2007年07月30日

タイガース地方、晴天なり!!

コーチ 「一つ、質問なんですけどね」
先生  「おう、なんでも聞いてくれ」
コーチ 「先生が、クラスを運営していくに当たって大事にしてることはなんですか?」
先生  「せやな、生徒一人一人の稼動域を広げてあげることやないかと思ってる」
コーチ 「と、言いますと?」
先生  「『主体性を』『自主性を』『自ら考え、自ら行動する力を』みたいなことが文科省の指導要領にも書いてあるんや」
コーチ 「はい」
先生  「もちろん言うてることは間違いやないと思うんやけど、『もっと、主体的に動かなあかん』『もっと自主性を持たなあかん』って教師に言われても、生徒はどないしてええか分からんやろ?」
コーチ 「確かに、そうですね。ほなそのために先生はどないしてるんですか?」
先生  「主体的に動けるようになるまで、ほんまにたくさんのことを許してやるんや。許して、ある種の『やり遂げた』まで辿りつけるように最小限度、救ってやる。どんな悪さしたって、まだまだ子どもやからな、絶対的にかわいい」
コーチ 「そしたらどうなります?」
先生  「経験的に思うことは、誰かに助けてもらったことに『ありがとう』と感謝できた子は『できることの範囲が』飛躍的に広がっていく」
コーチ 「それが『稼動域』なんですよね。よう分かります」
先生  「てか、なんや、インタビュー記事か?」
コーチ 「ちゃいますよ。昨日のタイガース見てて、先生がよう言うてること思い出したから、もう一回ちゃんと聞いてみようと思ったんです」
先生  「ほう。どういうことや?」
コーチ 「昨日、結果だけ見たら、久々に楽に勝てた試合だったじゃないですか?」
先生  「せやな。久保田も球児もジェフも休めたしな」
コーチ 「なんですけど、序盤は本当に苦しい試合でした」
先生  「確かに、そうやった」
コーチ 「1回表、先頭の仁志のゴロを鳥谷がトンネル。そこからのスタート。ケガの心配のあったジャン。前の試合で大拙攻の末、大敗した脱力感を伴った打線。そこに来て先頭打者をトンネル」
先生  「暗雲漂うって、まさにこの感じやったな」
コーチ 「ほんで、石井に送りバント決められて金城、村田を迎えます」
先生  「あそこで、一点取られてたら、相当苦しかったよな」
コーチ 「ベイスターズの先発が高崎というプロ入り初先発の投手で、さらに現状の打線の調子を考えると」
先生  「打って当たり前」
コーチ 「やけど、初回にエラーがらみで一点取られたとなると、その『打って当たり前』がずっしり圧し掛かってきて、第二戦のような『チャンスで打てない』という非常に重苦しい試合になってたことも十分考えられると思うんです」
先生  「そない、思う」
コーチ 「その空気に引きずられるように、ジャンは三番の金城にフォアボール、『1塁2塁でなんとかダブルプレー取れれば』と思った4番村田の場面で、初球デッドボール」
先生  「1アウト満塁になってしもた」
コーチ 「佐伯、吉村と続きますから、どちらかに長打でも打たれたとしたら、もうそこで試合決まってたかも分かりませんでした」
先生  「ここは、矢野やったよな」
コーチ 「ですね、矢野でした。佐伯に対してストレート二球見逃しでストライク取って、フォークボールで三振」
先生  「吉村に対しては全球ストレートで三振に仕留めた」
コーチ 「これって、ゲーム終盤で久保田がピンチ迎えたときに矢野がよく見せるリードなんですよね」
先生  「一点もやれない場面やったんやな」
コーチ 「ええから久保田、来い!!っていうリード」
先生  「ええからジャンも来い!!」
コーチ 「それにジャンが見事に応えました」
先生  「1回表やけど、第二戦を踏まえて絶対失点できない場面での矢野のリードとジャンのストレート」
コーチ 「鳥谷を救ったんですよね」
先生  「それがチームプレーや」
コーチ 「鳥谷はきっと『ありがとう』と思えたでしょうね」
先生  「せや、それが準サイクルに繋がっていくんや」
コーチ 「『ありがとう』が稼動域を広げる」
先生  「あ、そういう話なんやな。なるほど」

