2007年09月08日

天王山

あぁ、そうだった。
今日は、そうだ。今日はそうだよ。


ゲーム差1.5で迎えた「天王山」
タイガース、ジャイアンツともに今日の試合をするために一年間やってきたのだと感じた。
一年間繰り返し積み重ねた鍛錬をフルスロットルでぶつけあう激しい応酬に、
ぼくはゲームの終盤、ずっと涙が止まらなかった。
そうだ、これが「野球」なんだ。

7連勝でこの日を迎えたタイガースは今、確かに強い。
登場する全ての打者が迷いなくバットを振ることができ、
走者である時の全ての野手は、迷いなくスタートを切り次の塁を狙う。
さらに全ての投手が思い切り腕を振り投げ込む。
とてつもなくシンプルだがしかし、これこそ最も強い。
選手を信じるベンチが信じた選手は、ベンチを信じ、そして己を信じる。
その鍛錬を、ずっとやってきたのだ。

対してジャイアンツ。
これがもしも意図的に行われているのだとしたら原野球は、凄まじい。
岡田野球とはまた異なる新しい野球だ。
上位争いが混沌としてきてから特に、原采配はその細かさが際立っていた。
阿部でも二岡でもイスンヨプでも「送らせるところは送らせる」。
その『超スモールベースボール』ぶりに、選手たちは戸惑っているのではないか、
外野のぼくは勝手にそう思っていた。
しかし、それは間違いだった。

ジャイアンツにおける鍛錬は(意図的であったとしてもそうでなくても)その「策」の中で「己」を保つことを繰り返したこと。
打席の中でエンドランが出てもしっかり振れる鍛錬であり、
「初球待て」のサインが出て、その球がとても甘い球だったとしても、次の球をしっかり振っていける鍛錬。
その鍛錬を積んだ結果「打つだけ」の場面を非常にラクに感じることができる。

タイガースは今までしなかった送りバントをすることによって、戦闘スーツを脱いだ。
戦闘スーツを脱いだジャイアンツは、今までしていた送りバントをする必要がないほどホームランを打った。
鍛錬のスーツを脱いで身軽になった両者は、想像を絶する次元での勝負を展開する。

両者の強さを比較すると、
タイガースが、「大きな天災が起きた時に家族を守る父親的強さ」であるのに対し、
ジャイアンツは、「兜町を渡り歩く豪腕ビジネスマン的強さ」。

その異業種の強さが真正面からぶつかりあった時、その試合は漫画でも描けないような試合になった。
しかし、敢えて漫画でと言うならば、タイガースの強さは「クッキングパパ的強さ」であって、
ジャイアンツのそれは「島耕作的強さ」だ。

その異種格闘技戦は、「強さ」が真正面からぶつかりあうことで激しく火花を散らし、そして東京ドームを燃やした。



ボギーの調子は良くもなかったが悪くもない、ボギーの力が出ている投球だった。
だからボギーが悪かったのではない、だけど配球が悪かったからでもない。
打たれた理由は一つ。
ジャイアンツ打線が凄まじかったから。それともう一つ。
昨日、ジャイアンツの対戦相手は、川上憲伸だった。

前日ナゴヤドームでの中日−巨人の第三戦。中日の先発は川上憲伸だった。
何度も何度も見てきた、川上憲伸の気合いの入った時に出る、精神と肉体ががっちり噛み合った凄まじい投球。
昨日ナゴヤはその日を迎えていた。
ストレートもカットボールもビシビシコーナーに投げ分けられる。
ジャイアンツ打線はその川上と対峙していたのだ。

ボギーもまたタイプ的には似た投手。ストレートのキレと、カットボールが生命線。
120%の川上と比べると、制球の面では遥かに劣る。

1番谷、2番脇谷を打ち取って、3番の高橋由伸を迎える。

カットボールが甘く入った。2アウトランナーなし。
スモールベースボールが一時的に解除された「打つだけ」の場面。
真ん中のカットボールに、鎧を脱いだヨシノブは軽々と反応した。

ライトスタンドへ、美しいアーチ。
ジャイアンツ低迷期、オリンピックであんなにも輝いたヨシノブが、
ジャイアンツのユニフォームを着たとたん全く輝かなかった。
そのヨシノブが今、あんなにも充実した表情で野球をしている。

ヨシノブの表情にこの一点の重みを感じた。
そしてそれ以降、「川上憲伸という物差しで、ボギーが『それ以下』と見られてしまう」
そんなイヤな予感もあった。

この試合に限って言えば、スンヨプとホリンズは少し古い言葉で言えば「現役バリバリのメジャーリーガー」という雰囲気が漂っていた。
スンヨプはオルティス。ホリンズはジーター。
それが6番と8番にいて、とにかくむっちゃ優勝したいとヨシノブ、阿部、二岡、
それをパ・リーグ出身の猛者、谷と小笠原でがっちり固める構成。
序盤に被本塁打4。4失点。ボギーはよく耐えたとも思う。


対してタイガースは初回、鳥谷が四球で出塁。
「送りバントかな?」と思った場面で、岡田監督奇襲の初球エンドラン。
制球の定まらないパウエルが外に投じた速球がウエスト気味のコースにいき、
それを赤星ダイビングしながらカット。
「エンドランの時のボール球はこうやって打つんだ」
もう、赤星憲広という野球選手の野球経験の全てをぶつけて反応したカットに見えた。

監督としてはジャイアンツに「え?」と思わせて主導権を握りたい。
スモールベースボールが後手に回っているように感じるようなそういう「先手」だと思う。
フォアボールを出した初球。ストレートでストライクをとってくる可能性が高い。
確かに阿部のサインは外のストライクゾーンよりのまっすぐだったはずだ。
それでもストライクが取れなかったパウエルの不調がラッキーを招くかというところを、
赤星が防いだ。赤星は球界屈指の二番打者にいつの間にかなっていた。

結局制球が定まらないパウエルを見て、送りバントを選択。きっちり送って1アウト2塁。
そしてシーツが外の優しい球ではなかったが、そのまっすぐをセンターに弾き返す。
『走塁に関する金本談話』以降、みんなでやってきたこと。
ランナーセカンドから、ヒット一本で一点取ろう。
それが当然のように染み付いたセカンドランナー鳥谷は迷わず本塁へ。
クロスプレーにもならず、タイガースあっさり一点先制。

しかし、ここから4回までこのパウエルを打ち崩せない。
そしてその間に、言わずもがなのホームラン、ホームラン。
2回にスンヨプとホリンズ。
4回にもスンヨプにホームランが出て、4回1アウトまで4対1の3点差。
さらに二岡にヒット、戦闘スーツを脱いだホリンズに三塁戦を物凄い速さで抜かれる二塁打で二、三塁。


この夏、甲子園で県立の普通科高校が優勝した。
準々決勝。まだこの時点では「よくぞベスト8まで残った」という佐賀北高校の対戦相手は、
東の横綱帝京高校だった。
誰も勝てるなんて思わなかった。戦力の差は今の巨人と巨人の二軍よりもある。
帝京は勝負どころでクリーンナップの選手にスクイズをしかけて、佐賀北は好守で何度もそれを防いだ。
最終的に試合を決めたのは、佐賀北高校の小さな二番バッターが打ったタイムリーヒットで、
佐賀北が帝京を打って勝った、強者の負けパターン、弱者の勝ちパターンその様々な要素を兼ね備え試合は終焉し、
佐賀北は頂点まで登った。

1アウト2塁3塁でパウエル。もちろん、パウエルは投手なので小笠原やヨシノブやスンヨプがスクイズをやるほどは不自然ではない。
しかし、この打席でのパウエルの気迫。そして、三振して次の谷に任せる。
次の打者の技量を考えれば、「パウエル頑張れ」と思っているだけでもよかった場面だったかも知れない。
ぼくは正直、「スクイズを出してほしい」と思っていた。

ホリンズに物凄い二塁打を打たれた直後、ベンチから久保コーチが出てきて内野手がマウンドに集まった。
印象的だったのは葛城が自然に笑っていたことだった。
「まだいける。今日のパウエルならば打てる」
それまで打っていなかった葛城にそういう確信があるということだろうと感じた。
ここでの1点2点。まだ大丈夫だよ。
チーム全体が非常におおらかに、この天王山を良い意味で楽しめているように思え、とても頼もしく感じた。

