2007年08月07日

8回表、赤星は闘っていた。

タイガースとジャイアンツ。

タイガースは広島で、ジャイアンツは神宮で、
ともに三連勝して、今日。

試合を見たわけではないが、ニュースなどの情報によると、
ジャイアンツ対スワローズの第三戦は、
ジャイアンツにとって完璧な内容だったように見える。
スワローズよりも少ない11安打で9得点。
得点の取り方も、序盤中盤終盤に少しずつ点を重ねている。
投手陣は12安打打たれながらも、要所を締めて2失点。
小笠原が打っていないことが唯一の救いだが、
現在のジャイアンツ、紛れもなく強いことは確かだ。


タイガースの広島第三戦。
黒田から3回に4点取って、押せ押せムードの4回。
満塁で桜井だった。
マウンドは黒田。豪快なスイングとともにレフトポール際へ大飛球。
満塁ホームラン!! 
ぼくもその瞬間興奮した。黒田を8失点KOなんて、もう二度とないだろうと思った。
が、ファール。
結局、桜井は三振に倒れ、このイニングは無得点だった。


危ない、と感じたのだ。
何かが緩んだ気配がした。楽勝ムードのはずなのに、楽勝じゃない展開。岩田が踏ん張りきれず、その直後に2失点。

満塁ホームランなら、8対0だったものが、
気が付けば4対2の2点差。全く予断を許さない展開になっていた。

しかし、ここ最近の粘り強い打撃を繰り返すタイガース打線ならば、相手投手が黒田でなくなったこともあり、もう1点2点追加することが十分に可能なはずだった。

ところが、黒田の後を投げた、青木勇、広池に対して、着々と凡打を重ねていく。11人の打者で、出塁が2回。四死球も取れず。淡白な攻撃を繰り返してしまう。タイガース打線は「黒田を打って4点差」そして「満塁弾であわや8点差」というところからの「2点差で中盤を迎えている試合」に適応仕切れていないように見えた。一度緩んだものは、なかなかもとに戻らない。


たとえばその日は6時で仕事が終わる日なのだった。
6時で終わるものとして、段取りを組みきっちり6時に終わらせた。
「ふ〜、終わった」と一息ついたところで、
「あ、ごめんちょっと7時までおってもらえる? なんか仕事しといて」と言われた時の「仕事」のテンションへの戻らなさ。
その1時間の「過ごせなさ」といったらない。一度緩んだものはなかなか戻らないようにできている。

桜井の「満塁ホームラン未遂」以降のタイガース打線は、まさしく「その1時間をただただ過ごしてしまう人」と類似した姿のように思えた。

そのままでは、とてもまずかった。
久保田を出し、ジェフを出し、球児が抑えて逃げ切っても、何か噛み合わない。「その1時間を見ないがために、JFKをつぎ込んで必死になってごまかした感」みたいなものが出てしまうところだった。みんなで何かを「見てみぬフリをしている」。これはまずい。

ところが、結果的には、最終回に球児が投げている時、そんな空気は微塵も消え去っていたのだった。

7回裏だった。マウンドは久保田。
見慣れた光景だが久保田はピンチを招いた。もちろん意図してのことではないだろうが、ピンチを招いたことで「1点差に追いつかれるかも」「久保田疲れてるんちゃうか?」一抹の不安がタイガースに過ぎる。過ぎったところでいつもの久保田。150kmを超す剛球をズバズバ投げ始め、ピンチを凌ぐ。「桜井の満塁弾未遂」その裏に渡辺がピンチを凌いで以降、久し振りの「よっしゃー!」だった。

だけど、そのくらいで一度緩んだものは戻ってくれない。

8回表の攻撃も代わった梅津に対して、代打の葛城がライトフライ、鳥谷がピッチャーゴロで淡々とアウトを重ねていってしまう。

赤星だった。

赤星はその一度緩んでしまったものに、目には見えない重量もない得体の知れない大きな敵に、真っ向から勝負を挑む。その姿はまるで「絶対に勝たなければならない試合で、1点差で負けている最終回の先頭打者として打席に立つ赤星」。

8回表の赤星。

際どいボールをファールしてカウントを整え。際どいストライクと言われても仕方がなかった低目のボールを「ボールだ」と判断して、フォアボールを獲った。そして、2アウトランナー1塁の形を作り。モーションの大きな梅津に対して、当然のごとく盗塁を決めてみせる。

次のシーツが凡退で得点には繋がらなかったが、赤星のこの打席ゲームの雰囲気を一変させたことは確かだった。赤星が一度緩んだものを締め直した。

そして、ジェフがマウンドに上がる。完璧に抑える。

9回表。アニキと林クンにヒットが出る。これも得点にはならなかったが、攻撃の形を作って終了。

この流れの中での球児の復活登板だった。
三者連続ストレートで空振り三振。

このゲームを「完勝」として終えることとなった。

8回の赤星だった。素晴らしい打席だった。
強いジャイアンツと闘いそして勝つための、大きな大きな打席だったと思う。

あの日タイガースが一度緩んで戻らないことに困惑していた頃、ジャイアンツは完璧なゲーム運びをしていたと思われる。同じ三連勝でもその内容に大きく差がある可能性があった。

東京ドームで大一番、なぜか勝てない。
その可能性を赤星が消し去った。
勝てないこともあるかもしれない。しかし、少なくとも、その理由は東京ドームの中にある。

久保田、赤星、ジェフ、アニキ、球児。のリレーで試合値を100にしたタイガース。

この三連戦、五分と五分。
がっぷり四つだ。

いよいよ、今夜。

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posted by コーチ at 12:35| Comment(4) | TrackBack(0) | □ 赤星 憲広 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
人に上手く伝えたいけど伝えられない赤星の“気持ち”。いや気持ちなんて簡単な言葉で片付けられないんですが。
それをこうやってきちんと言葉で伝えてくれるコーチさん、嬉しすぎて、泣けてきます。

ふと2年前の広島市民“赤星の13球”を思い出し、(この時現地だったんです)記事を再読させていただきました。
やっぱ泣けます(笑)
Posted by tscb at 2007年08月07日 18:09
そう言ってもらえると素直に嬉しいです!!
ありがとう!!

今日、仕事中にバイトの子が遊びに来ててその子と話してたんですが、「自分で考えてはいるけど、言葉になりきらなかったこと」みたいなことを、(言っていいかはどうか迷ったけど)「こうやろ?」「ああやろ?」って言ってたら、どんどんいい顔になっていってそれがとても嬉しかったです。

そういう場所で暮らしていきたいと思っていて、そういう場所で書いたものをそう言っていただけてとても嬉しいです!

あの赤星のファール、現地で見てらしたんですかぁ。。羨ましい!!

Posted by コーチ at 2007年08月08日 11:17
赤星くんマニアとしては7回裏の
スライディングキャッチも
綻びを繕った一つだと思ってます。
飛び込めない分捕れませんでしたが
あのプレイで何も感じないような選手は
阪神にはいませんから☆
7回裏の守備と8回表の四球&盗塁
私の好きな赤星くんが見れて幸せです♪
Posted by ちび at 2007年08月08日 12:20
>ちびさん
確かにあのプレーも素晴らしかったですよね。ケガせぇへんか心配やったけども、何もなくてよかったです。

で、あれですよ。
赤星さんの凄いところは、
やっぱりあそこまで追いつけるところなんですよね。一歩でもスタートが遅れてたら、ふつうにワンバウンドさせてヒットになってるあたりやったと思います。

さすが!!
Posted by コーチ at 2007年08月09日 10:14
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