2007年09月13日

アニキは孤独じゃない

先生  「なぁなぁ、コーチ」
コーチ 「どないしたんですか?」
先生  「あ、ちょっと待って」
コーチ 「え?」
先生  「(ティッシュをこより状に丸めて鼻をくすぐる)あ、来た」
コーチ 「先生?」
先生  「ふぁ、ふぁ… ふぁァァアニキ!!!!!」
コーチ 「ちょっと、先生」
先生  「なんや?」
コーチ 「なんや? やないです。何ですかそれは?」
先生  「『くしゃみをしながらアニキと言う』という新しい技や」
コーチ 「なぜですか?」
先生  「理由なんかあらへん。何で生きてるか?なんて答えは人それぞれ、答えは一つやないのと同じことや」
コーチ 「急に話題が飛躍したし、質問の答えになってないし、その技と答えが一つでないことは同じではないです。てか、いっぺんに三つもツッコまな成立しない発言せんといてください」
先生  「なぁ、コーチ」
コーチ 「はい」
先生  「ツッコミは愛やな。ツッコミは優しさやな」
コーチ 「いきなり何の話ですか?」
先生  「『何でやねん!』『どないやねん!』って言うだけがツッコミやない」
コーチ 「まぁそらそうですけども」
先生  「コーチのツッコミは愛がある。だって、全部つっこんでくれる。ボケって言うのはある種、会話の流れを遮る行為や。だからツッコんでもらってその異物感を取り除くことによって初めて成立する。だからボケるのは勇気がいるんや。自らを孤独の淵に向かおうとする行為やと言っても過言ではないと思う」
コーチ 「過言です」
先生  「コーチはオレを孤独にせぇへん。だからオレは孤独ではない」
コーチ 「さっきまで、テッィシュを丸めて鼻に詰めてた人の発言とは思えないです(笑)」
先生  「コーチ!!!!!!!」
コーチ 「は、はい」
先生  「好きー!!!!!!!」
コーチ 「分かりましたよ(笑) ぼくも好きですよ」

先生  「ところで、5回表の攻撃やけどな」
コーチ 「急展開すぎます」

先生  「アニキのホームランやった」
コーチ 「ほんまに苦しいところでは、いっつもアニキですね」
先生  「ホームラン打った後のベースを一周する表情見てて思ったんや」
コーチ 「はい」
先生  「孤独やろなぁ、って」
コーチ 「そうですね、ぼくも思いました」
先生  「何かな、洪水やねん。そこのドアが水に破られたら、家ごと流されてしまう。そのドアを破られんように必死になって歯を喰いしばって一人で支えてる感じがした」
コーチ 「足、ケガしてるのにね」
先生  「一人じゃ苦しい。一人じゃ苦しいから誰かに助けてもらいたいけど、頼んでやってもらうことやない。その部屋にいる誰もがそのドアが破られたらもう命がないことは分かってるんや。だけどそれに脅えて動くことすらできひん。その恐怖を克服してドアを破られへんように真正面から死守してこそ、何かが開かれてくるんや。諦めたらもう終わり」
コーチ 「前の試合でも、全く同じようなホームランをアニキは打ちましたけど、周りが反応しきれませんでしたからね」
先生  「二日続けてやったし、この試合の序盤もシーツと浜ちゃんがダブルプレー。今日のホームラン後のベースランニングには孤独感により拍車をかけたと思う」
コーチ 「だけどアニキは一人で支え続けた。何も言わないでただ只管に、真摯な態度で大水が押し寄せるドアと格闘するアニキ」
先生  「そこへ、一人の男が謝りながらやってくるんや。『金本さんすいません。ぼくにも手伝わせてください』」
コーチ 「みっちゃんでしたね」
先生  「アニキは少しだけ心が安らいだやろうと思う」
コーチ 「みっちゃんの気持ちがこもりにこもったフォアボール」
先生  「そして矢野や。『カネ、いっつもありがとう』」
コーチ 「その時、アニキとみっちゃんの二人で支えてたドアの後ろから矢野が体ごと支えてるみたいな」
先生  「このドアは絶対に破らせへん!!」
コーチ 「ファールファールで粘ってカウント2−3から矢野が苦手な真ん中の落ちる球で三振しそうなところ、そこを何とか止まってフォアボール」
先生  「その時、アニキとみっちゃんで支えてたドアを矢野が後ろから両手で支える。『カネ、いっつもありがとう』って」
コーチ 「アニキにホームラン打たれるまで、カープの高橋は素晴らしい内容でした。それが突如崩れたのはアレですよね」
先生  「せや、タイガースは高橋と対峙してたのではなく、再び飲み込まれかけた大きくて暗い憂鬱の闇を蹴散らそうと、アニキを先頭に対峙し始めたからや」
コーチ 「アニキを先頭に、みっちゃん、矢野と続いて」
先生  「藤本にもストライクが入らない」
コーチ 「ここで岡田さんもそれに呼応するんですよね」
先生  「代打、桜井」
コーチ 「杉山を4回で降ろすって勇気いったと思うんですけども、いいピッチングしてましたし」
先生  「だけど孤独や徒労を受け入れてまでアニキが打ったホームランに、みっちゃんと矢野が続いたこの回」
コーチ 「それに桜井が反応することで、桜井も何かを突破できるかもしれない。突破したなら、おそらく一気に大量点という場面でしたし、試合も決まる」
先生  「ええ代打やと思ったけど」
コーチ 「桜井もとらえかけてはいいたんですけどね」
先生  「いい当たりのショートゴロやった」
コーチ 「打球が矢野の体に当たって、守備妨害で矢野がアウト。ダブルプレーを阻止した形にもなりましたし、何となくいい流れで、鳥谷」
先生  「ジャストミートしたライナーが東出の正面」
コーチ 「もう、ほんまにあと僅か、あと僅かでした」
先生  「やけど大水からドアを守ろうとアニキを先頭にそれを死守しようと頑張った4回表」
コーチ 「気が付けば、嵐はおさまりました」

