかったのだと思う。
「ノリのスクイズが決まる」
これは、確実にチームの中にいい作用が起きる。成功の確率は五分。得点するだけならそのまま打たせたほうが良かったことなど、落合監督にしてみれば当然のことだっただろう。「でも、敢えて」。

しかし、失敗。
落合はギャンブルを敢行し、そのギャンブルに敗れた。

9回は1塁2塁の場面で、朝倉に打順が回って来た。投手は江草。
この試合を勝つだけならば、朝倉続投の方が確率は高い。だけど、そのまま打席に送り凡退。そして朝倉が完封という予定調和ではタイガースに抜かれるのは時間の問題。何かがほしくて、『立浪』というドラゴンズが誇る最上級の老舗ブランドを打席に送る。『立浪』という名前が何かを呼んでくれないか。

しかし、意図してのものではなかったが、江草が初球デッドボール。何も起こらなかった、という事実だけが残った。なおも満塁で最も信頼する井端。ここで立浪に何も起こさないまま出塁させた江草が完璧な投球を決め球に。「何してくれてんねん、江草」。落合はそう思ったか。

結局、何も起こらず、ゲームは静かに幕を閉じた。

「ペナントレース」という大きなうねりの中で、何かを起こそうとした落合に何も起こさせなかったこと、起こさせなかった立役者が、渡辺であり、江草であるという脇役陣であること。落合監督の心中を察するに、あまりに歯がゆいシーンではなかったか。

あそこでスクイズが決まっていたら。
立浪がホームランを打っていたら。
怖くて身震いしてしまうほど、重要な局面だった。

何も起こらなかった、ドラゴンズ。
何も起こさせなかった、タイガース。

これを受けて、明日の下柳―川上のエース対決。

どちらかに何かが起こるか。
明日こそ、大一番。

何かが起きるほうがタイガースであるとすれば・・・


クリックでblogランキングへ


posted by コーチ at 21:29| Comment(2) | TrackBack(1) | ☆ ペナントレース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

岡田監督、ギザ凄ユス

先生  「ギザ強ス」
コーチ 「せ、先生!!」
先生  「勝ったお(^ω^)」
コーチ 「勝ったんはみんな知ってるから普通に喋ってください」
先生  「不思議、不思議はぴなす」
コーチ 「先生ー!!」
先生  「何を熱うなってるんや? しょこたんやないか」
コーチ 「しょこたんは分かりますけど、先生がしょこたんの真似をすることがどうか、という問題です」
先生  「林クン、かわゆす」
コーチ 「もういいです」

先生  「だからな、コーチ。『不思議はぴなす』って言いたかったんや。不思議ー! 不思議はぴなす!!」
コーチ 「もう、気ぃ済みましたか?」
先生  「すみません」
コーチ 「そのすみませんは謝ってると捉えていいんですね?」
先生  「はい」