その時に「スクイズ」というある種の「必死」は逆に組みやすい。
成功しても1点入って、2アウト3塁で谷。それほどしんどい場面ではない。
それよりも、スクイズをしないでパウエル三振。2アウト2、3塁で谷。
谷と次の脇谷を天秤にかけて、際どいところをついて谷を歩かせ、満塁で脇谷。
その脇谷コツンと当てられて。。。
こっちの方が遥かに怖かった。


カウント2−2だった。
パウエルがジーッと伊原コーチのサインを確認する様に「あるかも」そう思った。
ボギーがセットポジションから投球動作に入る。三塁ランナーの二岡がスタートを切った。
瞬時に矢野がそれに反応し「外せ、ボギー!」立ち上がる。
それに反応したボギーが高目にウエスト。
スクイズ失敗。

この時点3点差。勝てる、そう思った。


5回表。

先頭の関本が四球で出塁する。
1−3からインコースに抜けてきたボールにぶつかろうとすらしていた関本。
「デッドボールでも構わない」強い意思を伴った出塁だった。

0アウト1塁でボギー。内容を見ていれば交代もある場面だったが、続投。
「ふつうにやってふつうに逆転すればええ。だって先発は5回まで投げな」
チームのピッチャーの中でたぶんボギーが一番バントがうまい。
しっかり送って、1アウト2塁。

さぁここからだ。3点ビハインド。
ここで打つために「とにかく振る」という鍛錬を積んできたんだ。
今こそその鍛錬の集大成を見せる時。

さぁ、打て鳥谷! 一二塁間をゴロで強く破る。
さぁ、打て赤星! ショートの頭をライナーで。

瞬く間に一点返してしまった。これが戦闘スーツを脱いだ阪神の強さだ。
さらに1アウト一塁二塁でシーツ。
だけどダブルプレーなんて過ぎらない。振ることだけを考えれる。
そのために今までシーツは「打つ」しかやらなかったのだ。

シーツ、初球を三遊間へ内野安打。
少しでも迷いがあったらあれはサードゴロにもなり、ピッチャーゴロにもなる。
気持ちに曇りがないから、ヒットコースに飛ぶギリギリのタイミングでバットとボールが衝突するのだ。
そう感じた。

1アウト満塁でアニキ。

こんな雰囲気の場面のアニキが打てない姿など想像できなかった。
マウンド上のパウエルも、一番近くにいた阿部もそうだったか。
見たこともない巨大な生物を前に萎縮する人々のように、
パウエルは打席のアニキと正対することすらできなかった。

押し出しの四球で1点差。

ここで原監督が動く。マウンドには西村。
タイガースで言えば「久保田」の位置づけになると思われる西村を5回から。
仕方ない采配といえばそうだが、これもまた後々響く結果となった。

桜井vs西村。
今後、何度も名勝負を演じるだろうこの二人の開幕戦。
1点差ジャイアンツリード、ノーアウト満塁。
初球は、アウトローへ素晴らしいまっすぐ。桜井見送ってカウント1−0。
二球目、ストライクゾーンから鋭く落としたスライダー。桜井が見切って1−1。
三球目、まっすぐ狙いを読んだ阿部がインコースにシュートを要求。詰まらせて内野ゴロを狙う。
しかし、桜井それに反応してなんとかファールで逃げる。カウント2−1。
四球目、西村が追い込んだ場面。アウトローに決めれたはずのストレート。いい球だった。
これに桜井がついていく。ファール。
五球目、四球目のまっすぐの残像を利用した、そこから曲がり落ちるスライダー。
これも桜井がなんとかついていく。
六球目、全ての球種に準備する必要のある桜井。全ての球種で打ち取れなかった西村。
低目のボール球は見切られる。相手が迷ってるならストレート勝負。
阿部のリードは理にかなっていた。
桜井、またファール。
カウントは依然として2ストライク1ボール。西村が有利だったはずだ。
だけども桜井が全ての球をファールしていく様に、西村が追い込まれていった。
追い込まれながら追い込んだ桜井。
もう一度、インコースのシュートで詰まらせようとしてきた西村の手元が始めて狂う。

デッドボール。押し出しで同点。

物凄い野球だ。本当に物凄い野球だった。
『桜井vs西村』の歴史の中で、このシーンは後世まで語り継がれると思う。

さらに満塁で、3点ビハインドの守備時に自然に笑えていた葛城。
一気に逆転したい場面、いいバッターに回ってきた。

ストレートを振りぬいた葛城の打球は、やや詰まりながらも強い打球となってピッチャーを強襲した。
抜けていれば一気に二点。しかし、辛うじて西村が出したグラブにボールが当たり、それがセカンドの脇谷の前に転がる。
脇谷がファーストに送って、間一髪葛城はアウト。
しかし、その時、シーツが本塁に生還し、タイガースは一気に逆転した。

スクイズ失敗の後、一気の逆転。
ふつうなら、これで勝てる。だけどこれで終わらないのが「天王山」だと、後になってぼくは知った。


5回裏

逆転してボギーの投球。谷はうまく打ち取った。
しかし、「だから脇谷を二番に入れているのだろう」その理由がとてもよく分かるしぶといヒットで脇谷に出塁を許す。
ここから続くヨシノブ、小笠原、阿部、スンヨプの超絶の左。
6回と代えていただろう。だけど、まだ5回。
「ふつうに続投でふつうに逆転」した5回表。ならば、ボギー続投でいいと思った。

ホームランを打てるようなボールではなかった。
しかし、それをホームランにする。しかも、連続してランエンドヒットがかかった中だった。
「策」の中で「己」を保つ訓練を積んできた猛者。高橋由伸。
繰り返しランナーがスタートを切る中、会心のスイングで2ランホームラン。

「まさかね」ぼくはテレビの前で。
「まさか、スクイズを失敗して、ここで脇谷を走らせてホームランを打つ野球を原監督は見ているのか」
そんなの見たことない。
ホームランはおまけだとしても、ランナーを走らせてヨシノブが長打を打つ可能性を見ていたことは確かだと思う。
そういう意味での信頼。兜町で凌ぎを削るプロの証券マンたちの二重、三重の策を意気に感じて結果を出すという、
そんな男たちの姿に見えた。

ジャイアンツ、再逆転。

ボギーは降板。

江草。
小笠原、阿部。という非常にしんどいところだった。
さらに、最近試合展開によってあまり登板機会のなかった江草。
二人をしっかり抑える。
この試合で2アウトを続けて取ることがどれほど大変だったかは、試合の終盤を見れば一目瞭然。
江草、渾身の快投だった。ナイスピッチング!!


6回表

タイガースは関本から。関本が出塁する前提でウェイティングサークルに桧山。
しかし、関本が凡退したので、代打、浜中。
「ここはまだ桧山じゃない」
その、将の冴えが、9回に勝負を決めた。
伏線となった「代打浜中」のコール。この時は静かに外野フライ。
鳥谷も倒れて、この回無得点。

スコアは依然として6対5、ジャイアンツ1点リードだった。


6回裏

野球には神様が本当にいるのかもしれない。

一軍に再登録されてから、磐石の内容を見せていたダーウィンをジャイアンツ打線が簡単に打っていく。
先頭のイスンヨプの二遊間の当たりは完全にヒットコースだった。
関本が逆シングルで取って、鳥谷へグラブトス。鳥谷が一塁へ転送してというプレー。
本家の荒木井端でもあれはアウトにはできないコースだった。
しかし、チャレンジしたことに光を見る。体が動いているということ。少なくともこの状況下で萎縮していない。

ノーアウト1塁で二岡。
この日数々の凄い打球があったジャイアンツだが、もしかしたらこの打球が一番速かったかもしれない。
打った瞬間、鳥谷のところへ到達する物凄いショートライナー。捕球しにいった鳥谷がそれを取り損ねる。
しかし、結果的にそれでダブルプレー。
ラッキー以外の何でもない。神様は、何を見てくれたのだろうか。

ランナーがいなくなってホリンズ。
また物凄いゴロが鳥谷の横を抜けていく。人工芝を転がる打球は速く、アッと言う間に左中間へ。
それを見たホリンズ好走塁で二塁まで到達する。

