コーチ 「いやいやほんまに、手に汗握るってベタですけど、ほんまに手ビショビショでした」
先生 「結果的に負けてもうたけど」
コーチ 「これやから野球はほんまにおもろいんですよね」
先生 「東京ドームでジャイアンツがまた物凄いゲームやってのけたみたいやし」
コーチ 「9回に5点差追いついて、11回にサヨナラですよね。清水が決めたみたいです」
先生 「凄い! 凄いぞジャイアンツ!!」
コーチ 「なんか、今年のプロ野球の見方。見るべき姿勢っていうんですかね。そういうのをウッズと球児が教えてくれた感じでしたね」
先生 「せやなぁぁ」
コーチ 「9回表。マウンドには球児。ウッズ決勝タイムリーその直前の球をファールした時でした」
先生 「ウッズ、ええ顔で笑ってたんよな」
コーチ 「最高の投手と最高の打者との対戦が、優勝をかけた大一番の試合を決める局面で訪れたときに起こった、最高の勝負の中でのみ生まれるような、そんな笑顔に見えました」
先生 「ウッズ、楽しそうやったなぁ」
コーチ 「2アウト2塁3塁で自分と勝負してくれたこと。全部ストレートでそのストレートがほんまに凄い球であること。調子がよくてそれをファールできてる自分。さらにその場面は優勝の行方を左右する大きな大きな一球一球」
先生 「その舞台の主役を演じてるんやもん。嬉しくなってくるよな」
コーチ 「球児に対するリスペクトと、その球児と対峙している自分自身に対する『やれてる感』」
先生 「そこで思わずこぼれた笑みで」
コーチ 「直後にウッズが球児を打ちました」
先生 「今年、見てるもんて、そういう勝負なんやろな」
コーチ 「先日の東京ドームでの伝説の三連戦もそうでした」
先生 「凄すぎて、泣けてきて、最後には笑ってしまう。敢えて言おう、タイロン・ウッズ、最高な!!」
コーチ 「そのウッズ。生きるか死ぬかという場面で笑えるウッズを明日あさって、必死になって抑えにかかるんですよ。だからこそ面白い」
先生 「また凄い三連戦になるでー!!!」
コーチ 「というわけで、紙一重のところで敗れた大一番、振り返ってみましょうか」
先生 「せやな」
コーチ 「最初に言っておきたいことは」
先生 「おう」
コーチ 「今日は球審、むっちゃ良かったですよね」
先生 「せやな。外の低目かなり広めに取ってたけど、タイガースドラゴンズ関係なく広かったし、序盤から終盤までずっと一定してたし、分かりやすくてとても良かった」
コーチ 「で、そのジャッジにボギーはけっこう救われた面がありましたよね」
先生 「今日のボギーはやったら鼻息荒く投げてた」
コーチ 「でしたよね。3回表とか、井端をフォアボールで出して、その後の荒木の送りバントの処理した時に、ファーストに全力投球」
先生 「藤本も怖かったやろなぁ。150kmでファースト投げてくる人おらんもんな」
コーチ 「こんなボギー見たことあるぞ。って思ったら思い出したんですけどね」
先生 「いつや? 奥さんとキスするときか?」
コーチ 「ちゃいますよ。その時はもっと甘いです。ボーグルにゃんになってます(笑)」
先生 「ハハハ、おもろいおもろい」
コーチ 「あれですよ。リグスに満塁ホームラン打たれた日あったでしょう」
先生 「あった、あった。完全に勝ちゲームやったのに、一発で逆転されて、その後赤星が打って勝った試合や」
コーチ 「浜ちゃんがベンチに戻ってきて、葛城とすれ違いながら葛城が大きな存在になっていったのもこの頃でした」
先生 「せやな。満塁ホームラン打たれたあとな」
コーチ 「なんか怒り狂って、『わー!!』って泣きながら腕振り回してる子どもみたいに投げてたら、アッという間にそのイニング終わってた、みたいな」
先生 「確かに今日のボギーは最初っからそんな感じやったな」
コーチ 「『わー!!!』言うて」
先生 「とにかくブンブン腕回して投げてる感じ」
コーチ 「ボギーも素直な人なんでしょうね」
先生 「ちょっとバランス悪いけどな、『今日は大事な試合やから飛ばしていくぞ』って思ったらあんな感じになるんやろう」
