2007年09月08日

笑顔の奪首

大激戦明けの天王山第二戦。

前夜とは打って変わって緊迫した投手戦。その投手戦を呼んだキーワードは「混乱」だった。

ジャイアンツの先発投手は、久保か福田だろうというところで久保。ある程度予想された中での久保だった。対してタイガースの先発投手は、安藤。予想された下柳先輩用のオーダーを組んできたジャイアンツ。まず一つ目の混乱が、全く準備をしてない中での「対安藤」であったと思う。

なんとなく落ち着かないムードの中、プレイボール。

逆転首位への狼煙が鳥谷の初球ホームランで上げられる。
いつものように足を上げてタイミングを取る鳥谷。
「あ、早い」少しタイミングがズレたと反応する鳥谷。瞬時にもう一度足を上げ直す。

ジャイアンツバッテリーとしては確かに不用意な入り方だったかも知れない。甘く入ったカットボールだった。
しかし、細胞レベルで反応した鳥谷の見事なホームラン。

そうだ難しく考えることは何もない。やってきたことを信じて、それに反応するだけ。

初回からタイガースに「いける」というムードが充満する。しかし、ここに落とし穴があることにこの時点では気づくことができない。

動揺を隠せない久保は明らかに制球を乱していた。

2アウトからアニキが一塁線を破る二塁打で続き、「もう一点取れば一気にノックアウトだ」という場面で桜井。
決め球のフォークボールが素晴らしかった。桜井、これを空振りで三振。あれだけ不安定だった立ち上がり、いきなり訪れた「ここ一番」の場面。最高のフォークボールを投げることに成功した久保。あそこでずるずる行かないのがジャイアンツがここまで踏ん張ってきた強さなのだろうと再確認する。


ジャイアンツの「混乱」は、「先発が安藤」というだけではなかった。「安藤のフォークボール」。小笠原や谷はほとんど対戦がなかっただろうし、今シーズンは全ての選手が初対戦となる安藤。ナゴヤドームで延長を戦い、その翌日大激戦。明日はおそらく下柳というところで、安藤に対する準備をする余裕はなかっただろうと思う。

イメージで判断するしかない中で、イメージの中には出てこない「フォークボール」。そしてそのフォークボールをガンガン投げさせる矢野。前日強烈な打球をいとも簡単に飛ばし続けたジャイアンツ打線はこの二重の混乱に苦しめられた。さらに輪をかけて序盤から、厳しくインコースを攻める安藤と矢野。

何度か左打者のいい当たりが葛城のところへ飛んだ。二重の混乱、インコースのストレートの残像による僅かな躊躇、それがいい打球をヒットコースへ飛ばさなかった要因だと感じた。

しかし、タイガースにも予期せぬ混乱が訪れるのだった。
それは久保の急激な復調。
1回、2回の久保は「非常に悪い」という位置づけで判断されるような内容だった。桜井へのフォークボールは良かったが、葛城へのデッドボールや、追い込んでから矢野に投じた抜けたスライダー。あってはならないボールを随所に投げていた。しかし、2回表2アウト2塁3塁で鳥谷という場面。鳥谷が高目のストレートを打ち上げてしまう。この当たりから久保が自信を取り戻したように見えた。

「非常に悪い」から「かなり良い」への急激な変化。

一度「非常に悪い」でインプットしてしまったものを、「かなり良い」へ変更することは容易ではない。感覚に対して意図を働かせる必要があり、それはたとえば「面白くないけど、必要だから作った笑顔」のような不自然さを体内の中へ産み出させる。「作り笑い」のまま打撃を繰り返したタイガース打線。3回から6回までの4イニング。一人のランナーを出すこともできなかった。

タイミングを取り直して反応で打った初球ホームランが大爆笑だとすれば、大爆笑できるはずだったのに作り笑いを強いられる状況に追い込まれてしまったわけで、それは本当に、なんとも表現しがたい「やるせなさ」を産む久保の投球だった。

それに対して、安藤も疾走する。
5回までパーフェクトピッチング。ジャイアンツの混乱は続いていた。

5回表、久保対鳥谷。カウント0−3から打ちにいってほぼピッチャーの真上に打ち上げるサードフライ。
5回裏、安藤対小笠原。カウント0−2から打ちにいって、サードファールフライ。