しかし、この好走塁がジャイアンツを難しい状況へ追い込んだ。
西村に打順が回った。ホリンズで終わっていたら、西村続投だっただろう。
しかし、チャンスで西村。
イニングは6回裏。タイガースの攻撃はまだ3イニングある。上原、豊田。1イニング足りない。
もちろん、この試合を勝つことだけを考えれば、7回豊田、あと2イニングを上原だって全然おかしくない。
しかし、あと二十数試合ペナントレースは続いていく。もちろん今日の試合は最も大事だけど、今日で終わるわけではない。
さらに、ここで「西村を打席に送る」ということは、すなわち「チームとして1点リードで逃げ切る」を選択することになる。
ここまで積み重ねてきたものを、意気消沈させてしまうようなことにもなりかねない。
苦渋の決断だっただろう。
西村に代えて、代打清水。

しかしこの清水が打てば、一気に流れはジャイアンツへ傾く。
豊田と上原が控えるジャイアンツ。タイガースに残されたイニングは事実上7回表の1イニング。そこで2点差を追いつかなければならない。

ダーウィン対清水。
ここでダーウィンが一世一代のストレートをインハイに投げ込んだ。
好きなコース、振りに行った清水だったが、ダーウィンの球の力が勝る。
セカンドフライ。

西村交代を余儀なくされたジャイアンツ。ぽっかりあいた7回表のスコアボードに不安を感じただろう。

二岡の当たりをダブルプレー。ホリンズの好走塁。
攻められる点などどこにもない。しかし、西村失わざるを得なかった。
神様はタイガースに勝たせようとしているのだと思った。


7回表

そしてぽっかり空いた7回表、ジャイアンツの投手は山口だった。
育成枠から這い上がってきた勢いで、なんとか凌いでくれという期待値込みの山口だっただろう。

しかしタイガースの打順のめぐりは最高だった。
先頭、赤星。現在の赤星は、「打席での存在感」という面で「金本」に匹敵する。
勝負の前に勝負あり。貫禄の四球で、堂々と一塁に歩く赤星。

ノーアウト1塁でシーツ。
ここは送りバントなし。いいと思った。
もちろん、ここまでヒットを二本打っていたこともあるし、心の持ちどころが定まらない山口に対して、
アウトを一つ与えることはない。仮に三振でも構わない。
「一塁に赤星がいる」という状況下で、「この試合好調のシーツ」と対戦させることを選んだベンチ。
この采配がまたはまる。
結果、シーツは三振。
山口、一呼吸付いたかに思えたが、その後の「金本」という名前がそれを許さない。
必死になって1アウトを増やしたのに何も変わらない雰囲気。それどころが投げるたびに追い込まれていく。
赤星に続いて、このイニング二度目の貫禄四球。
1アウト1塁2塁になった。

1点ビハインド1アウト1塁2塁で桜井。

桜井が併殺打が少ないことに関しては何度か触れてきた。
この場面だって実は併殺を狙うケースなのだ。だけど誰もそのことを感じない。
それは桜井が「打つこと」しか考えていないからだと思う。
「オレが打つ、オレが決める」
6年間辛抱した若き特攻隊長は、それがどんな打球でもヒットにしてしまう力を備えているのかも知れない。
追い込まれてからの変化球だった。
バットの先で拾った打球は、それでもショートの頭を越えて行った。

2塁ランナー赤星。
ここしばらく盗塁を試みていないのは、おそらく純粋に走力が落ちているからだと感じていた。
内野ゴロの時、ファーストに到達する速さが以前よりもない。
それほどに、首の故障は影響があるのだろう。

その赤星、際どいタイミングだった。
迷わず、ゴー!!
レフトからいいボールが返って来る。
クロスプレー。
首に重症を抱える赤星は、そこでも迷わず突っ込んでいった。
「同点にするんやー!!!!!」

赤星と阿部が本塁上で衝突。ボールは、阿部のミットからこぼれ同点。
赤星の気持ちが同点打を呼んだ。しかし、しばらく本塁上で赤星が動かない。
そんなことは、そんなことはあってはならない。
あんなにも強い気持ちでプレーを続けた赤星が戦線を離れていいはずなど、あってはならない。

神様!!ぼくは両手をつよく握った。

赤星が立ち上がる。「大丈夫です」そう言っているように見えた。
神様、ありがとう。そして赤星、ありがとう。

小さな赤い閃光が瞬間的に強烈な光を放った本塁上、同点。


なおも1塁2塁で葛城。ここで代打高橋光信。
そこでピッチャー右の吉武へスイッチ。

みっちゃん、初球から迷わず振りにいく。そうだそうだ。それをみんなでやってきたんだ。
三遊間へ。

満塁で矢野。甲子園最終戦で、何かを掴んでいるように見えた矢野。
この日の凡打も絶不調時のものとは内容が全く異なっていた。

鋭いライナーが、センター前へ。
三塁ランナーのアニキが生還で逆転。そして二塁ランナーの桜井も一気にホームへ。
これをホリンズがストライクの返球で刺す。間一髪のプレー。
アウトがコールされたときの桜井の悔しがる表情も本当に良かった。
そうだ彼らは闘っている。

攻守相譲らない展開で7回表を終わってタイガースが1点リード。
もう誰もが知っている7回からはJFKだ。
リードで7回を迎えれば、タイガースは間違いなく勝つ。
そう信じて疑わなかった。


7回裏。
マウンドには久保田ではなくジェフがいた。
これはおそらく三者凡退で一気に流れを持ってこようという狙いだと感じた。
1番の谷から始まるこの回。最も怖いのは当然3番のヨシノブ。
久保田でもジェフでも1番2番にはタイガースに分がある。
打者が投手を上回るとすれば、3番。ヨシノブのところにジェフを当てたい。

そしてその策は見事にはまり、ジェフはこのイニングを難なく三人で終わらせた。
はっきりと、タイガースに流れが来た瞬間だった。


8回表
この回に1点取れば、ほぼ間違いなく勝てるイニング。
ジャイアンツとすれば1点負けていても豊田を出してくるか、とそう思ったが、
左が続くところで前田を起用してきた。原監督の様々な葛藤が窺える。

先頭いつものように途中から入った藤本。
グシャッとバットを折りながらもセンター前へ、ナイスバッティングだった。

1点取れば勝ち。ここはバントが苦手な鳥谷にもバント。
甲子園ではなかなかうまく決められなかったがここはしっかり送って1アウト2塁。

1アウト2塁で満身創痍の赤星。
ピッチャーゴロに藤本が飛び出す。しかし、ここから藤本が落ち着いていた。
しっかり時間をかけて赤星を2塁まで到達させる。
打った瞬間スタートを切る。野手に取られれば挟まれて時間をかけ、同じ形をもう一度作る。
藤本、この局面にして満点の走塁。

2アウト2塁でシーツ。
助かったと思ったのは、ここで前田を代えてくれたことだった。
前の打席で山口の低目の変化球にまったく対応できなかったように、今左投手の膝元の球は打てない。
逆に、それほど速い球のない右投手のやや甘い球は案外ヒットにする。

代わって出てきたのは、それほど速い球のない、ナックルを投げる三木。
シーツ、三遊間へ。セカンドランナー赤星の首の状態もあったのだろう。ここは無理せず自重。
1アウト1塁3塁。

そしてアニキ。
こういう場面では必ず打つ。こういう場面では必ず打つのがアニキだ。

そして、アニキの打球は強くセンターへ弾き返された。
8−6。8回で2点リード。負けるわけがない最高の展開だった。


8回裏
タイガースの強さは「父親的な強さ」ジャイアンツの強さは「豪腕ビジネスマン的強さ」。
百戦錬磨のビジネスマンたちは、この程度の苦境を苦境と感じなくなるものなのか。

久保田が悪かったわけではない。
打ったほうが凄かった。

スンヨプ、二岡に連続ホームラン。同点。

本当に恐れ入った。何度も思い直す。そうか、これが「天王山」。
違った種類の男同士。
その「強さ」と「強さ」が真正面からぶつかり合う。
摩擦で散った火花は、東京ドームを炎で包んだ。

8−8。振り出し。ただその後を久保田がよく踏ん張った。
久保田、君がMVPだってみんな言ってるよ。
ぼくだってそう思う。


9回表

泣き出しそうな顔でベンチに戻ってきた久保田と交錯し、
グラウンドに出てきたのは真打ち桧山進次郎だった。

神宮の満塁弾で復活ののろしを上げた代打の神様は、この数分後に野球の神様に守られる。

マウンドには上原がいた。
上原対藤川のがっぷり四つの戦いを原監督が選択したのだろう。
そうだと思った。そのままがっぷり四つで延長戦。
豊田と渡辺の勝負だと。

打席に桧山、上原が決めにいった渾身のフォークボールだった。
ここまでスコアは8−8。ジャイアンツはホームラン7本。タイガースはなし。
ストレートにタイミングを合わせていた桧山の体が崩れる。
しかし、苦しいときひたむきに走りこんだ桧山の足腰が崩れを限界でストップさせ、
「とにかく当てる」強い気持ちを持って桧山は、バットから左手を離した。
右手一本を伸ばし、前方で鋭い落下を始めたフォークボールを拾いにいく桧山。