コーチ 「じゃあ何が不思議はぴなすなんですか?」
先生  「岡田監督や」
コーチ 「やっぱり」
先生  「昨日の岡田采配は、正直初体験の衝撃やった。鳥肌たった」
コーチ 「確かに、ぼくもそうでした」
先生  「7回や」
コーチ 「関本からでしたよね」
先生  「関本に代えて、代打桧山やった」
コーチ 「ちょっとびっくりしましたけど、あそこで出しとかな桧山出すとこなかったですもんね」
先生  「現状では左の代打としての格付けは葛城の方が上位やし」
コーチ 「横浜戦で代打の代打で浜ちゃん出して、桧山引っ込めてましたからね。どうしても昨日打席に立たせたかったんですよね」
先生  「でもまぁ、それだけやったら別にふつうやねん」
コーチ 「ですね」
先生  「思ったやんやけどな」
コーチ 「はい」
先生  「岡田さんは、好投のボギーを同点の場面で降板させるということに関してな」
コーチ 「はい」
先生  「代打が二人必要やって思ったんやないかな?」
コーチ 「何となく感じましたよね」
先生  「これ、何でかわからへんねんけど、関本がそのまま打席立って仮に凡退したとして、ボギーのところで代打葛城やったら、あそこまですんなりな雰囲気やなかった気がするねん」
コーチ 「結果的に勝ったからじゃなくて、あの時点で『ボーグルソン降板』という事実を圧倒的多数の人が受け入れている空気になったんですよね」
先生  「ボギーは尻上がりの好投で、しかも投球数もまだ100球行ってない」
コーチ 「次に出てくるピッチャーは間違いなく久保田。四連投」
先生  「でも不思議と、それでええんや、ってみんな思わされた感じがした」
コーチ 「桧山も葛城も凡退してるんですけどね、ついでに鳥谷も続いて三者凡退のイニングやったのに」
先生  「なぜだが、凄く勝てる気になったイニングやった」
コーチ 「ほんで結局次のイニングに林クンと桜井が打って勝ちました」
先生  「こういう、繋がってないように見えて、繋がってるかも知らんと思わせる采配こそ、岡田マジックの真骨頂やねんよな」
コーチ 「8回に得点した時、岡田さん『してやったり』って表情してたんですよね」
先生  「どこでしてやったんか、言うたら」
コーチ 「シーツに送りバントのサイン出したところじゃないんですよね、たぶん」
先生  「あれは当たり前や、って思っとる」
コーチ 「ならば、してやったりは」
先生  「7回の代打桧山や」
コーチ 「あそこで二人続けて代打で出て、打ったらもちろんチャンスになるし、打たなくても、ボーグルソン降板、久保田登板を非常に自然性の高いものに変えてみせた」
先生  「ボギーはマジでバッティングいいからな。打たしても塁に出る可能性けっこうあるわけやし」
先生  「だけど8回で決着をつけることも両睨みの上で、関本に代打、連続してボギーに代打」
コーチ 「そのことによって8回表に山井をそのまま打席に送った落合監督がなぜか後手に回っているという印象になってしまい」
先生  「同時に堂上兄が出てくることも防いだ」
コーチ 「終盤、岡田監督がゲームを支配したんですよね」
先生  「何かよう分からんねん。触れたことのない感じやねん」
コーチ 「分かります」
先生  「でも、むっちゃ凄いねん」
コーチ 「それが、岡田彰布。気が付けば、タイガースの歴代監督の中で最長の在位期間が見えてきてます」
先生  「顔があんなんやし、喋りもあんなんやから『岡田マジック』ってなかなか言ってもらわれへんけど」
コーチ 「あれだけ『自然性』に忠実に采配を振るうからこその『マジック』なんでね、非常に分かりにくいですけど」
先生  「あれはマジックを超えた、イリュージョンやったと思う」
コーチ 「7回表、関本に代えて、桧山」
先生  「不思議、不思議はぴなす!!」


クリックでblogランキングへ

posted by コーチ at 10:51| Comment(0) | TrackBack(0) | □監督 岡田 彰布 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月14日

信じた矢野に、軍配。

言うことない。あまりに言うことのないゲームだった。

勝負は「矢野」vs「谷繁」。
打つほうではさっぱりだった矢野とドラゴンズ唯一の得点となったホームランを放った谷繁。しかし「捕手」として、矢野の圧勝だった。

先発は阪神がボギー。中日が山井。立ち上がりの調子はボギーがいつも通り。対して山井は絶好調だった。

1回裏、タイガースが先制したイニング。
先頭の鳥谷に対してカウント1−2から、谷繁−山井のバッテリーはストレートでストライクを取りにいく。球速146km/h見事なストレートで鳥谷は空振りした。待って振ったストレートで完全な空振り。絶好調の赤星は除いて、シーツとアニキ。現状で考えれば速いストレートの対応という面で、不等号の向きは鳥谷>シーツ・アニキ。得点は難しいだろうと感じた。

ところが、赤星がストレートを二塁打してしまったことで、谷繁があれほど素晴らしいストレートを信頼しなくなる。あれは山井のストレートが切れていなかったのではなく、赤星が絶好調という理由のヒットだった。

1アウト二塁でシーツ。初球インコースのストレート。これもまた素晴らしいボールだった。3球続けられたらまず打てないな、そう思った。ところが谷繁が二球目に要求したボールはカーブ。甘く入ってシーツがそれをレフト前へ。甘い球だったがよく一球でヒットにした。エライ! 続くアニキに対しても、ストレートで攻めてくる風でもなく中途半端な配球で四球。林クンもフォアボール。

桜井だった。

今日の投手戦の原因を作ったのは主審の判定の悪さもあったように思う。
この桜井の打席が顕著だった。カウント2−0から際どい外のスライダーをよく見送ったのだ。カウント2−1になって4球目。同じコースのスライダーだった。自信を持って見送る桜井。しかし、判定はストライク。人間がやることなので、ある程度アバウトなのは当然だと思うが、「この一球で試合が大きく動く」という場面で同じコースの同じ球種をボールと判定したりストライクと判定したりするのはいかがなものか。