非常に似た内容で両投手が投げ合っていく。
打者から見てともに「とらえた」と思うボールが内野フライになる。
球児のボールだと、それが空振りかファールになる。
しかし、久保や安藤のボールは一球でアウトになるような強すぎず
弱すぎないボール。ゲームは小康状態のまま6回裏を迎えていた。

問題は、ノーヒットのままでも安藤を降板させるかどうかだった。
いくら混乱を招いているとはいえ、これだけのジャイアンツ打線相手にパーフェクトやノーヒットノーランなど奇跡に近い。故障明けの安藤、完封もまた相当にしんどいだろう。しかも球場が球場なわけだ。必ずどこかでヒットは打たれ、ピンチは招くだろう。リードは一点。ジェフがいない。どこでノーヒットのままで代えるのはそれはそれで何か不穏な空気を招きかねない。だけど最長でも7イニングで代えて、久保田から球児へ繋ぐほうが勝利の可能性は高まるはずだ。

6回裏。スンヨプからだった。正直スンヨプにヒット打たれてホリンズをダブルプレーが理想だとか、そんなことを考えていた。

スンヨプに初ヒットを打たれた。だけど、ホームランだった。
同点。同点になったが、不思議とヒットを打たれたことに安堵した。これで勝てる、漠然とそんな気持ちになった。

そしてホームランを打たれた後の、ホリンズ、久保、谷をしっかりおさえ込む安藤。昨日の久保田もそうだった。打たれた後に踏ん張れる。安藤、ナイスピッチング!!
同点に追いつかれて、そのまま自然に流れをタイガースに呼び込んだ。逆流しているようでいて自然な流れ。


7回表。

真面目に頑張る人が活躍する。
野球の神様は東京ドームで一泊したのかな。

昨夜の桧山と同じようにフォークボールだった。
葛城育郎。
快進撃の船出となったナゴヤでの三連勝。当時は厳しい立場の中、代打で出ては四球を選び勝利へ貢献した。
浜中の復活劇では、代打の代打で引っ込む役だった。

葛城がホームランを打った。

桧山と同じ打ち方だった。何がどうしてそうなるのか分からないものがきっと体を反応させた。月並みだけど、一生懸命頑張ってたらきっといいことがある。それを信じて頑張るだけ。
ずっといい顔で野球をしている葛城に勝利の女神が微笑んだ。

一塁を回ったところ。強く拳を握りガッツポーズで女神に微笑み返す葛城。


その後、小笠原や矢野に攻守があって、西村豊田でジャイアンツは追加点を与えない。

タイガースはジェフ不在のため、江草と渡辺で7回を問題なく凌ぎ、久保田が前日のモヤモヤを吹き飛ばす。「分かってるけど打てないインハイのストレート」で谷を打ち取った。

9回は先頭の矢野が球児の唯一といっていい、「高めに投げようとした球が低くいってしまい通常よりも球威のないまっすぐになる」というコントロールミスを逃さずツーベース。しかし、ノーアウト二塁で高橋、小笠原、二岡と続く一点差の局面をピンチと感じない。今日の球児はまっすぐがとても良かった。

「混乱」が渦舞いた第二戦。
最後は分かっていても打てないストレートを投げる男がマウンドに君臨し、そしてタイガースは、とうとう首位に立った。

もちろん、まだ終わったわけではない。
しかし、逆転してしまった。12ゲーム差。

さぁあと一つ、一気に行ってしまおう。
今年は金本イヤーなんだ。
アニキを胴上げするために、まだまだ感謝したりないじゃないか。

ゲームセットの後、アニキは球児に満面の笑みで近づいて、球児もそれに笑い返す。葛城のホームランの後、本当に嬉しそうな顔をしていた赤星の姿が印象的だった。

勝っているから、そうなのではない。
そうだから勝てるのだと思う。

笑顔の中での首位奪取。
6回までの「作り笑い」はそこにはなかった。
呪縛を説いたのは葛城。
葛城は大ピンチの場面でも自然に笑える人なんだ。


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2007年09月03日

6番葛城、6番スペンサー

浜ちゃんが一軍に合流した日も甲子園のスワローズ戦だった。
広島で復活弾を放つ前の試合だ。
ゲーム終盤、古田監督は「代打浜中」コールを嫌って、
「代打、葛城」を相手に、右の遠藤から、右の花田への継投を選択した。
前の日に当時中継ぎで投げていた石川が好投していたので、
葛城に石川という場面であれば、代打の代打で「浜中」であったのだった。