ジャストミート。

この試合を支えてきた、今年の巨人を支えてきた高橋由伸の上空を白球が越えてゆく。

この試合8本目となったホームラン。しかし、タイガースとしは始めてのホームランは、
両軍通じて17点を取り合ったゲームの、最後の得点となった。

三塁キャンバスをゆっくり通過する桧山は吉竹コーチと目が合って、会心の笑みを見せた。


9回裏
こういう試合で球児は打たれない。
球児は絶対に打たれないんだ。

細心の、もう絶対にランナーを許すまいとする矢野のリード。
変化球が多投されたが、それを信じて投げ込む球児。

1アウト。

2アウト目は、古城を高目のまっすぐで空振り三振。
矢野が吠えた。

そして、恐ろしく濃密な東京の夜の終焉は、それに相応しく、
マウンドに背番号22。打席に背番号24。

勝ったのは22だった。


ゲームセット。
何も言うことはない。これが野球。野球を観てきて本当に良かった。
そうだ、これが「天王山」。
こんなにも興奮して、試合を見ながらも、今文章を綴りながらも、どうしてか涙が止まらない。

そんな日が2005年にもあったっけ。
そうだ今日は、9月7日だった。


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posted by コーチ at 08:28| Comment(2) | TrackBack(1) | □ 赤星 憲広 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月07日

8回表、赤星は闘っていた。

タイガースとジャイアンツ。

タイガースは広島で、ジャイアンツは神宮で、
ともに三連勝して、今日。

試合を見たわけではないが、ニュースなどの情報によると、
ジャイアンツ対スワローズの第三戦は、
ジャイアンツにとって完璧な内容だったように見える。
スワローズよりも少ない11安打で9得点。
得点の取り方も、序盤中盤終盤に少しずつ点を重ねている。
投手陣は12安打打たれながらも、要所を締めて2失点。
小笠原が打っていないことが唯一の救いだが、
現在のジャイアンツ、紛れもなく強いことは確かだ。


タイガースの広島第三戦。
黒田から3回に4点取って、押せ押せムードの4回。
満塁で桜井だった。
マウンドは黒田。豪快なスイングとともにレフトポール際へ大飛球。
満塁ホームラン!! 
ぼくもその瞬間興奮した。黒田を8失点KOなんて、もう二度とないだろうと思った。
が、ファール。
結局、桜井は三振に倒れ、このイニングは無得点だった。


危ない、と感じたのだ。
何かが緩んだ気配がした。楽勝ムードのはずなのに、楽勝じゃない展開。岩田が踏ん張りきれず、その直後に2失点。

満塁ホームランなら、8対0だったものが、
気が付けば4対2の2点差。全く予断を許さない展開になっていた。

しかし、ここ最近の粘り強い打撃を繰り返すタイガース打線ならば、相手投手が黒田でなくなったこともあり、もう1点2点追加することが十分に可能なはずだった。

ところが、黒田の後を投げた、青木勇、広池に対して、着々と凡打を重ねていく。11人の打者で、出塁が2回。四死球も取れず。淡白な攻撃を繰り返してしまう。タイガース打線は「黒田を打って4点差」そして「満塁弾であわや8点差」というところからの「2点差で中盤を迎えている試合」に適応仕切れていないように見えた。一度緩んだものは、なかなかもとに戻らない。


たとえばその日は6時で仕事が終わる日なのだった。
6時で終わるものとして、段取りを組みきっちり6時に終わらせた。
「ふ〜、終わった」と一息ついたところで、
「あ、ごめんちょっと7時までおってもらえる? なんか仕事しといて」と言われた時の「仕事」のテンションへの戻らなさ。
その1時間の「過ごせなさ」といったらない。一度緩んだものはなかなか戻らないようにできている。

桜井の「満塁ホームラン未遂」以降のタイガース打線は、まさしく「その1時間をただただ過ごしてしまう人」と類似した姿のように思えた。

そのままでは、とてもまずかった。
久保田を出し、ジェフを出し、球児が抑えて逃げ切っても、何か噛み合わない。「その1時間を見ないがために、JFKをつぎ込んで必死になってごまかした感」みたいなものが出てしまうところだった。みんなで何かを「見てみぬフリをしている」。これはまずい。

ところが、結果的には、最終回に球児が投げている時、そんな空気は微塵も消え去っていたのだった。

7回裏だった。マウンドは久保田。
見慣れた光景だが久保田はピンチを招いた。もちろん意図してのことではないだろうが、ピンチを招いたことで「1点差に追いつかれるかも」「久保田疲れてるんちゃうか?」一抹の不安がタイガースに過ぎる。過ぎったところでいつもの久保田。150kmを超す剛球をズバズバ投げ始め、ピンチを凌ぐ。「桜井の満塁弾未遂」その裏に渡辺がピンチを凌いで以降、久し振りの「よっしゃー!」だった。

だけど、そのくらいで一度緩んだものは戻ってくれない。

8回表の攻撃も代わった梅津に対して、代打の葛城がライトフライ、鳥谷がピッチャーゴロで淡々とアウトを重ねていってしまう。

赤星だった。

赤星はその一度緩んでしまったものに、目には見えない重量もない得体の知れない大きな敵に、真っ向から勝負を挑む。その姿はまるで「絶対に勝たなければならない試合で、1点差で負けている最終回の先頭打者として打席に立つ赤星」。

8回表の赤星。

際どいボールをファールしてカウントを整え。際どいストライクと言われても仕方がなかった低目のボールを「ボールだ」と判断して、フォアボールを獲った。そして、2アウトランナー1塁の形を作り。モーションの大きな梅津に対して、当然のごとく盗塁を決めてみせる。

次のシーツが凡退で得点には繋がらなかったが、赤星のこの打席ゲームの雰囲気を一変させたことは確かだった。赤星が一度緩んだものを締め直した。

そして、ジェフがマウンドに上がる。完璧に抑える。

9回表。アニキと林クンにヒットが出る。これも得点にはならなかったが、攻撃の形を作って終了。

この流れの中での球児の復活登板だった。
三者連続ストレートで空振り三振。

このゲームを「完勝」として終えることとなった。

8回の赤星だった。素晴らしい打席だった。
強いジャイアンツと闘いそして勝つための、大きな大きな打席だったと思う。

あの日タイガースが一度緩んで戻らないことに困惑していた頃、ジャイアンツは完璧なゲーム運びをしていたと思われる。同じ三連勝でもその内容に大きく差がある可能性があった。

東京ドームで大一番、なぜか勝てない。
その可能性を赤星が消し去った。
勝てないこともあるかもしれない。しかし、少なくとも、その理由は東京ドームの中にある。

久保田、赤星、ジェフ、アニキ、球児。のリレーで試合値を100にしたタイガース。

この三連戦、五分と五分。
がっぷり四つだ。

いよいよ、今夜。

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posted by コーチ at 12:35| Comment(4) | TrackBack(0) | □ 赤星 憲広 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月02日

真夏のレッドスター

先生  「コーチ!!!」
コーチ 「はい!!!」
先生  「いくでー!!!」
コーチ 「はい!!!」
先生  「あーかーほーし!!!」
コーチ 「あーかーほーし!!!」
先生  「あーかーほーし!!!」
コーチ 「あーかーほーし!!!」

先生  「なぁ、コーチ」
コーチ 「はい」
先生  「まだ足りん!! あーかーほーし!!!」
コーチ 「あーかーほーし!!!」
先生  「あーかーほーし!!!」
コーチ 「あーかーほーし!!!」
先生  「あー!!!」
コーチ 「どないしたんですか!?」
先生  「あーかーほーし!!!」
コーチ 「あーかーほーし!!!、ってもういいです!!」
先生  「コーチ、ノリツッコミやな(喜)」
コーチ 「なんで、そんな嬉しそうなんですか!(笑)」