桜井は一流になるための壁の中にこういうものもあるのだ、と肌で感じただろう。これで調子を崩さなきゃいいが、と心配していたのだった。この時点では。


2回表。
トータルで見ればナイスピッチングのボーグルソンだったが、このイニングはとても危なかった。カウントを取りにいくストレート系のボールが真ん中に集まる。

矢野だった。

ボーグルソンも山井も、基本ストレートでストライクが取れなければ苦しい。谷繁は初回に赤星にストレートをヒットされてから、変化球主体のリードに早々と切り替えた。しかしことごとくストレート系の球が甘く入るボギーに、矢野は真っ向勝負を選択させる。
「いいから、こい! 大丈夫!! ノープロブレム!!」

先頭の森野にライト前ヒット。ノリにあわやレフトオーバーという強烈なライナーを打たれ1アウト。ここでビョン。ビョンは前回の対戦よりも遥かに振れていた。甘く入ればバチーンと右中間という雰囲気の初球バックネットにファール。

しかし矢野、ズバッとストレートで三球三振に仕留める。

コントロールが甘かったボギーのまっすぐを信頼して投げさせた矢野。そうやって抑えなければ抑えられる打線ではない。勇気ある二回の配球だった。

この後一見、ボギーと山井のがっぷり四つの投げあいのように見えていたが、実際微妙な差があった。

矢野のリードは、ボーグルソン主体。マウンドにいるのがボーグルソンであることを基本に組み立てる。ボーグルソンが投げていることの必然が非常にある内容だった。ボギーは85点の出来。それを矢野が100点に引き上げた。

対して谷繁の方は、どちらかと言えば捕手主体。投手が山井である必然があまりない。今日の山井は120点の投球ができる可能性があった。それを100点に引き下げてシュートとカーブで打ち取っていった。

100点の投球で投げ合う両投手の「100点の内容の差」、
これが必ず終盤に影響するはずだ、そう信じて見守っていた。

2回の裏。関本からの攻撃の前にノートに書いたメモを見直してみる。
「初球、谷繁がどう攻めてくるか。変化球でそれを打てば勝てる。変化球で打てなくてもほぼ勝てる。ストレートでそれを打てなかった場合、やばい」
先頭の関本。初球はスライダーだった。結果打ち取られたが、ほぼ勝てるとそう思った。

3回の裏のシーツのピッチャーゴロでダブルプレーの後のアニキの打席。フォークで攻める谷繁。荒木のファインプレーでゲームは動かなかったが疑問を持った。

そして4回表はボギーが、ウッズ、森野、ノリを完璧に打ち取る。矢野がボギーの状態を引き上げた瞬間だった。

4回裏、林クンの三遊間のゴロを井端がファインプレー。谷繁の大きなミスを山井の好調と、守備で必死に覆い隠しているように見えた。

5回表、そしてその谷繁がホームランを打つ。初球のチェンジアップが抜けたところだった。谷繁は矢野の配球を読んだというよりも、「自分ならこれを投げさせる」という球を狙ったように見えた。

ここからだ。谷繁は、より「谷繁」へと変化したのだ。

序盤よりもより「谷繁比率」の高くなった中盤のドラゴンズバッテリー。どこかで必ず投げてはいけない球がいってしまうはずだった。そのためには山井を続投させなければならず、チャンスで9番にまわさないこと。それが必須事項だった。

2回に立ち直ったボギーはすいすいと投げぬく。7回で降板したが、見事な投球内容だった。ナイスピッチング、とナイスリード。

8回も久保田がしっかり抑えて、

そしてやってきた8回の裏。

内野安打で出塁した赤星を、迷わずバントで送った岡田監督。シーツもそれを喜んで受け入れていた。
「金本」という名前がどれほど偉大かを思い知るが、あれほどまでに状態が悪くてもドラゴンズはあの場面で敬遠を選択するのだ。現状でアニキと林クン。やはりアニキの状態は明らかに悪い。前の打席ではおそらくシュートをコツンとレフト前に打つイメージで打席に入っていた。しかしその球は一度もこず、甘いカーブで空振りの三振を喫していた。足が踏ん張れない。対応できないのだ。それはもう、仕方がない。対応できる打ち方が見つかるまでぼくらはとことん待つ。もちろん、待つ。

林クン勝負で「勝った」と思った。

120点の投球ができたはずの山井を100点で投球させてここまで抑えてきた「谷繁比率」の高いピッチング。そして、投げてはいけない球はこのとき訪れた、一番投げてはいけない球を一番投げてはいけない場面で。

林クンが素直に出したバットから放たれた打球は左中間を深く破った。
直後に桜井がバックスクリーンに打球がめりこみそうなホームラン。
ゲーム序盤にした心配は、もう払拭された。