先生  「だけどまだ、部屋の外で水は強く流れてる。余談を許さん場面の5回裏」
コーチ 「杉山にかわって江草でした」
先生  「2アウトからピンチを招いて、代打に昨日打たれてる井生やった」
コーチ 「2アウト2、3塁で1塁が空いてたんですけども」
先生  「あそこでよう江草が攻め切った」
コーチ 「気持ちがほぐれたアニキが言うんですよね『江草も来い』って」
先生  「江草も一緒にドアを支えたもんな。『杉山、おまえもよう投げた』って杉山も江草と肩組んで、その輪に入る」
コーチ 「『偉い、偉い』ってみんなにヨシヨシしてもらってね、『ぼく4回しか投げてないですけど』とか遠慮がちに言うんですけど」
先生  「『そんなこと関係あらへん。ナイスピッチングはナイスピッチングじゃけ』」
コーチ 「杉山も仲間に加わって」
先生  「後はドアを開けて外に出るだけやってんけども、水によってドアが変形してしまってて開かないんや」
コーチ 「よっしゃ、みんなで行くでー!!」
先生  「6回表や」
コーチ 「いよいよです」
先生  「赤星、デッドボールで出塁」
コーチ 「シーツが右向いて思いっきり振ったらポテンヒットになったという内容のあるポテンで1塁2塁」
先生  「『ワシに任せとけ』ってアニキが決めたい場面やったと思うけど、もうこの時、アニキは孤独やなかった」
コーチ 「みんなでドアをこじ開けよう。フォアボール」
先生  「満塁になって浜ちゃんのところで代打桧山」
コーチ 「いい表情してました」
先生  「押し出しで、勝ち越しや」
コーチ 「葛城もまたいい顔してるんですよね」
先生  「ストライク入らへんのも無理ないでな」
コーチ 「また、押し出しでもう一点」
先生  「そして、矢野が決めた」
コーチ 「『みんなで優勝しよう!!』」
先生  「際どいファールフライがファールになった直後やった」
コーチ 「三遊間に強いゴロ」
先生  「ダメ押しのホームをアニキが踏んで」
コーチ 「アニキは孤独から解放されました」
先生  「みんなで守った心のドアを、みんなでこじ開け4得点」
コーチ 「嵐が去った夜空はとても穏やかに雲が流れ」
先生  「それを見上げてアニキは、少しだけ笑ったんや」