コーチ 「でも、暗雲たる空気を舐めちゃいかんのですよね。第二戦の憂鬱はそれだけでは断ち切れませんでした」
先生  「せやったな。救ってもらったはずの鳥谷は」
コーチ 「初回、初先発の高崎相手に、ノースリーから凡打します」
先生  「しかも打った球、ボール球やったしな」
コーチ 「ノースリーになってもうて、高崎がなんとかストライクを取れた球を見逃して、直後のボール球に手を出してセカンドゴロ」
先生  「一番やってはあかんことをやってしまった」
コーチ 「これが初回に1点でも取られてたらと思うと、もうヤバかったですよね」
先生  「せやな」
コーチ 「でも、高崎もまた苦しかったんでしょう。赤星相手に甘く入ったところを、赤星がレフト前に痛打」
先生  「なんとかなるかなぁ、思ったな」
コーチ 「ところが、その赤星が、牽制でアウトになってしまいます」
先生  「『いけそう』というところをことごとく自分でつぶしていってしまう」
コーチ 「そしてツーアウトランナーなしになったところで、シーツがストレートをファールしてスライダーを空振り三振という、絶不調時に見せていた姿でスリーアウト」
先生  「高崎も『これでいけるかも』みたいな感じあったやろな」
コーチ 「ですよね」
先生  「そして二回表もその空気のまま流れていってまう」
コーチ 「ワンアウトから相川に痛打されて、高崎がバント、で、トップの仁志にまわったところで」
先生  「さすが仁志やでな。さんざん粘るんや」
コーチ 「だけど、ジャンも粘って三振に取るんですよ」
先生  「ところが、振り逃げや」
コーチ 「こういう時は、ほんまにこうなってしまうんですよね」
先生  「ほんまに苦しかった」
コーチ 「でも、ここでもなんとかジャンが踏ん張って、チームに漂う分厚い雲に歯を食いしばって抵抗したんですよ」
先生  「ジャン、えらい」
コーチ 「二回裏は、ジャンが偉かったあとのアニキ。『脱力後』のゲームであって、初回からのこのあまりにもしんどい中の打席で、どんな姿を見せてくれるのか、注目の打席でした」
先生  「で、やっぱりそれは最高の姿やったんよな」
コーチ 「はい。経験の浅い高崎に対して、一番やってはいけないのは『調子に乗らせること』やと思うんですよ」
先生  「せやな。一回裏の投球は高崎にとってみたら、ラッキーが二つ重なって、シーツを自分の投球で打ち取れたという、十分に『調子に乗れる』投球内容やったもんな」
コーチ 「そこでアニキは、ツーストライクまでゆっくりボールを見て、追い込まれてからカチーンとセンター前にもって行きます」
先生  「『格の違い』を見せ付けることが、最もチームの勝ちに繋がることや、と思ったんやろな。そういう打ち方やと思った」
コーチ 「高崎が動揺させることによって、アニキ以降のバッターが打ちやすくなるという、これ以上ないヒットでした」
先生  「『かまわん、打てるからツーストライクまで打ちやすい球くるまで待っとき、三振せぇへんから』」
コーチ 「そういう風に待たれると、ピッチャーはたまったもんじゃないですからね」
先生  「アニキのこれ以上ないメッセージやったはずやねんけど」
コーチ 「続く、林クンがダブルプレー」
先生  「で、桜井もピッチャーゴロでスリーアウト」
コーチ 「もう、ほんまに負ける材料が2回までにゴロゴロ出てきてました」
先生  「次の回、ベイスターズ三番からやし先制されても全然おかしくないと思ったら」
コーチ 「やっぱり、先制されるんですよね」
先生  「佐伯のホームラン」
コーチ 「野球の流れ、ってほんまようできてます」
先生  「でも、これだけの悪条件が重なりながらここまで1点しか取られなかったのってあれよな」
コーチ 「初回、大ピンチでの矢野のリードとジャンの投球。二回のアニキのヒットで、こう、物凄い速さで憂鬱に飲み込まれようとしていたチームを、それに抵抗することで、少しだけ救ってこれたからやと思います」
先生  「ほんで、いよいよハイライトの三回裏や」
コーチ 「先頭の矢野はリードでいっぱいいっぱいって感じで簡単に凡退してしまいます」
先生  「あそこまでは、ほんまにヤバかってんよな」
コーチ 「憂鬱に飲み込まれるほんまに寸前でした」
先生  「昨日のヒーロー健太郎」