より「谷繁化」した谷繁が招いた、8回の4失点。
矢野はいつも通り。

投手戦の中身の微妙なズレ。
信じた矢野に、軍配。

クリックでblogランキングへ
posted by コーチ at 21:34| Comment(0) | TrackBack(3) | □ 矢野 輝弘 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ホームラン打ってもええんやで

横浜スタジアム、第三戦。
バッティング練習をしていた林クンに岡田監督は言った。
「ホームラン打たへんのか? ホームラン打ってもええんやで」

その試合で林クンは、インコース高目の非常に厳しい球を、
右翼スタンド上段に、完璧なホームランを叩き込んだ。
そして試合を決めた。

同じ頃、ナゴヤドームでは、
ジャイアンツの先発、福田が乱調だった。ストライクが取れず、最終的に投手の中田が打席の時、押し出しのフォアボールを出してしまう。マウンドで阿部は言ったそうだ「話にならん」。試合後原監督は福田に対して「今日は正直、庇いにくい。プロの選手らしからぬプレーが多かった」という内容のコメントを残し、二軍へ降格させた。

横浜スタジアム第一戦。タイガースの先発、上園もまた乱調だった。ストレートは全て高目に浮いた。だけど捕手の野口はピンチになればなるほど「低く投げろ」というジェスチャーをしなかった。それが「いいから上園腕を振れ」そのようなメッセージに聞こえたのだった。二回で降板した上園は試合後「次もし、チャンスを与えていただけるなら、しっかり低目へ投げれるようにしたい」そのような内容のコメントを残した。

移動日の昨日、室内練習場にてジャンはボーグルソンと「ボーク対策」をしていたらしい。メジャーリーガーとしての実績のあるジャン。その恥部とも言える「ボークの件」がチームの中でタブーではない。「なぁ、どうやったらボーク取られへんですむん?」。

ベイスターズの大矢監督は阪神三連戦終了後、こうコメントを残した。「三つ全部勝つつもりだったけど、勝てなかった。相手が強かった」

「ホームラン打たへんのか?ホームラン打ってもええんやで」

林クンのホームランは、1アウト一塁二塁のチャンスでアニキが凡退した後に出たものだった。

1回の先制点は、アニキの前のシーツが打った二塁打で赤星が一気に一塁から生還するという、今やタイガースのお家芸とも言える「ランナー一塁、二塁打で一点」という得点だった。

その赤星は、この試合で、レフト寄りだった左中間のフライを当然のごとくセンターフライにしてみせた。

一つ一つの球を取れば、どれもかなり良いのだが、勝ち試合を作ることが苦手だった能見が一軍復帰後初戦で、勝ち投手になった。林クンのホームランと同じ意味合いの好投だった。基本、真面目すぎる人たちは「ふつうにすること」が「真面目で一生懸命」になってしまう。気持ちが入れば入るほどにその度合いは高まり、それが良い結果を招かないこともよくあることだ。

林クンは思いっきりバットを振り、能見は思いっきり腕を振った。

そのチームと対した大矢監督は「相手が強かった」と言った。

2アウトランナーなしから桜井が二塁打を打ったことで、そのイニングは9番までまわった。次の回に林クンがホームランを打った。
1アウトランナーなしから矢野がヒットを打ったことで、そのイニングは9番までまわった。次の回にアニキがタイムリーを打った。

赤星は二つ盗塁を決めて見せた。打席では相変わらずカウント2−3を作る。関本はまたエラーしてもおかしくない微妙なゴロを、簡単にアウトにしていた。

横浜の先発秦は、とても球が走っていた。だけど番長ほどいい投手ではもちろんない。だけど油断してたらやられるような投球だった。だけどタイガース打線は追い込まれるまでにほとんどボール球を振らなかった。序盤は、決めれそうで決められない場面が続いた。秦が良かったからだ。だけど林クンが決めた。

「ホームラン打たへんのか? ホームラン打ってもええんやで」

能見はしっかり自分の投球をしていたが、ポテンヒットをたくさん打たれた。横浜打線が好調だったから。能見も杉山も3番と7番に絶好調の打者がいる非常に得点しやすい状況のベイスターズ打線を6イニング、しっかり抑えた。金城と内川だけでなく、村田も佐伯も相川も決して調子が悪かったわけではない。村田は上園から、佐伯は渡辺から、相川は久保田からそれぞれとても印象的な勝負で勝ちをおさめている。不調の打者がするバッティングではなかった。

巨人対阪神、東京ドーム第三戦。大投手戦の末2対2の引き分けだった試合で、ぼくは原監督に力みを感じた、と書いた。2−2の引き分け、勝てなかったことがどちらの痛手だったか、それはジャイアンツの方ではなかったか、と。