コーチ 「この間東京ドームでホームラン打たれまくったんもあるでしょうし」
先生 「試合作ったし、ナイスピッチングよな」
コーチ 「で、スコアは0−1。阪神1点ビハインドで迎えた4回ウラでした」
先生 「円陣組んでたよな。鳥谷からやったし快投を続ける朝倉をなんとかしたかった」
コーチ 「先頭の鳥谷は、朝倉が物凄いピッチング続けて打ち取られるんですけど」
先生 「赤星が高いバウンドのファーストゴロ。ウッズとの競争で赤星の勝ちっていう内野安打で出塁」
コーチ 「1000本安打まであと1本になって、これは終盤のいい場面で出るぞーって物凄い期待しましたね」
先生 「せやな」
コーチ 「1アウト1塁。ゲームの中で大きなキーとなるシーツがダブルプレーを打つか繋ぐかというところ」
先生 「結果はレフトフライやったけど、内容は悪くなかったな」
コーチ 「ですね。ちゃんと右向いて打ちに行ってましたし、だけど朝倉のボールが速いしインサイドの厳しい球でしたから。ほんまは見送ってほしいんですけど、シーツは二個も三個も同時にできないですからね、『ライト打つ』って決めたら、それで頭いっぱいの感じでした」
先生 「やけど、それでいいんよな」
コーチ 「2アウト1塁でアニキ、という場面でも点は入るという象徴的なイニングともなりましたしね」
先生 「結果的にこの回4点入ったわけやけど、朝倉と谷繁のまず最初のミスは、アニキとの勝負を避けたことやったな」
コーチ 「結果フォアボールは問題ない場面なんですけどね、気持ち的に『勝負したるんや!!』っていうもんがなかったです」
先生 「で、一塁二塁になった時に初めて気づくねん」
コーチ 「あ、ここは甲子園やった」
先生 「『わっしょい、わっしょい』始まって、360度黄色のメガホンが揺れてる真ん中で」
コーチ 「一度逃げ腰になった朝倉は、『攻める』ということが分からなくなってしまいました」
先生 「桜井にカウント2−3からフォークボール」
コーチ 「この配球は谷繁が朝倉を苦しめたかな、と思いました。攻めなきゃいけない場面。1−3からのインサイドのまっすぐを桜井が空振りしてましたし、もう一球あのコースに朝倉は投げたかったかも知れないなぁと」
先生 「カウント2−3からのフォークボールを桜井がしっかり見てフォアボール」
コーチ 「調子もいい。打たれてないのに、360度の『わっしょい』に合わせて黄色のメガホンが揺れる中ピンチを迎えた朝倉」
先生 「葛城が大きく見える」
コーチ 「前の打席、ランナー一塁で引っ張りにいこうとし過ぎて引っ張り切れずダブルプレーだった葛城。ここはポイントを近くしてレフトにライナーを打つタイミングで待ってました」
先生 「非常にシュートが投げにくい」
コーチ 「外に甘いシュートが行ったら、左中間にライナーが抜けていくイメージが朝倉には過ぎったかも」
先生 「少なくともオレには過ぎってた(笑)」
コーチ 「360度の『わっしょい』の中で、塁上のランナーが一気にホームインしてしまうイメージが過ぎってしまったとすれば、もうどうしようもなく」
先生 「葛城、矢野に連続押し出し」
コーチ 「藤本にもカウント0−3まで行って」
先生 「その後、2−3になってから、藤本がしっかり粘った」
コーチ 「ファールする中で、『非常時の満塁』を『通常の満塁』へと変えていった藤本」
先生 「藤本は満塁には強いんや!!」
コーチ 「ピッチャーの足元を強く抜いて、二点追加」
先生 「昨日と似たような展開で一気に逆転。ええ雰囲気やったんよな、ここまでは」
コーチ 「でも、やっぱり簡単に優勝させてくれないですよね。ドラゴンズさすがですよ」
先生 「直後の5回表。先頭は井端やった」
コーチ 「ここの井端をボギーが抑えることができれば、かなり勝てる確率は高かったですけども、飛ばしすぎてちょっと疲れてきてたボギーの中途半端になったボールを井端があわやフェンスオーバーという二塁打」
先生 「さすがは井端やな。『ここ』っていうとこで、ほんまに出塁する」
コーチ 「だけど荒木が初球を簡単にサードゴロ」