「浜中復活初打席」その甲子園の空気、それは相手チームにとってはやはり脅威だろうと思う。
「代打、浜中」を巡る攻防。
この時葛城は、その攻防の中のエキストラだった。

そしてそのエキストラ葛城がセンターの前にポトリと落とすヒットを放って、
その後、赤星がライトオーバーの二塁打で決勝点。

後半戦の快進撃。そのスタートはナゴヤドーム三タテ。
葛城は代打で出場し四球を選んでいた。

常時、出場機会があるわけではなく、当時一軍枠当落線上ギリギリであったことは、
「僕はリンよりもいい選手ではないですが。。。」と
ヒーローインタビューで言えてしまう選手ならなおさら自覚していただろうと思う。
必要以上に謙虚とかそういうことじゃなくて、
己の中に占める「客観性のある自分」の割合が一般的な水準よりも高いのだと思う。

2005年のスペンサーのヒーローインタビューでもそんなのがあった。
場所は神宮だったが同じくヤクルト戦。
「自分はあまり活躍できていないけど、いつもサポートしてくれてありがとう」

葛城とスペンサーに共通しているイメージはやはり「四球」。
チームにおける自分の役割を先に理解して、それに自分を合わせていくスタイルを取る野球選手。
一軍枠当落線上ギリギリの状態で、四球を選ぶ。
ヒットを打ってアピールしたい場面に違いない。
しかし、求められているものが「出塁」であるならばその手段は問わない。
最も確率の高いやり方でその結果へ向かうことを試みる。
それが葛城育郎というプレイヤーの最も優れた部分であると思う。

そして素晴らしいことは、タイガースというチームが葛城のそういう部分を非常に高く評価しているように感じることだ。
ナゴヤドームの初戦を最後に今岡が抹消されたことと、当時桧山が大不振であったことも影響があると思うが、
それ以降葛城のベンチにおけるポジショニングは確実に上がっていった。
いつ間にか「左の切り札」になり、東京ドームのジャイアンツ戦ではスタメンでファーストを守るようになっていた。

2007年シーズン、阪神タイガースの前半戦は目も当てられないひどい有様だった。
その原因を考えたとき冗談抜きでぼくは、やはり井川がぬけたこと、そしてスペンサーがいないことが原因だと思った。
5番今岡、7番矢野という、打てなくなるとどうしようもなくなる二人の間にスペンサーが入っていた打線。
試合に出ていなくても、もう一人のどうしようもなくなる人シーツが打てないときは、ベンチで隣に座って励ましたり。
三番、五番、七番が打線を分断する。それを緩和する仕事していたスペンサーがいなかった。
もちろん、昨シーズンの終盤の快進撃のさなかスペンサーの居場所はなかった。
だけど、苦しいときこそ、スペンサーは活躍していたのだと思う。

2007年、後半戦に入り五番林クン、六番桜井という打線が形になった。
スペンサーとは正反対の「打てる六番桜井」の誕生。
新しく機能し始めた打線は一気に首位との差を詰めていく大きな要因となった。
しかしここにきて林クンの離脱。
五番に桜井が昇格し、林クンの代役は、葛城と高橋光信の併用で補うという形がアッという間に定着した。

その形になって気づいたことは、
葛城、高橋光信ともに、とても客観性の強い六番であったことだ。
林クン、桜井。という並びとはまた違った作用をもたらす、
桜井、葛城。桜井、高橋。という並び。
何百万人いるのか分からないタイガースファンの中で、5人くらいはいるだろう(いてほしい)
スペンサーを惜しむタイガースファンにはたまらない、
5番桜井、6番スペンサー。を思わせてくれる打線だ。