先生  「いや、せやけど面白い試合やったな」
コーチ 「そうですね。お互いにチーム値が100ではない中で、いろいろミスもしながら全部さらけ出して勝負!って感じでしたね」
先生  「一打席目見てたらまさか赤星が決めるとはとても予想付かんかったよな」
コーチ 「そうですね。また悪い方へどっぷりはまっていくかと思いました」
先生  「鳥谷がナイスバッティングで出塁した初回や。最近の傾向やったらあそこはバントしてたんよな」
コーチ 「でした。でも、スワローズの松岡が今ひとつな立ち上がりでしたから、赤星がヒット打つ可能性も高かったと思います」
先生  「そこでダブルプレーやった」
コーチ 「結果うんぬんではないんですよね。どう打っていいのか分からなくなって混乱しているように見えました」
先生  「初球、二球目ボールでな」
コーチ 「その後『待て』のサインやったと思うんですけど、赤星そこでバントの構えするんですよね」
先生  「調べたわけやないからイメージで言うけど」
コーチ 「はい」
先生  「赤星は打席の中でバントの構えをしてバントしなかった時の打席の打率がむちゃくちゃ悪いと思う」
コーチ 「確かにそのイメージありますね。ただ、ふつうに難しいと思うんですよ。投手を牽制する意味でのバントの構えは、『打つ』ということと筋肉の使い方がまるで違いますからね」
先生  「『送りバントあるかも』と警戒させる意味あいもカウント0−2からやったらあんまりないしな。相手投手が苦しんでるあの局面で、『待て』のサインやったらどっかり腰を据えてボールの軌道を見たほうがええような気はするよな」
コーチ 「そしてバントの構えを見せてイヤな予感のあったカウント1−2からのストレートをセカンドゴロでダブルプレー」
先生  「あれはヒットエンドランの時の打ち方やもんな」
コーチ 「なんとか引っ張ろうと思ったけど、引っ張り切れずセカンド正面、っていう」
先生  「あそこは『打て』なんやから、そらライト前ヒットがベストやけども、センターに向かってヒット打ちにいった方がええと思ったんや。その結果ショートゴロでダブルプレーでも問題ない。『打て』はそういう意味やからな」
コーチ 「アウトの内容が悪かったんですよね」
先生  「で、やばいかなぁ、と思った赤星の二打席目」
コーチ 「鳥谷の完璧なタイムリーヒットの直後でした」
先生  「1アウト2塁の打席」
コーチ 「押せ押せでしたよね」
先生  「ここで赤星、『最低でも走者を進める』っていう打撃をしてしまう」
コーチ 「ノーアウトやったらアリなんですけども、自分の形を崩してまで進塁にこだわる場面じゃないと思いました」
先生  「結果、最低限の仕事をしてセカンドゴロ」
コーチ 「もっと『オレが打つ』って、赤星はわがままになっていいんですよね」
先生  「そない思う。技術は素晴らしいんや。もっと自分を解放してほしい、あの打席の時点では物凄くそう思っとった」
コーチ 「だけど、解放しきれない赤星に転機が訪れます」
先生  「第三打席やな」
コーチ 「関本がヒット、ボギーが送って、鳥谷のヒットで1アウト一塁三塁」
先生  「大事な大事な追加点の場面やった」
コーチ 「ここで赤星、まったく打てそうもなかったんですよ」
先生  「ピッチャーは高井に代わってて、ストレート速いし、スライダー切れてるし、あの時点では際どいコースに投げてたし」
コーチ 「2−1に追い込まれるまでは、ほんまピッチャーが打席立ってるみたいな感じやった」
先生  「ところが、2−1からの4球目をファールできたんや」
コーチ 「ターニングポイントでしたよね」
先生  「ランナーなしの打席で赤星がよく打つファールやった」
コーチ 「変化球にタイミングを合わせて、ストレートやったから三塁側のスタンドにファールっていう」
先生  「あ、ふつうに打てばええんや、みたいな」
コーチ 「『ランナー進めな!』『チームバッティング!』そういう気持ちをあまりに強く持ってしまう人ですからね」
先生  「もちろん、それは赤星の魅力でもあるし、オレもそういうところが好きなんやけど、だけどそのことで自分を見失ってしまったら、それはやっぱり切なすぎるやん」
コーチ 「ほんまです」
先生  「赤星が4球目のファールで蘇生した」
コーチ 「そして直後」
先生  「いつものバッティングやった」
コーチ 「超前進守備やったから、宮本の横をぬけたけど」
先生  「定位置やったら、詰まってたし、宮本が取ってファーストでアウトかセーフかギリギリのタイミングみたいな、そんな打球やったと思う」
コーチ 「やけど」
先生  「それでいいんやと思うねん」
コーチ 「ですよね」
先生  「それが赤星のバッティングや。カチーンとキレイにレフト前に打てる時ばっかりじゃないし」
コーチ 「高井は決して簡単に打てる投手じゃない」
先生  「チャンスやからって、『どうしても打たなあかん』って思いすぎる必要はないんや。いつも通りでええ」
コーチ 「それが詰まってショートの方に飛んで」
先生  「超前進守備やったから、結果タイムリーになった」
コーチ 「『いつも通り』の赤星が、この三連戦体を張ってスワローズを引っ張ってきた宮本の横を抜いたんですよね」
先生  「今まで頑張ってきたんやし、今も物凄い頑張ってるんやから、一生懸命振ったら、あの場所にボールは飛んでいくんやって」
コーチ 「あまりにチームを思いすぎ、『自分』を失くしかけていた赤星が」
先生  「自分を取り戻した見事なタイムリーヒットやった(泣)」
コーチ 「先生、喋りながら泣かんといてください(泣)」
先生  「そういうコーチかて(泣)」
コーチ 「先生!!!」
先生  「どないしたんや?」
コーチ 「いきますよ!!!」
先生  「おう」

コーチ 「あーかーほーし!!!」
先生  「あーかーほーし!!!」
コーチ 「あーかーほーし!!!」
先生  「あーかーほーし!!!」

コーチ 「ちょっと落ち着きましたね(笑)」
先生  「せ、せやな(泣)」
コーチ 「早く泣き止んでください(笑)」

先生  「あー!! いける」
コーチ 「そうですよ。クライマックスはこれからですもん」
先生  「決勝点や!!!」
コーチ 「あ、元気になった」
先生  「ツーアウト満塁やったな」
コーチ 「6回表にリグスに満塁弾浴びて、逆転されたその直後の6回裏」
先生  「さらに1アウト満塁から、鳥谷が打ち取られて、非常にプレッシャーのかかる場面やった」
コーチ 「『自分が打たなきゃ』またそう思いすぎてしまうような場面」
先生  「初回『打て』のサインでエンドランの打ち方をした、ミスターチームバッティング赤星が」
コーチ 「1点先制した直後の1アウト二塁から、進塁打を選択した赤星が」
先生  「そのことにより、ゲームの中で自らを忘れかけた」
コーチ 「大きな渦にはまり込みそうだった5回裏、一球のファールでその赤星はその渦から這い上がり」
先生  「絶対に得点したかった2アウト満塁の場面」
コーチ 「迷いに迷っていた彼が」
先生  「自分を信じて」
コーチ 「まっすぐ一本、狙いを定め」
先生  「迷わず初球を振りぬいた」
コーチ 「打球は、台風の近づく甲子園上空に舞い」
先生  「ライトのガイエルの遥か後ろで、ワンバウンド」
コーチ 「歓喜のメガホンが打ち鳴らされる甲子園の中」
先生  「三人のランナーが一気にダイヤモンドを駆け巡り」
コーチ 「セカンドベースの上で光った、小さな赤い星は」
先生  「強く強く拳を握り」
コーチ 「大きな光を放ったんだ」
先生  「おかえり、真夏のレッドスター」

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posted by コーチ at 23:03| Comment(3) | TrackBack(1) | □ 赤星 憲広 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月26日

彼のことを思い出す

○午前5時。コーチ、コンビニで勤務中

キンコーン(お客さんの入店を知らせる電子音)

