2007年08月02日

真夏のレッドスター

先生  「コーチ!!!」
コーチ 「はい!!!」
先生  「いくでー!!!」
コーチ 「はい!!!」
先生  「あーかーほーし!!!」
コーチ 「あーかーほーし!!!」
先生  「あーかーほーし!!!」
コーチ 「あーかーほーし!!!」

先生  「なぁ、コーチ」
コーチ 「はい」
先生  「まだ足りん!! あーかーほーし!!!」
コーチ 「あーかーほーし!!!」
先生  「あーかーほーし!!!」
コーチ 「あーかーほーし!!!」
先生  「あー!!!」
コーチ 「どないしたんですか!?」
先生  「あーかーほーし!!!」
コーチ 「あーかーほーし!!!、ってもういいです!!」
先生  「コーチ、ノリツッコミやな(喜)」
コーチ 「なんで、そんな嬉しそうなんですか!(笑)」


先生  「いや、せやけど面白い試合やったな」
コーチ 「そうですね。お互いにチーム値が100ではない中で、いろいろミスもしながら全部さらけ出して勝負!って感じでしたね」
先生  「一打席目見てたらまさか赤星が決めるとはとても予想付かんかったよな」
コーチ 「そうですね。また悪い方へどっぷりはまっていくかと思いました」
先生  「鳥谷がナイスバッティングで出塁した初回や。最近の傾向やったらあそこはバントしてたんよな」
コーチ 「でした。でも、スワローズの松岡が今ひとつな立ち上がりでしたから、赤星がヒット打つ可能性も高かったと思います」
先生  「そこでダブルプレーやった」
コーチ 「結果うんぬんではないんですよね。どう打っていいのか分からなくなって混乱しているように見えました」
先生  「初球、二球目ボールでな」
コーチ 「その後『待て』のサインやったと思うんですけど、赤星そこでバントの構えするんですよね」
先生  「調べたわけやないからイメージで言うけど」
コーチ 「はい」
先生  「赤星は打席の中でバントの構えをしてバントしなかった時の打席の打率がむちゃくちゃ悪いと思う」
コーチ 「確かにそのイメージありますね。ただ、ふつうに難しいと思うんですよ。投手を牽制する意味でのバントの構えは、『打つ』ということと筋肉の使い方がまるで違いますからね」
先生  「『送りバントあるかも』と警戒させる意味あいもカウント0−2からやったらあんまりないしな。相手投手が苦しんでるあの局面で、『待て』のサインやったらどっかり腰を据えてボールの軌道を見たほうがええような気はするよな」
コーチ 「そしてバントの構えを見せてイヤな予感のあったカウント1−2からのストレートをセカンドゴロでダブルプレー」
先生  「あれはヒットエンドランの時の打ち方やもんな」
コーチ 「なんとか引っ張ろうと思ったけど、引っ張り切れずセカンド正面、っていう」
先生  「あそこは『打て』なんやから、そらライト前ヒットがベストやけども、センターに向かってヒット打ちにいった方がええと思ったんや。その結果ショートゴロでダブルプレーでも問題ない。『打て』はそういう意味やからな」
コーチ 「アウトの内容が悪かったんですよね」
先生  「で、やばいかなぁ、と思った赤星の二打席目」
コーチ 「鳥谷の完璧なタイムリーヒットの直後でした」
先生  「1アウト2塁の打席」
コーチ 「押せ押せでしたよね」
先生  「ここで赤星、『最低でも走者を進める』っていう打撃をしてしまう」
コーチ 「ノーアウトやったらアリなんですけども、自分の形を崩してまで進塁にこだわる場面じゃないと思いました」
先生  「結果、最低限の仕事をしてセカンドゴロ」
コーチ 「もっと『オレが打つ』って、赤星はわがままになっていいんですよね」
先生  「そない思う。技術は素晴らしいんや。もっと自分を解放してほしい、あの打席の時点では物凄くそう思っとった」
コーチ 「だけど、解放しきれない赤星に転機が訪れます」
先生  「第三打席やな」
コーチ 「関本がヒット、ボギーが送って、鳥谷のヒットで1アウト一塁三塁」
先生  「大事な大事な追加点の場面やった」
コーチ 「ここで赤星、まったく打てそうもなかったんですよ」
先生  「ピッチャーは高井に代わってて、ストレート速いし、スライダー切れてるし、あの時点では際どいコースに投げてたし」
コーチ 「2−1に追い込まれるまでは、ほんまピッチャーが打席立ってるみたいな感じやった」
先生  「ところが、2−1からの4球目をファールできたんや」
コーチ 「ターニングポイントでしたよね」
先生  「ランナーなしの打席で赤星がよく打つファールやった」
コーチ 「変化球にタイミングを合わせて、ストレートやったから三塁側のスタンドにファールっていう」
先生  「あ、ふつうに打てばええんや、みたいな」
コーチ 「『ランナー進めな!』『チームバッティング!』そういう気持ちをあまりに強く持ってしまう人ですからね」
先生  「もちろん、それは赤星の魅力でもあるし、オレもそういうところが好きなんやけど、だけどそのことで自分を見失ってしまったら、それはやっぱり切なすぎるやん」
コーチ 「ほんまです」
先生  「赤星が4球目のファールで蘇生した」
コーチ 「そして直後」
先生  「いつものバッティングやった」
コーチ 「超前進守備やったから、宮本の横をぬけたけど」
先生  「定位置やったら、詰まってたし、宮本が取ってファーストでアウトかセーフかギリギリのタイミングみたいな、そんな打球やったと思う」
コーチ 「やけど」
先生  「それでいいんやと思うねん」
コーチ 「ですよね」
先生  「それが赤星のバッティングや。カチーンとキレイにレフト前に打てる時ばっかりじゃないし」
コーチ 「高井は決して簡単に打てる投手じゃない」
先生  「チャンスやからって、『どうしても打たなあかん』って思いすぎる必要はないんや。いつも通りでええ」
コーチ 「それが詰まってショートの方に飛んで」
先生  「超前進守備やったから、結果タイムリーになった」
コーチ 「『いつも通り』の赤星が、この三連戦体を張ってスワローズを引っ張ってきた宮本の横を抜いたんですよね」
先生  「今まで頑張ってきたんやし、今も物凄い頑張ってるんやから、一生懸命振ったら、あの場所にボールは飛んでいくんやって」
コーチ 「あまりにチームを思いすぎ、『自分』を失くしかけていた赤星が」
先生  「自分を取り戻した見事なタイムリーヒットやった(泣)」
コーチ 「先生、喋りながら泣かんといてください(泣)」
先生  「そういうコーチかて(泣)」
コーチ 「先生!!!」
先生  「どないしたんや?」
コーチ 「いきますよ!!!」
先生  「おう」