先生 「オレ、ドラゴンズファンやったら、このサードゴロは凄く残念に思ったと思う」
コーチ 「ですね。赤星出塁の後の、シーツ初球ショートゴロダブルプレー並みの残念です」
先生 「で、ノリのとこで犠牲フライの一点で済ますんよな」
コーチ 「なんとかなるかも、って思いました」
先生 「だけどクタクタのボギーは、ウッズにヒットを打たれて、さらに森野にライトオーバー、完全にキレがなくなってもうた」
コーチ 「5回でしたから、継投も難しかったと思うんですよね。昨日杉山が4回でマウンドを降りたんは、チャンスが来てしまったから、あれはあれで自然やったと思うんですけど、逆転してあと1イニング抑えて交代ってとこでしたから。勝ち投手の権利の件もありますし」
先生 「4回2/3で交代させるのって、あそこまで打たれてからじゃないと不自然やもんな」
コーチ 「でまぁ、1点差に追いつかれて交代という自然な流れで、江草がピシャリ」
先生 「江草、ナイスピッチング!!」
コーチ 「で5回ウラから、今日の影のヒーローの登場です」
先生 「ずっと試合見てるドラゴンズファンならその予想はあったんかも知れんけど、阪神ファンはまさかあのピッチャーがヒーローになるとは思ってもみなかったもんな」
コーチ 「久本、快投」
先生 「阪神ベンチも久本に対する準備を怠ってたかな? ふつうに打てるやろう、と。やけど、ナメたらエライ目にあう。ええ教訓やで」
コーチ 「鳥谷の平凡なセカンドフライを荒木が落球したところから久本の快投が始まるんですよね」
先生 「赤星のバントをサードへ見事な送球」
コーチ 「あれ、ちょっとでもズレてたらセーフでしたから久本の大ファインプレーですよね」
先生 「で、一塁に赤星が残って、また1アウト一塁でシーツ」
コーチ 「ライトフライでしたけど、これも気持ちの出たスイングしてました。アウトになるんはいいんですよ。シーツは右向いて打ちにいけばいい」
先生 「2アウト1塁でアニキ。4点入った場面と全く同じになった」
コーチ 「抜け球が頭の近くにいくってハプニングもありましたけど、あれは抜けただけやししゃあないですよね、その後逆に久本がビビらんと腕振ってようスライダー投げました」
先生 「空振り三振で無得点」
コーチ 「6回表、ピッチャーは渡辺でした」
先生 「ええピッチングやった」
コーチ 「でね、優勝争いの真っ只中で、ちょっとのん気な話かもしれないんですけどね」
先生 「おう」
コーチ 「渡辺って新人王の権利ありますよね?」
先生 「せやなぁ。。5年目以内で、それまで投球回数が30イニング未満が条件やったと思う」
コーチ 「渡辺、今シーズンの春にプロ入り初登板でしたし」
先生 「上園もチーム事情で二軍行ったからなぁ。渡辺、アリよな」
コーチ 「シーズンの結果はまだ分からないですけど、少なくともタイガースが優勝争いを展開できている現状を踏まえて、その立役者はもちろんJFKってことになるじゃないですか」
先生 「せやな」
コーチ 「リリーバーがむちゃくちゃ大事な時代に、しっかり突入してるんですよね。それやったら、先発で何勝でもないし、何セーブでもないけど、貢献度で言うと、渡辺の活躍は先発ピッチャーの10勝に匹敵すると思うんですよ」
先生 「思う思う」
コーチ 「調べてみたら、今シーズンの渡辺の成績。投球回数や防御率、奪三振。もちろん投げてる場面が違いますけど、岩瀬と遜色ないんですよ。あの岩瀬とです!」
先生 「コーチ、ちょっと興奮してるなぁ(笑)」
コーチ 「優勝できて、で、渡辺が新人王取れたら最高やなぁと思ってね」
先生 「中継ぎ投手がもっと評価されていい、っていうことの革命的な選出、あってほしいなぁ」
コーチ 「思いますね」
先生 「というコーチの思いをさらに強くするような、ナベ君の快投で6回表は完璧やった」
コーチ 「ナベ君、ナイスピッチング!! やったんですけど、結果的にここで落合監督のファインプレー采配でしたね」
先生 「久本続投」