コーチ 「いらっしゃいませ〜。あ、先生」
先生  「作ったで〜、記念グッズ」
コーチ 「記念グッズってなんですの?」
先生  「赤い星、300個や。寝んと作った。とても大変やった」
コーチ 「先生、フラフラですやん」
先生  「当たり前や! 段ボール切り抜いて、その後、赤い折り紙巻いていくんや。ほんで、金色の折り紙で、1から300までナンバリングしていくという行程や。 “53”は特に気合入ったで」
コーチ 「大変なんは分かりましたけど、それどうするつもりで持ってきたんですか?」
先生  「だから、記念グッズや言うたやん」
コーチ 「売るんは、無理ですよ!」
先生  「なんでや! 手作りやで!」
コーチ 「余計ダメです! 手作りのもん置いてるコンビニ見たことないでしょ」
先生  「コーチは既成概念にとらわれすぎなんや。一個1001円やで」
コーチ 「昔、そういう弁当あったけども! この件と300盗塁は繋がらないです。ほんで1001円は絶対、高いです」
先生  「30万300円の売上げになるねんで」
コーチ 「そんなに儲けてどうするつもりなんですか」
先生  「オレも車椅子を寄付したい。一台でもええから」
コーチ 「いいこと言うてるようやけど、その過程に問題がありすぎます。大人なんやから、全うにお金貯めて寄付してください」
先生  「チェッ」
コーチ 「チェッってなんなんですか!! ほな分かりましたよ。ぼくが一個だけ買いますわ」
先生  「ほんまに!」
コーチ 「先生、頑張って作ったんやしね。努力賞です。はい、1001円」
先生  「ほなコーチには、この赤い星をあげますので、裏に書いてあることをよく読んで思い出してください」
コーチ 「裏、ですか?」


〜2005年、9月1日、甲子園、対ドラゴンズ戦、三盗塁の日〜


コーチ 「あ! 先生、思い出しましたよ!」
先生  「あ、ちょっと待って、これとこれとこれ買うから」
コーチ 「は、はい。朝から駄菓子ですか? えっと全部で・・・」
先生  「計算どおりや」
コーチ 「1001円です」
先生  「これで、仲直りな!」
コーチ 「駄菓子で1001円になるように調整したんですか!」
先生  「せや、ちょっとコーチとの関係にわだかまりが出来たかも知れんって懸念してのことや」
コーチ 「先生、どんだけ、かわいいんですか」


先生  「仲直りもすんだところで、コーチ、ピンと来たか?」
コーチ 「来ましたよ、来ましたよ。ぼく、甲子園で見てましたもん」
先生  「せや。あの日や」
コーチ 「あれは、9月7日、ナゴヤドームで中村豊がホームランを打って事実上優勝を決めたあの試合の一週間前でした」
先生  「相手投手は、山本昌」
コーチ 「タイガースは下柳先輩でしたね」
先生  「その試合でや、赤星は三個盗塁決めてるねん」
コーチ 「そうでした。さらに、攻略の形も粘って粘って、球数投げさせて、8番の関本が出塁して、次の回を1番から始めるという理想的な攻撃で・・・」
先生  「そっくりやろ?」
コーチ 「確かに。昨日はそういう試合でした」
先生  「昨日、ドラゴンズの投手に投げさせた球数合計で何球や思う?」
コーチ 「いや、ちょっと分からないですけど」
先生  「219球やで!」
コーチ 「マジっすか」
先生  「山本昌に対しては3回1/3で、101球投げさせとる」
コーチ 「そんな攻撃、今年ちっともできてなかったですもんね」
先生  「甦った、スペンサー打線!!」
コーチ 「ハハハ、久し振りですねぇ、その名前」
先生  「一昨年の優勝の象徴でもあった、とにかく後ろに繋いでいく攻撃。バントせず、エンドランもせず、打てても打てなくても、とにかく1回から9回まで全員が勝負をしかけたあの攻撃スタイルや」
コーチ 「打ちやすくして、打つ。打ちやすくして、打つ。の繰り返し」
先生  「それを“打ちやすくすること”に重きを置いて一年間やり続けたのが、スペンサーやった」
コーチ 「そうですねぇ。例の赤星三盗塁の試合でも、6番スペンサーから、なかなかアウトにならない攻撃が始まったんでした。結局スペと7番の矢野はアウトになるんですけどね。その後、関本がカチンと打つ。ピッチャーまで回る。次の回、1番から」

先生  「昨日の試合を振り返るとやな、4回の逆転の2点、あのイニングが象徴的や」
コーチ 「そうですね。その前の無得点のイニングから繋がってるんですよね」
先生  「せや」
コーチ 「林クンから始まって、林クン、桜井と凡退」
先生  「その後、7番の矢野が踏ん張ってフォアボールで出塁する。ええ兆候やなぁと思った」
コーチ 「そしたら、続く関本が、ライト前に打つんですよね」
先生  「2アウトランナーなしで7番は、ふつうに考えたらその回はほとんど点が入らへん」
コーチ 「2アウトランナー1塁で8番もそうですしね」
先生  「だけど、たとえその回、無得点でも2人が出塁することで」
コーチ 「次の回に逆転した」
先生  「“打線”って久し振りやなぁ」
コーチ 「若手ではなく、2005年を全うした今期不調の二人が起点になったことも大きいですしね」
先生  「ほんで、4回の赤星や」
コーチ 「初回に300盗塁達成して、なんかパーッと晴れた感じありました」
先生  「先頭の鳥谷は簡単にアウトになるねんけども」
コーチ 「それがまだまだ今年のタイガースの現状や思います」
先生  「せっかくスペンサー打線の再来か、という火種が起きてるのにそれが消えかけたところやった」
コーチ 「赤星、四球ファール打って、その後ヒットで出塁するんですよね」
先生  「最高の出塁やったな」
コーチ 「そして、2005年と同じ場所におさまったシーツが、三球ファール打って、七球目をレフト前」
先生  「そして、昨日のハイライトや」
コーチ 「ワンアウト一塁三塁で、アニキの打席でした」
先生  「強かった頃のタイガースはこの場面で、アニキが本当によくフォアボールで出塁してた」
コーチ 「そうですね。そして5番が打って得点してたんですが・・・」
先生  「まぁ、5番の件は今はおいといてや、昨日のアニキ。ここで11球投げさせてのフォアボールや」
コーチ 「スペンサー打線の火種にアニキが敏感に反応したんでしょうね」
先生  「せやな。アニキが打つよりも、打たせることを選んだ打席やったような気がする」
コーチ 「そして1アウト満塁」
先生  「ピッチャーにとって、これ以上しんどい過程の満塁はありえへん。キワキワの勝負で全部少しだけ負けての満塁。ほんま僅かの差で内容的には三者凡退で終わっててもおかしくないイニングなんや。やけど、満塁」
コーチ 「そして、林クン、桜井」
先生  「入るべくして入った2点や」
コーチ 「懐かしい香りのする、2得点」
先生  「そのあとドラゴンズに取られた2点は井端とウッズやからもう役者が違うんでしゃーない。ロナウジーニョとアドリアーノみたいなもんや」
コーチ 「うまいこと言いますね」
先生  「諦めもつく」
コーチ 「対してタイガースの7点目8点目は、粘って四球で出塁したランナーを、藤本が初球タイムリー」
先生  「林クンも初球タイムリー」
コーチ 「まさに、打ちやすくして、打つ。の流れでした」
先生  「その後大量得点にならんかったんは、タイガースがまだ覚醒してないってことで、それが現状」
コーチ 「まだまだノビしろがあるってことですよね」
先生  「せや思う」
コーチ 「なんか、いい予感がむんむんしてきましたわ!」


先生  「ところで、登録抹消の件やけどな」
コーチ 「そうですね」
先生  「絶対に間違ったらあかんのはな」
コーチ 「はい」
先生  「今岡はストイックになったらあかんってことや」
コーチ 「そうですね、今岡は特に自分を追い詰めたらいい方向に出ないですもんね」
先生  「誰か助けてください!!って泣きじゃくる勇気を持つために二軍に行ったんやと思う」
コーチ 「プロやねんから自分で何とかせぇ、っていうことを全力で撥ね退けるってことですよね」
先生  「自分でなんとかしようとしすぎて現在や。他人に甘えることのできる勇気が今岡には最も必要やと思う」
コーチ 「そう思います」
先生  「悔し涙をいっぱい流して、バット振りまくって帰って来い、今岡」
コーチ 「絶対帰ってこなあかん。このまま終わったら絶対あかん」
先生  「そのために“打ちたいよー!!打ちたいよー!!”って叫ぶんや。心の底から“打ちたい”って気持ちを表現できたら絶対打てるから。感情をセーブしたらあかん。今岡は誰よりも繊細なプロ野球選手なんや。それでもここまで来たんや、一流と呼ばれるところまで上り詰めたんや。“わー!!”って叫びながらバット振って来いって泣いて目ぇ腫らして、手のひらマメでボコボコにして帰ってきたとき甲子園にこのアナウンスが響くでしょう、
5番、サード、今岡」
コーチ 「そして、“線”を取り戻した“打”の中にもう一度戻ってきて、打ちまくってほしい。覚えてますか? 赤星が三盗塁を記録した二年前の甲子園。あなたはその試合で、2本塁打6打点を記録しています。二本目のホームランは10球ファールで粘ってのスリーランホームランでした。その姿が目に焼きついて離れません」