コーチ 「よう『気持ちで打ちました』っていうコメント聞きますけど、ほんまにそんな感じでしたね」
先生  「チームが飲み込まれかけてる分厚い雲に、もう一度抵抗したレフト前ヒット」
コーチ 「3回で1点ビハインドっていう『序盤』の気持ちでは絶対なかったと思います」
先生  「絶対負けられへん試合の最終回の出塁みたいやった」
コーチ 「ここで送りバントして一気に雲を晴らすか、って思ったんですが」
先生  「頑張って投げてきたジャンがまさかのサイン見落としでバスター失敗」
コーチ 「だけど、この回はまだ抵抗を続けることができました」
先生  「バードがよう打った」
コーチ 「あそこで鳥谷が打てたんは、やっぱり初回をゼロにジャンと矢野が抑えたからやと思うんですよね」
先生  「稼動域が狭くなりすぎていなかった」
コーチ 「さらに言うと、ジャンがランナーを送れなかった直後に鳥谷が打ったことで」
先生  「ジャンがそれ以降、抑えることができた」
コーチ 「『ありがとう』と思ったら、動けるんですよ、きっと」
先生  「そしてツーアウト1、2塁で赤星がフォアボール」
コーチ 「あと、一歩のところまで来ました」
先生  「迎えるバッターは」
コーチ 「アンディ・シーツ」
先生  「関本の『気持ちで打ったヒット』鳥谷の『気持ちで打ったヒット』ああいう場面でのヒットの打ち方を二人が見せたからな」
コーチ 「そうですね、ああいう風に打てばいい。細胞が反応したのかもしれません」
先生  「自分が抱えていた巨大な憂鬱」
コーチ 「チームが飲み込まれる寸前だった巨大な憂鬱」
先生  「その二つを切り裂いて蹴散らした」
コーチ 「走者一掃のタイムリーツーベース」
先生  「まさに、みんなでもぎとった3点やったな」
コーチ 「ですね。そして、みんなで大きな雲を快晴の空に変えました」
先生  「あとはもう、動き出したら止まらんわけで」
コーチ 「関本のホームランも、鳥谷のホームランも」
先生  「まさに『フル稼働』っていうような体の動きやったもんな」
コーチ 「関本は大ファンプレーもありましたしね」
先生  「コーチ言ってたやん。今までお世話になった人たちが恩返しする番や、って」
コーチ 「はい」
先生  「JFKが休めて、さらにアニキ以外が打って勝った試合なんて、覚えてないもんな」
コーチ 「昨日の勝ちは、ギリギリの場面で抵抗したのが関本と鳥谷とシーツで、中押しダメ押しが鳥谷、関本っていうのが本当に大きい試合やと思います」
先生  「アニキもちょっとだけ報われたやろし」
コーチ 「ほんまちょっとだけですけどね(笑)」
先生  「みんながみんなに『ありがとう』って言える状態になってきたら、強いよな」
コーチ 「庄田も塁に出て好走塁ありましたし」
先生  「葛城はまた代打でフォアボール選んだしな」
コーチ 「林クンと桜井がちょっと心配ですけど」
先生  「たまには打てん時もあるわ。打てなかったけど勝てたから『みんな、ありがとう』って思ってたら大丈夫や」
コーチ 「『ありがとう』がチームを動かす」
先生  「序盤はどうなるかと思ったけど」
コーチ 「終わってみればナイスゲーム!!」
先生  「ターガース地方、晴天なり」


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posted by コーチ at 09:17| Comment(2) | TrackBack(0) | □ 関本 健太郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ホンマにこの試合、コーチさんのアニキの記事思い出しましたよ。きっかけを作ってくれたのはアニキかも知れないけど、みんなよう打ちましたね。
自分が打てなくても勝ったらものすごく喜ぶ金本さんだから・・・。
いい試合でした。
Posted by yu at 2007年07月31日 19:40
>yuさん

昨日も含めて、この雰囲気は・・・
凄いですね。何かが化学反応を起こし始めてるような感じがビンビン来ます。
「金本イヤー」
なりますよね!!
Posted by コーチ at 2007年08月01日 10:37
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