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posted by コーチ at 23:11| Comment(4) | TrackBack(1) | □ 金本 知憲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ume「その通り、昨日の主役はアニキやな」
嫁「また『野球町の人』読んでんの?」

ume「見たか、5回のホームラン」
嫁「アニキの太いスイング、ステキやったわ〜」
ume「あれは孤独なホームランやねん」
嫁「まぁソロやからな」
ume「ちゃうねん、いや違わんけど、劣勢に独りで立ち向かってみせたいう意味で孤独やねん」
嫁「アニキの大きい背中、ステキやったわ〜」

ume「そして6回のフォアボールや」
嫁「アニキの迫力、ステキやったわ〜」
ume「あれはアニキが選んだフォアボールやねん」
嫁「まぁフォアボールやからな」
ume「ちゃうねん、いや違わんけど、タイムリーを捨てて取りにいったフォアボールやねん」
嫁「わざとかいな」
ume「そうや、ど真ん中の球を2つとも笑顔で見送りはったんや」
嫁「コーチさんの言う『みんなでドアをこじ開けようフォアボール』やな」

ume「こんどはみんなでひとつになって」
嫁「タイガースらしくつないで点を取ろうやと」
ume「それに桧山が続き」
嫁「葛城も続き」
ume「矢野が『そろそろええすか?』ってかんじで」
嫁「『いただきまーす』ってかんじで」
ume「先生の言う『みんなでこじ開け4得点』のできあがりや」
嫁「ええやんええやん、アニキやるやん」

ume「ほな僕らも叫んどこか」
嫁「アニキ!!!!!!!」
一同「好きー!!!!!!!」
Posted by ume at 2007年09月14日 13:47
>umeさん

だから「一同」って誰なんですか!笑
umeさんと奥さんと絶対いっぱい増えてる!

「ちゃうねん、いや違わんけど」を二回被せてきてるところがニクいですねぇ(笑)
そのテクニックは今度どこかで使わせてもらおう。メモ、メモと(笑)

今日の試合も凄いゲームでしたね。
負けちゃったけど広島1,2戦での重たいムードはまったく見られず、ホントにナイスゲームやったと思いました。

アニキを中心にジリジリプレッシャーをかけていって、『甲子園』と一体になって得点しにいくという最もやりたかったことができてるので大丈夫だと思います。

久保田と球児は抑えてくれるって信じましょう。きっと抑えてくれますよね◎
Posted by コーチ at 2007年09月15日 03:55
コーチさんもumeさんも泣かせてくれますね。
金本さんがソロホームラン打つときいつも孤独やなあって思います。
なんでいつも一人で走ってるの?って・・・。
下向いて顔色も変えず普通に走ってはるんです。他の選手が打ったときの方がよっぽど嬉しそうで・・・。

でもコーチさんの文を読んで「ああこの日のアニキはうれしかったんやなあ」ってホッとしました。いつもいつも球児君達に助けられてる気持ちでいっぱいの金本さん。勝利のハイタッチの時肩もみもみしてはった時の金本さんと周りの選手の笑顔を観ていいチームだなあとしみじみ思いました。
Posted by yu at 2007年09月15日 21:33
>yuさん

こんにちは。
終了後の「肩をもみもみ」は本当にいいシーンでしたね。あの時のアニキと球児くんの表情は目に焼きついて離れないです。

日本人的美徳って言うのでしょうか。言わなくても伝わる美学。それとは逆の「ありがとう」と思ってたら「ありがとう」と言いましょうっていう、本当に分かりやすくて誠実なものを金本選手には感じます。

「球児、ほんまにいっつもご苦労さん」
「何言ってるんですか、金本さんにどんだけお世話なってる思ってますの」

っていう、どちらも本当のこと言って労わりあっている感じが「肩もみもみ」だったなぁって思います。

今日、球場行かれるんですよね。
暑いですけど、頑張ってくださいね!!

Posted by コーチ at 2007年09月16日 10:38
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