9回に小林雅を打って大逆転した日に、
その立役者は当時一軍に上がったばかりの桜井だった。
「打てるかなぁ。。打ったら凄いのに、あ、打った!!!!!」
そんな思いでライトフェンス直撃のタイムリーヒットを見ていた記憶がある。
厳しい夏も一段落してきた9月。
一夏を越えた桜井広大は、超満員の甲子園のど真ん中、悠然と打席に立っていた。
一打サヨナラの満塁の場面。超満員の観衆が感じていたこと。
「桜井が打って勝つのだろう」
もう、アニキが敬遠されている頃から、条件反射的ブーイングをしてみるも、
桜井がサヨナラ打を放つこと前提の上で、
「いったいどんな結末になるのだろう?」
「バックスクリーンに豪快なホームランかな?」
「いやいや、桜井はきっちり打つ場面はコンパクトに振るから、ライナー性の犠牲フライとかが現実的かも」
「だけど怖いのが、おっつけに行っていい当たりのセカンドライナーとか」
「でももしそうやとしても、ゲッツーにならんかったら今日は葛城が決めてくれるって」
「でもたぶん」
「桜井が決めるんやろうな」
夏が始まる前、まさか今年の夏がこれほどまでに暑くなるとは誰も思っていなかったし、
夏が始まる前、まさか桜井がこれほどまでの「当然」の中でサヨナラヒットを打つとも誰も思っていなかった。
タイガースは4連勝。首位とのゲーム差は2.5。 2位とは0.5ゲーム。
しかし、ほんの数日前まで絶望的なチーム状態だったことは、ほんの数日前のことだからよく覚えている。
沈黙を続ける打線の中で、カープの大エース黒田から放ったホームランと決勝タイムリー。
結果が出ない打席でも、カウント0−2や1−2の「さぁ、振れ桜井」という場面では、
必ず「ブンッ」と振って、空振りしたり、ファールになったりしていた。
「これだ」と決めて、思いっきり振りぬける勇気。
これこそが泥沼に体半分突っ込んだチームにとって一番必要なことだ、と、
得点が入ったら「やったー!!」と手をバンバンを叩いて大喜びする監督は、
毎日そう繰り返しているように見えた。
いいから振れ。振るところから始まるんや。
振らなどうにもならん。
そのことを最も忠実にやり続けていた桜井が、昨日、当たり前のようにサヨナラタイムリーを打った。
暑い夏の間。毎試合。一軍の試合で振り続けた結果手にした勲章は、
サヨナラタイムリーよりも遥かに大きな、
「当然」桜井でサヨナラだ、という「当然」。
その「当然」を手にした甲子園は、それをそのまま地鳴りにかえて、
スワローズを飲み込んだ。
夏を制する者はーって受験用語か。
高卒、六浪。夏を制した桜井は、秋になって何を掴むのか。
「菊の季節に桜が満開。菊の季節に桜が満開。」
って競馬の名実況もあったなぁ。。
秋の深まる甲子園。桜井の打球に、5万人が総立ちになるシーンが目に浮かぶ。
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ボロ負けムードぷんぷんの中でも、二軍から上がりたての彼が粘りに粘って四球を選んで出塁した姿を忘れる事が出来ません。
チャンスに打つ彼の魅力もいいですが、大振りせず球を見る姿に頼もしさを感じます。
大砲なのに、選んで押し出しのコーダイもまた捨てがたい(笑)
その通り、菊の季節にスターになりそうな勢いですね。
彼は『読み』というか『待ち』がいいですよね。プロ雀士みたい。
コーチやスコアラーに言われんでも自分でそれができる。
だから振り切れる。そして止まれる。ええバッターですね。
こんにちは。
>チャンスに打つ彼の魅力もいいですが、大振りせず球を見る姿に頼もしさを感じます。
ぼくもそう思います。
彼の中での「かっこいい野球選手」がブンブン振り回すホームランバッターでないことは確かですよね。で、その「かっこいい」に対して、ぼくもとても好感を持ってしまいます。
ここに来るまで本当によく粘ったなぁ、偉かったなぁって純粋に思いますし。これからどこまで凄いバッターになるのか、本当に楽しみです◎
umeさん
こんちには。
「読み」というか「待ち」がいい。
深いですねぇ。。
プロ野球はほとんど阪神戦しか見れないので、阪神以外は、阪神と対戦するときのセリーグの球団の選手しか分からないのですが、現状で「アウトになるときのなりっぷりがいいバッターランキング」を作ったら、桜井トップ3に入れると思います。
小笠原、福留、井端、宮本。この辺と勝負かなぁと(凄いなぁ:笑)
現状の阪神ではトップですよね。最近の赤星も凄くよいけど。アニキは膝の影響がやはり。
「読み」ではなく「待ち」がいい。
非常に頷ける感じがします。
「あなたの夢はなんですか? わたしの夢はサクラワイドビッグ(直訳:笑)」
菊花賞の頃、野球の結果がどうなってるか本当に楽しみです◎