広島で復活弾を放つ前の試合だ。
ゲーム終盤、古田監督は「代打浜中」コールを嫌って、
「代打、葛城」を相手に、右の遠藤から、右の花田への継投を選択した。
前の日に当時中継ぎで投げていた石川が好投していたので、
葛城に石川という場面であれば、代打の代打で「浜中」であったのだった。
「浜中復活初打席」その甲子園の空気、それは相手チームにとってはやはり脅威だろうと思う。
「代打、浜中」を巡る攻防。
この時葛城は、その攻防の中のエキストラだった。
そしてそのエキストラ葛城がセンターの前にポトリと落とすヒットを放って、
その後、赤星がライトオーバーの二塁打で決勝点。
後半戦の快進撃。そのスタートはナゴヤドーム三タテ。
葛城は代打で出場し四球を選んでいた。
常時、出場機会があるわけではなく、当時一軍枠当落線上ギリギリであったことは、
「僕はリンよりもいい選手ではないですが。。。」と
ヒーローインタビューで言えてしまう選手ならなおさら自覚していただろうと思う。
必要以上に謙虚とかそういうことじゃなくて、
己の中に占める「客観性のある自分」の割合が一般的な水準よりも高いのだと思う。
2005年のスペンサーのヒーローインタビューでもそんなのがあった。
場所は神宮だったが同じくヤクルト戦。
「自分はあまり活躍できていないけど、いつもサポートしてくれてありがとう」
葛城とスペンサーに共通しているイメージはやはり「四球」。
チームにおける自分の役割を先に理解して、それに自分を合わせていくスタイルを取る野球選手。
一軍枠当落線上ギリギリの状態で、四球を選ぶ。
ヒットを打ってアピールしたい場面に違いない。
しかし、求められているものが「出塁」であるならばその手段は問わない。
最も確率の高いやり方でその結果へ向かうことを試みる。
それが葛城育郎というプレイヤーの最も優れた部分であると思う。
そして素晴らしいことは、タイガースというチームが葛城のそういう部分を非常に高く評価しているように感じることだ。
ナゴヤドームの初戦を最後に今岡が抹消されたことと、当時桧山が大不振であったことも影響があると思うが、
それ以降葛城のベンチにおけるポジショニングは確実に上がっていった。
いつ間にか「左の切り札」になり、東京ドームのジャイアンツ戦ではスタメンでファーストを守るようになっていた。
2007年シーズン、阪神タイガースの前半戦は目も当てられないひどい有様だった。
その原因を考えたとき冗談抜きでぼくは、やはり井川がぬけたこと、そしてスペンサーがいないことが原因だと思った。
5番今岡、7番矢野という、打てなくなるとどうしようもなくなる二人の間にスペンサーが入っていた打線。
試合に出ていなくても、もう一人のどうしようもなくなる人シーツが打てないときは、ベンチで隣に座って励ましたり。
三番、五番、七番が打線を分断する。それを緩和する仕事していたスペンサーがいなかった。
もちろん、昨シーズンの終盤の快進撃のさなかスペンサーの居場所はなかった。
だけど、苦しいときこそ、スペンサーは活躍していたのだと思う。
2007年、後半戦に入り五番林クン、六番桜井という打線が形になった。
スペンサーとは正反対の「打てる六番桜井」の誕生。
新しく機能し始めた打線は一気に首位との差を詰めていく大きな要因となった。
しかしここにきて林クンの離脱。
五番に桜井が昇格し、林クンの代役は、葛城と高橋光信の併用で補うという形がアッという間に定着した。
その形になって気づいたことは、
葛城、高橋光信ともに、とても客観性の強い六番であったことだ。
林クン、桜井。という並びとはまた違った作用をもたらす、
桜井、葛城。桜井、高橋。という並び。
何百万人いるのか分からないタイガースファンの中で、5人くらいはいるだろう(いてほしい)
スペンサーを惜しむタイガースファンにはたまらない、
5番桜井、6番スペンサー。を思わせてくれる打線だ。
2005年、2006年。葛城に一軍での出場機会はほとんどなかった。
だけどその時タイガースにはスペンサーがいた。
スペンサーがいなくなった2007年、タイガースには葛城がいる。高橋もいる。
赤星は一回りも二回りもグレードアップした。
大きな空振りをするようになったことがその象徴。打ちに行く時は迷わず打ちにいける。
結果的にそれが2−3というカウントを作り、出塁の可能性を広げている。
アニキは相変わらず凄い。とにかく凄い。スワローズ三連戦。三連勝と三連敗。
ラミレスは来日してから最も調子が良いのではないか、というほどに手のつけられない状態だった。
もちろん青木もいつも通り怖かった。宮本も飯原も田中浩康も宮出も福川もイヤなバッターだ。
勝負どころでスワローズがミスをしたことも大きかったが、この三連勝三連敗の最も大きな要因は、
「四番の差」ではなかったかと思う。
仮に、
1番青木、2番飯原、3番ラミレス、4番金本、5番宮出(ユウイチ)、6番田中浩 7番宮本、8番福川、で
