2007年08月06日

今こそアニキを守る時

ぼくごときが心配してどうなることでもないことは分かっているのだけど、アニキの膝が心配だ。心配で心配で、レフトのフェンス際にファールフライが上がって、フェンスの手前でブレーキをかける瞬間とか、見ているこちらが顔をしかめてしまう。上を見ている時、どうしたって、人は下への意識が散漫になろうと思うから。

膝の状態は相当に悪いように思うのだ。

アニキの打撃の特徴は、よく解説などで使われる言葉で表現すると「軸がぶれない」ことだと思う。たとえば強い弾力のある大きな消しゴムを反時計回りにギュ〜ッとねじりあげ、左側を固定して一気に戻す。一気に戻すときに左側が固定されきらないと、ねじり戻す力が拡散してしまう。アニキはそのねじる力、ねじり戻す時の左の軸を固定する力が半端なく強い。だからこそ、あれほど強烈な打球を飛ばせるのだと理解している。

その左軸を固定するにあたって、最も重要な部位こそ「左膝」だ。

第二戦の最終打席だった。
アニキはあまり見せない打撃を見せた。


打撃のメカニズムとして、大きく二つに分類できると思う。一つはアニキのような「軸を固定させて打つ打ち方」で、代表的なのはヤンキースの松井秀喜。もう一つは、(左打者の場合)「軸を右足に移動して打つ打ち方」。代表的なのはもちろんイチロー。タイガースだと坂がこっちの打ち方だと思う。

どちらにもその合理性があるわけで、ここでどちらの打撃フォームが合理的かという話をするつもりはなく、

アニキとイチローは打ち方の根本が違うということ。

参考:
アニキのバッティングフォーム youtube
イチローのバッティングフォーム youtube
(両方ともホームランを打った時の映像です。イチローは古いのしか見つからなかったのですが。。。ホームラン打った後スローが出てくるので分かりやすいです)


第二戦の最終打席。
アニキは剛速球投手マルタの変化球を、まるでイチローのような打ち方でセンター前に運んでいった。そもそもそういう打ち方をしようとするはずもなく、結果的にそうなってしまったヒットだと思った。
相手投手の球が速いので、ある程度速球のタイミングで待つ。
しかし、高目に浮いた甘い変化球が来た。
呼び込んで・・・バチーン!!
と、通常ならなるようなボールだった。
その時々の結果は、バットが当たる角度によってホームランにもなるし、強烈なライト前ヒットであることもあるし、打ち損じて内野フライのこともある。それはそれでそういうものだと思うのだが、アニキがこのような場面でスイングの形を変えることは見たことがない。(どうしても一点取りたい場面など、追い込まれたカウントでちょこんと当ててレフト前に持っていこうとする時を除いて)

左膝のふんばりが利かないのだろうと思った。
ストレートのタイミングで待っていた。変化球が甘く浮いてきた。もう一度左の軸に力を溜めて・・・のところで、左膝が緩む。必然的に体が前に流れる、右足で流れた体を食い止めながらバットを出す。バットとボールが衝突するポイントも必然的に前になり、結果的にイチローのような打撃フォームになってしまったのではないか。


先生  「せやけどな、コーチ」
コーチ 「なんなんですか?急に」
先生  「大事なことはやな」
コーチ 「だから、急に登場されても対応できないです」
先生  「コーチ、こんにちは」
コーチ 「もう、分かりましたよ(笑)」
先生  「だから、大事なことはやな」
コーチ 「はい」
先生  「優勝するためにはアニキが四番であることが絶対不可欠やいうことや」
コーチ 「もちろんです」
先生  「ならば考えなあかんことは」
コーチ 「はい」
先生  「できる限り、アニキに負担をかけないこと。これに尽きる」
コーチ 「ですね」
先生  「もしも、もしもの話や。アニキが自ら連続出場の記録をストップを打診したら、監督はそれを受け入れるやろうと思う」
コーチ 「そうですね」
先生  「『アニキ不在』はもちろん物凄く大きな痛手やけども、もしかしたら、『金本さんのために』と赤星や矢野あたりを中心に恐ろしい結束を見せてシーズンを乗り切るかもしれん」
コーチ 「可能性はありますよね」
先生  「だけどもや」
コーチ 「はい」
先生  「それは仮に優勝できたとしても現在のタイガースにおいての理想の姿ではない」
コーチ 「もちろんです」
先生  「アニキが四番のチームで優勝して、初めて優勝なんや」
コーチ 「はい」
先生  「だから、そんな最悪の事態が起こらないためにも」
コーチ 「アニキに負担をかけてはいけない」
先生  「まず3番バッターや」
コーチ 「3番バッターができる限り出塁することによって、アニキが先頭打者のイニングを極力少なくすることですよね」
先生  「先頭打者でアニキが出塁すると、どうしても走塁の負担が増す」
コーチ 「昨日の試合でも、センターフライで二塁から三塁へタッチアップとかありましたもんね」
先生  「黒田のエラーを誘ったああいう当たりはどの局面でも走る必要があるから仕方ないにしても」
コーチ 「たとえばランナー二塁でアニキにまわせば、アニキはフォアボールの確率がものすごく高まりますし」
先生  「一塁二塁の時の一塁ランナーは、激走する必要の可能性が減るからな。フォアボールで歩けて、ランナーに出てからも走塁の負担が少ない」
コーチ 「理想はその後の林クンか桜井でホームラン」
先生  「アニキが歩いて帰ってこれるし、いっぱい点が入る」
コーチ 「理想過ぎますけどね(笑)」