2005年、2006年。葛城に一軍での出場機会はほとんどなかった。
だけどその時タイガースにはスペンサーがいた。
スペンサーがいなくなった2007年、タイガースには葛城がいる。高橋もいる。
赤星は一回りも二回りもグレードアップした。
大きな空振りをするようになったことがその象徴。打ちに行く時は迷わず打ちにいける。
結果的にそれが2−3というカウントを作り、出塁の可能性を広げている。
アニキは相変わらず凄い。とにかく凄い。スワローズ三連戦。三連勝と三連敗。
ラミレスは来日してから最も調子が良いのではないか、というほどに手のつけられない状態だった。
もちろん青木もいつも通り怖かった。宮本も飯原も田中浩康も宮出も福川もイヤなバッターだ。
勝負どころでスワローズがミスをしたことも大きかったが、この三連勝三連敗の最も大きな要因は、
「四番の差」ではなかったかと思う。
仮に、
1番青木、2番飯原、3番ラミレス、4番金本、5番宮出(ユウイチ)、6番田中浩 7番宮本、8番福川、で
1番鳥谷、2番赤星、3番シーツ、4番ガイエル、5番桜井、6番葛城(高橋)、7番矢野、8番関本
であったとしたら、三連勝三連敗は全く逆になっていたとも思う。
一人違うだけでこんなにもかわる。仮に、赤星と青木を入れ替えてみても、鳥谷と宮本を入れ替えてみても、
それはそれで違った面白さのある打線になる感じはする。しかし、四番だけは圧倒的にタイガースだ。
その差が、僅差のゲームを最終的に勝たせた大きな要因であることは間違いないと思った。

このところ冴えのなかった矢野も、守備での良さが昨日おとといは目立った。
ファーストへの牽制球と、渡辺のワイルドピッチを本塁でタッチアウトにしたシーン。
溌剌としていた。
下柳対ラミレスの場面で、カウント2−1からマウンドに行った丁寧さ。
矢野が戻ってきつつある。送りバントできなかったりもしたけど、そろそろ野口の順番の日だし、
移動日を挟んで少し休んだら打てるかな。

関本もまたいい。
何がいいって、桜井のサヨナラヒットに駆けつけるときの表情が最高だった。
ああいう顔をしてる時関本は安定して活躍しているイメージがある。
6番に葛城、高橋という新しくないけど新しい打線になったタイガース。
そして8番関本の急激だったがゆえまた長くなる可能性を十分に孕んでいたスランプの脱出。
その間の7番矢野に元気が出れば・・・
上位はなんとなく打ったり打たなかったりしてる鳥谷とグレードアップした赤星。
最近、ほとんどストレートしか打とうとしないシーツに甘いストレートが来たときに、
得点が入る。アニキが敬遠されれば、その後はほとんど点が入る。
6番はチャンスでは迷わず打ちに行き、そうでない時は粘りを見せる。

勝ったら強く見えるなぁ(笑)

安藤もよく投げたし。下柳先輩にも勝ち星がついた。
ダーウィンは素晴らしいし。単純に投球内容で比較して、ジャンが入れる余地はないほど。
渡辺、江草、JFKはとにかく点を取られない。(エラーしなければ)

さぁあと一ヶ月。
上位三球団が直接当たらなかった一週間。
終わってみればタイガースは4勝1敗1分。
ジャイアンツは3勝2敗。
ドラゴンズは2勝3敗。
浮上したのはタイガースだった。
カープ戦の二戦目に負けて1敗1分になった時は、絶望的な雰囲気になっていたのが嘘のようだ。