ナゴヤドームでの初戦、川上の自滅で圧勝ムードだったジャイアンツは一転、終盤にあわやの場面まで攻め込まれて、なんとか逃げ切ったゲームだった。そして二戦目に堂上兄のサヨナラホームラン、三戦目にマウンドで、

「話にならん」、と。

ジャイアンツは今週、広島、ヤクルトとの六連戦。一つも落としたくない六試合だろう。さぁ、どう出る。

横浜第三戦。タイガースにとって結果的に良かったのは高崎を出してくれたことで、その高崎がとてもいい球を投げていたことだった。右投げの速いストレートとスライダーが武器の投手。山井、朝倉、川上。川上は別格として、山井と朝倉。この二人との対戦になるであろう今日、明日。その予行演習として最適の相手ではなかったか。リードしている場面で落ち着いて高崎の球を見れたこと、これが今日からの二試合に繋がるものと思う。

高崎にはしっかりと抑えこまれた。とてもいい投球をしていたと思う。だから山井と朝倉にいきなりあの投球をされると正直苦しかった。特にシーツとアニキは現状では速いストレートは苦しい。谷繁ももちろんその辺を見込んで、ガンガン速い球で来るだろう。ただ、直前に同じタイプの投手の絶好調の球をリードしている場面で見れたこと。それを踏まえて打席に立てることは大きなアドバンテージだ。そして、打てなかったはずの速い球をシーツがアニキが、初戦の若いイニングにとらえたとすれば、三連戦の流れは一気にタイガースに傾く。ちなみに高崎からヒットを打ったのは矢野と鳥谷。何か、いい予感がする。

赤星がピークを迎えている時に、山本昌が投げてこないのも好材料で、それは自然な形で赤星がスタメンで出ることができるから。絶好調を迎えた赤星はやはりスタメンで使いたい。しかし、山本昌が先発である時に、浜ちゃんを外すことは、やはり微妙にチームバランスを崩す。それが自然な形である時、スタメン赤星、代打の切り札浜中。現状ではこの形が最も強く、それを自然な形で出せる。右の先発が3日間。(横浜第二戦は赤星が三戦連続でスタメンを外れる不自然を嫌ったのだろうと思いました)

「ボークの件」がタブーではないジャンは、もうボークを取られないのではないだろうか。少なくともボークを取られたとき、チームメイトはジャンの味方であることは間違いないと思う。前回の登板は神がかっていた阿部の一発に泣いた下柳先輩。そろそろ勝ちきる頃じゃないだろうか。そして、ボギーは15安打22得点の立役者となった次の試合だ。

アニキは痛い中での打ち方を模索しているように見える。今まで見てきた中でアニキはその打ち方を見つけ次第、急に打ち出すことがよくあった。東京ドームの二戦目でその打ち方を見つけたかに思えたが、おそらくそれ以降症状が悪化したのだろう。また違う打ち方を探しているように見える。第二戦、那須野から喫したあの場面での三振。第三戦、秦から喫した三球三振。暗中模索、非常に混乱しているように見えた三振だった。しかし、第三戦アニキはタイムリーヒットを放った。あれが仁志が低位置にいれば抜けていたかどうかは分からない。しかし、二打席目の三振よりも遥かに何かをつかめていたことは確かだった。

アニキが打てなかった後、林クンがホームランを打ち、アニキの守備範囲であるフライを赤星が当然のごとくセンターフライにして、アニキがタイムリーを打って勝った試合だった。

久保田も前日のリベンジを果たし。ジェフも球児も疲れているだろうが、しっかり仕事をしている。

4チーム潰しあいの三日間は、結果2位と3位が少し上昇し、1位が停滞ムード。4位はやや苦しくなってきたかに見えるがまだ分からない。

現状のチーム状態の順位を個人的な偏見によって並べてみると、
同率1位阪神、中日 3位横浜 4位巨人 僅差で広島 やや離れてヤクルト。

大いに希望も込めてこの三日間。阪神が2勝1敗で中日に勝ち越し。広島で巨人が3連敗。横浜がヤクルトに3連勝。可能性は十分にあると思う。そうなったら、面白いなぁ。。

少なくともいえることは、
「ホームラン打たへんのか? ホームラン打ってもええんやで」
と監督が言うチームは、絶対に強い。。はず。

さぁ、またまた大一番だ。

クリックでblogランキングへ





posted by コーチ at 11:48| Comment(4) | TrackBack(1) | □監督 岡田 彰布 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。