先生  「これまでなぁ、アニキが絶大すぎるあまり、アニキをを基準にオーダーを考えてたことはあまりなかったと思うんや」
コーチ 「『四番はしっかりしてるから』ということが前提になってますもんね」
先生  「もうな、ここまで来たら四の五の言ってられへん。アニキと優勝するためにアニキを守るオーダーを。極端な言い方したら、チームよりアニキや」
コーチ 「そうすることが、アニキと優勝できることに最も近い方法やと思いますもん」
先生  「これまで散々お世話になってきたんや。手負いのボスを、みんなで守りたい」
コーチ 「ですね」
先生  「オレなりの考えでは、四番アニキ、五番林クン、六番桜井ここだけ固定や」
コーチ 「はい」
先生  「やっぱり後半戦好調の要因は四番五番六番のこの並びが固定したのも大きいと思う。で、何よりアニキが林クンの5番は打ちやすそうやねん」
コーチ 「精神的な負担が一番少ないですもんね」
先生  「で、アニキが塁上におるときに桜井がバチーンと打つことで、アニキが乗っていけるケースもあるやろうと思うし」
コーチ 「4番5番6番は現状がベストです」
先生  「それで問題は三番やけど」
コーチ 「はい」
先生  「3番は最近の調子、相手投手との兼ね合いで、シーツ、鳥谷、濱中、関本も入れてもええかな? この四人のうち、最も出塁できる可能性のあるバッターを3番に置く。そこで鳥谷が3番に入ったとして、1番赤星、2番関本、3番鳥谷で、7番矢野、8番シーツになったって構わんと思う」
コーチ 「シーツに対する気配りよりも、アニキの前のバッターがどれだけ出塁できるかを優先すると」
先生  「シーツが8番やと打線のバランスが崩れそうやったら、迷わず外して藤本や坂を入れたらええ」
コーチ 「これまではシーツ不調でも、シーツが打ち始めるまでできる限り3番で使いましたもんね」
先生  「一年間トータルで見たらその方がチームとして勝てる確率が上がるという岡田監督の信念によるものやと思うし、オレもその考え方は大好きや」
コーチ 「ぼくもです」
先生  「やけど、それは当然『アニキはいつでもアニキである』ということが前提になってたわけや」
コーチ 「ですね」
先生  「今のアニキは明らかに手負いや」
コーチ 「昨日の黒田がエラーしたピッチャーゴロって、結果的にはあれで試合決まったプレーでしたが、通常では考えられないですもんね」
先生  「せや。完全に打ち負けてる打球やから。ピッチャーが打席に入った時によく見るゴロやった」
コーチ 「今日一日休んで、少し回復してくれたらいいですけども」
先生  「そう簡単にいくような症状じゃなさそうやし」
コーチ 「ならば、アニキと一緒に優勝するために」
先生  「アニキを守る」
コーチ 「苦悶の表情でグラウンドに横たわり、担架で運ばれるアニキの姿に騒然とする甲子園」
先生  「そうなってからでは遅いんや」
コーチ 「だからアニキに負担をかけてはいけない」
先生  「3番はできる限り出塁する」
コーチ 「守備の時も、赤星もしくは桜井が、左中間の打球はセンターが捕り、レフトの前のフライは鳥谷がショートフライにする」
先生  「みんなで守るんや」
コーチ 「これまでにチームを支えてくれた、数え切れないほど多くの出来事と比べたら」
先生  「このくらいたいしたことやない」
コーチ 「アニキと一緒に優勝する」
先生  「せやな」

コーチ 「秋になって」
先生  「『甲子園』その全部で」
コーチ 「アニキを胴上げしたい」
先生  「感謝を込めて」
コーチ 「何度も、何度も、高く、高く」


クリックでblogランキングへ
posted by コーチ at 14:46| Comment(0) | TrackBack(0) | □ 金本 知憲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。