今週はジャイアンツにとって大事な一週間。
ドラゴンズ、タイガースとの六連戦。
タイガースとしてはベイスターズ戦でさらに加速したいところ。

林クンの穴は穴ではなかった。
葛城が高橋が6番にいるチームは強い。
しんどい時に強い形だ。
川島が好投した試合を葛城の活躍で取った意味。

この試合がさらに輝きを増して秋を彩ってほしいと、そう思う。


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2007年08月03日

「代打、濱中」をめぐる攻防

コーチ 「序盤は、似たような展開で進んだ試合でしたね」
先生  「せやな、正直、3回表はヤバイかなぁと思ったけど」
コーチ 「最近、実はいっつも序盤危ないんですよね」
先生  「せやねん」
コーチ 「昨日、2回を9番まで回すことがむっちゃ大事や、みたいな話したじゃないですか?」
先生  「したした。第二戦二回ウラの関本のダブルプレーが痛かったってってとこやな」
コーチ 「そういう、二回に8番で終わるか9番で終わるかみたいなケースもよくあるんですけど、ピッチャーが良かったり、攻めあぐねたりしてると昨日みたいに、『3回が8番打者から』これも相当多く見られるケースなんですよね」
先生  「昨日は両チームともそうやった」
コーチ 「その時の鉄則は」
先生  「先頭の8番を絶対に出したらあかん。さらにフォアボールはよりあかん」
コーチ 「ここで、ボーグルソンその一番やったらあかんことをしてしまうんですよね」
先生  「結構、簡単に歩かせてもうたもんな」
コーチ 「で、次の松岡の場面で、追い込みながら送りバント決められてしまって」
先生  「青木、田中、ラミレスにまわる」
コーチ 「正直、二点くらいは覚悟しましたよね」
先生  「で、青木を警戒してフォアボール」
コーチ 「第二戦で下柳先輩が大量失点したケースとよく似てましたし」
先生  「さらに、1アウト一塁二塁で田中というところで、カウントが0−2になってまう」
コーチ 「ここで苦し紛れにストライク取りにいったストレートで」
先生  「井端やったら、ボカーンや右中間」
コーチ 「ところが、田中が打ち上げてくれるんですよね。ライトフライ」
先生  「思い出すだけで胃がキリキリする」
コーチ 「抑えたんじゃなくて、相手のミスでツーアウト」
先生  「やけど次がラミレスやし、慎重にと思ったんやろけど」
コーチ 「また、ボールボールで入ってしまって」
先生  「カウント1−3から高目に変化球が外れて」
コーチ 「フォアボールで満塁! 大量失点! って思ったら、ラミレスがそれをファールしてくれました」
先生  「ほんで、2−3からの外角にストレート。これが大きくホームベースから外れて、フォアボール! 大量失点! って思ったらラミレスそれ振ってくれたもんな。空振り三振」
コーチ 「何かよう分からんけどゼロで抑えてしまった」
先生  「野球って面白いのは」
コーチ 「やっぱりこのウラに点が入るんですよね」
先生  「3回ウラ、こちらも8番関本から」
コーチ 「ここでスワローズも簡単に関本を歩かしてくれたんですよね」
先生  「『どうぞ先制してください』対決」
コーチ 「そんな感じでした」
先生  「せっかくもらったチャンス」
コーチ 「タイガースとしては、初球をきっちり送りたかった。そしたら」
先生  「ボギー、バントうまい!!」
コーチ 「きっちり決めました」
先生  「そして続く鳥谷のとこで」
コーチ 「『打ってください』といわんばかりのコースに投げられた球を」
先生  「バード、完璧な右中間」
コーチ 「ほんま完璧でした」
先生  「前の試合でグライシンガー見てたんもあったけど、エース級のピッチャーじゃなかったら、甘い球って来るもんやなぁって思った」
コーチ 「逃さず打った鳥谷も見事でした」
先生  「で、ここで赤星が進塁打打ってしまったことは、他で触れたからスルーして」
コーチ 「問題は、アンディですよね」
先生  「ちょっと、この打席はオレ怒ったで」
コーチ 「珍しいですよね。タイガースの攻撃で困った顔することはあっても先生が怒ることあんまりないですもんね」
先生  「ツーアウト三塁でアンディやろ」
コーチ 「はい」
先生  「アニキまで回そうとせな」
コーチ 「そうですね、チャンスで打ててないのは、『調子が悪かった』だけじゃないことが顕著に出た打席でした」
先生  「別にアウトになったって怒らへんねや。『アニキにつなごう』『センター前に落とそう』って気持ちがあったら、絶対あんなスイングにはならへん」
コーチ 「低目の変化球ブンッって振ってましたもんね」
先生  「あれは、気の緩みや。じゃないとしたら、『アニキまで回す』という気持ちが足りなさすぎる」
コーチ 「カウントもまだ1−1でしたし、見逃せばボールかもというコースのゆるいボール」
先生  「強い気持ちがあったら、あれは見送れるはずや」
コーチ 「ちょっと内容が悪いですよね。鳥谷と関本調子いいですし、鳥谷を3番にして、1番赤星、2番関本、3番鳥谷で、8番に坂か藤本って感じでもいいんやないか、って思ってしまいました」
先生  「打たんでもいいから、『四番に繋ぐ』っていう気持ちを出してほしい」
コーチ 「まぁ、広島行ったら急に打つかも知れないですし、期待しましょ」
先生  「待ってるで、アンディ!!」