コーチ 「あーかーほーし!!!」
先生  「あーかーほーし!!!」
コーチ 「あーかーほーし!!!」
先生  「あーかーほーし!!!」

コーチ 「ちょっと落ち着きましたね(笑)」
先生  「せ、せやな(泣)」
コーチ 「早く泣き止んでください(笑)」

先生  「あー!! いける」
コーチ 「そうですよ。クライマックスはこれからですもん」
先生  「決勝点や!!!」
コーチ 「あ、元気になった」
先生  「ツーアウト満塁やったな」
コーチ 「6回表にリグスに満塁弾浴びて、逆転されたその直後の6回裏」
先生  「さらに1アウト満塁から、鳥谷が打ち取られて、非常にプレッシャーのかかる場面やった」
コーチ 「『自分が打たなきゃ』またそう思いすぎてしまうような場面」
先生  「初回『打て』のサインでエンドランの打ち方をした、ミスターチームバッティング赤星が」
コーチ 「1点先制した直後の1アウト二塁から、進塁打を選択した赤星が」
先生  「そのことにより、ゲームの中で自らを忘れかけた」
コーチ 「大きな渦にはまり込みそうだった5回裏、一球のファールでその赤星はその渦から這い上がり」
先生  「絶対に得点したかった2アウト満塁の場面」
コーチ 「迷いに迷っていた彼が」
先生  「自分を信じて」
コーチ 「まっすぐ一本、狙いを定め」
先生  「迷わず初球を振りぬいた」
コーチ 「打球は、台風の近づく甲子園上空に舞い」
先生  「ライトのガイエルの遥か後ろで、ワンバウンド」
コーチ 「歓喜のメガホンが打ち鳴らされる甲子園の中」
先生  「三人のランナーが一気にダイヤモンドを駆け巡り」
コーチ 「セカンドベースの上で光った、小さな赤い星は」
先生  「強く強く拳を握り」
コーチ 「大きな光を放ったんだ」
先生  「おかえり、真夏のレッドスター」

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posted by コーチ at 23:03| Comment(3) | TrackBack(1) | □ 赤星 憲広 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
宮本さんの横を抜けた赤星くんのヒット、
頑張ったから、振り抜いたからああいう
良い結果が出たんだなあとうれしかったです。

>「『ランナー進めな!』『チームバッティング!』そういう気持ちをあまりに強く持ってしまう人ですからね

そうですよね、いつもすごく責任感を感じてて
何かものすごく重いものを自ら進んで
背負ってるような感じがします・・・
あんなに喜んでいる赤星くんが見られて、今日は本当に良かったです☆
Posted by あん at 2007年08月03日 01:43
「あーかーほーしー!!!」
人一倍負けん気と責任感が強いから
チームの力になりたいと思い詰めてしまう。
思うようにならないと更に思い詰めてしまう。
昨日はそんな思いから開放されたような笑顔でした。
私もすごーーーく、嬉しかったです!
「あーかーほーしー!!!」
Posted by ちび at 2007年08月03日 14:20
>あんさん

真面目で実直な人で、自分のことより周りのことを考える人に見えますので、その人があれだけ自分がヒーローの試合ではしゃげるということがチーム状態を物語っているのだと思いました。
本当にあんなにも喜んでいる顔が見れて、安心しました。これからもそんな試合がたくさんありますよう◎


>ちびさん

赤星が明るい顔している時はチームも強いし、赤星が暗い顔している時はチームも勝てないですもんね。このままずっと楽しい顔でシーズンを全うしてほしいです。
「うわ、盗塁できそう。いったれー!!」
「セーフ!!」
くらいの感じでやってくれたら嬉しいけど、それは無理でしょうね(笑)
だから昨日みたいにヒーローになって、ニコニコしていてほしいなぁ、と思います!!
Posted by コーチ at 2007年08月03日 16:37
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