コーチ 「ちょっと先生、何なんですか?その踊り」
先生 「いや昨日、下の娘と考えてたんや。勝利の踊りや」
コーチ 「ハハハハ、相変わらず楽しい家族ですねぇ」
先生 「また産まれたよ(屈伸の姿勢から、膝を伸ばし、手は大きく円を描く)勝利が産まれたよ(屈伸の姿勢に戻り、膝を伸ばし、手は大きく円を描く、顔は空)」
コーチ 「いいなぁ、うちでもやろっと」
先生 「ほな練習しとこ」
コーチ 「今ですか?仕事中なんですけど」
先生 「かまへんかまへん、客なんかおらへんやないか」
コーチ 「まぁそうですけど・・・」
先生 「うちでやったパターンの中では、交互にやるんが一番楽しかったから、そうしよ」
コーチ 「は、はい」
先生 「また産まれたよ」
コーチ 「勝利が産まれたよ」
先生 「また産まれたよ」
コーチ 「勝利が産まれたよ」
バイト君「店長、発注終わりました・・・って何してるんすか?」
先生 「勝利の踊りや!!」
コーチ 「ちょっと先生、自信満々に言わんといてください!!」
(コーチ退勤後、コンビニの前)
コーチ 「ほんま、恥ずかしかったですわぁ、いちおぼくも店長ですから」
先生 「まぁ、チームの長はそんくらいの方がええんや。その方が下で働くもんもノビノビできる」
コーチ 「そんなもんですかねぇ」
先生 「そんなもんや」
コーチ 「まぁノビノビやってもらえるんなら、それが一番ですけどね」
先生 「昨日の浅井もノビノビやってたしな」
コーチ 「あ、そうでしたね」
先生 「初球の入り方とか、攻め方とか、ほんま、思いついたままやってる感じがした」
コーチ 「確かに、浅井のリードは矢野のモノマネじゃなかったですよね」
先生 「せやねん。きっとベンチにいながら、自分やったらこないすんのにって考えてたんやろな」
コーチ 「浅井、エライ!!」
先生 「満塁の場面で、決め球にカーブ投げさせたもんな」
コーチ 「あれは、ビックリでした。福原の持ち球の中で、あの場面でカーブを選択する勇気は凄い」
先生 「で、見事うち取ってるわけや」
コーチ 「なんか、浅井のリードは、“浅井著”って感じでしたよね」
先生 「うまいこというなぁ」
コーチ 「決して編集ではない感じ」
先生 「でな、オレ思ってんけどな」
コーチ 「はい」
先生 「いきなりスタメンで出て、そんだけ思ったようにできる背景にあるのって」
コーチ 「はい」
先生 「やっぱ、優しさやねんよな。包容力っていうか」
コーチ 「分かります。“自分がいいと思ったことをやる”って勇気いりますもんね」
先生 「根拠が自分にあるからな」
コーチ 「失敗したら怒られるって思ったら、誰だって思い切りできません」
先生 「失敗しても怒られへんねん」
コーチ 「監督も矢野先輩も」
先生 「一生懸命考えてやったことに関して、怒られることのないという安心」
コーチ 「その安心感が導いた、ナイスリードでしたよね」
先生 「“自分でいいと思ったことを、思い切ってやる”っていうのが、うまくなる一番の近道なわけやもんな」
コーチ 「その通りや思います」
先生 「コーチの仕事見ててもそない思うで」
コーチ 「え?」
先生 「だって、コーチな、店長やのにバイトの子に発注させて、自分で掃除するやん」
コーチ 「まぁ、少しでも経営に関われたほうが、バイトの子も面白いかなぁと思ってるんで」
先生 「ほんで、発注したものに関しては、修正したりせえへんねやろ?」
コーチ 「基本的にはしないですね。じゃないと結果が分からないですから。直すくらいやったら最初から自分でやったほうがいいです」
先生 「失敗したら怒る?」
コーチ 「いや、一生懸命考えてやったことに関しては怒りませんけど・・・て、先生、何が言いたいんですか!!」
先生 「ええ店長やなぁ」
コーチ 「ちょっと先生!!恥ずかしいです!!」
先生 「ほんま、ええ店長や!!ええ店長ですよー!!この人、ええ店長ですよー!!」
コーチ 「やめてください、大上段から絶賛されるのは恥ずかしすぎます!!」
先生 「だってコンビニの深夜にこんなにイキイキした顔してるバイトの子らって珍しいで」
コーチ 「まぁそういうてもらえると嬉しいですけど…」
先生 「ええ店長ですよー!!この人ほんまええ店長ですよー!!」
コーチ 「勘弁してください!!」
先生 「そんなわけで」
コーチ 「イキナリまとめようとしないで下さい」
先生 「また産まれたよ」
コーチ 「店の前でそないに大きなアクションせんといて下さい!!」
先生 「勝利が生まれたよ(コーチに握手を求める)」
コーチ 「え?」
先生 「コーチ、よう頑張ってるな」
コーチ 「あ、ありがとうございます」
先生 「浅井があんだけノビノビできて、オレずっとコーチのこと思い出してたで」
コーチ 「い、いや、そんなことも・・・ないですけど・・・」
先生 「ほな、改めて元気に!!」
コーチ 「はい!!」
先生 「突然のスタメンに、自分を信じてリードしきった浅井と」
コーチ 「その浅井がノビノビプレーできる環境を作っている、岡田監督や矢野先輩に」
先生 「コーチの、ナイス店長ぶりに!!」
コーチ 「ありがとうございます」
先生 「乾杯!!!!」
浅井の考えを、
全ての人が全肯定で受け入れた。
受け入れさせた浅井の努力と、
受け入れた人たちの器量、
それが、タイガースの力だ。
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