コーチ 「確かに2アウトランナーなしで久本に回ったんで、どうするかなぁと思ったんですけど、1点負けてる場面で代打出さないっていうのは勇気ありますよ」
先生 「そのイニング捨てるわけやからな」
コーチ 「最近のドラゴンズ中継ぎが不安定な面ありましたし、代えにくかったのもあるとは思うんですけど、久本と心中って凄い信頼です」
先生 「この勇気が紙一重の勝負をドラゴンズがものにした理由よな」
コーチ 「6回ウラは、久本ショー」
先生 「桜井、代打関本、矢野と、そうそう簡単に打ち取れない3人をあっさり三者凡退」
コーチ 「あの試合に似てるなぁと思ったんですよ」
先生 「桧山が代打で満塁ホームラン打った試合な」
コーチ 「そうそう。その時の江草」
先生 「久本がちょっと打てそうもない感じになってた」
コーチ 「凄かったです」
先生 「ところで、話が前後するんやけどな」
コーチ 「はい」
先生 「コーチは桜井スタメンで、浜ちゃん下げたんどない思った?」
コーチ 「ぼくは自然やと思いました」
先生 「理由は?」
コーチ 「仮に広島二戦目の大ホームランがね、アニキより前に打ったホームランであったか、昨日のアニキのホームランの後の打席で
出塁できてれば浜ちゃん今日だけじゃなくてしばらくスタメンやったと思います」
先生 「なるほど」
コーチ 「広島戦で代打で出た桜井のショートゴロは少しタイミングがズレただけで雰囲気は戻ってきてましたし、切り拓くという面ではやっぱり桜井に多くの打席を打たせたい感じはありますよね。どっちがなかなかアウトにならないかって言えば桜井やと思いますし」
先生 「桜井、もうちょっとやな」
コーチ 「頑張れ、桜井!!」
先生 「負けるな浜ちゃん!!」
コーチ 「というわけで阪神1点リードで7回表」
先生 「当然、久保田がマウンド。80試合目、タイ記録や」
コーチ 「先頭は井端でした」
先生 「また井端や、大変なことや、と思ってたら、久保田が完璧な内容で井端を抑えてしまって」
コーチ 「やったー!!!勝ったー!!!って思ったんですけど」
先生 「甘かったなぁ。強いは、ドラゴンズ」
コーチ 「荒木がしぶとくライト前」
先生 「セカンドフライ落球したんと、チャンスであっさりアウトになってしまったんを取り返すいいバッティングやったな」
コーチ 「でも、今日の久保田凄かった」
先生 「155キロ出てたしな。どーん!!っていうストレートでノリを完璧に抑えて」
コーチ 「やったー!!!勝ったー!!!って思ったんですけど」
先生 「やっぱり甘かった」
コーチ 「ここで今日の大ヒーローの出番です」
先生 「矢野の配球ミスでも、久保田の失投でもない完璧なインコースのストレートやった」
コーチ 「それを詰まってたんですけどね、タイロンの超絶のパワーと、巧みなバットコントロールで、バックスクリーンまで運ばれました」
先生 「いやいや、今年見たホームランの中で、正直一番ビックリした」
コーチ 「あれ、ホームランにするかぁってね。けっこう前ですけど、東京ドームで下柳先輩が阿部に打たれたホームランもビックリしましたけど」
先生 「顔の前のシュートをホームランにしたやつな」
コーチ 「やけど、飛距離が違うし、あそこまで飛ぶんですね。あのコース、あの打ち方で。ほんまにビックリしました」
先生 「久保田また泣きそうになってたけど、久保田全然悪くないで!!」
コーチ 「タイロン、凄すぎ!! しかも、二度と同じ打ち方できないような奇跡的な打法やし、気にせんでいいから!!」
先生 「最多登板新記録の試合は記録に花を添えれるといいな」
コーチ 「明日ですかね」
先生 「おそらく」
コーチ 「で、久保田がしっかり森野を抑えて7回ウラ」
先生 「久本がどんどん良くなる」
コーチ 「あと二試合。対久本も勝負のキーポイントですね」
先生 「現在のタイガースは集中状態に入るとよっぽどいいピッチングされない限り先発ピッチャー攻略するからな」
コーチ 「ジャイアンツ二戦目の久保とか、急激に調子が変動するとかじゃない限り、なんとかしてきてます」
先生 「カープ戦の二試合は脱力してたから置いといて」