コーチ 「で、4回表のテーマはランナーのいる場面で宮本にまわさないこと、でした」
先生  「ガイエル、リグスっていう比較的ラクなバッターをきっちり取れるか」
コーチ 「後で、リグスはホームラン打ちますけど、この時点のボギーの球威やったらラクな打者でしたからね」
先生  「しっかり打ちとって、2アウトランナーなしで宮本をむかえることに成功した」
コーチ 「この三連戦に関しては、宮本は井端級の活躍でしたから」
先生  「で、宮本も打ちとって、勝ったと思った、けどまだ早かった」
コーチ 「早かったですね(笑)」

先生  「4回ウラは、アニキがノースリーから強振でかっこいいレフトフライ」
コーチ 「たまにはアウトになります」
先生  「ほんで林クンも簡単にセカンドゴロで、ちょっと停滞ムードになりかけたところで」
コーチ 「もう一人の四番が左中間へ二塁打」
先生  「矢野が凡退でチェンジなったけど、桜井の二塁打はタイガースに来ているムードを壊さない、っていう意味で非常に大きな一打やったな」
コーチ 「確かに」

先生  「ほんで5回表や」
コーチ 「この回はあれですね、野球における『タブー』が浮き彫りになったイニングでしたね」
先生  「せやな。作戦とはゆえ、わざとアウトになったら試合に負ける」
コーチ 「暑さのせいかピリッとしないボギーが、まず先頭の宮出にライト前に打たれます」
先生  「宮出はええ選手やな」
コーチ 「そうですね。大柄やけどコンパクトに内野の間を狙って打ってきますから」
先生  「関本みたいな選手ってイメージよな」
コーチ 「そうですねぇ」
先生  「6番宮本が、ほぼ井端の状態でプレーしてたやろ?」
コーチ 「はい」
先生  「ほんで7番宮出が関本や。6番井端、7番関本ってむっちゃイヤな並びやもんな」
コーチ 「そら、苦労するわけですよ。今日からジャイアンツ叩いてくれると助かるんですけどね」
先生  「宮本と宮出の『宮宮ブラザーズ』をナメめたら痛い目合うで!」
コーチ 「『宮宮ブラザーズ』て(笑)昭和ネーミングもええとこです」
先生  「でな、その宮出にな」
コーチ 「代走でしたね」
先生  「一点取りにきたんやろけど、宮出を下げてくれたんは終盤のこと考えてもちょっとラクやったよな」
コーチ 「でした」
先生  「で、代走の飯原の盗塁を、矢野が刺した」
コーチ 「あの送球は実に見事でした。取ってから投げるまでがむっちゃ速い。これぞ矢野っていうプレーでしたね」
先生  「古田の目論見をあっさりしりぞけて、これでボギー乗っていけるか、もう少しや頑張れってとこで」
コーチ 「福川にフォアボール」
先生  「1アウト一塁で松岡をそのまま打席送って、送りバントのサインでした」
コーチ 「後でここの采配はどうや、みたいになってましたけど、ここは全然それでOKやろうと思ったんですよ」
先生  「せやな」