2005年9月1日ドラゴンズ戦観戦記


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posted by コーチ at 10:26| Comment(7) | TrackBack(0) | □ 赤星 憲広 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年09月26日

赤星の13球

気持ちがプレーに直結する。

9回表、1点ビハインドの先頭打者、赤星。
ぼくが知る、赤星の打席の中で、
この打席は、最高の打席だった。
赤星という選手は、本当に素晴らしい野球選手だ。

べイルという投手は、そう簡単に打てる投手ではない。
ドラゴンズの岩瀬、タイガースのウィリアムスと肩を並べる、
左腕の抑えとしては一流の投手。

対する赤星。
何が何でも出塁したい場面、
一塁ベース上に立った赤星は、日本一の一塁ランナーとなる。

そのことにとても意識的な赤星。
カウントが2−2になったあたりだったか、
赤星は積極的にフォアボールを奪いにいったように見えた。
フォアボールを「選ぶ」のではなく、「奪い」にいく。

調子は悪くなかったベイル。力強い高めのストレート。
赤星に投じた初球は147kmを計時した。

左対左の対戦。
ウィリアムスが中日の福留を外角のスライダーで三振にしとめようとするように、
そこを攻められる可能性が非常に高いカウント。
赤星は、アウトローのスライダーをファールできるタイミングで待ち、
かつ、高目のストレートにも対応できる状態で待っていたように見えた。

「ヒットでなくていい。その両方をファールする」

ヒットにしようと思えば、そのどちらかに比重をおいて待たなければ打てないベイルの球。
でもフォアボールを奪いにいった赤星、
赤星はヒットを捨て、その両方に対応する姿勢をとった。
一塁ベースに立つために。

2−2から、5球目。
インコース高目のストレート。ファール。

カープバッテリーもフォアボールはやりたくない。
スライダーに目をつけているならば、高目のストレートが最も三振を取りやすい。

2−2から、6球目。
アウトコース高目、ストレート。ボール。

カウントは2−3になる。
フォアボールまで、あと一球。
しかし、2−3というカウントは、ボールを見逃せばフォアボールなのだが、
ストライクを見逃せば当然三振となる場面。
打者として、見逃しの三振ほど悔しい結果はなく、
どうしても、振りにいってしまうカウント。それがツースリー。
定石で言えば、アウトローのスライダーを振らしにかかる場面だが・・・

2−3からの7球目。
真ん中低目、ストレート。ファール。

裏をかいたストレート。変化球に対応できる状態で待つ場合、
詰まって内野ゴロも多いケース。ファールにした、赤星の勝ち。

そして、
2−3からの8球目。
インコース高目、ストレート。ファール。

どうやら、力でねじ伏せようとしてきたベイル。
それに対し、必死に抵抗する、一塁ランナーになることしか考えていない赤星。
投球はインコースの高目、それをファールした後、
打者として一番イヤなのは、アウトコース変化球にクルッとまわってしまう空振り。
やはりそこに意識をおかざるをえない。
そして、定石どおりなら、インハイストレートの後は、変化球が来る。

2−3からの9球目。
真ん中低目、ストレート、ファール。

カープバッテリーの配球は見事であった。
大胆かつ、慎重。しかも、ベイルも失投をしない。
しかし、それを凌ぐ、赤星の気持ち。
ファールを打つ。

次は本当に何が来るか分からない。
とにかく、変化球を空振りしないように、ストレートに振りまけてフェアゾーンに飛ばないように。

2−3からの10球目。
インハイ、ストレート。ファール。

チカラできたカープバッテリー。それだけベイルの球に自信があるということだろう。
非常にインコース高目を意識させられてしまう。
遠くに曲がる球をファールしようとしている時に、
近くに速い球が飛んでくる。
いつも以上に、その球は、近く、速く感じたことだろう。

そして、
2−3からの11球目。
真ん中低目、スライダー。ファール。

そして来た、スライダー。
インコースをこれでもかと意識させられた後のスライダー。
見事にファールする赤星。

スライダーもファールしたことによって、投げる球がなくなったベイル。
投げても投げても打ちとれない。いったい自分はどれだけ投げればいいのだ。

赤星対ベイルの対決を見ながら、
矢吹丈対ホセ・メンドーサ戦を思い出すぼく。
倒れても倒れても立ち上がる矢吹に、最強のチャンピオン、ホセの内面がグラグラと揺れてきた。

マウンドのベイル。
とにかく、全力で投げ込むしかない。
1点勝ってるのに、
まだ先頭バッターでランナーもいないのに、
非常に追い込まれた状態になったベイル。

2−3から12球目。
インハイ、ストレート。148km。最速。

ファール。

渾身の力を振り絞って投げたストレート、またファールにされてしまう。
窮地に立たされたベイル。
追い込んだのは赤星。

2−3から13球目、
アウトコース、ストレート。148km。同じく最速。


フォアボール。


見事、この大一番を制した赤星。
堂々と、一塁ベース上で、日本一の一塁ランナーとしての輝きを放った。


その後・・・

鳥谷に初球をバントされ、
代打の濱中には一球もストライクが入らず、
金本は、なんとか打ち取るも、

ツーアウト1塁3塁の場面。
バッターは今岡。

その初球に投じられたストレート。
球速は、


138km。


赤星はフォアボールを奪うと同時に、
ベイルの球速を10km奪った。



そしてその直後、
5番打者が試合を決めたんだ。


akahoshi925.jpg
『赤星の13球』
また一つ伝説が生まれた。後世に伝えなきゃ。



もう、赤星最高!!の思いをクリックに◎blogランキングへ
posted by コーチ at 08:19| Comment(9) | TrackBack(5) | □ 赤星 憲広 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年09月14日

だから赤星は走らなかった

5回。

タイムリーヒットの後、
赤星は、走らなかった。

投手、ミアディッチ。

前の盗塁機会で、悠々と盗塁を決めた相手。
モーションの大きなミアディッチ。
思うように投げれなくてイライラしていたミアディッチ。

走れば必ず成功する。
盗塁の個数が一つ稼げる。

でも赤星は、走らなかった。

フリーパスの場面で盗塁することのリスク。
感じたのだろうと思った。


ドラゴンズバッテリー対赤星。

谷繁は、恐ろしいほどの形相で赤星を刺しに来る。
たとえばワンアウトで1塁に赤星という場面。

ピッチャー、川上。キャッチャー谷繁。
執拗な牽制球。
打者の鳥谷よりも、ランナーの赤星を中心に配球を組み立てるバッテリー。
そして、そこが甲子園ならば、

5万人が一塁ランナーを見ている場面。

赤星は、そういう場面でセーフになってきた男。
そして、これからもそういう場面でセーフになる必要がある男。

近い将来、そういう場面の相手は、
ソフトバンクの城島。

僅少差の中盤、終盤で、
赤星が城島からもぎ取るセカンドベース。
勝負を決するスチールである可能性も非常に高い。

赤星は、そこでセーフになろうとする男。

マウンドには乱調のミアディッチ。
120%の成功が約束された場面。

でも120%の成功が約束された場面なればこそ、
感覚の狂いを招きやすいと判断したのだろう。

赤星がセーフになろうとする場面は、
赤星しかセーフになれない場面。

徹底的にマークされた、その中を突き破ることによって、
チームにもたらされる、
「一つの進塁以上の何か」
赤星はそのことにとても意識的だ。

シーズン終盤になると、とかく個人記録がもてはやされる。
4年連続60盗塁。
物凄い記録だが、それはあくまで目安でしかない。

「走れるけど走らなかった盗塁」

赤星は勇気のある自重の中、4年連続での60盗塁に向かっている。

最も大事な場面で、
絶対に走ってほしいその場面で、
誰もが「走ってくる」と思い、
そして、相手は「走られてはならない」
そう思う場面で、

赤星は盗塁を決めるために、

昨日、赤星は、

一つの盗塁を自重した。


あんなにも小さい人が、
こんなにも凄い1番打者になれるんだ。

日本シリーズ、あるいはプレーオフ、あるいは来週の天王山。
その大事な大事な局面。
ランナー、一塁に赤星。100%盗塁。
そんな場面で、赤星がセーフになる姿を、
そして、その盗塁によってもたらされる
「一つの進塁以上の何か」を、
ぼくは感じたい。