コーチ 「昨日の高橋建、今日の朝倉。共に途中までナイスピッチングやったけど、突如乱れて、といゆうよりプレッシャーで乱してる感じですからね」
先生 「ドラゴンズも惜しみなく久本を投げさせてくるやろし、あと二試合に限って言うと、久本はウィリアムスやと思って打ちにいかなあかん」
コーチ 「ですね。そんじょそこらの中継ぎ投手じゃないんや、って意気込みでいかなまたやられてまいます」
先生 「まぁ何はともあれ、久本、ナイスピッチングやった」
コーチ 「敵であっても、脇役の大活躍は素直に嬉しいです」
先生 「何とか明日は中盤で久本を引きずり出して、打って勝ちたい。リベンジやで!!」
コーチ 「で、8回表。岡田さんは1点負けてる場面でジェフじゃなくて、橋本でした」
先生 「岡田さんはやっぱり勇気のある人やで。『そら延長の可能性もあったしな、あそこは橋本が抑えなあかんやろ』って感じや。1点負けてて、さらにハシケンは本調子じゃなかったのに、しっかり勝つこと考えてる」
コーチ 「同点になった時に、球児とジェフが控えてるって形は圧倒的に有利ですもんね。ドラゴンズは岡本に不安がありましたし、非常にいい継投やと思いました」
先生 「で、ハシケンが完璧に1イニング全うして」
コーチ 「ようやく、チームに合流しました」
先生 「おかえりハシケン、ナイスピッチング!!」
コーチ 「延長を見越して8回表にハシケン投げさせたんが、やっぱりはまった8回ウラ」
先生 「ドラゴンズは不安のあった岡本、タイガースは先頭赤星」
コーチ 「ここは行けるなぁ、と思ったら。赤星、完璧なセンター前ヒットでした」
先生 「1000本安打。おめでとう!!!!」
コーチ 「いい場面でメモリアルが出て、甲子園が一気に朝倉を飲み込んだ『わっしょいの蟻地獄』と化します」
先生 「シーツの送りバントはサインやな」
コーチ 「そうですね。8回ですし、何より赤星メモリアルのムードを潰してしまうことは、今後の戦いを考えてもあってはならないことでしたから」
先生 「メモリアルの時間を長く取ることが絶対条件というところで送りバント」
コーチ 「シーツは活き活きとバントを決めました」
先生 「おもろい人やな、ほんま」
コーチ 「そしてアニキ」
先生 「こういう場面で、ほんまにアニキは打つなぁ」
コーチ 「だからみんな憧れるんですよね」
先生 「赤星、小さい体でほんまによう頑張ってきたけのー。ワシからのプレゼントじゃけ!!!打法」
コーチ 「長いです(笑)」
先生 「痛烈なライト線の当たりが際どくファールになった後やって」
コーチ 「詰まらされたんですけど」
先生 「アニキの気持ちは」
コーチ 「打球をショートの後ろまで運んで」
先生 「メモリアルな空気の中」
コーチ 「赤星がホームを踏んで、同点」
先生 「アニキー!!!!」
コーチ 「赤星ー!!!!」
先生 「ほんまにええチームやなぁ。ほんまにほんまにええチームや」
コーチ 「ベンチで腕グルグル回してた監督の嬉々とした表情も良かったですし」
先生 「とにかく、岡本を打って同点に追いついた」
コーチ 「よっしゃ、もう1点というところで、岡田さんは甲子園と一緒に試合を決めようとしました」
先生 「桜井に代えて、桧山」
コーチ 「でしたけど、ここは岡本が意地を見せて2アウト」
先生 「最後は抜けたフォークボールが打ちにくいところにきてしまって三振やったな。打ち取られたんではなかったし、関本打てるぞ!って思ったら」
コーチ 「関本、会心のレフト前ヒット」
先生 「そして再度甲子園に『わっしょい』が始まって」
コーチ 「岡本がもうフラフラやったんですよね」
先生 「この試合唯一、阪神の選手に『おい』って思ったのは」
コーチ 「やっぱり矢野でした(笑)」
先生 「チャンスで初球から行くのも分かるんやけどな」
コーチ 「赤星メモリアルと、アニキのタイムリーのあと、関本が完璧に繋いでという二重三重の『わっしょい』の中で岡本が投げなあかん場面でしたしね。しかも岡本調子悪いし」