コーチ 「松岡続投は、次の回の先頭の関本を抑えるにあたって、松岡以外の投手と比較するとまだ確率が高いという判断やったんでしょう」
先生  「先にそこの話ちょっと続けると、その松岡が、5回の裏先頭の関本にヒットを打たれた」
コーチ 「関本、ナイスバッティングでした」
先生  「で、ボギーがまたきっちり一球で送って」
コーチ 「1アウト二塁で、鳥谷、赤星の場面」
先生  「このタイミングで藤井にスイッチしたんやけど」
コーチ 「ここで代えるんやったら、ノーアウト1塁の場面で飯原を盗塁ささんと、福川に送りバントさして、1アウト二塁で松岡のとこで代打出しとったら良かったんちゃうか、みたいな話ですよね」
先生  「これは、あまりにも結果論過ぎると思う」
コーチ 「そうですね。古田監督は100点狙いに行ったんですよ。飯原が盗塁成功して、福川が送ってランナー三塁で切り札真中、そして青木に繋がっていく感じ」
先生  「ところが、盗塁失敗してもうたもんやから予定が完全に狂って、この回1点取られへんのやったら続投させよう、というのもリリーフ陣考えたらよう分かる」
コーチ 「代打もそんなたくさんいないですから、真中をランナー一塁では使いたくないし」
先生  「で、続投で送りバントやったわけやけど」
コーチ 「これを松岡が失敗してくれるんですよね。スリーバント失敗で三振」
先生  「非常に助かった」
コーチ 「そして『タブー』はここでした」
先生  「非難されるべきポイントがあるとすればここよな」
コーチ 「2アウトランナー1塁。打席に青木、1塁に福川、という場面で単独スチール」
先生  「もちろん、セーフになったら得点圏で青木。アウトになって次の回を青木からはじめれるっていうのは理解できるんやけど」
コーチ 「走者が福川ですから、あんまり足の速さを知ってるわけじゃないけど『俊足』って選手ではないと思うんですよね」
先生  「せやな。タイガースで言うと、シーツ、林クンや矢野とか関本くらいかな」
コーチ 「たぶん。今シーズンも盗塁一つしか記録してないですし、普段ほぼ走らない選手であることは間違いないです」
先生  「こういう場面でアウトになるの覚悟で走っても成立するのは、やっぱタイガースやったら、赤星はまぁ当然として、鳥谷とか藤本、広げても、アニキ、桜井、狩野といったあたりや」
コーチ 「ですね。次のイニングを鳥谷からはじめたいからと言って、一塁ランナーの関本を単独スチールっていうのはやっぱり違う」
先生  「アウトになりにいってるようなもんやからな」
コーチ 「『スリーアウト目』をどうぞってプレゼントしてしまうと」
先生  「どうしても、次の回、相手にチャンスが行く」

コーチ 「ということで、5回のウラに赤星が宮本の横をしぶとく破るタイムリーでした」
先生  「これで、勝ったと思った。だけどまだ早かった」
コーチ 「早かったですね(笑)」

