2007年08月15日

スクイズ

2対0。8回表。
中日サイドから見て2点リードしている場面。
1アウト3塁。打席にノリ。
落合監督はスクイズを敢行した。

朝倉がほぼパーフェクトな投球で、試合を動かしていき、随所に井端と荒木のファインプレーもあり、THE守備戦はドラゴンズ側のフィールドのように思えた。

タイガースとしてはいくら林クンと桜井がしっかりしてきたとは言え、こういうゲームはやはり四番頼みだったチーム。アニキが突破口を開いてアニキが決めれば勝ち、決められなければ負けてきた。現状のアニキの状態を考えれば、8回を迎えて2対0。このゲームにだけ関して言えば、よっぽどのことがない限り、ドラゴンズ有利であったと思う。

その場面でのスクイズだった。

荒木や英智や投手に出すならばそれは自然なサインだし、昨日、シーツに送りバントのサインを出したように、ノリに送りバントというのもそれほど不自然性はない。ただ1アウト三塁でノリのスクイズはあまりに不自然だった。

おそらく落合監督は優勝しようとしているのだ。
何を当たり前のことを、今更、という感じだが、「優勝しようとしている」そのことをまざまざと見せ付けられたシーンだった。

マラソンで言えば現在のペナントレース、30kmを過ぎたあたりか。最も苦しいと言われる35km〜40kmの間を目前に控えた大事な時期だ。

序盤で大きくアドバンテージを取っていたものが、この時点でほぼ並ばれた。現在走っているペースを見れば、怖いのは前よりも後ろ。「ふつうに勝つ」では足りないと落合は感じたのではなかっただろうか。

「朝倉の完封勝利」確かに、大事な試合で大きな勝利だ。しかし、それでも快進撃のタイガースの勢いを止めるには至らない、そう判断してのスクイズだったように思う。あの場面で仮にノリがタイムリーを打って、その後ウッズがホームランを打って、朝倉がしっかり抑えて5対0で勝ったとしても、まだ足りない。

だから、スクイズ。

ペナントレースの中で「あれがポイントだった」というシーンがほしかったのだと思う。
「ノリのスクイズが決まる」
これは、確実にチームの中にいい作用が起きる。成功の確率は五分。得点するだけならそのまま打たせたほうが良かったことなど、落合監督にしてみれば当然のことだっただろう。「でも、敢えて」。

しかし、失敗。
落合はギャンブルを敢行し、そのギャンブルに敗れた。

9回は1塁2塁の場面で、朝倉に打順が回って来た。投手は江草。
この試合を勝つだけならば、朝倉続投の方が確率は高い。だけど、そのまま打席に送り凡退。そして朝倉が完封という予定調和ではタイガースに抜かれるのは時間の問題。何かがほしくて、『立浪』というドラゴンズが誇る最上級の老舗ブランドを打席に送る。『立浪』という名前が何かを呼んでくれないか。

しかし、意図してのものではなかったが、江草が初球デッドボール。何も起こらなかった、という事実だけが残った。なおも満塁で最も信頼する井端。ここで立浪に何も起こさないまま出塁させた江草が完璧な投球を決め球に。「何してくれてんねん、江草」。落合はそう思ったか。

結局、何も起こらず、ゲームは静かに幕を閉じた。

「ペナントレース」という大きなうねりの中で、何かを起こそうとした落合に何も起こさせなかったこと、起こさせなかった立役者が、渡辺であり、江草であるという脇役陣であること。落合監督の心中を察するに、あまりに歯がゆいシーンではなかったか。

あそこでスクイズが決まっていたら。
立浪がホームランを打っていたら。
怖くて身震いしてしまうほど、重要な局面だった。

何も起こらなかった、ドラゴンズ。
何も起こさせなかった、タイガース。

これを受けて、明日の下柳―川上のエース対決。

どちらかに何かが起こるか。
明日こそ、大一番。

何かが起きるほうがタイガースであるとすれば・・・


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posted by コーチ at 21:29| Comment(2) | TrackBack(1) | ☆ ペナントレース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
5日ぶりの仕事ですがまだ3分の2以上の人は休んでいるため、開店休業状態です。

>どちらかに何かが起こるか。
昨日のスイングを取られた打席と9回裏のゲッツー後のアニキの表情をみれば、今日は間違いなく何か起こしてくれると信じられます。
守備についてもずっと表情を映されていましたけど、アニキがあんな風に悔しさを前面にだしてくれると頼もしいです(笑)

>「ふつうに勝つ」では足りないと落合は感じたのではなかっただろうか。
反対に岡田監督はいつも「ふつうに勝つ」事にこだわっていますよね。
今日、アニキが何か起こしてくれるとしたらそれはきっと「ふつうに勝った」ように私たちの目には映るように思います。


Posted by ちえ虎 at 2007年08月16日 13:29
ちえ虎さん

おはようございます。
ちえ虎さんがコメントで書いてくれたようなことを昨日の試合全部を使って準備できたような気がします。

ビューンと飛躍するために膝を屈めた準備の二試合。

「さぁ今日から」

球児と矢野が笑ってゲームセットが見えてしかたがないです◎

野球がほんまに面白くなってきた!!
Posted by コーチ at 2007年08月17日 08:30
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Excerpt: 先発朝倉ージャンが調子もよく「1点を争う」勝負の予感。スコア0−0の4回。1死から中村紀2ベース。ウッズを打ち取り2死。森野カウント2−1と追い込んでから、中前に適時打を浴びた[:しょんぼり:]結果論..
Weblog: 虎 想い 07 もっと熱く!浜中治
Tracked: 2007-08-15 21:53