先生 「4回の朝倉と同じくらいしんどかったはずやもんな」
コーチ 「初球のフォークボール、引っ掛けてショートゴロ」
先生 「ストライクは入りにくいし、必ず甘い球来るって余裕持ってほしかったんはあったけど」
コーチ 「そういう矢野のお茶目な部分を読みきった谷繁のナイスリードということで!」
先生 「矢野、明日は頼むで!!」
コーチ 「で、同点の9回表、球児できました」
先生 「これはやっぱり延長になってウッズを見越してやろうな」
コーチ 「ですね延長になれば球児が2イニングの予定で、9番から始まる9回の最大の敵は1番の井端で、順調に抑えたとして10回に回ってくるウッズが怖い」
先生 「ということで球児、9回10回のうちどちらかで1点とって勝とうと、岩瀬の9回、10回で点が取れなくても、まだジェフを残している強みがあってしかも後攻。タイガースが有利な状況で9回表を迎えたわけやったけど」
コーチ 「あんな名勝負が待っているとは思いませんでした」
先生 「やねんけど、結果的にドラゴンズが球児を攻略できた最大の理由は、勇気やったな」
コーチ 「ですね。9回表、ドラゴンズが見せた『5つの勇気』です」
先生 「5つやな」
コーチ 「まず『ここが勝負、といきなり立浪を代打で出してきた落合監督の勇気』が一つ」
先生 「ほんで、その立浪が『初球の変化球を打ちにいった勇気』が二つ目」
コーチ 「さらに井端のバントの後、荒木が打てないのはしゃあないって、開き直って『ここや、と思った高さよりも随分高い場所を振った勇気』が3つ目。これが結果的に高いバウンドのサードゴロになってシーツの頭を越えました」
先生 「ノリのファーストゴロはみっちゃんがしっかり守って、得点を阻止」
コーチ 「挟んでアウトにするのに、少し時間かかったのは、英智の好走塁でした。キャッチャーの矢野が『すぐサードに投げる』っていう瞬時の判断が効を奏したものでした。その『瞬時に判断した英智の勇気』が4つ目」
先生 「そして最後の最後までストレートを待ち続けた、『タイロン・ウッズの勇気』が5つ目」
コーチ 「球児も勇気あったと思います。今日も高め狙った球が低目にいってしまったストレートがありました。あの球が一番怖かったはずなんですけどね、2アウト2塁3塁で逃げない球児」
先生 「あまりの真っ向勝負に、矢野がちょっと置いてけぼりになってしまってたんがかわいそうやったけど」
コーチ 「しゃあないですよ。球児vsウッズの最後の勝負は、もう二人だけの異次元の世界でしたから」
先生 「究極のストレート勝負の中で笑ったウッズ」
コーチ 「球児も155キロ何球も投げてましたしね」
先生 「それを楽しみきったウッズに軍配」
コーチ 「やけどほんまに紙一重でしたからね。インサイドの高いところにいってたら、空振り取れてました」
先生 「あの球をそこにコントロールせえっていう方が無理な話やろからな」
コーチ 「今日はウッズが楽しめたから、そこに行かなかったんですよね。ウッズの日だったんです、きっと」
先生 「だけど、タイロンの日ばっかりになることはないと思う」
コーチ 「そうですね。だって、球児やって久保田やってあんなにも頑張ってきましたから」
先生 「タイガースが今シーズン積み重ねてきた長くて濃密な時間はな、一生懸命頑張る人たちを絶対に裏切らへん」
コーチ 「だから、明日も明後日も今までどおり一生懸命やればいい」
先生 「ふつうにやったら、また凄い試合になってしまうのかも知れないけど、またきっと勝てるはず」
コーチ 「だから、今日はナイスゲームで」
先生 「今シーズンは、ナイスシーズンなんや!!」
コーチ 「だけどぼくたちタイガースファンは」
先生 「アニキの胴上げが見たいんです!!」
コーチ 「だから神様」
先生 「明日は阪神、勝てますように」
神様 「わかりました」
コーチ 「え? 先生今、何か聞こえませんでした?」
先生 「う、うん。聞こえたで、聞こえたでー!!!!」
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