ならば、至福の瞬間はすぐ目の前なんだ。


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posted by コーチ at 09:00| Comment(3) | TrackBack(5) | □ 赤星 憲広 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月14日

ドンマイソング♪

先生  「ドンマーイ♪」
コーチ 「ドンマーイ、タイガース♪」
先生  「ドンマーイ♪」
コーチ 「ドンマーイ♪タイガース♪」
先生  「ちょっと、コーチ」
コーチ 「何ですか?」
先生  「タイガースのガーのアールの発音をもっとしっかり!!」
コーチ 「はい!!」
先生  「で、できたら、ドンマーイのところも、しっかりmindのnを聞かせてほしいんや」
コーチ 「ドンマーイ♪タイガース♪こんな感じですか?」
先生  「ええやないか!!」
コーチ 「おお、なんか楽しなってきました」
先生  「ほな、いくで」
コーチ 「はい!!」
先生  「ドンマーイ♪」
コーチ 「ドンマーイ♪タイガース♪」
先生  「赤星ドンマーイ♪」
コーチ 「ドンマーイ♪レッドスター♪」
先生  「自分でバントを選んだ赤星♪」
コーチ 「でも失敗した赤星♪」
先生  「気持ちは分かるぜ、赤星♪」
コーチ 「何とか送りたかったんだよな♪」
先生  「でも監督は打てのサイン♪」
コーチ 「何でか分かるかい?」
先生  「それは、ランナーが入れ替わって足が速いレッドが塁に残ったほうが得点の可能性が上がるから、とかそんな面倒な理由じゃない」
コーチ 「レッドに打ってほしかったからさ〜♪」
先生  「だって、一生懸命練習してるじゃん♪」
コーチ 「そんな小さな体で、3割打てるようになるまで♪」
先生  「あなたがどれだけ苦労してきたか、知ってるからだよ〜♪」
コーチ 「だから、打ってほしいんだよ♪」
先生  「打てなかったら、仕方ないよ♪」
コーチ 「だから、迷わないで打っていこう♪」
先生  「迷わないで、走っていこう♪」
コーチ 「失敗したってかまわない♪」
先生  「それはレッドが悪いんじゃなくて♪」
コーチ 「相手が凄いだけ♪」
先生  「だから、レッドと監督は♪」
コーチ 「抱きしめあえばいいいだけさ♪」
先生  「あなたを信じているよって確認しあえばいいだけさ♪」
コーチ 「だって、向いている場所は同じところ♪」
先生  「優勝したいから〜♪」
コーチ 「絶対優勝、したいから〜♪」


先生  「ローズと清原が抜けて♪」
コーチ 「いきいきノビノビジャイアンツ♪」
先生  「ヘッドスライディングにハイタッチ♪」
コーチ 「きっとみんなしたかった♪」
先生  「だけど、睨まれてるからできなかった♪」
コーチ 「派閥、派閥、自民党!!」
先生  「派閥、派閥、ジャイアンツ!!」
コーチ 「もう、そんなのにはうんざりで♪」
先生  「みんなそんなのやめたかったけど♪」
コーチ 「仲間はずれが怖かったの♪」
先生  「だから言い出せなかったの♪」
コーチ 「ジャイアンツは今希望を胸に♪」
先生  「楽しい楽しい気持ちでいっぱい♪」
コーチ 「そんなジャイアンツは、瞬間的に一番強いよ♪」
先生  「負けてもしかたないんだよ♪」
コーチ 「勝てるチャンスがあったのは♪」
先生  「タイガースが強いから♪」
コーチ 「だから何も気にしなくていい♪」
先生  「今までどおり!!」
コーチ 「自分を信じて!!」
先生  「戦っていけばいい!!」
コーチ 「あなたの持ってる!!」
先生  「全ての力を!!」
コーチ 「ただ只管に信じ抜いて!!」
先生  「ここまで来れた、その理由を!!」
コーチ 「今こそしっかりかみ締めて!!」
先生  「大きく息を吸って」
コーチ 「はいて」
先生  「地面に足をしっかりつけて」
コーチ 「スイング!!スイング!!スイング!!」

先生  「それだけでOK!!」

kubota813.jpg
久保田悪くないよ
監督も悪くないよ
ちょっとジャイアンツの勢いに圧されただけ
ここから終盤戦
どれだけ自分の力を信じきれるか
その勝負
少なくともぼくたちは
あなたたちを信じています
だから下をむかないで
また、かわいい顔で、ゲームセットを迎える姿を、
今夜も期待しています



いっしょにドンマイしてください◎ランキングへ◎
posted by コーチ at 09:51| Comment(5) | TrackBack(6) | □ 赤星 憲広 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月07日

「う!」と思わせたのは赤星

コーチです。

先生はちょっとした車のトラブルで、テンションが下がってまして、今日はふつうに試合のレビューでも。

ポイントは2回。
1塁3塁から、鳥谷のセンターフライ。タッチアップで赤星が2塁に進塁したシーンでしょう。みんなそう思うだろうけど、やはりぼくもそう思います。

初回に今岡の内野ゴロと、桧山のタイムリー。見事に3点先取したわけですが、まだなんとなくふわふわした空気で、完全にタイガースの空気になっているわけではありませんでした。

これは、プロ野球でも、高校野球でも、草野球でもなんでも同じだと思うのですが、試合開始直後というのは常に空気がフラットです。それが試合が開始された瞬間に動き出します。たとえば草野球なんかで、相手チームのピッチャーがいきなり140kmもあろうかというストレートを投げてきたら、その時点で向こうに支配されてしまいます。「う!」って一瞬力んでしまったら負けで、逆に「う!」って力ませれば勝ちです。

でも、プロ野球に限定した場合。ほとんどの投手打者の力量を知った状態でスタートしているので、当然、ゲームの中でその「う!」というのをいかに思わせるかという勝負をしているわけなのですが、それが昨日のゲームは2回の赤星の走塁だった、と。

そして簡単にシーツがタイムリーを打って、2塁に進んでいた赤星が簡単に帰ってくる。
「なんとなく」取られた3点に、「う!」って思わされて取られた2点。気が付けば5対0で負けていた。

そして2回表を遡ると、藤本ヒットの後に、先発の下柳が初球簡単に送りバントを決めています。この辺もけっこう「う!」ですね。そこから赤星、鳥谷、シーツ3人ともが、計ったようにストレートを打ちにいって得点につなげています。カープバッテリーに「う!」って思わすことに成功していた証明といえば大袈裟にさるでしょうか。その合間に通常では考えられない赤星のセンターフライでの2塁進塁。

そして追い討ちをかけるように、3回表、先頭の今岡が、初球のスライダーをレフト前にクリーンヒット。これでもう完全にタイガースペース。全ての人がその流れの中で、その流れをよりよいものにしようと、流れにそって攻撃していく。これぞ、理想的な打線のつながりという、そういうゲームだったと思います。

後半は、桟原に能見のテスト登板あり。アツ片岡、久々のヒットあり。野口も出場できたし。
今後に向けて、とても意味のあるイニングを重ねることもできました。

横浜スタジアムでは、ドラゴンズがド派手なゲームを繰り返しています。
個人的には安心。
タイガース「赤星の走塁」と、ドラゴンズの「ウッズ、ホームラン3本」
ドラゴンズもどちらかというと「荒木の走塁」「井端の進塁打」で勝ちたいチーム。
持ち味を発揮できているのがどちらかといえば、無論タイガース。
とくに今日は福留が同一カード連続ホームランの記録がかかった試合らしく、
それを少しでも意識してしまうとするならば、ドラゴンズに若干の歯車の狂いが見られてもおかしくない。

タイガースは、今日、優勝に向けた大切な三連戦の前哨戦。
いい流れを作れる、絶好のチャンスだと、そう確信しています!!

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posted by コーチ at 07:29| Comment(2) | TrackBack(6) | □ 赤星 憲広 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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