2007年09月03日

6番葛城、6番スペンサー

浜ちゃんが一軍に合流した日も甲子園のスワローズ戦だった。
広島で復活弾を放つ前の試合だ。
ゲーム終盤、古田監督は「代打浜中」コールを嫌って、
「代打、葛城」を相手に、右の遠藤から、右の花田への継投を選択した。
前の日に当時中継ぎで投げていた石川が好投していたので、
葛城に石川という場面であれば、代打の代打で「浜中」であったのだった。

「浜中復活初打席」その甲子園の空気、それは相手チームにとってはやはり脅威だろうと思う。
「代打、浜中」を巡る攻防。
この時葛城は、その攻防の中のエキストラだった。

そしてそのエキストラ葛城がセンターの前にポトリと落とすヒットを放って、
その後、赤星がライトオーバーの二塁打で決勝点。

後半戦の快進撃。そのスタートはナゴヤドーム三タテ。
葛城は代打で出場し四球を選んでいた。

常時、出場機会があるわけではなく、当時一軍枠当落線上ギリギリであったことは、
「僕はリンよりもいい選手ではないですが。。。」と
ヒーローインタビューで言えてしまう選手ならなおさら自覚していただろうと思う。
必要以上に謙虚とかそういうことじゃなくて、
己の中に占める「客観性のある自分」の割合が一般的な水準よりも高いのだと思う。

2005年のスペンサーのヒーローインタビューでもそんなのがあった。
場所は神宮だったが同じくヤクルト戦。
「自分はあまり活躍できていないけど、いつもサポートしてくれてありがとう」

葛城とスペンサーに共通しているイメージはやはり「四球」。
チームにおける自分の役割を先に理解して、それに自分を合わせていくスタイルを取る野球選手。
一軍枠当落線上ギリギリの状態で、四球を選ぶ。
ヒットを打ってアピールしたい場面に違いない。
しかし、求められているものが「出塁」であるならばその手段は問わない。
最も確率の高いやり方でその結果へ向かうことを試みる。
それが葛城育郎というプレイヤーの最も優れた部分であると思う。

そして素晴らしいことは、タイガースというチームが葛城のそういう部分を非常に高く評価しているように感じることだ。
ナゴヤドームの初戦を最後に今岡が抹消されたことと、当時桧山が大不振であったことも影響があると思うが、
それ以降葛城のベンチにおけるポジショニングは確実に上がっていった。
いつ間にか「左の切り札」になり、東京ドームのジャイアンツ戦ではスタメンでファーストを守るようになっていた。

2007年シーズン、阪神タイガースの前半戦は目も当てられないひどい有様だった。
その原因を考えたとき冗談抜きでぼくは、やはり井川がぬけたこと、そしてスペンサーがいないことが原因だと思った。
5番今岡、7番矢野という、打てなくなるとどうしようもなくなる二人の間にスペンサーが入っていた打線。
試合に出ていなくても、もう一人のどうしようもなくなる人シーツが打てないときは、ベンチで隣に座って励ましたり。
三番、五番、七番が打線を分断する。それを緩和する仕事していたスペンサーがいなかった。
もちろん、昨シーズンの終盤の快進撃のさなかスペンサーの居場所はなかった。
だけど、苦しいときこそ、スペンサーは活躍していたのだと思う。

2007年、後半戦に入り五番林クン、六番桜井という打線が形になった。
スペンサーとは正反対の「打てる六番桜井」の誕生。
新しく機能し始めた打線は一気に首位との差を詰めていく大きな要因となった。
しかしここにきて林クンの離脱。
五番に桜井が昇格し、林クンの代役は、葛城と高橋光信の併用で補うという形がアッという間に定着した。

その形になって気づいたことは、
葛城、高橋光信ともに、とても客観性の強い六番であったことだ。
林クン、桜井。という並びとはまた違った作用をもたらす、
桜井、葛城。桜井、高橋。という並び。
何百万人いるのか分からないタイガースファンの中で、5人くらいはいるだろう(いてほしい)
スペンサーを惜しむタイガースファンにはたまらない、
5番桜井、6番スペンサー。を思わせてくれる打線だ。

2005年、2006年。葛城に一軍での出場機会はほとんどなかった。
だけどその時タイガースにはスペンサーがいた。
スペンサーがいなくなった2007年、タイガースには葛城がいる。高橋もいる。
赤星は一回りも二回りもグレードアップした。
大きな空振りをするようになったことがその象徴。打ちに行く時は迷わず打ちにいける。
結果的にそれが2−3というカウントを作り、出塁の可能性を広げている。
アニキは相変わらず凄い。とにかく凄い。スワローズ三連戦。三連勝と三連敗。
ラミレスは来日してから最も調子が良いのではないか、というほどに手のつけられない状態だった。
もちろん青木もいつも通り怖かった。宮本も飯原も田中浩康も宮出も福川もイヤなバッターだ。
勝負どころでスワローズがミスをしたことも大きかったが、この三連勝三連敗の最も大きな要因は、
「四番の差」ではなかったかと思う。
仮に、
1番青木、2番飯原、3番ラミレス、4番金本、5番宮出(ユウイチ)、6番田中浩 7番宮本、8番福川、で
1番鳥谷、2番赤星、3番シーツ、4番ガイエル、5番桜井、6番葛城(高橋)、7番矢野、8番関本
であったとしたら、三連勝三連敗は全く逆になっていたとも思う。
一人違うだけでこんなにもかわる。仮に、赤星と青木を入れ替えてみても、鳥谷と宮本を入れ替えてみても、
それはそれで違った面白さのある打線になる感じはする。しかし、四番だけは圧倒的にタイガースだ。
その差が、僅差のゲームを最終的に勝たせた大きな要因であることは間違いないと思った。