先生  「勝負の6回表や」
コーチ 「ボギーが微妙なとこやったんですよね。まだいけるか、もうあかんのかギリギリの感じで」
先生  「代えるタイミングがむっちゃ難しかった」
コーチ 「どうかなぁ思ったら、やっぱり青木に打たれた」
先生  「コーチのメモ書きに、『交代…』って書いてあったな」
コーチ 「そうですね。明らかに球威が落ちてきてましたから、そのメモ書きしたんはガイエル相手にストライクとれんようになった時でしたけど」
先生  「前日の桟原がむちゃくちゃ良かったから勝ち試合で使ってほしいな、っていうのもあったしな」
コーチ 「まぁ、とりあえず、ちょっと戻って、青木が二塁打で、その後の田中の場面です」
先生  「言いたいことは言っておこ」
コーチ 「はい」
先生  「あれは、誤審や」
コーチ 「だと思いました」
先生  「やけど、良かったんはな」
コーチ 「はい」
先生  「監督が抗議に行った後な、マウンドに行ってボギーに事情を説明してたんや」
コーチ 「あの気配りは良かったですよね」
先生  「言葉の分からん国でのマウンドで、微妙な判定。監督が抗議してくれてるけど、状況がよう分からん」
コーチ 「逆の立場で考えると、もしぼくらがアメリカおって、なんかトラブルに巻き込まれたとき、日本語で事情を説明してもらえるだけでむっちゃ安心しますもんね」
先生  「で、ラミレスは抑えた」
コーチ 「岡田の気配りの功でした」
先生  「これで勝ったと思った。でも、まだ早かった」
コーチ 「スワローズ打線で最もラクなガイエルにストライクが入らない。しかもストライク投げたところを大ファール」
先生  「結局歩かせてもうて」
コーチ 「次のリグスに」
先生  「どーん!!!」
コーチ 「確かに球威がない、甘い球でしたけどホームラン打ったリグスを誉めましょう」
先生  「せやな。スワローズはことごとく負けよう負けようとしてたような試合で、『ここ』というしかない場面で逆転したわけやから」
コーチ 「この三連戦全体通したらリグスは不調で、タイガースとしては少しラクでしたけど、あれで調子に乗ってジャイアンツ戦で打ちまくってもらえたらいいんですけどね」
先生  「リグスも打ち出したらスワローズ打線、マジで怖いしな」
コーチ 「で、満塁ホームランの後は、ボギーがキレ気味で『わー!』ってなりながら抑えてもうた」
先生  「球威が戻ったよな」
コーチ 「まぁ、人間そんなもんなんでしょうね」

先生  「で、決勝点の6回ウラ」
コーチ 「1点ビハインドになって、桜井からでした」
先生  「貫禄のデッドボール」
コーチ 「代わって出てきた遠藤が、『桜井』と『甲子園』に飲まれてました」
先生  「矢野があっさり送りバント決めて」
コーチ 「関本でしたが、ここでも遠藤、ストライクが入らない」
先生  「ストレートのフォアボールで1アウト一塁二塁」
コーチ 「ここからがほんまに見ごたえありましたね」
先生  「『代打、濱中』をめぐる攻防」
コーチ 「9番ボギーのところで、最初は桧山の予定やったんですよね」
先生  「関本が凡退してツーアウト二塁やったら桧山やったんやと思う」
コーチ 「だけど一塁二塁になって、遠藤が予想以上のフラフラ状態」
先生  「できたら遠藤続投がええけど、左が出てきたときに、桧山には代打の代打を出しにくい」
コーチ 「昨日からベンチには日焼けした濱ちゃんスタンバってましたから」
先生  「ヤクルトが石川を出してきたときに代打の代打を出せるように、すまんけど葛城いってくれ、の葛城」
コーチ 「勝負どころでしたから、葛城には悪いと思いましたけど、あそこは『代打、濱中』がほしかった」
先生  「でも、そのまま『代打、濱中』は、右の花田や木田が出てきたときに、どうにもしっくりこない」
コーチ 「スワローズが左投手を持ってきたときに、待ってましたの『代打、濱中』。左を出させるための葛城」
先生  「そのタイミングの『代打、濱中』でこそ、勝負が決まると、どちら側のベンチも思ったんやろな」
コーチ 「スワローズバッテリーvs『非日常的な甲子園』という戦いになりますから」
先生  「それを古田はどうしても嫌った」
コーチ 「ここで投げさせる投手として一番いいピッチャーは石川やけど、濱中が出てくることと、そのまま葛城を天秤にかけて『葛城』を選択しました」
先生  「遠藤に代えて、同じく右の花田が登板」
コーチ 「タイガースは当然、葛城で勝負」
先生  「そして、葛城がな」
コーチ 「無かったはずの打席で」
先生  「打ったんや」
コーチ 「センター前、当たりは良くなかったけど、気持ちの入ったいいヒットでした」
先生  「タイガースは『代打、濱中』をめぐる攻防に」
コーチ 「そのシーンのエキストラだったかもしれない葛城が」
先生  「決着をつけた」
コーチ 「そしてその後」
先生  「真夏のレッドスターが輝いたんや」
コーチ 「決着をつけたのは葛城」
先生  「ナイスバッティング!!!!」

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posted by コーチ at 08:33| Comment(2) | TrackBack(0) | □ 葛城 育郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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