1番鳥谷、2番赤星、3番シーツ、4番ガイエル、5番桜井、6番葛城(高橋)、7番矢野、8番関本
であったとしたら、三連勝三連敗は全く逆になっていたとも思う。
一人違うだけでこんなにもかわる。仮に、赤星と青木を入れ替えてみても、鳥谷と宮本を入れ替えてみても、
それはそれで違った面白さのある打線になる感じはする。しかし、四番だけは圧倒的にタイガースだ。
その差が、僅差のゲームを最終的に勝たせた大きな要因であることは間違いないと思った。
このところ冴えのなかった矢野も、守備での良さが昨日おとといは目立った。
ファーストへの牽制球と、渡辺のワイルドピッチを本塁でタッチアウトにしたシーン。
溌剌としていた。
下柳対ラミレスの場面で、カウント2−1からマウンドに行った丁寧さ。
矢野が戻ってきつつある。送りバントできなかったりもしたけど、そろそろ野口の順番の日だし、
移動日を挟んで少し休んだら打てるかな。
関本もまたいい。
何がいいって、桜井のサヨナラヒットに駆けつけるときの表情が最高だった。
ああいう顔をしてる時関本は安定して活躍しているイメージがある。
6番に葛城、高橋という新しくないけど新しい打線になったタイガース。
そして8番関本の急激だったがゆえまた長くなる可能性を十分に孕んでいたスランプの脱出。
その間の7番矢野に元気が出れば・・・
上位はなんとなく打ったり打たなかったりしてる鳥谷とグレードアップした赤星。
最近、ほとんどストレートしか打とうとしないシーツに甘いストレートが来たときに、
得点が入る。アニキが敬遠されれば、その後はほとんど点が入る。
6番はチャンスでは迷わず打ちに行き、そうでない時は粘りを見せる。
勝ったら強く見えるなぁ(笑)
安藤もよく投げたし。下柳先輩にも勝ち星がついた。
ダーウィンは素晴らしいし。単純に投球内容で比較して、ジャンが入れる余地はないほど。
渡辺、江草、JFKはとにかく点を取られない。(エラーしなければ)
さぁあと一ヶ月。
上位三球団が直接当たらなかった一週間。
終わってみればタイガースは4勝1敗1分。
ジャイアンツは3勝2敗。
ドラゴンズは2勝3敗。
浮上したのはタイガースだった。
カープ戦の二戦目に負けて1敗1分になった時は、絶望的な雰囲気になっていたのが嘘のようだ。
今週はジャイアンツにとって大事な一週間。
ドラゴンズ、タイガースとの六連戦。
タイガースとしてはベイスターズ戦でさらに加速したいところ。
林クンの穴は穴ではなかった。
葛城が高橋が6番にいるチームは強い。
しんどい時に強い形だ。
川島が好投した試合を葛城の活躍で取った意味。
この試合がさらに輝きを増して秋を彩ってほしいと、そう思う。
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敬具
パワーブログランキング運営委員会
スペちゃん大好きだったんです。
なんか、来てすぐから他の選手の中に溶け込んでたように見えたスペちゃん。
笑顔がたまらくて。。。
あぁ、今年はスペちゃんがいないからシーツ先生の調子がなかなか上がらないとひそかに思ってました。
なんか支離滅裂ですが。。。。
とにかくスペちゃんをほんわか思い出させてくれてありがとうです。
応援でも「シェーン!!」って叫ぶとビルに反響してすっごい迫力でした。
>笑顔
クルーンとの試合前のやりとりもフレンドリーで、笑顔が弾けて。シーツやジェフまでわきあいあい。フォト紙芝居作っちゃったほどです。
>くりさん
はじめまして。お返事遅くなってごめんなさい。
スペちゃんのファンは数は少なかった印象がありますが(桧山さんと併用という形も影響あったと思いますが)だけど数ではなく濃かったなぁという印象があります。ぼくも物凄く好きでした。で、今も好きです。日本語覚えて通訳としてベンチに入ってほしいという希望はまだ捨てていません!
葛城は昨日もいいところで一ついい四球がありましたし、ポストスペンサーとして申し分のない働きだったように思います(笑)
もちろん林クンには戻ってきてほしいという気持ちが強くありますが、今の打線も魅力的ですねぇ。応援したい選手が多すぎてこまります◎ ファンとして嬉しい悲鳴◎
コメントありがとうございました。
是非またコメントしてくださいね!
こんにちは。
確かに、スペちゃんは横浜戦強かったですね。スペンサーが試合に出ていた頃の横浜戦はとにかく膠着状態になることが多かったですから、そういう時こそやっぱりスペちゃんが目立ったのかも知れないですね。
陽気で優しいアメリカンって、タイガースに大きな革命だったかもしれないなぁと。試合に出てなくてあれだけ存在感のあった外国人選手、これから出てくるかも分からないですね。
ほんまに通訳やってほしいです◎
外国人投手が降板するとき、通訳が物凄い励ますでしょ?笑
にんまりしちゃいます◎