このところ冴えのなかった矢野も、守備での良さが昨日おとといは目立った。
ファーストへの牽制球と、渡辺のワイルドピッチを本塁でタッチアウトにしたシーン。
溌剌としていた。
下柳対ラミレスの場面で、カウント2−1からマウンドに行った丁寧さ。
矢野が戻ってきつつある。送りバントできなかったりもしたけど、そろそろ野口の順番の日だし、
移動日を挟んで少し休んだら打てるかな。

関本もまたいい。
何がいいって、桜井のサヨナラヒットに駆けつけるときの表情が最高だった。
ああいう顔をしてる時関本は安定して活躍しているイメージがある。
6番に葛城、高橋という新しくないけど新しい打線になったタイガース。
そして8番関本の急激だったがゆえまた長くなる可能性を十分に孕んでいたスランプの脱出。
その間の7番矢野に元気が出れば・・・
上位はなんとなく打ったり打たなかったりしてる鳥谷とグレードアップした赤星。
最近、ほとんどストレートしか打とうとしないシーツに甘いストレートが来たときに、
得点が入る。アニキが敬遠されれば、その後はほとんど点が入る。
6番はチャンスでは迷わず打ちに行き、そうでない時は粘りを見せる。

勝ったら強く見えるなぁ(笑)

安藤もよく投げたし。下柳先輩にも勝ち星がついた。
ダーウィンは素晴らしいし。単純に投球内容で比較して、ジャンが入れる余地はないほど。
渡辺、江草、JFKはとにかく点を取られない。(エラーしなければ)

さぁあと一ヶ月。
上位三球団が直接当たらなかった一週間。
終わってみればタイガースは4勝1敗1分。
ジャイアンツは3勝2敗。
ドラゴンズは2勝3敗。
浮上したのはタイガースだった。
カープ戦の二戦目に負けて1敗1分になった時は、絶望的な雰囲気になっていたのが嘘のようだ。

今週はジャイアンツにとって大事な一週間。
ドラゴンズ、タイガースとの六連戦。
タイガースとしてはベイスターズ戦でさらに加速したいところ。

林クンの穴は穴ではなかった。
葛城が高橋が6番にいるチームは強い。
しんどい時に強い形だ。
川島が好投した試合を葛城の活躍で取った意味。

この試合がさらに輝きを増して秋を彩ってほしいと、そう思う。


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posted by コーチ at 16:39| Comment(5) | TrackBack(2) | □ 葛城 育郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

夏に手にした当然、桜井。

初夏の千葉にて。
9回に小林雅を打って大逆転した日に、

その立役者は当時一軍に上がったばかりの桜井だった。

「打てるかなぁ。。打ったら凄いのに、あ、打った!!!!!」

そんな思いでライトフェンス直撃のタイムリーヒットを見ていた記憶がある。


厳しい夏も一段落してきた9月。
一夏を越えた桜井広大は、超満員の甲子園のど真ん中、悠然と打席に立っていた。
一打サヨナラの満塁の場面。超満員の観衆が感じていたこと。

「桜井が打って勝つのだろう」

もう、アニキが敬遠されている頃から、条件反射的ブーイングをしてみるも、
桜井がサヨナラ打を放つこと前提の上で、
「いったいどんな結末になるのだろう?」
「バックスクリーンに豪快なホームランかな?」
「いやいや、桜井はきっちり打つ場面はコンパクトに振るから、ライナー性の犠牲フライとかが現実的かも」
「だけど怖いのが、おっつけに行っていい当たりのセカンドライナーとか」
「でももしそうやとしても、ゲッツーにならんかったら今日は葛城が決めてくれるって」
「でもたぶん」
「桜井が決めるんやろうな」

夏が始まる前、まさか今年の夏がこれほどまでに暑くなるとは誰も思っていなかったし、
夏が始まる前、まさか桜井がこれほどまでの「当然」の中でサヨナラヒットを打つとも誰も思っていなかった。


タイガースは4連勝。首位とのゲーム差は2.5。 2位とは0.5ゲーム。
しかし、ほんの数日前まで絶望的なチーム状態だったことは、ほんの数日前のことだからよく覚えている。
沈黙を続ける打線の中で、カープの大エース黒田から放ったホームランと決勝タイムリー。
結果が出ない打席でも、カウント0−2や1−2の「さぁ、振れ桜井」という場面では、
必ず「ブンッ」と振って、空振りしたり、ファールになったりしていた。

「これだ」と決めて、思いっきり振りぬける勇気。
これこそが泥沼に体半分突っ込んだチームにとって一番必要なことだ、と、
得点が入ったら「やったー!!」と手をバンバンを叩いて大喜びする監督は、
毎日そう繰り返しているように見えた。

いいから振れ。振るところから始まるんや。
振らなどうにもならん。

そのことを最も忠実にやり続けていた桜井が、昨日、当たり前のようにサヨナラタイムリーを打った。
暑い夏の間。毎試合。一軍の試合で振り続けた結果手にした勲章は、
サヨナラタイムリーよりも遥かに大きな、
「当然」桜井でサヨナラだ、という「当然」。

その「当然」を手にした甲子園は、それをそのまま地鳴りにかえて、
スワローズを飲み込んだ。

夏を制する者はーって受験用語か。
高卒、六浪。夏を制した桜井は、秋になって何を掴むのか。

「菊の季節に桜が満開。菊の季節に桜が満開。」
って競馬の名実況もあったなぁ。。

秋の深まる甲子園。桜井の打球に、5万人が総立ちになるシーンが目に浮かぶ。


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posted by コーチ at 16:37| Comment(4) | TrackBack(0) | □ 桜井 広大 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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